女子1「部長の仕事は膨大です。私のサークルはOBやOGとのつながりもあり、そういった方からの対応もしなければなりません。そのため、第一責任者である部長は外向けに専念してもらい、部内についてはなるべく私でやってみようとお互い話し合いをして決めたわけです」

面接官「そうですか。では部内に対して一番力を入れた部内の交流の活発化についてどうしてそのようなことを行なったのですか?」

女子1「はい。部員増加の傾向が甚だしくなり、つながりというものが薄れて来たのが一番の原因です」

面接官「人数が増えたからつながりが希薄…もっと分かりやすく…」

女子1「はい。私たちが使うテニスコートの利用人数が部員数よりもはるかに少なくなり、来ても練習できない人が出てしまい、それならもう来ないでいいや、と感じる人が出てしまったということです」

面接官「それでは部員の交流を増やすよりもテニスコートを増やした方が効果的だと思いますが?」

女子1「それについて考えましたが、大学からも認めてもらうことはできませんでした」

面接官「なぜですか?」

女子1「サークル一つだけの要望では出来ないとのことで、大学外のテニスコートを探しましたが、他のサークルが主に使っており、テニスコートを増やすことを諦めざるを得ませんでした」

澪「(う…これは分かりやすい…)」

面接官「…はい。ありがとうございます」カキカキ

澪「(これは高ポイントだな…)」

面接官「では秋山さんに質問です」

澪「はい…」ごくり






面接官「では、こちらからの質問は以上です。今度はみなさんから質問を受けたいと思います。何かございますか?」

男子1「はい!」

面接官「どうぞ」

男子1「借入社宅についてなのですが…」

澪「(一次選考でしかも人事じゃないのにいきなり福利厚生について質問かよwwwwwwwwww)」

面接官「え~…企業がまとめて借りる契約をとり…」

澪「(人事以外の人にとって答えにくいことを聞くなよ…面接官すごい困っているじゃないか…)」

澪「(そういう配慮がないから落ちるんだよwwwこの面接官は営業の人なんだから営業の難しさ、大変さなど営業に関連したことを聞くのが筋だろうがwwww)」

面接官「…となります。答えになっていますでしょうか?」

男子1「はい!ありがとうございます!」

面接官「他に…」

澪「(よし…私も聞くか…)」

女子1「はい!」

澪「(しまった!出遅れた!)」

面接官「じゃ、まず女子1さんから」

女子1「憧れの先輩社員はいますか?いましたらどういう風に近づこうと考えていますか?」

澪「(うおっ!まさに聞こうとしていたことを…)」

面接官「そうですねぇ、憧れの先輩社員はもうなんでも尋ねてしまいたくなる、頼ってみたくなる、そんな方ですね。頼るのはよくないですけど(笑)」

澪「(うむ…さすがだなこの子…さっきの痛い雰囲気を変えさせるだけはある!)」

面接官「そういった方に一歩でも早く近づけるためにはやはり貪欲に学んでいく姿勢が大事かと思いますね」

女子1「例えばどんな感じでしょうか?」

面接官「まずは言われたことやり方を実際にやってみる。駄目なら自分でやりやすい方法を考えて工夫してみる。それでも無理ならその先輩のやっていることを見る。聞く。自分はこうやってみたのですがと伝えてみてアドバイスを仰ぐなどやっておりますね」

女子1「聞くだけでなくまずは自分で考えてみることも大事なんですね」

面接官「そうですね。何も考えずに聞くのは失礼だからね。1から教えるより、6から教える方がやりやすいからね」

女子1「ありがとうございます!」

澪「(話の拾い方もやるな!こいつは出来る!最初は侮っていたが…!)」

面接官「次は秋山さんどうぞ」

澪「はい。営業を行ううえで…」

面接官「はい、以上で面接を終らせていただきます。結果は2週間以内に電話かメールでお伝え致します」

「「ありがとうございました!」」


澪「ふぅ…面接終わった…」

澪「(確かここは若干名しか採用しないんだよなぁ…いくら一次で通過したと言えども後々に今回の結果が響くかもしれない)」

女子1「…」

澪「(くっ、悔しい…!)」

男子1「あの~今回の面接はどうなんでしょうね~」

澪「知るかカス」

男子1「えっ」


澪「(くそっ…ニート予備軍に話しかけられたせいであの子を見失ったじゃないか!くそっ!)」

澪「そういえば携帯確認しないと…うわ着信履歴が5件も…あ、昨日受けた銀行からも来ているな…後は損保と空運と商社2件か…」

『こんにちは。株式会社◇△人事部採用チームの〇本です。秋山澪さんの携帯でしょうか?
 先日は選考に起こしいただきありがとうございます。秋山さんにはぜひ次のステップに進んでいただきたいと思いご連絡差し上げました。
 日程調整のため大変お手数ですが秋山さんからおかけになるか折り返し連絡がくるのをお待ちください』

澪「はいはい。楽勝楽勝と…」

澪「…はい。その日にお願い致します!はい!ありがとうございます。失礼致しました!」

澪「…」

『ガチャッ…ツー…ツー』

澪「よし。はぁ…企業からモテるのは辛いよ…」

澪「(次の企業の面接の時間までに余裕があるな…マックでも行って時間を潰すか…)」

マック

ガー

「いらっしゃいませー!あっ!」

澪「え?」

憂「澪さん!」

澪「憂ちゃん!こんなところでバイトしていたんだ!」

憂「ここの方がマンションからも近いですし、時給も高いですからね」

澪「へ~!」

憂「この時間でしたらこちらのセットがお得ですよ!」

澪「じゃあそれを」

憂「ありがとうございます!620円です」

澪「憂ちゃんも来年頑張ってね」

憂「ありがとうございます…でも私より、お姉ちゃんの方が心配なんです…」

澪「そうだな…また会うことがあれば私からもアドバイスしておくよ」

憂「本当ですか?ありがとうございます!」

澪「困った時はお互い様だしな」



澪「(ここで憂ちゃんに遭遇するとは…そういえば梓も来年なんだな。まぁあの二人の性格や時期を考えても就活に問題ないだろう…)」

澪「(ムギは令嬢だからな。子会社にツテ入社でもするのだろう…やっぱり律と唯が心配だなぁ~)」

澪「(あいつらに私の内定一つを譲ってあげられたらいいのだが…はぁ…)」

澪「このポテト塩辛っ…」


澪「(次は証券だったな…あぁ~ここの営業スタイル面倒くさいんだよなぁ~…)」

澪「(しかも客層でも若い人には受けない方法…将来性あるのかなぁ~)」

澪「(NNTの奴らが泣くのを見たいのはあったんだが、ここ年中採用しているんだっけ…?それじゃあ人員補完し放題だから意味ないじゃん!)」

澪「バカバカしい…帰ろう…」

澪「そういえばこの時期、夏採用や秋採用が始まるんだっけ…」

澪「単位取り終えたから別に問題ないけど…疲れたな…」

澪「某新聞社に某ゴムメーカー、某精密機器メーカー…有名と言えば有名だよねぇ~」

澪「あ…先週受けた卸商社から内定通知のメールが来た…これで5つか…」

澪「お!そうだこういう時はみん就で企業批判だな!だいたいこういうの反発してくる奴は企業の人なんだよ!しかも人事!」

澪「そういう時にたいてい『いえーい!人事の人見てる~?』と返してやれば良い」

澪「(荒れたスレほど、人事vs元社員の戦いが見られる。前はそういうのは2chで見られるものだったが今はみん就がメインだよな…」

澪「よし、今度はここの企業のスレを荒らすか…」

『ピュアピュアさん
 ここの会社のトイレ汚いと思いました。
 まともにトイレできる社員はいないのですかね?^^』

澪「よし…と…」

澪「お!返信きたきたwww」

『ジンジンジャーさん
 >>ピュアピュアさんへ
 あなたの企業の選び方はトイレのキレイ汚いで決めるのですか?
 ピュアピュアさんの書き込みはもはや誹謗中傷じゃないですか?』

澪「なんだこのジンジンジャーって奴は?今まで出て来なかったぞ?やっぱり、人事か…」

『ピュアピュアさん
 >>ジンジンジャーさんへ
 この企業の方ですか?見回りお疲れさまです^^』

澪「さあてどう返してくるかなwww」

澪「そうこうしているうちに家に着いちゃったな。また履歴書を書き溜めておくか!A4履歴書の大学おいしいなwww」



澪「さて履歴書も用意したことだし、明日受ける企業の見直しをちょっとやってから寝るか」

澪「うわぁ…四季報で見る限り採用実績校に偏りがある…いわゆる学閥企業か」

澪「普通は東大京大早慶などが固まったりするけど、ここは地元の大学ばっかりだな。地銀・信金・地方自治体かよ…」

澪「こういうのアホでも通るからな…地元民うざっ…」



翌日

面接官「それでは面接を行います。大学名と氏名を言ってください」

男子2「はい!(地元)大学の~~と言います!本日はよろしくお願いします!」

澪「(うわ何この体育バカみたいな奴、金融か商社以来だなwww)」

面接官「次の方どうぞ」

男子3「はい!(地元)大学の~~です!本日はお招きいただきありがとうございます!」

澪「(こいつも地元の大学かよ…見る感じ体育会系か…はぁ面倒くさい…)」

面接官「次の方どうぞ」

澪「はい!〇〇大学から参りました。秋山澪です。よろしくお願いします!」

面接官「本日は秋山さんだけしか女性の方受けないのですよ~あ、でも別に気にする必要はありませんからね~」

澪「(うわ出た…女性も採ってますよ宣言…たいていこういうのは胡散臭いんだよなぁ…)」

面接官「では早速質問ですが、学生時代に頑張ったことをお願いします。男子2さんから順番にお願いします」

男子2「はい!私が学生時代に頑張ったことはラグビー部です!中学の時からラグビーに対する情熱を持って取り組み続けました!」

澪「(うわ本当の体育会系だ…でもこういうのって、おっさん受けは良いんだよな…)」

面接官「ラグビーですか!しかも中学の時から続けているのですね!」

男子2「はい!中学の時からハマってしまい!もうラグビーは生活の一部です!」

面接官「なるほど!」カキカキ

澪「(かぁ~ここはやっぱり体育会系の受けの良いジモッティー企業だな~!)」

面接官「では次の方」

男子3「はい!私は学生時代に頑張ったのはてフットサルサークルです!自らサークルを立ち上げ、少人数ながらも楽しくかつ、有意義なサークル活動を追求しております!」

面接官「なるほど!自らサークルを立ち上げたのですか!どうしてですか?」

男子3「大学は異なってもつながりを持てるような新しいサークルを作ってみたかったからです!なにせこの地域は好きですから!」

面接官「うんうん!」カキカキ

澪「(うわ今のはこの企業なら高評価だよな…)」

面接官「では次に秋山さんお願いします」

澪「はい!私は…」


面接官「なるほど…そうですか…」

澪「(くそっ…!地元大学閥の企業対策を忘れてた…!不覚!)」

澪「(このままじゃ脳みそまで筋肉で出来ていそうなこの二人に負けてしまう!)」

澪「(だが幸いなことにこの二人の言っていることは似たり寄ったりだよな…ならこいつらと違う攻め方で行くか…)」

面接官「では志望動機をお願い致します。そうですね…秋山さんからどうぞ」

澪「はい。私はこの企業を志望した理由は3つあります。一つ目は…」スラスラ



澪「…以上です」

面接官「なるほど…ありがとうございます…」カキカキ

澪「(くくく…しぶしぶ評価しているな…志望理由は業界について企業についてのリサーチ力と、いかに自分がそれに関心を持っているかの説得力なんだよ!こうやって地元閥の企業の採用担当の花をくじくのは楽しいなwwwww)」

面接官「では男子3さんどうぞ」

男子3「は…はい!私はゼミのOBの話をお聞きして〇◇業界に関心を持つようになりました…またその中でも御社はそのOBの方が勤めておられるということで志望しました…」

澪「(お前はOBばっかだなwwwまあこんな地元閥の企業なら及第点じゃないのwww)」


面接官「ふむ…ふむ…」カキカキ

面接官「それでは次に男子2さんお願いします」

男子2「はい!私も〇◇業界に興味を持ったきっかけは御社で働かれているOBからの影響です!まだ部活に所属していた時から尊敬していた方で社会人になっても活躍されており、私が就職活動中、忙しくても面接を見て下さりました」

澪「(ちょwwwwおまwwwwそれは志望理由じゃなくてOBを褒めているだけじゃんwwww)」

面接官「なるほど!弊社の社員の影響があったわけですね!」カキカキ

澪「(地元閥企業って本当にこんなんで喜ぶんだよな~アホくさ…)」

澪「(結局は『興味あります→OBの話→ますます興味を持ちました』これだけなんだよな)」

澪「(私ならこいつらに突っ込んだ質問して出鼻をくじいてやるのになぁ~)」

澪「(ここの業界は時代に合わせた企画や商品提案しないとやっていけないはずなのに、採用スタンスがこんなんだから業界内の実績が下がっているんだよ!)」

澪「(学生も学生だが、企業も企業だな…企業の実態は説明会やOB・OG、ネットよりも面接の姿勢で分かるんだよな~)」

澪「(分かったことはここは将来性がないということだな…)」

面接官「では次の質問に入ります。他人には負けないと思うあなたの強みを教えてください。それじゃあ…男子3さんから」

男子3「はい!私の誰にも負けない強みはコミュニケーション能力だと思います!他大学の人を集めるために連絡を取ったり、意見の収集などコミュニケーションを欠かさないことに専念して参りました!」

澪「(wwwwwwwwwwww)」

面接官「コミュニケーション能力ですか。コミュニケーション能力と言ってもいろいろありますが今男子3さんがおっしゃったコミュニケーション能力をもっと具体的に教えていただけますか?」

男子3「えっと…人に自分の考えを伝えること、そして相手の考えを聞くことです…」

澪「(会話が出来るか否かのレベルのコミュニケーション能力かよwwwwよっぽどお前の周りに日本語が不便な奴が多かったのだなwwww)」

面接官「はい…分かりました…」

面接官「では次に男子2さんお願いします」

男子2「はい!私の強みは負けず嫌いなところです。ラグビーはチームワークも必要ですが、個人の能力を高める必要があります」

面接官「ふむふむ」カキカキ

男子2「そのためには切磋琢磨にお互いに成長していくことが大切だからです。そのために仲間である一方、ライバルであるという意識をもって頑張っていきました!」

澪「(まぁ…ありがちだけど悪くはないな…)」

面接官「切磋琢磨に成長し合えるのは良い環境ですね。ですが負けず嫌いだけではその環境は生まれませんよね?」

男子2「はい。やはり共に成長していくこと、つまりチームとして成長していくことにあります」

面接官「チームとしての成長というのは?」

男子2「大会で勝ちたいという一致団結した負けず嫌いの精神を持つことです」

澪「(はあ?)」

面接官「チーム全員が負けず嫌いというわけですか。しかし、そのためのモチベーションとかどう対処しましたか?」

男子2「『負けて悔しくないか?』と部員に聞くことです」

澪「(聞いてどうするんだよwww)」

面接官「えーと…聞いた後、『いいや』とか言われたりしなかったんですか?」

男子2「ありましたね。その時は個人の考えと部の考えを一緒にしないように注意しました。公私混合はいけませんからね」

澪「(注意しただけで人は納得しましぇ~んwwwwwwww)」

面接官「分かりました。ありがとうございます…」カキカキ

面接官「…はい、以上で面接は終わりとなります。結果は明後日までに合格者のみ電話でご連絡させていただきます。残念ながらご縁がなかった人には電話はございません」

「「ありがとうございました」」


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最終更新:2010年08月01日 22:25