♯♭化成
澪「(ここは名はあまり知られていないが、主力製品の売上シェアが世界二位なんだよな…)」
澪「(またこういう主力製品を中国に販売していきたいこともあり、実は語学力も求められているはず…)」
面接官「では一次選考を始めたいと思います」
面接官「では自己紹介を兼ねまして学生時代に頑張ったことを簡潔にお願いします」
男子5「+-大学の~~と言います。私は学生時代に居酒屋のアルバイトに力を入れました。
体力と素早い判断力、そして接客を身につけるにはどうするか、それを追求してまいりました」
面接官「はい次の方」
男子6「@大学から参りました~~です。本日はお願い致します。
私が学生時代に力を入れたことはFPの資格の勉強です。私の専門知識をより伸ばしたいと思い、この資格の合格に努めました」
澪「(FP持っているならなぜこの化学メーカーを受けた…!)」
面接官「…はい、次の方」
女子3「㈱㈲大学から、参りました、~~と言います、本日は、お願いします!」
澪「(うわいるよなぁ…この小学生のお遊戯会みたいな話し方する奴…)」
女子3「私が、学生時代頑張った、ことは、身体障害者の、人達を手伝う、ボランティアサークルの、活動です!」
澪「(この喋り方をする奴って何なの?日常会話もそうなの?何か罰ゲームでそういう喋り方をしているの?つうかきめぇよ!)」
面接官「はい、次」
澪「はい!〇〇大学から参りました。
秋山澪です!私が学生時代頑張ったことは(ry」
面接官「はい次」
澪「(えらい事務処理的な面接官だな…)」
男子7「∫∬大学の~~と言います。私が学生時代に頑張ったことは会社法ゼミで幹事を努めたことです。合同ゼミを企画し他の大学の同じ会社法ゼミの人たちとディベート大会など開きました」
面接官「はい、以上5名で一次選考を行わせていただきます。まずはみなさんに共通してお聞きにしたい質問から入ります。海外勤務は大丈夫でしょうか?」
男子5「はい!大丈夫です」
面接官「それはなぜですか?」
男子5「なぜと言いますと?」
面接官「弊社は会社説明会でも説明させていただきました通り、タイにベトナム、インドネシア、中国に進出しています。そういったところで働くことができるかどうかをみなさんから確認したいわけです」
男子5「そうですか…私は新しい環境に慣れるのが早い方なので適応していきたいと思います」
面接官「…はい次」
男子6「私も大丈夫です。前に申し上げた通り、真面目に勉強することに自信があるため、必須な外国語をすぐに身につけていきたいと思います」
面接官「つまり男子6さんは語学力ではなく語学を習得する早さに自信があるわけですか?」
男子6「はい。中国語など習得したいと思います!」
面接官「…弊社では英語だけで事足りますけどね…英語はどうですか?」
男子6「はい。大学一年でTOEICで650を取りました」
面接官「…はい分かりました…」
女子3「私は、ボランティアサークルで、外国の方と、触れ合う、機会があり、外国の方に、話しかけることに、抵抗は、ありません」
澪「(いちいちイライラさせる喋り方だな…つうか話しかけることと外国で働くこととは関係ないだろ…)」
面接官「女子3さんがその時話した外国の方はどこの国ですか?」
女子3「タジキスタンの方とチリの方です」
澪「(東南アジア・東アジアじゃねーwwwwwww)」
面接官「…分かりました…」
面接官「次の方…」
澪「はい。私も女子3さんと同じく外国の方と話しかけることに抵抗はありません。と言うのも、私のゼミでは東アジア・東南アジアの方と映画でディベートをする機会もあり、最初は英語で自分の考えを伝えることに苦戦しましたが現在は前よりもスムーズになりました」
面接官「外国渡航経験はありますか?」
澪「はい。ゼミで知り合った仲間の国に夏休み渡航し、その文化に触れる機会はありました。これまで渡航した国は中国、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアです」
面接官「分かりました」カキカキ
澪「(よし!面接官の声も軽くなった!)」
面接官「次の方」
男子7「あ、はい、私はゼミで留学生と交流する機会があり、えっと、その方とでゼミ研究をして参りましたから大丈夫です…」
面接官「留学生は日本語を習得してから来るのだと思っているのですが、男子7さんの英語はどうですか?」
男子7「あ、はい…留学生は日本語は話せますが、時おり外国語が入るんです。なら始めから英語で話そうとしてゼミでその人には英語で話しかけてます。私はTOEICのスコアで650行きまして日常会話には支障ないほどです」
面接官「分かりました…」
澪「(まったく…こいつらまともな受け答さえもできやしないのか…)」
澪「(はぁ…これが今の日本の大学の結果だと思うと情けなくなるな…外国市場に進出しようとしている傍らで英語どころか、まともな受け答えさえできない奴がいるなんて…)」
澪「(こんな奴らばっかりだと日本が海外からバカにされるだけだ…こんな日本語でさえ会話できない奴らなんかに海外展開をしようとする企業に入ってたまるもんか!これは企業の技術だけじゃなくて日本のイメージまで影響される!)」
澪「(ここにいる奴らを通過させないようにアピールしてやる…!)」ニヤッ
この後、澪のアピールにより周りの学生は萎縮するようになった…
面接官「…え~、こちらからの質問は以上となります質問のある方はおられますか?」
澪「はい!」
面接官「どうぞ」
澪「御社の技術や商品を海外市場に展開するにあたって…」ペラペラ
面接官「それはですね…」ペラペラ
学生5「…」
学生6「…」
女子3「…」
学生7「…」
面接官「…となります。こんな回答でもよろしいでしょうか?」
澪「はい!私が知りたかった以上のことを知ることができました!」
面接官「他に…ある方…?」
男子6「は…はいっ!」
面接官「どうぞ」
男子6「じ…人事評価制度について…お願いしますっ…!」
澪「(だから開発部門に聞いてどうするんだよ!これだからNNTカスが空気も読めないし配慮もできないんだよ!)」
面接官「会社ですので、結果を見ます。ですが結果だけでなくその過程も見ます。その過程を見るのは上司です」
男子6「は…はい…ありがとうございます…」
面接官「他に…」
女子3「はい」
面接官「どうぞ」
女子3「男女比率と、育児休暇の、取得について、お願いできますか?」
澪「(ああああああ!!!そんなこと説明会のうちに人事の人から聞いとけよカスがああああああああ!!!
そんなんだから『これだから女はクソw』とか言われんだよ死ね!二回以上死ね!)」
面接官「弊社は総合職ですと男性:女性は4:1で、技術職ですと7:1となっております。
育児休暇の取得についてですが、くるみマークを弊社は去年認定されており、男性でも取得できるようになっております」
女子3「ありがとうございます!」
澪「(だから小学生のお遊戯みたいな喋り方するな死ね!)」
面接官「…では時間となりました。これで一次選考を終了致します。結果については一週間以内に合格者のみにお電話させていただきます。ありがとうございました」
「「ありがとうございました!」」
バタン
澪「…」イライラ
澪「(レベルが低いというか何も考えずに選考に来ている奴で頭にきた…)」
男子5「いやぁ、手応えなかったなぁ」
男子6「どこを見ているんだろうな?」
女子3「私緊張しましたぁ~!」
澪「(エレベーターが一つしかないから今こいつらといるけど…特にこのクソアマとは一秒でも早く離れたい…)」
チーン、ガー
男子6「それじゃ、お会いすることあれば!お疲れさまです!」
男子5「お疲れさま!」
澪「(負け犬どもが最後まで馴れ合いか…お似合いだなwww)」
男子7「君スゴいよね!あれだけテキパキ話せて!」
女子3「私もそう思ったぁ~!」
澪「うるさい話しかけんなバカが伝染る」
男子7女子3「えっ」
澪「まったく…永久NNTの奴らなんかに話をしても何の得にもならん…」
女子3「ひ…酷い…」
男子7「お…おい!そんな言い方はないだろ!」ガシッ
パシッ
澪「触るな。この汚らわしいNNT共めが」
男子7「く…」
澪「何?暴力を振るう気?つくづくNNTってすぐ暴力に走るのだな。そんな単純な頭じゃ仕事なんてできるわけがないんだよ!」
男子7「…くそっ!」
女子3「…」
澪「ふんっ…NNT共めが」
澪「あ~あ、何あのバカな奴、肩つかんできて…スーツが汚れたじゃないか…」サッサッ
澪「クリーニングに出さないとな…ホント汚らわしい…」
「あら?澪?」
澪「あ、和…」
和「澪はさっきまでどこを回っていたの?」
澪「ん…素材メーカー」
和「メーカーって…澪って業界絞ってないの?」
澪「この時代絞っても仕方ないよ。でも自分が向かなさそうな業界は予め切っているけど」
和「そうなの…でも、志望動機なんて書きにくいんじゃないかしら?」
澪「大丈夫だよ。きっかけなんてちらほら散らばっているもんだし、それを上手く伝えればそれなりに志望動機につながるもんだよ」
和「なんだか、澪…就活で変わったわね…」
澪「え?」
和「なんというか…就活する前の澪はもっとこう…丸かったはずだった気が…あ、ごめんなさい。やっぱり気にしないで…」
澪「…」
澪「(自分でも気づかなかったわけではない…でも、私はこれが楽しいと、正しいと思ってやってきたんだ…)」
澪「(今さら止めるわけにもいかない…!NNTのアホ共に社会の厳しさを知り渡らせるんだ…!)」
和「澪?大丈夫?」
澪「あ…ごめん、和…」
和「私の方こそごめんなさい。さっき変なこと言って…」
澪「気にしてないで…何とも思ってないから…」
和「…ね?少し喫茶店で休憩していかない?」
澪「あ…うん…」
喫茶店
和「はぁー、やっぱり涼しいわねー…」
澪「くすっ…和もそんなこと言うだな」
和「今日は特別に暑いからね…少し答えたわ…」
澪「…和は午前どこ行っていたの?」
和「前に言っていた先物取引とクレジットカードの面接よ。両方とも雰囲気が良かったわ」
澪「そうなんだ…」
澪「(先物取引ならまだ良いが、和に信販系には行ってもらいたくないな…)」
和「そういえば、律はどうなの?私全然会っていないから律の就活状況が気になって…」
澪「まあ…一社しか聞いてないけど、次は人事面接を受けるのだと…」
和「どんな業界かしら?澪は聞いている?」
澪「生保だよ。私もそこを受けているからね」
和「生保…?この時期と言えば…〇×生命か外資しか聞かないわね…」
澪「まあ、まさにその〇×生命なんだけどね。律の奴、一次面接突破だけでえらい嬉しそうだったなぁ…」
和「…良かった…」
澪「え?」
和「澪はまだ律と仲良くやれているのね…私…就活の忙しさから自分で手一杯になって唯に何もしてあげられなかったわ…」
澪「和…」
ブー…ブー…ブー…
澪「(なんだよこんな時に!あ…さっきの企業からだ…)」
澪「ごめん、和。ちょっと電話」
和「ええ、大丈夫よ」
澪「はい、秋山です…はい、はい…はい!その日に伺います。はい!ありがとうございました!」ピッ
和「その様子だと企業からのようね…」
澪「うん。今朝受けた素材メーカーだよ」
和「澪さすがね!」
澪「そんな…大したことじゃないよ…」
和「いや、スゴいことよ。一つの企業に一つの選考を進めるのにどれだけの人が敗れていくか…かなりスゴいことなのよ?」
澪「…」
和「今年は去年の影響が出て経済や企業が冷え込んじゃって本当に採用枠が狭き門になっちゃったのよね…」
澪「…」
和「実際に去年なら採用されていた人も今年は採用されないなんてこともあるらしいの
本当に今年という厳しい就活状況の中で澪はくぐりぬけて行けるなんてそうそうないわ!」
澪「うん…ありがとう…」
澪「…」
澪の家
バタン
澪「ふぅー…」
澪「(なんだか今日は疲れたな…普通にやっていれば内定なんてすぐ取れるだろうに…)」
和『澪みたいに選考を進められるなんてそうそういないわ!』
澪「私が…おかしいのかな…普通に自分の考えを相手に伝えて、普通に相手に聞かれたことに答えるだけなのに…」
澪「その普通は本当は普通じゃないのかな…?」
澪「いや…NNTがダメすぎなんだろ…N…NT…が…おかしい…」
澪「すーすー…」
ブー…ブー…ブー…
澪「ん…あ、私寝ちゃっていたな…あれ?律から電話…あ!」
ピッ
律『澪ー!やと出てきてくれたかー!』
澪「ごめん…気づいたら寝ちゃっていて…」
律『今日何時ぐらいに来れるんだー?19時くらい?』
澪「ごめん。遅くなりそう…20時で良い?」
律『私は大丈夫だよ!今晩もお願いしますぜ!先生!』
澪「…もう…おだてるだけは上手なのだから…」
ピッ
澪「まだ内定が出ていないのは律と和か…」
ガタンタタン…
澪「…」
澪「(私が本命の企業から内定をもらったのはGWが始まる前だったな…)」
澪「(たった三回の面接で決まった企業…誰もがその企業に憧れる存在だ…)」
澪「(もちろんそれまでの過程でもインターンやOB・OG訪問はした…本当に入社したいと思った…)」
澪「(この会社で自分はどうしたいのか…何ができるのか…何が自分の利益になるのか…考えに考え尽くしそれを言葉にして伝えたわけだ…)」
澪「(最終面接ですごいことを聞かれたな…『日本をどうしたいか?』)」
澪「(良くしたい…それしか言えなかった…日本は世界でも認められる存在にならないといけない…そのために自分はこの企業で、この部門で全力を尽くしたい…!)」
澪「(その翌日に内定をもらったんだったな…23:32の電話で…)」
澪「(嬉しかった…親も大いに喜んでくれた…だけど、この企業は自分には難しいのではないか…?)」
澪「(分からなくなった…自分は本当にこの企業から認められたのか?)」
澪「(確かめたかった…!)」
最終更新:2010年08月01日 22:28