数分後


澪「そーじゃねぇ!妻がぐちゃぐちゃじゃねーか」

澪「こーやって一度手で丸めてから皿に盛り付けるんだ」

唯「ハイっ!すいません!」

澪「急げっ!洋食がもう上がりそうだ」

唯「ハイ」

紬「こっち上がったよー刺場上がったら教えてねー」

澪「りょーかーい!オイ終わったか?」

唯「もう少しですぅ!」

澪「はぁっ?まだ終わってねーのかよ」

澪「ムギ悪いっ!梓貸してくれ」

紬「こっちは大丈夫だから梓ちゃん手伝ってあげて」

梓「ハイッ!」

澪「悪いな梓っ!」

梓「大丈夫ですよ!これやれば良いんですね?」

澪「さすがっ!頼むわ!」

唯「すいません中野さん」

梓「チッ!どいてよ!!」
ドガッ

唯『えっ?舌打ち?私まだ初日なのに』


澪「刺場上がったよー」

澪「梓助かったよー!ありがとう!」

梓「全然大丈夫ですよ!困った時はお互い様ですよ」

澪「お前らコンビが困る時なんてないだろ」

梓「阿吽の呼吸でやれますから」

澪「ハハッ!羨ましいな」

唯「ハハッ」

梓「チッ」ギロリ

唯「えーっとぉ・・・」



19:00厨房


さわ子「お邪魔するよー」

紬梓澪「あっ!料理長!お疲れ様です」

さわ子「7時からの予約私主催だからよろしくね」

澪「あっそーだったんですか?」

さわ子「そーよ!言ってなかったかしら?」

澪『聞いてねーよ!別にどーでも良いけど』

さわ子「それと平沢さん?」

唯「ハイ?」

さわ子「今日はもう上がって良いわよ」

唯「えっ?」

さわ子「初日で色々疲れたでしょ?」

さわ子「明日から本格的に頑張ってもらうわ」

唯「えっ?でもぉ」

さわ子「秋山さん?大丈夫?」

澪「まぁ大丈夫と思いますけど」

澪「あれ?料理長主催って事はお客様と一緒に食事もするんですよね?」


さわ子「当たり前じゃない」

澪「じゃあ、料理長も手伝えなくて私完璧に一人ですか?」

さわ子「今日最後のコース料理だから秋山さんなら大丈夫でしょ?」

澪「ハァ、まぁ何とかします」

さわ子「さすがね!じゃあ平沢さん上がっていいわよ」

唯「い、いやぁ」

さわ子「遠慮しなくて良いのよ!じゃあね!」

澪「このクソ忙しい時に」
ボソッ

唯「あっあの私やっぱり」

澪「いーよ!帰れよ!料理長がそー言ってんだから」

唯「あ、あのぉ、私ぃ・・・」

澪「帰って良いっつってんだろっ」
ドンッ

唯「う、うぅぅハイィ・・・」

唯「お先にすいません。お疲れ様でした。明日もお願いします・・・」

紬梓澪「…」



帰り道


唯「ハァ、働くって大変だなぁ」

唯「社会人ってすごいなぁ」

唯「もうすぐ家に着くよ」

唯「憂には心配かけないように明るく帰らなきゃ」



唯「ただいまー!ういー!帰ったよー」

憂「お帰りなさいお姉ちゃん!お疲れ様!」

憂「結構早かっね?」

唯「うん!初日だから早上がりさせてくれたんだー」

唯「うーいーお腹空いちゃったー」

憂「すぐに準備できるから待っててー」

唯「ほーい」

憂「出来たよー」

唯「うわーい美味しそー」

憂「今日は初出勤だったから頑張ったんだよ」

唯「ありがとう!憂大好きー!」

憂「職場の雰囲気はどう?」

唯「うん!皆優しくて良い人で楽しいよー」

憂「そっか良かったね!お姉ちゃん」

唯「うん!秋山さんって人から包丁貸して貰ったり」

唯「料理長の山中さんから~・・・」
ペチャクチャペチャクチャ

憂「へぇ、そっかー」

憂「でも、高校でそーいった人と出会いたかっ唯「バンッ!」

憂「ゴ、ゴメン!」

唯「明日も早いから寝るね」

憂「う、うん」




8:00 レストランアーバン

唯「おはようございます!今日もよろしくお願いします!」

紬梓澪「…」

唯「あ、あれ?」

澪「オイ!今何時だ?」

唯「えっ?8時ですけど」

澪「8時入店で8時に来るとは良い度胸だなオイ!」

澪「常識として15分前に来るのが当たり前だろ?しかも1番下っ端が重役出勤とはどう言う事だよ」

唯「あっ!すいません今後気をつけます」

澪「それと、昨日お前が帰った後、何とか一人で回したがな」

澪「お前に任したコース前菜なんだありゃ?」

澪「五千円は良かったが六千円七千円の前菜全部違ったじゃねえか」

唯「えっ!」

唯『やっぱり…なんか違うと思ったんだよな…』

澪「もし私が見なかったらそのまま出すつもりだったのか?」

唯「え、えーっと、そのぉ」

澪「解らなくなったら何で聞かないんだ?」

澪「お客様を舐めてんのか?オイ!」

唯「い、いえっ!決してそんな事は!」

唯「今後気をつけます」

澪「ったく!」

澪「さっ!ランチの仕込みやるぞっ!それとも帰るか?」

唯「がっ頑張ります」

唯『ハァ、朝一から怒られちゃったテンション下がるなぁ』

唯『秋山さんも怒ってばかりで疲れないのかな?』

唯『なんかやる気出ないなー』

唯『全くの素人なんだから皆もう少し優しくしてくれてもいーじゃん』

唯『このまま帰ろっかな?』

唯『でもバレたら憂が悲しむよね』

唯『昨日はちょっとあったけど私が働いた事をあんなに喜んでたもんね』


澪「オイ!お前は何でそんなにいつもボケッとしてんだ?」

唯「すいません」

澪「今日の和食のランチはヅケマグロ丼、天麩羅定食、牛タンと麦飯定食、煮魚定食だ」

唯「えっ!そんなに?」

澪「まずは香の物頼む」

唯「香の物?」

澪「漬物の事だ」

唯「なるほど」

澪「一つ作るから同じ様に作れよ」

唯「ハイ」

澪「こんな感じだ!簡単だろ?阿保でも出来るだろ」

唯『あ、阿保でも?私って出会って二日で阿保扱いされてるの?』

唯『うぅ…中退した高校時代が・・・』

唯『逃げよっかな?』

唯『やっぱりダメだよね?憂』

唯『とりあえず秋山さんから用意された皿分に盛り付けたけど』

唯『これで大丈夫かな?昨日の事もあるし一応確認取ってみよ』

唯「あの、秋山さん香の物の盛り付け終わりました。これで大丈夫ですか?」

澪「あぁ終わった?」

澪「まぁ、いいだろ」

澪「次は小鉢な!こんな感じで作っとけ」

唯「ハイ」

唯『小鉢って食べ物もあるんだ』

唯『ふーん、イカにオクラを混ぜて鰹節かけた料理を小鉢って言うのか』

唯『勉強になるねぇ』


唯「秋山さん終わりましたぁ!」

唯「これで良いですかぁ!?」

澪「あぁ、次は坊主って言って天麩羅に付ける下ろし大根と下ろし生姜の事だ」

澪「とりあえず、これ全部下ろしとけ」

唯「ハイ!秋山さん!」
澪『なんだ?なんかテンション高いな』

唯「終わったよー!秋山さぁん!」

澪『なっなんだ!なんだこいつ』

澪『なんかムカつくな!ナメてんのか?』

澪「どれ?ってお前!私も教えなかったもんな」

澪「大根下ろしは下ろした後一回水に浸けて大根臭さを抜け」

澪「生姜は下ろした後、繊維を完全に切る為に更に包丁を入れろ」

トントントントン

澪「こんな感じだ」

唯「ハイ!りょーかいです!」

澪『イラッ』


唯『この位で良いかな?あっ!大根下ろしの水そろそろ切った方が良いよね』

唯『秋山さんは何やってるのかな』

唯『おっ!海老を切ってる?訳じゃないのか』

唯『なんか海老に色々包丁入れてる。何やってんだろ?』

唯『まぁ、いいか』

唯「秋山さぁん!これ見て下さぁい!」

澪『イラッ』

澪「あー…出来たか」

唯「ハイ!どーですか?これ?」
フンス

澪『イライラ』

澪「まぁ良いよ、そしたらこんな感じで大根の上に生姜乗せて出来る分だけ作っとけ」

唯「りょーかいでーす!」
ニヘヘ

澪『イライラ』

唯「よしっ!これで全部だな」

澪「終わったか?じゃあ、次はこのマグロをこのダシに浸け込んで三十分したらそこのバーナーで炙っといてくれ」

澪「その間にこの魚をこんな感じで四分割にしとけ」

唯「りょーかいです!」


唯『マグロを浸け込んで…このお魚を』

唯『こーやって切るんだね?うん!同じ形だ』

唯『冷凍で最初から半分になってるから簡単だね』



律「皆おっはよー!今日は段取りスムーズに進んでるかーい?」

紬梓澪「おっはよー」

唯「おはようございますっ!」

律「あっ!あんた…来たんだ?」

唯「えっ?」

律「まぁおはようさん!ランチ始まったら邪魔にならないようにな」

唯「ハァ」

紬梓澪『プッ』
クスクス

唯『…』




11:30


律「レストランアーバンのランチ本日もオープンでーす!」

律「今日も気合いだけで突っ張しるぜー!」

律「皆よろしくー!」

紬梓澪「よろしくー!」

梓「よっしゃームギさん今日も張り切っていきましょー!」

紬「いつも気合い凄いわね!私も負けないわよー!」

唯「あっ…あっ…」

唯「頑張りましょう!」

紬梓澪「…」

唯「あっ…スイマセン」



12:00


律「うーん今日は暇だなぁ」

澪「まぁ、こんな日もあるさ」

紬「気合いの空回りみたいで淋しいですねぇ」

梓「そんな事ありません!これから爆発しますっ!」

唯『このまま静かに終わってくれないかなぁ』

律「おっ!いらっしゃいませー!」

唯『ハァ』


律「新規三名様でーす」

律「続いて新規五名様でーす」

律「更に新規三名様でーす」

律「そして新規六名様でーす」

律「まだまだ新規ニ名様」

律「行くぜっ!新規五名様」

律「ボーナス大爆発ラオウもビックリ新規五名様」

律「今日は万枚か?新規ニ名様」

律「爆釣だぁ!新規団体十二名様」

唯「ふぇぇぇぇ」
ワタワタ


3
最終更新:2010年07月30日 23:22