斉藤「帰りなさいませ紬お嬢様」
紬「はーい、…ただいまもどりました」
斉藤「いかがなされまし…」
紬「いいの!だまってて!!」
斉藤「は…はぁ、失礼いたしました」
紬「…はい、これコート」ぶすっ
斉藤「はい!おあずかりいたします!」
紬「わたし、部屋に行くから…」
斉藤「かしこまりました、お夕食の準備が調いましたらお迎えにあがります」
紬「…、はいはい」
わたしの大好きで、楽しみな軽音部…
みんながいちゃいちゃしてくれる…
それだけでわたしの心は躍る…
でも、
なんで気付いてしまったのかしら…
この気持ちに…
最近気がついたこの思い…
軽音部のとあるひとりの子に惹かれているいること…
気付かなければどれだけ楽だったか…
気付かなければどれだけ苦しい思いをしないですんだのか…
あの子が嬉しそうならば私もうれしくなり…
あの子が辛そうならば私もつらくなる…
だけどその嬉しそうな顔や、辛そうな顔が…
私に向けられているものではない…
紬「くやしい…」
私がこの感情に気付かなければ…
軽音部はなにもなく、いつも通りに活動をし…
私はその軽音部を動かす歯車のひとつでいられる…
あの子の気持ちが…
私に少しでもむいてくれれば…
どれだけ嬉しいのだろう…
だからあの子の笑顔を向けられている梓ちゃんが憎い…
かわいい、かわいいと持てはやされ…
私のすきなあの子の笑顔をいっぱいもらっている…
そんな梓ちゃんが憎いの…
憎いの…
殺してしまいたいくらいに…
…
唯「あっずにゃぁ~ん♪」だきっ
梓「//ちょっと、唯先輩!」
律「お!暑いのによくやりますなぁ!」
唯「だってねぇ、あずにゃんとこうしてるのがたーのしぃんだもーん!」ぎゅう
紬「あらあらあらあら♪」
今日も軽音部はこれだ…
梓ちゃんがきてからずっとこう…
羨ましい…
唯ちゃんに抱きしめられて幸せそうな梓ちゃんが…
紬「…いいな」ぼそっ
律「おアツいですねぇ唯さんや」ニシシ
唯「うん!だーってねぇ、あずにゃんのことだーい好きだもーん♪」ぎゅうっ
紬「!!」
梓「ちょっと、だから、先輩///」イヤイヤ
ガシャン
律「?」
澪「どうしたんだムギ、平気か?」
紬「あ…、ごめんね」あせあせ
紬「っいたい!」
律「平気か?ムギ!!」
唯「?ふふ~ん♪」
唯ちゃんは…
唯ちゃんは気にも留めてくれないのね…
紬「…!」ダッ
律「お、おい!ムギ!!」
澪「…あぁ、血?へ?ぇ?ムギの血?」あわあわ
律「ムギをおいかける!唯、梓!割れたカップを片付けてくれ!」ダダダッガチャ
唯「へ?わ、わ、わかったよ!」
梓「…!」あせあせ
……
紬「はぁ…はぁ…」タッタッタ
さすがに堪えるな…
わかってる…
唯ちゃんは別に私がどうなろうと気に留めない…
でも…
わかってても正直につらい…
紬「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
紬「斉藤!車をまわして!」
…
律「はぁ…はぁ…」たったった
律「さ、さすがのあたしも…、これは…」ぜえぜえ
律「はぁ…、どこにいっちゃったんだよ…ムギ…」
律「…電話するか」ピッピッ
「おかけになったお電話番号は現在、電波のと…」
律「電源、…きってるのか」
…
律「ただいまー」
澪「あわわわわわ…ムギ血!だめだ!ムギ!血ぃ!」ガクガク
律「いつまでやってんだよ、澪…」
梓「律先輩!ムギ先輩は?」
律「!!ちょっと貧血起こしたみたいでな、家の人が病院につれてくって…」
唯「えぇ!?ムギちゃん平気なのー?…心配だよぅ」
律「へ、平気にきまってんじゃん!てなわけで今日は解散!唯はムギん家にかばんを届けてやってくれ!」
唯「了解しました!りっちゃん隊員っ!!」びしっ
律「おう、じゃあこのしゃーない澪はあたしと梓で送りますか…」
梓「はい…」
澪「血!血!なんて見えない…見てない…」ブツブツ
……
紬「…」
斉藤「お嬢様?」
紬「…」
斉藤「お嬢様、お屋敷に到着いたしました」
紬「あ、…ええ」
斉藤「お召し物をお預かりします」
紬「…」
斉藤「お嬢様?」
紬「ごめんなさい、少し部屋で休むわ…」
斉藤「は、はぁ…」
紬「…」
私らしくない…
カップを落として指を切って…
それ程動揺してしまった…
辛いから…
あの場から逃げたくて…
走って逃げてきてしまった…
はしたない子ね…
私って…
…
斉藤「…はい」
斉藤「…さようでございますか」
斉藤「…お嬢様のためにわざわざご足労頂き」
斉藤「…ええ、お嬢様は自室でお休みになられております」
斉藤「…はい、かしこまりました」ガチャッ
斉藤「…」タッタッタ
コンコン
紬「?」
紬「なにかしら?」
斉藤「お嬢様、ご友人様がかばんを届けてくださいました」
紬「…あ、はい、ありがとう」
斉藤「それで、是非お嬢様のお顔をと…」
唯「やほっ☆ムギちゃーん大丈夫?」ガチャッ
斉藤「こ、困ります!平沢様!」
紬「…!!」
紬「…ってぇ」ぼそっ
紬「出てって!」ぽいっぽいっ
唯「む、ムギちゃん…」
紬「み、みんな出て行って!!」ぽいっ
斉藤「!!…お嬢様、お、落ち着いてください!」がばっ
紬「さ、斉藤もよ!聞こえなかったの?」ばたばた
斉藤「平沢様、申し訳ありません…私と一緒にご退室ねがいます…」
唯「…は、はぃ」しょんぼり
…ぱたん
紬「…はぁ…はぁ」
唯ちゃんを見たとき…
本当はとっても嬉しかった…
でもなぜか唯ちゃんの笑顔が…
慈悲に満ちてるような気がして…
悲しかった…
梓ちゃんに向けられる笑顔とは違う何か…
そんな目で見られる気がして…
私の心は壊れそうだった…
…
斉藤「コーヒーでよろしかったでしょうか?」
唯「へ?え…はっ、はいぃ!」
斉藤「お召し上がり下さい」すっ
唯「はいっ!い、い、い、いただきまっす!!」ずず
唯「えへぇ~、苦いよぅ」
斉藤「こ、これは大変失礼いたしました、ミルクと砂糖です」ささっ
唯「は、は、は、はい、くるしゅうないぞよです!」ぼちゃぼちゃ
斉藤「…」ニコニコ
唯(こ、今度はあまあまだよぉ…)ずずっ
斉藤「先ほどはお嬢様が大変失礼いたしました」ペコリ
唯「そ、そ、それほどでもぉ…じゃなくて!そ、そんなことないですっ!!」
斉藤「最近、お嬢様のご様子が少し…」
唯「…」
斉藤「平沢様、おりいってお願いがあります」
唯「ふぇ?」ぴくっ
斉藤「どうかお嬢様のこと…」
唯「そ、そ、そんなこと頼まれなくても!」
斉藤「…?」
唯「大丈夫でっす!紬ちゃんはずーっと私の!大親友だからっ!」てーれってれー
斉藤「…」くすっ
唯「…あ、あれぇ?」
斉藤「…この斉藤、心から感謝させていただきます」ペコリ
斉藤「…」パンパン
「はい」
斉藤「平沢様を送ってさしあげてくれ」
「はい、かしこまりました」
斉藤「ご自宅までお送りさせていただきます」
唯「は、はいぃ!ありがとうございますっ!」
斉藤「本日はまことにありがとうございました」深々礼
唯「い、い、い、いえいえいえいえ!!」
斉藤「また、遊びにいらしてください」
唯「は、はいっ!」
斉藤「…今度は紅茶をご用意します」バタン
唯「はいっ//」
斉藤「それでは…、だしてくれ」
ブロロー
…
コンコン
斉藤「…紬お嬢様」
紬「なに?お説教ならまにあってるわ」
斉藤「いえそのようなことでは…」
紬「…だったら何!?」
斉藤「お嬢様はお気付かれになっていらっしゃらないかもしれませんが…」
斉藤「お嬢様はいいお友達をお持ちになられた…」
斉藤「平沢様はとても良いお方ですね…」
紬「…」
紬「……ええ」
斉藤「失礼いたしました」コツコツコツ…
紬「…うぅっ」
唯ちゃんはとってもいい子…
こんな私を気遣ってくれて…
でも私はとってもわるい子だわ…
勝手な想像で悲観的になって…
私の大切な友達を追い返してしまったんだもの…
疲れたわ…
こんな自分がイヤ…
紬「少し眠りましょう…」
コンコン
斉藤「紬お嬢様、失礼します」がちゃり
紬「ふぁあ…どうかしたの?」
斉藤「よろしければ…コーヒーをお持ちしました」こぽこぽ
紬「あ…、ありがとう、斉藤」すっ
斉藤「お待ちください!お嬢様!!」ばっ
紬「え?…何?」
斉藤「…」ぼちゃぼちゃどぼどぼ…
紬「な、何のつもり!?」
斉藤「お待たせいたしました」すっ
紬「?…えっ?」
斉藤「平沢スペシャルでございます」にこっ
紬「…ふふふっ、ありがとう」こくっ
紬「とっても、甘いのね…」
……
ちゅん
ちゅん
紬「…なんだか学校、行きたくないわぁ」ハァ
紬「みんなに会うのも、唯ちゃんに会うのも…怖い…」ぱくぱく
斉藤「紬お嬢様、そろそろ学校に向かわれませんと…」
紬「…不安なの……」ぼそっ
斉藤「…」
斉藤「それではそんなお嬢様にご提案がございます」
紬「?」
斉藤「今日はいつも抑えてる感情を素直に出してみてはいかがでしょうか?」
紬「そ、そんなの難しいわぁ!?」
斉藤「…お難しい…と?」
紬「そうよ!それで、みんなとギクシャクしたり」
斉藤「お言葉ですが、そのようなことにはならないのではないでしょうか」
紬「?」
斉藤「私が見ている限り、皆様そのようなお方ではないともわれます」
紬「…」
斉藤「特に…平沢様は」
紬「!!」
……
キーンコーン
カーンコーン
律「澪、昨日あれだけこわがってたのに…」
澪「だーもう!うるさいぞ律!!」
律「血!ムギ!っ血!ひぇ~~」
澪「りーつーーーーー!!」ガバッ
律「ひゃー!とうとう本性をあらわしたかー!」だだだっ
唯「あははは、は…はぁ~」
唯(ムギちゃん、…学校来るのかなぁ?)
…
紬「しゃらんらしゃらんら~」トコトコ
紬「憂ちゃんおはよ~♪」
憂「あ!ムギさん、おはようございます」ぺこっ
紬「梓ちゃん、いるかな?」にこっ
憂「あずさちゃーん」
梓「?」
憂「ムギさんいらしてるよ~!」
梓「あ、おはようございます!ムギ先輩!」たったった
紬「…」
紬「…ふふっ」
梓「…ん?どうしま」
紬「…」がばっ
梓「ひゃっ//」
紬「うふふっ♪」むぎゅぅう~
梓「む、む、む、む、ムギ…せんぱ…///」あたふたあたふた
紬「これからはいいライバルね!」ぎゅうぅ~
梓「へっ、え?ムギ先輩?//」カァッ
紬「ぜーったい、負けないんだから♪じゃあまた、放課後に」
梓「…ふえ?//」
たったった
…
律「たーはぁー!お、おちつけ澪!」わたわた
澪「…おいつめた、、…おいつめた」ひひひ
紬「おはよ~♪」
澪「あ!ムギっ!昨日は平気だったか?」ばっ
律「おはよっムギさまっ!救世主だぜっ!」
紬「平気よ!ごめんね?ちょっとあわてちゃって…」
唯「あ!ムギちゃぁーん♪」
紬「ゆいちゃん!」
唯「よかったぁ!よかったよぉ」ぐすっ
ありがとう、唯ちゃん…
私のためにその涙…
紬「唯ちゃん、昨日はごめんなさい」ぺこっ
唯「そ、そんな゛ことな゛ぃよっ…」うぅ
これからは…
自分に素直に…
紬「唯ちゃんだーいすきっ♪」むぎゅっ
おわり
最終更新:2010年07月28日 23:46