翌日

澪「う…」

澪「(昨夜あんなにお酒呑むんじゃなかった…)」

澪「くそ…今日は銀行…そして保険を…うぷっ…」

澪「はぁ…何やっているんだろう…私…」

澪「(NNT共に現実と地獄を!それのためにやっているんじゃないのか…?)」

澪「(もうそろそろ出ないと…)」



~~銀行

面接官「さて三回目の面接となりますが、始めさせていただきます」

澪「はい!」




面接官「さて、こちらからは以上です。そちらからは言い残したことや質問はありませんか?」

澪「経営理念の一つである企業のベストパートナーについてお聞きしたいと思います」

面接官「企業のベストパートナーというのは弊行にある法人部門のことになります。私も法人二課ですから答えられる範囲答えたいですね」

澪「他行とは異なると思われる関係の作り方とかありますか?」

面接官「そうですね。弊行はグループ内にある経営研究所からの情報を得やすい環境にあるかと、アプローチする際にはタイムリーかつ専門的なデータを取り寄せる必要がありますからね」

澪「では自身で行なっている担当の企業に対するアプローチの仕方はどんな感じでしょうか?」

面接官「いや、実は恥ずかしながらまだまだ確立していなくてね~一つ言えることは求められたことはその日か次の日まで必ず対処しておくことですね」

澪「つまり早めにレスポンスを行うことですか?」

面接官「変化が激しい時代になってきたからね。やはり、そのお客さんをつなぎとめておくにはそうした日々の積み重ねなんだよね…」

澪「ありがとうございました!」

澪「失礼しました!」

バタン

澪「(よし!この調子で他の企業から内定を取っていってやる!)」

「あら?澪じゃない!」

澪「あ…和…」

和「澪もここ受けていたのね!三回目の面接かしら?」

澪「うん。和も?」

和「ええ、今さっきちょうど終えたところなの」

澪「私とちょうど一緒だな。午後は用事あるの?」

和「午後からは先物取引の企業を受けるの」

澪「あぁ、先物取引ね。意外とみんなが見落としがちな業界だよね」

和「変わっている業界だからね。でもそれが面白いんじゃないかと思うのよ」

澪「和は金融がメインか…」

和「私お昼まで時間があるから一緒にどうかしら?」

澪「うん。行こう」



飲食店

和「そうだったわね…この時間混むのだったわ」

澪「近くに食べる場所はないからどうしよう?」

和「コンビニで済ませるという手段があるわよ?」

澪「そっか…それしかないよね」

和「暑いけど外で食べるのも案外良いかもよ?」

澪「(えらいプラス思考だな…)」


店員「ありがとうございました~」

ガー

澪「買ったのは良いけど…」

和「立ち食いしかないわね。ここら辺は公園とかないのだから」

澪「(うへぇ…)」

サラリーマン「…」チラチラ

澪「…」

和「この新商品は美味しいわね。澪も今度食べてみたら?澪?」

澪「(和…本当にお前は仕事人間になれるよ…)」

和「そういえば澪、聞いた?」

澪「なに?」

和「唯が内定貰ったの」

澪「あぁ、唯がその電話を貰う瞬間たまたま居合わせていたからね。知っているよ。唯にしてはやったよな」

和「本当安心したわ…軽音部の中で一番ニートになっちゃうんじゃないかと心配していたのだから…」

澪「確かにな…」

和「そろそろ私、会場に向かうわね。じゃまたね、お互い頑張りましょ!」

澪「うん。気をつけてね!」

澪「はぁ…和も焦っているのかぁ…」



〇×生命

澪「こんにちは」

人事「はい。こんにちは。大学名とお名前をお願い致します」

澪「〇〇大学から参りました、秋山澪です」

人事「はい。秋山さんですね。控室はこちらになります。面接官から呼び出しがあるまでお待ちください」

澪「分かりました」

ガチャ

律「うっす!」

澪「律…」

律「いやぁ~まさか私がここの試験をクリアできるとはね~」

澪「たぶん全通だろ…」

律「あれ?そうなの?」

澪「そうじゃないか?分からないけど」

律「も~澪冷た~い!」

澪「社会人になるんだろ?遊びじゃないんだから!」

律「うぅ…澪ちゃん怖い…」

澪「はぁ…まったく、唯が内定を貰ったというのに…」

律「え?唯の奴、内定貰ったの?」

澪「昨日貰ったんだとよ。唯にしては頑張ったよな」

律「…」

澪「お前もそろそろ真剣にやらないとニート確定だな」

律「澪だってまだ無い内定じゃん」ぶー

澪「はぁ?私は…」

律「ん?どうしたんだよ?」

澪「いや…何でもない…」

律「?」

面接官「それでは田井中さん面接室にご案内します」

律「あ、は~い!」

律「じゃ、頑張ってくるわ!」

澪「真面目に受け答えをしろよ」

律「了解しやしたっ!」しゅた

澪「…」

澪「(律しっかりやれよ…)」

面接官2「では、秋山さん面接会場に案内します」

澪「あ、はい」

面接官2「…これで一次面接は以上となります、結果は一週間以内にリクナビ経由でお知らせ致します」

澪「分かりました。本日はありがとうございました」

バタン

澪「ふぅ…手応えあったな…」

律「おっす!澪!お疲れさん!」

澪「律、待ってくれていたのか…」

律「ま~ね!私この後、予定ないし。澪は?」

澪「私もこれで終わりだけど…」

律「なら一緒に帰ろうぜ!」

ガタンタタン…

律「…」

澪「…」

澪「(律と一緒に帰るなんて久しぶりだな…)」

律「なぁ、澪?」

澪「ん?どうしたんだ律?」

律「やっぱり面接ってむずいよな?」

澪「お前、面接が得意って言ってたじゃないか」

律「いやぁ、何かね、自分が思っていることを100%そのまま伝えることがさ…コミュニケーションって言うんだっけ?何か難しいなぁ、と思ってよ…」

澪「…お前もやっと真剣になってきたのだな。分かった。面接の連絡に付き合うよ」

律「マジで?サンキュー澪!お前は本当に良い奴だな~!好きになっちゃいそ~!」

澪「調子に乗るなっ!」ゴチンッ

律「いっつうぅぅぅぅ~~~!!」

澪「まったく…」



律の家

律「澪~?私の面接の練習に付き合ってくれるのはありがたいんだけど、明日大丈夫なの?」

澪「あぁ、明日は早くても昼からだし大丈夫だよ」

律「それなら安心だな。そんじゃ早速、やってみようぜ~!」

澪「さてどうしようか…じゃ、まずは自己紹介とかはどうだ?」

律「〇〇大学の田井中律です!よろしくお願いします!」ペコッ

澪「ま…自己紹介は問題ないな…学生時代に頑張ったこととかはどうなんだ?」

律「う~ん…ちょっと私が練習したい内容とは違うんだよなぁ…」

澪「え?どういうことだ?」

律「ほら、面接官が掘り下げてくるじゃん?あれの練習したいんだよ」

澪「あぁ、受け答えの練習だな」

律「特にやってもらいたいのはさ、予想外の質問。ほら、最近気になっているニュースとか!」

澪「ニュースとか予想外じゃないだろ…新聞やテレビとか見ていれば分かるだろ…」

律「え?みんなやっていたの?」

澪「当たり前だっ!」

律「そんなに怒らなくたっていいじゃん…」ウジウジ

澪「はぁ…お前はそういう変なところで…いや律ならずさんなところで損しているんだよなぁ…」

律「うぐっ…」

澪「これに懲りてニュース特に政治経済欄は見ること!」

律「はーぃ…」

澪「『はい』は短く!」

律「うっ…はい!」

澪「予想外な質問って他にどんなのがあるんだ?まぁどうせ律のことだから考えて答えなきゃいけないことだろ」

律「うわ否定できないのがスゴい悔しい…」

澪「でも今日はそんな質問あったか?私は生保ってあまり受けてないから分かんないけど…」

律「今日質問されたのは、『最近怒ったことは何ですか?』だった…こんな質問初めてだったから頭真っ白になって何言っているか分からなかったよ…」

澪「あちゃ~…そういうのは普通に会話する感じでやれば良いんだよ」

律「うん…まぁそうだけど…」

澪「意外だな。律はむしろそういうのはへっちゃらそうなイメージがあったのに…」

律「慣れてないだけかも…」

澪「そっか、それなら場数を踏むしかないだろうな。都合が合えば私からも練習に付き合うよ」

律「うぅ…澪~!ありがとう~!」

澪「おい!こら、いきなり抱きつくな!」

澪「(まったく…)」



澪の家

ガチャ

澪「はぁ…もう22時か…あ、確認し忘れていたけどメールとかえらい来ているな…」

澪「あ、この前受けた地元閥の企業から次の選考の案内が来ている…って次は役員面接かよ!いきなりだろ!」

澪「もうここは辞退しようかな…間違いなくあの筋肉バカの二人は落ちただろうな…ザマアwww」

澪「昨日受けた陸運は…まだ来ていないか、まああれは落ちたよな。我ながら忍耐力がなかったな…てへへ」

澪「明日に備えてシャワー浴びたらすぐ寝よう…」

ブー…ブー…ブー…

澪「ん~…眠い…ん…あれ?非通知…」ピッ

『もしもし、秋山さんの携帯電話でしょうか?こちら〇×生命の人事部新卒採用の者です。
 昨日は弊社の面接にお越しいただきありがとうございました。
 面接の結果、秋山さんにぜひ次の選考に進んでいただきたいと思い、ご連絡致しました
 何かスケジュールを管理できるものを用意して頂けますか?』

澪「あ…はい。ありがとうございます。用意は…大丈夫です。
  …はい、その日時なら大丈夫です。はい…ありがとうございます。では失礼いたしました」ピッ

澪「ふ…ちょろいちょろいwww」



■▼製薬

面接官「…以上で面接は終了となります。本日の結果は一週間以内にお電話でご連絡させていただきます」

澪「(あ、このままもらえるわけじゃないんだ…)」

面接官「ではありがとうございました」

澪「こちらこそ、本日はありがとうございました。失礼します」ペコッ

バタン

澪「…」

澪「(まずまずだったな…)」

澪「おっと、みん就でウサ晴らしを忘れてたwどうなっているんだろうな?」


『ジンジンジャーさん
 >>ギー太郎さんへ
 トイレは汚れるものでしょう?
 いちいち配慮するなんて、そっちこそおかしくないですか?
 それ以前にお客さんとか、ここはBtoBですよ?企業研究ぐらいしたら分かりますよね?』


澪「まだ言っているよコイツwww」


『ギー太郎さん
 >>ジンジンジャーさんへ
 え?トイレの清掃ぐらい学校でもやりませんか?私のところはあったのですが…(・・;)
 あとお客さんって取引先の方とかじゃないのですか?』


澪「こいつもこいつでこのアホにまともな返しをするんだなwww」

澪「(お…あそこにいるのムギじゃないのか…?)」

澪「ムギ?」

紬「あら?澪ちゃん!こんなところに会えるなんて偶然ね!」

澪「今は何をしているの?」

紬「ゼミ合宿の買い出しよ」

澪「あ、ムギのところのゼミ再開したんだ…」

紬「みんな就職先早く決まったからね…先生も喜んでいたことだし…」

澪「へ~…」

紬「澪ちゃんは就活中なの?」

澪「うん…まあね…」

紬「父も今年は採用数を減らすと言っていたからね…今年の就職は冷え込むとか…」

澪「ムギのところもやっぱり厳しいのか…」

紬「そうね…でも、澪ちゃん頑張ってね!今年は1社受かるだけでもスゴいことなんだから!応援しているわよ!」

澪「あ…ありがとう…」

澪「(なんかここまで行くと内定貰っていたことが言いにくくなってきたな…励ましの言葉で心が痛くなる…)」

澪「(5つ貰っているのにまだ就活って…どれだけ夢追い虫かよと言われそうだよな…)」

紬「あ、私はこれで、じゃあね!澪ちゃん!」

澪「う…うん、また…」

澪「はぁ…」

澪「(そういえば、律は〇×生命通過したんだろうか…あいつも早く内定を得てもらわないと大卒ニートになってしまうぞ)」

澪「(でも律に〇×生命みたいな堅い会社は合わない気が…それでもし通過したらそれこそ縁だよな…)」

ブー…ブー…ブー…

澪「ん?律からだ」

律『澪!澪!人事面接の対策の仕方を教えてくれ!頼む!』

澪「…その様子だと通過したみたいだな…〇×生命か?」

律『そーなんだよ!びっくりして思わず、さっき足の小指をベッドにぶつけちまったんだよ!』

澪「…落ち着け」

澪「とりあえず、今晩、律の家に行くよ」

律『サンキュー!頼みますぜ!澪!』

ピッ

澪「さてと…次はここの集団面接か…」


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最終更新:2010年08月01日 22:27