唯「うーいー、アニメー。夕飯どきはやっぱアニメだね!」
憂「はいはい、いまテレビつけるからね」ポチッ、ブォン
○登場人物紹介○
唯…梓がだーい好き
澪…唯のことが大好き。基本は真面目
梓…密かに澪に恋心を抱いている
純…梓に片想いするも実りそうにない可哀想なモップ
和…特に意味はないがレギュラーメンバー。通称わ
ムギ…特に意味は(以下略)ムギを狙ってる
憂…エキストラ。唯とはとある関係(姉妹←ネタバレ)
(澪の視点でお伝えします)
私は唯が好きだった。一年の頃からずっと、ずっと。
なのに。
「あーずにゃん!!」
梓に抱きつく唯を私は横目でちらと見た。
ギュッと。いつもひょろひょろの腕が、彼女を抱き締める時にはあんなに強く強く。
──イライラする。本当に。
「うわ、やめてください唯先輩!」
梓が私のほうを見て少し困ったような顔をしながら唯をゆるく振りほどく。
梓のことは嫌いじゃない。むしろ好きなほうだ。こんなことでもなければかわいい後輩だったと思う。
でも、たまにすごく憎くなる。
毎日写真にヒゲを描いて切り刻んでも憎しみが消えないくらい。
あの困ったような顔。私の唯に対する気持ちを知っているからか。
だから、自分が唯に好かれて済まないってことか。
なんて憎い泥棒猫だろう。
あの腕の中にいるのは梓じゃなくて私のはずなのに。
「何険しい顔してるの~?」
「! ムギか」
突然ムギが後ろから寄りかかってきた。
こいつはいつも突然だ。気配がない。だから私は心の中でマユ忍と呼んでいる。
「なんかあったの?」
「……なにも。どいてくれ。動けない」
うふふ、と笑って私に絡んでくるムギ。見境なしにこーゆーことをする。
こいつは女になら誰にでもそうなんだ。
まあ、ある意味、付き合い易いといえば付き合い易い。
「冷たいわね、澪ちゃんは……あ! 和ちゃん!
今日もステキなグラスイズね!」
ムギは和を発見して走って行った。意外と忙しい奴だ。
「…………」
私は密かに唯に視線を送る。
さっきのムギとのやりとりを見て、唯は何か反応をしてくれただろうか。そんな期待をして。
「うわっそれ放禁~!」
……唯は、いつもどおり憂ちゃんとエロ話をしていた。
「憂ってば、いやいやいくらなんでもそりゃ鬼畜でしょーっ」
「おねえちゃんてば、またカマトトだー!」
……楽しそうだ。
「ですよねっ澪先輩!」
「私か!!?」
突如憂ちゃんから話を振られて私は戸惑った。
ついおかしな反応をしてしまう。
「何ビビってんですか? さてはムッツリ? ムッツリなんですか?」
「ア……アホか!」
憂ちゃんの奴、唯の前で何てこと言うんだ。
大体私はムッツリどころかピュッアピュアーなおとめだというのに。
「あれーつれないなー澪さん」
憂ちゃんはブーブー言うけれど。
唯の前でそんな話題に参加するわけにはいかない。恥ずかしすぎる。
唯をアレとかこれとかグフフッフしたいなんて、言えるわけないだろ!
「じゃあさ、梓ちゃんは?」
「えっ」
憂ちゃんに言われ、泥棒猫梓、いや、恋泥棒梓、むしろ泥棒梓、は驚いた声を出した。
そしてこっちをちらりと見る。
何だよ。
……あ、もしかして。
私は嫌な予感に襲われた。
梓を見ながら、にやにや笑う唯。
下を向きつつ遠慮がちにこちらを見る梓。
これはもしかして。
「……チクショウ、梓のやろう……っ」
そうか。
唯と梓は既にそーゆー関係ってことか。
それで梓野郎は、私が唯を好きなのを知っていて、私に気を遣っているってことか!
私は怒りと悲しみに奮えながら廊下に思い切り飛び出した。
梓……中野梓……、あずにゃんにゃん……絶対許さんッ!!!
つづく...See you NEXT !!
……
☆次回予告
君とはいつでもいっしょ。そう5歳のとき誓った純と斎藤。
しかし二人は長い歳月を経て恋のライバルへと変わってゆく。
ムギを巡りシレツな闘いを繰り広げる二人。
しかしムギはムギが大好きだった。
次回、脇キャラが大活躍の156分「世界魚人大戦マーメイド純」をお楽しみに。
○登場人物紹介○
唯…笑わないセールスマン。趣味は不倫。奥様キラー
澪…唯を偏愛する炎のチャレンジャー。鮮魚売り場で働いている
梓…スイーツ(笑)な箱入り奥様。セールスに来た唯を袖を捲って誘惑するが蹴られた
純…澪のペットのイルカ。餌を貰うと「キュウーン」と鳴く
ムギ…出番なし。ムギを飼っている
和…出番(ry
憂…で(ry
……
※前回までのあらすじ
ある日カワイイ宇宙生物澪を拾った女子中学生、唯。
その日から唯のドタバタ子育てLIFEが始まる。
切なく甘いハートフルラブバイオレンス!
唯は澪を守れるか!?
(G……もとい梓の視点でお伝えします)
澪先輩は、どこかへ行ってしまった。
私には何故だかわからなかった。
追いかけたい。
そう思ったけど、なんと言って追い掛ければいいのかわからないし、勇気が出ない。
「澪ちゃん、どーしたんだろ?」
唯先輩が相変わらずに寄りかかりながら呑気な声で言う。
やたら馴れ馴れしい彼女に、最初は戸惑ったものだ。
しかし、それにもいつしか慣れ、今ではひっつかれてもあまり何も感じないのだけど、やっぱり澪先輩の前だと正直困る。
澪先輩が私のことなど気にしていないのはまあ、わかる。
それでも澪先輩の前で唯先輩とベタベタするのは、やっぱりあまりしたいことじゃない。
「ちょっとトイレットに行って来ます」
唯先輩をひっぺがしてドアのほうに向かった。
唯先輩は一緒に行くと言ったけれど、適当に巻いた。
一緒に来てもらうわけにはいかなかった。
何故なら行き先はトイレじゃなく澪先輩のところだったから。
「いない、な……」
辺りの廊下を一通りウロウロしてちょっと疲れかけてきたその時。
「~純……~」
澪先輩の声が聞こえた。
純も、いるらしい。
「澪先輩は、唯先輩が好きなんですよね」
───え?
「ああ」
澪先輩の、声。
嘘だ……そんな。澪先輩が、えっ、唯先輩、えっ、を好き?
え、他の人じゃなくて? よりによってあの唯でんぱい、じゃねえ、唯先輩が?
そんなこと……っ。
「唯に触れられている梓泥棒を見ると……憎い。憎くてどうしようもない。
あの触覚をみりみり引きちぎりたいくらいだよ」
澪先輩の震える声が、頭の中でぐるぐる回る。
私が憎い。それが彼女の本心。
えっ、泥棒とか言ってた?
いや、でも、まあそこはスルーしよう。
ああっ、私は澪先輩のことがこんなにも好きだというのに!
心配ないです。私が好きなのはあなたです。
平沢唯なんて、そこのけそこのけです。
そう言いたかった。
怠惰な唯先輩なんかとは、なんでもないんです。
でも、私が怠惰かつ馴れ馴れしい唯先輩に抱きつかれているのは事実で、
それに澪先輩はの気持ちなんてどうでもいいんだ。
私が誰を好きだろうと、怠惰先輩と仲良くしていることが憎いんだから。
澪先輩は脳天気唯先輩のことが好きなんだ。
怠惰で馴れ馴れしくて脳天気な唯先輩なんかのことが。
「……まあ私もわかります」
純の声だ。
八当たりだとわかっていても、私は
「何故澪先輩は平沢進、いや唯、なんかがいいのか!?」
「何故さおだけ屋は潰れないのか!?」
という思いを抱かずにはいられなかった。
ちなみにさおだけ屋が潰れない理由は憂いわく「棒屋だからさ」だそうだ。
二人はすぐ側で立ち聞きをしている私にはなぜか全く気付かず、話を続けていた。
「けど純ちゃんは、なんでそんなことを私に訊くんだ?」
「それは、私も奴らを引き離したいからです」
「……ああ、そういうことか」
何がそういうことなのか、何故純が私と唯コノヤロウの仲を邪魔したいのか、わからない。
でもそんなことはどうでもよかった。純とかマジでどうでもいい。
だってモブに毛が生えただけだし。あ、つまりモップ?
それより何より、澪先輩の気持ちが、悲しかった。
「だから、私たちは仲間です」
「仲間?」
「なんかあったら協力するってことですよ」
「協力……か」
少しの沈黙の後、澪先輩のフッと笑うような声が聞こえた。
「そうだな、純ちゃんが役に立つかはわからないけど」
「何だそれ失礼ですねっ」
笑う二人の影で、私の心は俄然沈んでいた。
参院選後の菅直人と同じくらい。
私はどうすればいいんだろう。
私の澪先輩への気持ちは、行き場を失くした迷子のように、
校庭にある無数の憂ホールの中に、ガシャアンと落ちた。
つづく...See you NEXT !!
……
☆次回予告
哀しみの梓! その怒りは律にぶつけられる!?
そんなとき、唯がベスト工作員賞で最多部門賞を獲る。
お祝いパーチーで起きたムギとムギのロマンスにもご注目。
次回、「パペットマペットの黒子は斎藤」
おまけ短編「和ちゃんの日常」もあるよ。
ではまた来週!!
憂「あ、この前の変なアニメ、視聴率3%かあ……こりゃ終わるね」
唯「でもまだ二回しかやってないよねー?」
憂「いまのテレビ業界は厳しいんだよ……」
○登場人物紹介○
唯→サルミアッキ大好き
澪→生命保険オタク
梓→ファシスト
純→競馬で生計を立てている
和→鉛筆
ムギ→眉毛萌え
憂→全長27センチ
……
※前回までのあらすじ
ある学校で色々なことが起きています。
(純の視点でお伝えします)
女同士のシュミなんてなかった。いや、今だってない。
あるのは梓のことが好きだという気持ちだけ。
別にこうなったことを悔やんではいない。
まあ、少しもと言ったら嘘になるけれど。
最初私たちはごく普通の友達だった。
いや、今でも関係上は友達だ。ただ私の心の中でだけ、何か違うというだけで。
でも、イイ奴だな、とかいうよりは、可愛いなぁ…みたいな感情が芽生えてきてしまって。
段々、『普通』じゃないってことを自覚せざるを得なかった。
笑った顔見たときの動悸とか、触れた手の痺れる感覚とか、不意に抱き締めたくなる衝動とか。
ある日梓を汚す夢を見て、それからまともに顔を合わせられなくなった。
近くにいられない、と思った。あずにゃんペロペロ
「というか、純ちゃんは【泥棒猫】梓を絶対に許さない【生意気】のどこがいいんだ?」
澪先輩に聞かれ、私は口を尖らせた。
「いや、そっちの趣味のがどうなんですか」
だって梓は可愛いじゃないかペロペロ
唯先輩のどこが良いのかなんて、私にはさっぱりわからない。
確かにギター弾いてるときはかっこいいけど、一度家に行ったときなんかはひどかった。
「アイス」しか言わない。
憂がかわいそうだ。穴を掘る気持ちもわかる。
「それを言うな。唯は……唯タンは……、良いところもたくさんあるんだ」
澪先輩は、一応自分がオカシイ趣味をしてるということを自覚しているらしい。
「好きになったものは仕方ないだろ」
「まあ、そうですねペロペロ」
私はペロペロとため息を吐いた。
「だけどなー」
どうやって二人の仲を引き裂けってんだ。
なりふり構わず、と言いたいところだが、そうもいかない。
それによって自分が嫌われては意味がない。
実際ドラマみたいに巧妙にやるのは難しいことだ。
「難しそうですよね。唯先輩ってああ見えて隙ないですし」
そりゃ私だって今まで、唯先輩に絡まれる梓を目の前に何もしなかったわけじゃない。
一応それとなく阻止しようと努めてきたんだ。あ、あと、あずにゃんペロペロをしようともした。
が、唯先輩は。
澪先輩はううむ、と唸って、それから言った。
「……何だ、もうアレだ、純ちゃん、お前【G】梓アンチスレpart3463892【マジでG】を寝取ったらいいじゃないか」
「はあ!?」
一体何を言い出すんだこの人は。
「そうすれば二人の仲にはヒビが入るし、【梓】セカンドギターのくせに!【ゆるさない】の裏切りに傷付いた唯を、私が優しく慰めればうまくいくだろ。
私は手を汚さないし。すごくいいな」
「…………」
呆れて声も出ない私に澪先輩は続けた。
「無茶だと思うかも知れないが、これは実際いい手段だぞ。恐らく梓自演乙が純ちゃんに振り向くことはない。
だから一度だけでも想いを遂げて、私の役にも立って…一石二鳥じゃないか」
「ひどいこと言うなあ……。澪先輩ってそーゆー人だったんですね」
「知らなかった?」
私はため息を吐いた。
澪先輩の言ったことは酷いには酷いが、それはまあ事実なわけで。
それだからか、怒りはなかった。
ふっと虚しさが過っただけだ。
梓は私のことなんて別にどうとも思っちゃいない。
ただのクラスメート。友達と思っていればいいけど。ペロペロペロペロ
「まあ、そうかも」
「ん?」
「それ、寝取るっての、気が向いたらしてあげますよ」
勿論あなたのためじゃないですよ。
そう言って笑った。
できるもんならめちゃめちゃにペロペロして嫌われてやる。
どうせできやしない。けれど。
つづく...See you NEXT !!
……
☆次回予告
決勝戦に向けクイックBを習得した憂。一方、純も個人25M自由形で全国大会へと駒を進める。
それぞれ違う場所で頑張る二人を応援する澪。そんなとき、俺が純にモーションをかける。
揺れる澪。
そこに唯が……?
次回、「ムギがいないと眠れない和」お楽しみに。
最終更新:2010年07月23日 00:36