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憂「どうしたの、急に真剣な顔で」
和「私はいつも真面目じゃない」
憂「……確かに。それで、お姉ちゃんの事って?」
和「最近、唯があんまり私に構ってくれないの」
憂「あははっ、和ちゃんは本当にお姉ちゃんが大好きだね!」
和「///」カァッ
憂「もっと素直になって、お姉ちゃんに直接言えばいいのに」
和「言うって?」
憂「寂しいから、もっと構って、って」
和「そ、そんな事、言える訳がないわよ!」
憂「んー、でも確かに。最近のお姉ちゃんは軽音部で忙しそう」
和「やっぱりそうなのね」
憂「和ちゃんも生徒会の仕事が忙しいんじゃないの?」
和「そんなの、唯が構ってくれないから暇つぶしにやってるようなものよ」
憂「暇つぶし、って……」
和「もし唯が部活の後、私と一緒に帰るために校門で待っててくれるなら、仕事なんか全部瞬殺するわ」
憂「和ちゃんの場合、本当に瞬殺できそうだからなあ」
和「たとえ会議があっても中断するわ」
憂「それはダメだよ!」
和「冗談よ。でも実際は、唯は軽音部のみんなと帰っちゃうから……」クスン
憂「そうだね。お姉ちゃんはいつも軽音部のみんなと帰ってるみたい」
和「時々アイス屋に寄ったり、ゲーセンに寄ったりしてるんでしょ」
憂「う、うん……(時々じゃなくて、いつもだけど)」
和「どうして私と一緒に帰ってくれないのかしら」
憂「中学までは、よく一緒に帰ってたもんね。和ちゃんとお姉ちゃん」
和「そうよ。でも高校に入ってからというものの、そんな記憶は数えるほどしかないの。悲しいわ」
憂「そこまで言うなら、和ちゃんが校門のところで待っててあげれば……」
和「ダメよ、そんなの」
憂「どうして?」
和「私が寂しくて、唯に構ってほしいみたいじゃない」
憂「……いや、その通りじゃないの?」
和「その通りだけど、唯にそんな事を気付かれたら、私もう学校に行けないもん!」
憂「『行けないもん!』って……」
和「はぁ、困ったわ」
憂「えーと、つまり和ちゃんは」
和「うん」
憂「お姉ちゃんに構ってほしい事を悟られないように」
和「うん」
憂「お姉ちゃんに構ってもらいたい、って事だよね」
和「さすがね、憂。話が早くて助かるわ」
憂「さーて、どうすればいいんだろう? お姉ちゃんは別に、和ちゃんを軽く扱ってる訳じゃないと思うんだけど」
和「軽音部のみんなの事ばっかりじゃなくて、もうちょっと私の事も気にかけてほしいのよ」
憂「うーん……」
和「中学の頃みたいに、とまでは言わないけど、いや、やっぱりあれくらい一緒にいてくれたら嬉しい」ニヘラ
憂「ひとつ思ったんだけど」
和「うん」
憂「お姉ちゃんにとって、和ちゃんは空気みたいな存在なのかもしれない」
和「く、空気!?」ガーン
憂「あっ、いや、そっちの意味の空気じゃなくて」
和「じゃ、じゃあ……」
憂「近くにいる事が当たり前すぎて、ありがたみに気付かないっていうか」
和「うん」
憂「逆にいなくなったら死んじゃうみたいな」
和「そう聞くと、悪くない気もしてくるわね」
憂「そうでしょ?」
和「でも、やっぱりそれだと寂しいじゃない。唯が私の存在を気にかけてくれない、って事は変わらないし」
憂「和ちゃんは、小学校に入る前からずっとお姉ちゃんと一緒だったからね」
和「そうね、もう10年くらい経つのかしら」
憂「だからお姉ちゃんにとって、和ちゃんがそういう存在になるのは、ある意味では仕方ないと思う」
和「そんな……」
憂「ほら、結婚して何年も経った夫婦は、どうしてもマンネリに陥るって言うでしょ」
和「私と唯は熟年夫婦!?」
憂「あははっ、和ちゃんはきっと世話焼き女房さんだね」
和「……それはちょっと本気で嬉しいけど、でもね」
憂「うん」
和「マンネリ、まさにそれだと思うの」
憂「うん」
和「何年も一緒にいた私よりも、高校で出会った軽音部のみんなの方が、唯にとって刺激的なんでしょうね」
憂「マンネリを打破する方法は、いくつかあると思うよ」
和「たとえば?」
憂「手っ取り早いのはイメチェンかな?」
和「イメチェン……」
憂「そう。和ちゃんのキャラクターを、がらっと変えてみるの」
和「ど、どうすれば変えられるのかな?」
憂「とりあえずメガネを外してみるとか!」
和「わ、わかった」スチャ
憂「はい、鏡。どうかな?」
和「……残念だけど」
憂「えっ、どうしたの?」
和「メガネが無いと、この距離でも鏡がよく見えないわ」
憂「うーん、そっか。でも和ちゃん、メガネを外すとイメージが変わって、すごくいいよ!」
和「具体的には、どんな感じ?」
憂「とっても可愛くて、とってもかっこいいよ!」
和「そ、そう。ありがと……」
憂「だからメガネをやめて、コンタクトレンズにしてみようよ」
和「コンタクトレンズ!?」
憂「どうしたの、急に大きな声で」
和「そんなの無理よ。却下、却下」
憂「えっ、どうして?」
和「だって、目の中に何か入れるなんて、怖いじゃない……」プルプル
憂「……わかったよ、和ちゃん。コンタクト案は無しだね」
和「う、うん。ていうかメガネ付けるわね。これが無いとよく見えなくて不安になるから」カチャ
憂「じゃあメガネは付けたままで、イメチェンする方法を考えよう。たとえば髪型とか」
和「髪型って言っても……」
憂「どうしたの、困ったような顔して?」
和「ほら、私は髪が短いでしょ」
憂「そうだね」
和「この長さじゃ、ヘアアレンジの種類も限られてくるんじゃないかしら」
憂「大丈夫、私に任せてよ!」ガラッ
和「……憂?」
憂「こんな時のために、色々なウィッグを用意してあるから!」
和「ウィッグって、おしゃれ用のカツラの事ね。どうしてそんなものを持ってるのよ……」
憂「いやー、お姉ちゃんの髪を切ってあげてるうちに、色々と道具が増えてきちゃって」
和「憂が切ってあげてたの!?」
憂「そうだよ、知らなかった?」
和「確かに、そう言えば、唯が美容室に通うところを見た事がないわ……」
憂「おかげで最近では、エクステまで自分で結べるようになっちゃった」
和「そ、それは凄いわね……」
憂「だから和ちゃんのヘアアレンジも、私に任せてね!」
和「わかったわ、憂に全部任せてみる」
憂「まずは、お手軽なアレンジからやってみようか」
和「これは、ヘアバンド?」
憂「カチューシャだよ。前髪を上げて、まとめるように付けてみて」
和「……これって、律が使ってるものと同じじゃない」
憂「そうだよ。イメチェンってね、誰かをお手本にして、その人のイメージに近づけてみるといいんだよ」
和「確かに、ただ漠然とこんなイメージ、ってやるよりも効果的ではありそうだけど」
憂「ほら、カチューシャで前髪を上げるだけで違うでしょ。律さんみたいに、元気で自由奔放な感じがする」
和「う、うん。言われてみれば、随分と印象が変わるものね」
憂「ただ髪型を変えるだけじゃなくて、キャラクターも変えてみるといいかも」
和「キャラクターを変えるって?」
憂「普段の和ちゃんのイメージって、真面目で静かなキャラクターだと思われてるでしょ?」
和「まぁ、きっとそんな感じでしょうね」
憂「そんな和ちゃんが、ある日突然、元気いっぱいの太陽みたいなキャラクターになって、お姉ちゃんの前に現れたら」
和「なるほど」
憂「いつもと違う和ちゃんの魅力に、お姉ちゃんもドキドキ。マンネリなんて飛んで行っちゃうよ!」
和「それ、いいわね!」
憂「それじゃ、律さんの喋り方や仕草を真似してみよう!」
和「律の真似、ねぇ……」
和「よっしゃあ、今日も頑張るぜー!」
和「こ、こんな感じかしら?」
憂「うーん……」
和「何か変だった?」
憂「いや、律さんの元気な感じはよく出てたと思うの。ただ……」
和「ただ、何よ?」
憂「ちょっとリアリティが足りないと言うか、律さんの魅力の一部しか表現しきれていないような気がするの」
和「別に私は、
田井中律の役を演じる女優じゃないんだけど……」
憂「忘れちゃいけないのは、あくまで目的はお姉ちゃんを振り向かせる事なんだよ」
和「そうね」
憂「ただ律さんの口調で言ってみるだけじゃなくて、律さんとお姉ちゃんの関係を再現するくらいの気持ちでやらないと」
和「そうは言っても……」
憂「私も協力するよ。私がお姉ちゃんの役をやるから、律さんになりきって、私に接してみて」
和「わ、わかったわ」
憂「それじゃ私は、髪をほどいて、ピンで留めて……」
和「憂が唯の髪型になると、本当にそっくりね」ドキドキ
憂「ついでにストッキングも、と」
和「それ、まさか唯のものじゃないわよね!?」
憂「あははっ、そんな訳ないじゃない!」
和(……本当かしら?)
憂「それじゃ、やってみるよ?」
和「う、うん」
憂「りっちゃん、おはよう~」
和「おぉ唯、今日も元気だな~」
憂「……ちょっと一旦ストップ」
和「もう、何よ?」
憂「今の感じ、すごくいいんだけど、もう一捻り欲しいの。律さんの悪戯心を取り入れてみたい」
和「悪戯心って、どういう事よ」
憂「『げへへ~、今日はどんなパンツ履いてるの~?』みたいな、しょうもない冗談を言ってみるとか」
和「憂、律に対してどんなイメージを持ってるのよ……」
憂「それじゃ、もう一度いくよ?」
和「わかった」
憂「りっちゃん、おはよう~」
和「おぉ、唯。今日も元気だな、パンツは何色だ~」ピラッ
憂「……きゃあっ!?」
和「って、素に戻らないでよ」
憂「いや、だって、本当にスカートをめくるとは思わなかったんだもん!」
和「……もしかして、違った?」
憂「律さんの悪戯は可愛らしいけど、和ちゃんのは完全にエロオヤジだったよ!」
和「エ、エロオヤジだなんて」
憂「もう一回やるよ。下ネタも爽やかにね!」
和「わ、わかったわよ……」
憂「りっちゃん、おはよう~」
和「おぉ、唯。今日も元気だな、どんなパンツ履いてるんだ?」
憂「うふふふ。実は黒パンツなんですのよ、奥さん」ヒソヒソ
和「なんとなんと、そりゃ~大胆じゃないか」ヒソヒソ
憂「そう、今日の私はいつもと違う、大胆な
平沢唯なのですっ!」
和「やっほーい、黒パンツ最高ー!」
憂「……」
和「ど、どうかな?」
憂「やっぱりエロオヤジっぽいね」
和「そ、そんな!」
憂「でも律さんの元気な感じは再現できてたし、ヒソヒソ話でさり気なく肩に手を回したのもポイント高いよ!」
和「そう言えば、律の真似をしようと思ったら、自然とそうなったわね」
憂「いつもの和ちゃんだと、恥ずかしがって、お姉ちゃんにあそこまで接近できないでしょ?」
和「確かに……」
憂「ほら、これが物真似の力だよ。普段できないような事も、誰かの真似ならできる」
和「うん」
憂「そして、その真似を続けてみると、いつの間にかそれが自分のキャラクターとして定着しちゃうんだよ」
和「なるほど」
憂「よーし、この調子。次は澪さんでやってみようか」
和「まずは髪型ね。これは地毛じゃ長さが足りないから……」
憂「黒髪ストレートのロングだから、このウィッグを付けてみてね」
和「こう、かしら……」ファサッ
憂「うん、これもいい。和ちゃんは元々の顔立ちが整ってるから、どんな髪型も合うね」
和「ちょっと照れるわね///」カアッ
憂「和ちゃんの恥ずかしがり屋なところ、澪さんに近いものがあるかも」
和「確かにそうかもね」
憂「でも、澪さんのキャラクターになりきるには、さらに付け足す要素があるよ」
和「それは何なの?」
憂「怖がりで、泣き虫なところ」
和「なるほど、それは私には無いわね」
憂「和ちゃんはいつも冷静だからこそ、澪さんみたいな意外な一面を持っていると、ギャップがあっていいと思うんだ」
和「わかった、やってみましょう」
憂「じゃあ、同じようにやってみるよ」
和「わかった」
憂「澪ちゃん、おはよう~」
和「おはよう、唯」
憂「そうだ、ねぇねぇ聞いてよ~」ズイッ
和「な、何だよ」
憂「昨日ね、何となく、コピー用紙をまぶたに挟んでみたんだ」
和「う、うん」ビクビク
憂「それでね、思いっきりピュッ!って横に……」
和「わー、わー、わー!!!」
憂「……迫真の演技だったね」
和「そ、そうでしょ。澪とはクラスも一緒だったし」
憂「ていうか、演技じゃなくて本気で怖がってた?」
和「そそそ、そんな事ないわよ。今のは澪の性格をイメージして」
憂「……眼球に傷が付いちゃって、視界が急に紅く」
和「きゃあっ、ストップ!」
憂「……和ちゃん」
和「な、何よ」
憂「かわいいね、和ちゃん」ニッコリ
和「憂、私の事バカにしてるでしょ!?」
憂「そんな事ないよ~」ニコニコ
和「その言葉が信用できない!」プンスカ
憂「どうやら澪さんのキャラクターは真似するまでもないみたいだから」
和「うぅっ、私の抗議が軽く流された……」
憂「次は紬さんみたいな、おっとりぽわぽわ和ちゃんを試してみようね」
和「ていうか憂、私で遊んでるでしょ!?」
憂「だからそんな事ないってば~」ニコニコ
和「もう、何を言っても無駄みたいね……」
憂「はい、このブロンドのウィッグを付けて」
和「こうね」ファサッ
憂「これは……」
和「ど、どう?」
憂「金髪に赤フレームのメガネが、なんだかとってもおしゃれな感じ!」
和「ありがとう。私もこれは普通にアリだと思うわ、イメージも変わるし」
憂「そうそう、肝心なものを忘れてた」
和「何かしら?」
憂「はい、付け眉毛」
和「……付け眉毛!?」
最終更新:2010年07月25日 22:38