律「梓の奴おそいなー」
紬「今日はどうしたのかしら?」
律「もう先にお茶しちゃおうよーっ」
澪「そんなの梓が可哀想だろっ!?」
律「何だよっ、遅れる梓が悪いんじゃないか」
澪「うーん、おかしいなぁ、梓なら遅れる時、必ず連絡してくれるんだけど…」
澪「唯は何か聞いてないのか?」
唯「えっ!?」ドキッ
唯「あのねっ、うん、あずにゃんはー」
唯「今日はお休みなんじゃ無いかな?」
律「そうなのか?早く言えよーっ」
律「梓からメールなり、電話があったのか?」
唯「うん、いや、どうかなっ?」アタフタ
律「???」
律「なんだよ、ハッキリしないなぁ」
紬「唯ちゃん、憂ちゃんから聞いたのかしら?」
唯「えっ…」
唯「憂は関係ないもんっ!!!」ガタッ
紬「きゃっ!」
律「おい唯っ、どうしたんだよ、急に興奮して!?」
唯「あっ、ごめん…」アセアセ
澪(何だろう唯の奴、さっきから様子がおかしいな)
澪「とにかく、梓は今日休みなんだな?」
唯「うん、そう思う…」
澪「理由は知ってるのか?」
唯「へっ?あれだよ、風邪だよっ」
律「風邪かぁー?それなら仕方ないな」
律「唯も知ってるんなら、早く言ってくれよー」
唯「うん、ごめんね…」
紬「でも風邪なんて、心配ね」
律「まあまあ、梓も来ないんなら、早速お茶しちゃおうっ」
澪「お前も少しは心配しろっ!」
律「風邪なんてすぐ良くなるってー」モグモグ
律「どうせ、明日には出てくるよっ」
律「なっ、唯?」
唯「あっ、うん、そうだねっ」オロオロ
澪(唯は何か知ってるのか?)
唯の家!
唯「ただいまー」
憂「お帰りなさい、お姉ちゃん」
唯「うん…」
憂「私、お夕飯作るから、お姉ちゃんは着替えてのんびりしててね」
唯「あ、ありがとう…」
憂「」
唯「……」
唯「じゃ、じゃあ私部屋へ行くねっ」アセアセ
憂「……」
憂「」トントントントン
ガチャ
唯「はあっ、はあっ」
唯「ううっ…」
唯「ああっ…」
唯「どうしよう…」
唯「どうしようどうしよう」
唯「どうしようどうっしようどうしようどうしよう」
唯「どうしようどうしようどうしようどうしようっどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようっ!!!」
唯「はあっ、はあっ!」ガクガク
唯「私はどうすればいいの?」
唯「あずにゃん…」
ドンドンっ!
唯「」ビクッ
憂「おねーちゃん」
唯「あ、どうしたの憂?」
憂「ごはん…できたよ」
唯「う、うん、今行くねっ」
憂「……早く来てね」
憂「冷めちゃうから」
唯「わかったよっ」
唯(まさか聞かれたっ!?)ブルブル
カチャカチャ
唯「」モグモグ
憂「……」
憂「お姉ちゃん?」
唯「!?」
憂「どう、美味しい?」
唯「おいしいよ」
憂「よかった…」モグモグ
唯「……」
憂「お姉ちゃん、『気付いた』かな?」
唯「ええっ!?あ、ああっ、そんな知らないっ」
憂「そう…」
憂「おかしいな『気付かなかった』のかなぁ?」
唯「はあっ、はあっ、何がっ?」ブルブル
憂「でも、『気が付かない』って事は」
憂「『成功』ってことかな?」
唯「えっ?えっ?」
唯「何の話っ?憂、何言ってるの!?」
憂「」
憂「変なお姉ちゃん…」
憂「料理の味付けの話だよー」
憂「ちょっと変えてみたの」
唯「料理の?ああ、ごはんの事だねっ」ドキドキ
憂「『気付かない』ってことは、おかしくないって事だよね」
憂「これって『成功』だよね?」
唯「せっ、成功だよっ!憂はいつも完璧だよっ」
唯「今回だって…」
唯「私は全然気付かなかったしっ!」
唯「うまくっ、あっ!おいしく、美味しくちゃんと出来てるよっ!!!」
憂「ふーん、そうなんだ…」
唯「……」
憂「じゃあ良かった!」
憂「何にも『心配』すること無いんだねっ!?」
唯「そ、そうだよっ」
憂「よかったぁー」
唯「は、ははっ」ドキドキ
ピリリリッ ピリリリッ
憂「お姉ちゃん、電話だよ」
唯「うう、そうだね…」
ピリリリッ ピリリリッ
憂「なんで出ないの?」
唯「で、でるよっ、今出るっ…」アセッ
ピリリリッ ピリリリッ ピッ
唯「はい」
『唯先輩っ、私です、純ですっ』
唯「!!!?」ドキッ
憂「どうしたの?お姉ちゃん…」
『もしもしっ、先輩っ!?聞こえますか?』
唯「う、わう、ああ…」
憂「ねえ、お姉ちゃん…?」
憂「『誰』からの電話?」
『唯先輩っ、聞いてくださいっ』
『梓の話なんですっ!』
唯「ううっ…」
憂「だから『誰』からなの?私知りたいなぁー」
『梓、今日学校に来てなくて』
『それで、それはきっと憂がー』
唯「!!!?」
唯「もう切るねっ!」
『えっ!?そんなっ』
ピッ
憂「お姉ちゃん…」
憂「…何で切ったの?」
憂「…誰からだったの?」
憂「ねえっ、おねえちゃんっ!?」
唯「!!!?」
唯「ま、間違い電話っ」
憂「」
唯「間違い電話だったんだよっ、ほんとだよっ!」
憂「」
憂「そうなんだぁー」
憂「でも変だなぁー」
唯「えっ?」
憂「間違い電話に『もう切るね』なんて言うかなぁー?」
唯「は、ははっ、変かなぁー?」ドキドキ
憂「でも、お姉ちゃんなら言いそうかもねっ」
憂「そういう事にしようか」
唯「」ホッ
憂「じゃあ、お姉ちゃんっ」
憂「携帯見せてっ!」ニコッ
唯「!!!?」
唯「えっ、ええっ!!!?」アタフタ
憂「」
憂「なーんてねっ」
唯「!?」
憂「私、お姉ちゃんの事信頼してるもん」
憂「お姉ちゃんが私に『嘘』つく訳ないもんっ」
唯「うっ」ドキッ
唯「そりゃそうだよっ、当たり前だよ」アセアセ
憂「……」
唯(あずにゃんっ、私っ、私どうすればいいの!?)
学校!
純「あっ、憂っ!」
憂「お早う純ちゃん」
純「今日も梓、来てないんだよっ!?」
憂「そうなんだ…」
純「昨日から、いや、一昨日の晩から携帯も通じないし」
純「きっと何かあったんだよっ」
憂「そうかな?」
純「『そうかな?』って…」
純「憂は、梓の事、心配じゃないのっ!?」
憂「……」
憂「でも…風邪かも」
純「はあ?」
純「一言連絡も出来ないほどの風邪?」
憂「おたふく風邪とか麻疹とか…」
憂「そんなのかも」
純「でも…一昨日は元気だったよ?」
憂「または家出かもね」
純「家出って?」
憂「全部が嫌になって飛び出したんじゃない?」
憂「どこか遠くに…」
純「梓が?悩んでる様には見えなかったしっ」
純「私達にも内緒でそんなことすると思うっ!?」
純「憂どうしたの?昨日からなんか変だよっ!?」
純「まるで、別人になっちゃったみたいっ!」
憂「……」
純「それに、一昨日の放課後っ」
純「梓、憂の家に行くって言ってたよっ!!!」
憂「!!!?」
憂「」
憂「だから、それは昨日、言ったじゃない」
憂「梓ちゃんはその日」
憂「家には来なかった」
憂「私は、梓ちゃんとは、会っていないって」プルプル
憂「嫌だなぁ純ちゃん、忘れちゃったの?」ギロリッ
純「ひっ!」ゾクッ
純「う、憂、その目やめてよっ」ビクビク
純「こわいよぉ…」ブルブル
軽音部の部室!
律「ありゃー、今日も梓は休みかー?」
紬「お風邪ひどいのかしら?心配だわ」
澪「そうだな、お見舞いにでも行くか?」
唯「!?」
唯「お見舞いはどうかなー?」
唯「ちょっと大げさなんじゃないかな?」アセアセ
律「そうかぁ?」
律「でも以外だな、唯が一番にお見舞いに行きたがりそうだけどな?」
唯「うっ」
澪「『あずにゃん成分がー』とか言い出しそうなもんだけど…」
唯「いやっ、そのっ…」
紬「私心配で、昨日梓ちゃんにメールしてみたんだけど、返って来なかったの」シュン
律「あっ、それ私と同じだ」
澪「やっぱりみんなもか?私もだったぞ」
律「あーっ!澪は自分だけが無視されたんじゃないかと心配で」
律「一番に言い出せなかったんだろっ!?」
澪「そっ、そんなこと無いっ」
律「よかったねー、澪ちゅわーん、梓ちゃんに嫌われてたんじゃないんだねー」
澪「うるさいっ」ゴンッ
律「ぎゃっ、殴ることないだろーっ」コブ
紬「唯ちゃんはどうだった?」
唯「へっ、私!?」
紬「唯ちゃんは、梓ちゃんと一番沢山メールしてる感じ」
紬「一度くらいは返事来なかった?」
唯「そうだねっ、えっと、来たかも…」
律「唯だけに返事するなんてずるいぞーっ」プクー
澪「返事来たのかっ?それでどうだって?」
唯「うんと、その…」アセアセ
澪(……やっぱりおかしい)
澪「なあ唯、昨日から思ってたんだけどさ…」
ガチャ
さわ子「みんなっ、ちょっといいかしら?」
唯「さわちゃん…!?」
律「あーあ、せっかく今日も梓の分までお菓子を食べられるはずがー」
律「また独身ハイエナに嗅ぎ付けられたか」ヤレヤレ
さわ子「ダーレが独身ハイエナだってぇー」ギューッ
律「いはいっ、いはい、やめぺー」
さわ子「はっ、こんな事してる場合じゃない」
さわ子「実は梓ちゃんの事で、みんなに聞きたいのよっ」
唯「!!!?」ビクッ
律「梓?梓なら昨日から風邪で休んでるけどー?」ヒリヒリ
さわ子「えっ、風邪?どうして風邪なのよ」
律「そんなこと知らないよっ、お腹でも出して寝てたんだろ?」
澪「おい律、そういう事聞いてるんじゃないだろっ」
澪「唯が風邪だって言ってたから」
澪「てっきり私達、梓は風邪で休んでいるのかと…」
唯「あっ…」ドキッ
さわ子「そうなの?」
さわ子「唯ちゃん、梓ちゃんが風邪だってのは誰から聞いたの?」
唯「えっ、誰って?それは…」
さわ子「……何か知ってるようね」
さわ子「唯ちゃん、正直に答えなさいっ!!!」
唯「わぁっ」ビクッ
紬「唯ちゃんっ…」
律「ちょっとさわちゃん、何怒ってるんだよっ!?」
律「唯がかわいそうだろっ?」
さわ子「お願い唯ちゃん、真剣な話しなのよっ」
唯「うう…」
唯「それは…そのっ」
唯「…純ちゃん」
さわ子「純ちゃんって言うと、梓ちゃんと同じクラスで」
さわ子「ジャズ研の鈴木さん?」
唯「そっ、そうなのっ」アセアセ
さわ子「うーん、彼女にも話しを聞いて見た方がいいわね…」
澪「先生…一体梓に何があったんですか!?」
さわ子「実は、梓ちゃん、一昨日から家に帰ってないんですって」
律澪紬「!!!?」
唯「……」
紬「唯ちゃん、メールが来たって言ってたけど…?」
唯「!!!?」ドキッ
さわ子「本当なのっ?それで…梓ちゃんはなんて?」
唯「ううっ、その…」
唯「あのね、あずにゃんは…」
唯「『事情があって学校と部活を休みます、すぐ帰るので心配しないで下さい』」
唯「だって…」アセアセ
律「なんだよー、そんな事早く教えてくれればいいのにーっ」
唯「あっ、ごめん…」
澪(本当に唯は梓からメールを受けてるのか?)
紬「唯ちゃん、そんな大切な話し、何故私達にしてくれなかったの?」
唯「そのっ、あずにゃんがね、『みんなには内緒にして』って…」
律「内緒っておいおい、そんな連絡、まず部長にするのが筋だろーっ」
紬「でも、私達には心配かけたく無かったんじゃ…」
律「分かってるって」
律「唯も梓も、余計な気を遣いやがってっ」
律「私達、仲間だろ…?」
唯「ううっ…ごめんね、りっちゃん」
さわ子「さて」
さわ子「事情は大体わかったわ…」
さわ子「これはおそらく家出ねっ!」
紬「家出っ?」
さわ子「そうよ、おそらく居場所は、お友達の純ちゃんが知ってるはず!」
さわ子「軽音部のみんなには秘密にしときたかったけど」
さわ子「特別に唯ちゃんだけには連絡したのねっ!」
律「なんで唯だけなんだよっ?」
さわ子「考えても見なさい?梓ちゃんが行方不明だ何て事を知ったら…」
さわ子「唯ちゃんはどんな行動に出るか分からないわっ」
律「確かに、学校ほっぽり出して探しに行きそうだな」
さわ子「そして逆に唯ちゃんの方が、事件や事故に巻き込まれる…」
律「なるほどっ、それが心配で、唯だけには『心配しないで』とメールをっ!?」
紬「さすが先生っ!」
さわ子「後は純ちゃんを絞り上げて事件解決ねっ!」
律「さわちゃん、やるじゃん!たまには役に立つっ!」
さわ子「一応誉めてるみたいだけど、ムカつくわ」ギューッ
律「いはい、いはい、やめふぇー(いたい、いたい、やめてー)」
紬「唯ちゃんの様子が昨日からおかしかったのは」
紬「メールの事を隠してたからなのねっ?」
律「唯は嘘つけるタイプじゃ無いからなー」
律「あまり無理すんなっ」
最終更新:2010年07月28日 00:43