澪「ムギっ!頼む~」

ピッピッ

プルルルルル プルルルルル ガチャッ

澪「こんばんは、ムギ」

紬「あら、澪ちゃん こんばんは」

澪「ちょっと聞きたいんだけどさ、明日って予定空いてないかな?」

紬「ごめんなさいっ!澪ちゃんと一緒に出かけたいのは山々なんだけど…」

紬「明日はお父様の大事な取引先の方がいらっしゃるので家にいなきゃいけないの」

澪「そうかあ… ムギの家は大変だしな 前日にいきなりごめんな」

紬「そんなっ!私こそごめんね 私用だったらキャンセルして絶対澪ちゃんと遊ぶんだけど」

紬「今回ばっかりはどうしても無理なの まっ、また誘ってね!」

澪「ああ、また今度よろしくな」

ピッ

澪「あとは和だ!」

澪(和にまで断られたらどうしよう…)ハラハラ

澪「よしっ」

ピッピッ

プルルルルル プルルルルル ガチャッ

澪「もしもし、私だけどさ」

和「あら、澪 こんな遅くにどうしたの?」

澪「それが明日の事なんだけどさ 予定、空いてたりしないかな?」ドキドキ

和「明日ねー… ごめんなさい、明日は生徒会の曽我部先輩、会長と色々と話があるのよ」

澪「ガーン!」ズズーン

和「いよいよ私達も3年生じゃない?私が生徒会長引き継ぐことになりそうだからその準備をね」

和「先輩、日曜は進学先の大学で講習会があるらしくて… どうしても明日は外せないのよ」

澪「なら仕方が無いな… 急に誘ってごめん」

和「明日、どうかしたの?」

澪「明日出かけようと思ってたんだけど部活のみんなは全滅でさ…」

和「それは不憫だったわね… でも私もどうしても外せないから、悪いわね」

澪「いやいや、和は気にしないでくれ 私の都合なんだからさ」

澪「それじゃ、おやすみ」

和「おやすみなさい」

ピッ

澪「これで全滅かぁ」ドヨーン

澪「はぁ」

澪(結局全滅か) 

澪(でもせっかくママがくれたんだし)

澪(息抜きとして観に行こうかな)

澪(1人で映画… なんか虚しい気もするけどなー)チーン

澪(さて、勉強進めちゃうか)カリカリ


……

紬「ふわぁ 眠くなっちゃった」

紬「明日は大切な日だしはやめに寝て明日に備えなきゃ」

パチッ ゴロンッ

紬(せっかく澪ちゃんが誘ってくれたのに悪い事しちゃったわ)

紬(次回は何としてでも一緒に出かけるぞー)フンッ

紬(それにしても澪ちゃん、元気になってよかったわ)

紬(まだちょっとぎこちない気もしたけど)

紬(でも『嫌な人間』ていうのは何だったのかな…)

紬(とにかく!澪ちゃんは元気になったのよ!このまま立ち直れるように応援してあげな…きゃ…)

zzz zzz



チュンチュンッ

澪「ん~!おはようママ、パパ」ノビッ

澪パパ「おはよう」

澪ママ「おはよう」

澪ママ「そういえばりっちゃん行けるって?」

澪「いや、無理だって」

澪ママ「そう… じゃあ他の誰かと行くことになったの?」

澪「う、うん(なんか1人で行くとは言いづらいもんな)」

澪ママ「はい、朝ごはん」

澪「いただきまーす」パクッ



ダンッダンッダンッダンッ  ドンドンドン

律ママ「いい加減置きなさい!今日デート行くんでしょ!?」

律「むにゃむにゃ もうちょっと…」ゴロ

バーン!

律ママ「いい加減なさい!!もう11時よ!!」

律「なにいいいぃぃぃっ!」ガバッ

律「やっべ!急がなきゃ」ドタドタ

律ママ「言わんこっちゃない はあ…」ヤレヤレ

ガチャッ

律「それじゃ行ってきます!」ダッダッダッ

律ママ「気をつけなさいよ、まったく」

律「ハアッ ハアッ」ダッダッ

律「ハアッ ま、まだっ まだ十分間に合うな」ダッダッ

律「ハア… ハア… やっと着いた、ゲホッゲホッ」キョロキョロ

律「あ、おっす、ッハア!ま、待ったぁ?」ゼーハー

男「今ちょうど来た所ですよ って律さん!どうしたんですか?」

律「いやあ… 早めに家出たんだけど途中でお年寄りのおばあさんが困っててさ」

律「お手伝いしてたらギリギリになっちゃった」テヘッ

男「律さんは優しいんですね!それじゃ休憩したい所ですが電車があるのでホームへ行きましょうか」スタスタ

律「え… お、おうよ!」テクテク


……

澪ママ「時間大丈夫なの~?」

澪「うん、まだ大丈夫 映画が13:30からだから12:30の電車に乗れば余裕で間に合うよ」

澪ママ「でももう10分よ、ちょっと急ぎなさい」

澪「もう準備できたから、いってきまーす」

ガチャッ タッタッタッ

澪ママ「いってらっしゃい」



ガタンゴトン ガタンゴトン

『まもなく、○○、○○ お出口は左側です』

男「お、着きましたね」

律「30分近く乗ってると疲れるな~」

男「ハハハ 座れなかったから尚更ですね」

プシュー キイイイイン ガタンゴトン ガタンゴトン

律「ふぅ!」

男「まだ時間は11:57ですね 映画まで1時間半ありますから何処かで食事とりますか!」

律「だなー」

テクテク

男「何処で食べます?」スタスタ

律「んー 適当にファミレスでいいんじゃないかな」テクテク

男「じゃ、あそこにデ○ーズがありますからデニー○にしますか」

律「りょーかーい」

ピコンピコン

店員「いらっしゃいませ 2名様ですね ご案内いたします」


店員「ご注文はお決まりでしょうか?」

律「私は和風ドリアと桃のミルフィーユパフェで」

男「じゃあ僕はカルボナーラとフレッシュ桃とミルクプリンのスープ仕立てで」

店員「かしこまりました 少々お待ちください」

スタスタ

律「あのさーっ 今日の朝の事なんだけどさー」

男「はい、どうかしました?」

店員「ご注文はお決まりでしょうか?」

律「私は和風ドリアと桃のミルフィーユパフェで」

男「じゃあ僕はカルボナーラとフレッシュ桃とミルクプリンのスープ仕立てで」

店員「かしこまりました 少々お待ちください」

スタスタ

律「あのさーっ 今日の駅前での事なんだけどさー」

男「はい、どうかしました?」

律「私さ、おばあちゃんが~とか言ってたじゃん?」

男「言ってましたね いや~感心しました!律さんはお優しい人だ!」

律「んんん!」ムズムズ

律「かーっ!」ドッカーン

男「どうかしましたか?」

律「違うだろ?あそこはスパーンと『そんなわけないやろー!』って!!」

男「??」

律「わかってないか… アレはジョークなんだって」

男「ああ!ジョークだったんですか、律さんはユーモアのセンスもあるんですね!」

律「ぬおおおおぉぉぉ!!」

店員「お待たせいたしましたー」

ゴトッ ゴトッ ゴトッ ゴトッ

店員「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」

律「あ、はい」

男「大丈夫です」

店員「ではごゆっくり」

律「ともかく!」ビシッ

律「ボケにはすかさずツッコミを入れなきゃダメだぜ」パクパク

男「律さんの為、がんばります!」パクパク


店員「ありがとうございました~」

律「ふぅ!美味しかったな!」

男「ですね! ファミレスだと侮ってましたよ」

律「安いしファミレスもいいもんだな」

男「ではそろそろ時間も頃合いですし映画館へ向かいましょうか」

律「久しぶりの映画だぜー!」ワクワク

男「楽しんでもらえてるようで何よりです!」

テクテクスタスタ



『○○、○○です ご利用ありがとうございました』

プシュー キイイイイン ガタンゴトン ガタンゴトン

澪「まだ1時前か 映画館はすぐそこだしちょっと早く着きすぎちゃったかな…」

澪(もう昼食は食べてきちゃったし… 適当にポップコーンでも買って先入ってるとするか)

スタスタスタスタ

澪(ここだな)

ガヤガヤ

店員「ご注文はいかがなさいますか?」

澪「ポップコーンのSを1つと、アイスティーのSを1つで」

店員「かしこまりました」


澪「よいしょっと」

澪「…(うわーカップルとか多いな やっぱり1人で来るんじゃなかった…)」

スタスタ

澪(お!もう入れるんだな、助かった 時間持て余さずにすんだ)

キイッ パタン

スタスタ

澪(この辺でいいかな)ストン

澪(は~ぁ、律と来たかったな…)



律「うっし、着いた ポップコーンでも買うか!」

男「映画館に来たらお約束ですね!」

店員「ご注文はいかがなさいますか?」

律「ポップコーンのMとコーラMで!」

男「ポップコーンのMとアイスコーヒーのMで」

店員「かしこまりました」

タッタッタッタ

律「並んでたらけっこうギリギリの時間になっちゃったな」

男「急ぎましょう」

律「あそこの3番ホールだな」

キイッ バタン

律《やべー、もう予告とか始まってる 急いで席探さないと》キョロキョロ

男《あっ、あそこちょうど2人分空いてますよ!》

律《すいませーん ちょっとすいませーん》

※《 》は小さな声で喋ってると思ってください



キイッ バタン

澪(ん?なんだ?)

澪(もう予告始まってるってのに随分とギリギリに入ってくる人もいるもんだ)フウッ

タッタッタッタッタ

?《──ませーん ちょっ─す──せーん》

澪(あ、ちょうど3列前に空いてる席があったのか)

?《ちょっと通──す ご─んなさい》

澪(…あれ?この声?)ドキッ

澪(まさか… り… 暗くてよく見えな…)ドックン ドックン

律《ちょっと前通りますね すいませーん》

澪「りっ!」ドッキン

『来年春、ロードショー!!乞うご期待!!』バババンバン!

澪(むぐっ)ハッ

澪(聞こえてないか…)

澪(で、でもなんで律が映画館に)

男《前通らせてもらいます、ごめんなさい》

澪「───ッ!!」

澪(な、なんで律と男の人が…)

澪(あ!あの人って例の律の彼氏さんか)

澪(今日の用事って彼氏との映画デートの事だったのか)

澪(ハハハ、そりゃ私の誘いも断るよな)

澪(それじゃあ仕方ないな)フウッ

ジャカジャーン ジャンジャン!

澪(お、始まったな)

澪(…)ジッ

澪(でもさ、律)

澪(昨日、お前は私に野暮用だって言ったよな)ポロッ

澪(なんで私にそんな事言ったんだよ)ポロポロ

澪(なんで素直に言ってくれなかったんだ 隠したんだ)グッ

澪(また、律が私の知らない所へ行っちゃう)

律《ふう、間に合ってよかったな》

男《ですねぇ》

澪(私の手が届かない場所へ行っちゃう 律が私の前からいなくなっちゃう)ポロポロ

澪(ううぅ…)スタッ

澪(うっうっ)スタスタ

ガスッ

DQN「チッ いってーな!ぶつかった…ぞ…?」

澪「…」ポロポロ

DQN「き、気ぃつけろや!(なんで泣いてんだこの女)」アセアセ

澪「…」スタスタ

澪(何なんだよっ!律の馬鹿ぁっ!!)

キイッ バタン



律「んー?」クルッ

男《どうかしましたか?》

律《あ、いや 後ろで始まったばっかなのに出てっちゃった人いたからさ》

男《一体どうしたんでしょうね?》

律《さあ?でも冒頭逃したらダメだよなー》

律(なーんか後姿が澪に似てた気が…)

律(いくらなんでも気にしすぎだよな?)


ジャジャーン!『END』

律「ふぅ、おもしろかったなー」

男「はい!それでは出ますか」

ゾロゾロ キイッ

男「それで、これからどうしますか?」

律「んーっと、どっか喫茶店にでも入らないか できれば…、静かな感じの」

男「じゃあここに来る途中に良さそうなお店を見かけたのでそこへ行ってみますか」

律「おし、そうしよう」


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最終更新:2010年07月29日 23:42