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憂「あれ? お姉ちゃんどこ行くの?」

唯「アイスなかったから買いに行こうかなと思って」

憂「えっ、でも外雨だよ?」

唯「望む所だよ! 苦労した分だけアイスはおいしくなるからね!」

憂「前向きだね! 偉いよお姉ちゃん!」

唯「えへへぇ、そんなに褒めないでうい~」

憂「じゃあついでに、牛乳買って来てくれるかな?」

唯「あ、切れてたんだっけ」

憂「うん。今日グラタン作ろうと思ってたのに困ってたんだ」

唯「おぉ~、グラタン!」

憂「お願いしていいかな?」

唯「うん! お姉ちゃんに任せてっ!」

 そして30分後……

唯「ういー! ただいまお姉ちゃんが帰還したよ!」

憂「おかえりお姉ちゃん!」

唯「はいお土産~」

憂「あっ、私の好きなキャラメルコーンだ!」

唯「うん。憂が喜ぶかなと思って」

憂「ありがとうお姉ちゃん! 後で一緒に食べようね!」

唯「でへへ……」

憂「それで牛乳は?」

唯「ぎゅう……にゅう?」

憂「牛乳……」

唯「あああ忘れてたあ!!」

憂「あ、あはは、忘れたんならしょうがないよね」

唯「頼まれた牛乳一つ満足に買って来れないなんて……」

憂「ほら、元々牛乳目的で買いに行った訳じゃないし」

唯「私はダメだ……ダメ姉だよ……」

憂「そ、そんな事ないよっ!」

唯「せっかくのグラタンが」

憂「もっとおいしいの作るから! 今度の楽しみにしよ?」

唯「そうだ! このバニラ水に溶かしたら牛乳にならない!?」

憂「え……ちょっと無理なんじゃないかな」

唯「え~? やってみなきゃ分からないじゃん!」

憂「でも苦労して買って来たアイスなのに」

唯「いいんだよ! お姉ちゃん責任取りたいの!」

憂(というか本末転倒の様な……)

唯「ていうかバニラグラタンなんて斬新じゃない!?」

憂「ないと思うけどなぁ……あは、ははは」

唯「いいからやってみよ!」

憂「え、え~? ホントにいいの?」

唯「何事もチャレンジだよ! うーいー!」

憂「分かった。やってみるよ」

唯「頑張って憂! 私は念を送るからね!」

憂「えっと……ありがとうお姉ちゃん!」

 そして30分後……

憂「はい、出来ました~」

唯「ぐらたん♪ ぐらたん♪」

憂「今日はグラタンとアスパラの牛肉巻きです」

唯「おいしそう! それでは実食です!」

憂「いただきますが先だよ」

唯「いただきます!」

憂「いただきます」


唯「それでは改めまして……むうっ、こ、これはっ!」

憂「やっぱり……」

唯「あまーーーい!!」

憂「あははは……甘いね~」

唯「でも、甘くてもおいひいよぉ~!」

憂「う、うん!」(本当においしい気がしてきた)

唯「やっぱりアイスはすごいねぇ!」

憂「そうだね。お姉ちゃんのお陰だよ」

唯「調理した憂もすごいけどね!」

憂「ありがとう、お姉ちゃん」

唯「ホント憂は料理の天才だよぉ!」

憂「あ、あんまりからかわないで」

唯「あれあれ? 耳まで赤くしてどうしたの?」

憂「ひどいよ~、もう!」

唯「にしし、正直たまりませんなぁ」

憂「親父臭いよお姉ちゃん」


 晩御飯後

唯「ちゃーらーらー、ちゃららちゃらんらちゃーらーらー♪」

憂「レニー・クラヴィッツ?」

唯「憂よく分かったね!」

憂「梓ちゃんにそのCD借りた事あるから」

唯「私もあずにゃんに教えてもらった~、へへへ」

憂「でもお姉ちゃんが弾くとやっぱりお姉ちゃんっぽいね」

唯「ムハハハ! 私が一番ギー太を上手く弾けるんだもん!」

憂「お姉ちゃん張り切るのはいいけど、そろそろ寝ないと」

唯「んー、もうちょっと~」

憂「もう、夜更かしは身体に毒だよ」

唯「ねぇうい~」

憂「なぁに? 飲み物もってくる?」

唯「なんかさ、視線を感じない?」

憂「えぇ?」

唯「オバケ的な」

憂「ありえないよ」

唯「ほらあそこの、ちょっと空いた戸棚とかさ」

憂「閉めてくる」

唯「閉めても覗かれた感覚は消えないよ~」

憂「気のせいだよお姉ちゃん。疲れてるんじゃない?」

唯「憂は感じなかった?」

憂「や、やめてよお姉ちゃん……」

唯「むふふ、憂ったら怖がりさんなんだから」

憂「おっ、お姉ちゃんのイジワル! からかって!」

唯「か、からかってはいないよ?」

憂「もういい! 私先に寝るからね!」

唯「あっ、う、うい……」

 行ってしまった。実は今日りっちゃん家で怖い映画見て、
一人で寝るのが心細かっただけなのに……

 憂を怖がらせれば自然に一緒に寝られる予定が、とんだ計算外。
唯ちゃんピンチ。

 こうなったらギー太、キミだけが頼りだよ。


ギー太『うん唯ちゃん! いざとなったら変形して助けるよ!』

唯「えっ、本当!? すご~いギー太!」

ギー太『巨大化するよ! マシンガン飛び出すよ!』

唯「すご~いすご~い! これならオバケなんて怖くないね!」

ギー太『ジャキーンジャキーン!』

唯「ズバババ!」

憂「お姉ちゃん……」

唯「は、はうっ!! ううううい!!」


憂(一緒に寝てもいいなんて、今更そんな事……)

唯「ご、ごめんね憂。うるさくしちゃって」

憂「それはいいけど、あんまり夜更かしはダメだよ?」

唯「……あっ! そういえば憂に渡す物があったんだよ!」

憂「私に?」

唯「ちょっと待っててっ!」

憂「そ、そんな慌てないで! 危ないよお姉ちゃん!」

 そして30秒後……

唯「ジャ~ン! これ!」

憂「もしかして私の頭のリボン?」

唯「うん! かわいいの見つけてさ、憂に似合うかなって!」

憂「お姉ちゃん……ありがとう」

唯「えへへ憂が喜んでくれたら、お姉ちゃんもすごく嬉しいよ~」

憂「でもあんまり無駄遣いはダメだよ?」

唯「あうっ、申し訳ねえです……」

憂「あ、あっ、あのねっ、お姉ちゃん!」

唯「どうしたの?」

憂「一緒に……寝てもいいかな?」

唯「えっ! もちろんだようい~!」

憂「ありがとうお姉ちゃん!」

唯「えへへ!」


 唯の部屋

憂「失礼しますね」

唯「どうぞどうぞどうぞ! 特等席ですよ!」

憂「久し振りだね二人で寝るの」

唯「安心するよね~」

憂「でもお父さんやお母さんに呆れられそう」

唯「いいんだよ。私達まだ子供だもん」

憂「うんそうだね。まだいいよね」

唯「……憂、さっきはゴメンね怖がらせて」

憂「ううん、私も怒鳴っちゃっていけなかったよ」

唯「えへへ大好きだようい~」

憂「う、うんお姉ちゃん」

 ……

梓「唯先輩を泉の中に落としてしまった」

梓「唯先輩にハグハグしてもらえなかったら私……」

泉「……ちょい」

梓「ううぅっ……うええぇ~~~ん!!」

泉「君、君」

梓「何よ!! 人が感傷に浸ってる時に!!」

泉「何を泣いていらっしゃるのかしら」

梓「あ、あなたは!?」

泉「私は泉の精ですわ。もしかしたら私の泉に何か落としましたね?」

梓「泉谷しげるさんじゃないですか!?」

泉「泉谷しげる? 何の事ですか?」

梓「えっ? 泉谷しげるさんですよね?」

泉「分かりませんが、こんな美女をおっさん扱いするのは良くないと思います」

梓「泉谷しげるさんサインください!」

泉「泉谷しげるじゃありません」

梓「唯先輩を泉に落としてしまったんです!」

泉「泉谷しげるじゃ……知ってますよ」

梓「全然浮かんでこないし、私どうしたらいいか」

泉「おーっほっほっ、ここは底なしですからね」

梓「私、唯先輩がいないと生きていけないのに!」

泉「これが本当の浮かばれない、なんつって」

梓「黙れハゲ」

泉「もしかして、あなたの落とした……ハゲてないわチビ」

梓「ハゲとるやないかい」

泉「ハゲてへんわ」

梓「もういいです。ハゲてないでいいです」

泉「何その妥協した感じ。そんな同情とかいらんわ」

梓「もう寝たいので帰っていいですか?」

泉「待ちなさい。忘れ物ですよ」

梓「こ、これは……」

憂「こんにちは、梓ちゃん」

梓「憂!!」

憂「こんにちは、梓ちゃん」

梓「二人も!!」

泉「じゃっ、私帰るから。後はよろしくやってね」

憂ーズ「「ばいばーい!」」

梓「待ってください!! 私が落としたのは憂じゃなくて……」

憂ーズ「「梓ちゃん私じゃダメ、かな?」」

梓「えっ? 違うの憂がダメっていうんじゃなくって」

憂ーズ「「梓ちゃん梓ちゃん」」

梓「うわあああああぁっーーー!!」


 梓の部屋

梓「ハッ! ゆ、夢? 憂が二人とかありえ……うへ……うへへへへ」



 7月某日、私はいつもとは変わった気分で月曜日の朝を迎えていた。
憂の事は好きだ。でもそれは友達としてだし、あんなはしたない夢を
見るなんて私らしくない。

 憂は姉である唯先輩とは違い、まじめでしっかりした優等生だ。
だけどその一方で、寂しがりで人に気を遣いすぎる子でもある。
そんな憂を私はほっとけないのだ。ただそれだけだった筈なのに。

 私はレズではない。そりゃ澪先輩に憧れたり、唯先輩が気になったり、
ムギ先輩に見とれたりした事はあるけれど、今まで女性を特別な目で
見た事はなかった。なかった筈なのに……

憂「おはよう梓ちゃん!」

梓「あっ……」

 彼女を見た瞬間、突然に、胸のギターが激しく掻き鳴らされる。

憂「どうしたの?」

梓「おはよ。憂、頭のリボンいつもと違うね」

憂「えへへっ、分かった? 似合うでしょ」

梓「うん。赤いのも似合ってるよ」

憂「ありがとう梓ちゃん」

梓「でも何で急に変えたの? 気分転換?」

憂「あっ、それはねー」

純「梓、ちょっとこっち来なさい」

梓「いにゃっ! いきなり襟首つかまないでよ!」

憂「……?」

 ……

梓「何するのよ純!」

純「どうせ唯先輩関係だから、そっとしておく方がいいわ」

梓「純……それって冷たくない?」

純「何でよ。腋なめるぞ」

梓「はい?」

純「真に受けないで。アフリカンジョークよ」

梓「やめて気持ち悪い」

純「え~、アフリカじゃドヒャーってなるんだけどな」

梓「アフリカ基準のジョークを急にかます意味が分からない」

純「いやほら、梓ってワイルドだからウケるかなって」

梓「別に憂のお姉ちゃん話に付き合ってあげてもいいじゃない」

純「私を無視して話題を戻した!?」

梓「大体なんで私の邪魔するのよ」

純「それは……」

 ……

憂「それでね、お姉ちゃんが~」

梓「ねえ憂」

憂「ん?」

梓「憂がいるから唯先輩が自立できないのよ」

憂「え……」

梓「憂が甘やかすから唯先輩がダメになるの」

憂「そ、そんな事」

梓「はっきり言ってあげましょうか?」

憂「何……?」


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最終更新:2010年07月23日 19:44