ゆいのきょうしつ!



唯「憂はどこかなー……」ソーッ

紬「ほら、唯ちゃんの席に」ボソボソ

唯「ホントだ……えっ!?」



律「ほら唯、起きろってばー」ユサユサ

憂「むにゃ……ふわあああ……今何時ー?」

澪「三間目が終わったところだよ。唯はずっと寝てたけど」

憂「え!?」

律「そりゃもう気持ち良さそうに寝てたぞ」

憂「もうりっちゃん! なんで起こしてくれなかったのー!」プンプン

律「何度も起こしたぞこのねぼすけさんめ! うりうりー!」グリグリ

憂「きゃー」ケラケラ

澪「全く……」ヤレヤレ

唯「私だ……私が居る!!」

紬「ちなみに二間目の国語で小テストがあったんだけど……」

唯「……まさか」

紬「憂ちゃん、ずっと寝てたわ」

唯「ひぃいいい!? そこまで真似なくていいのにぃいいい!!」ガーン




いどうちゅう!



唯(憂は良く頑張ってるよ……うん……楽しそうだったし……)

唯(……ちょっと入りすぎな気がするけど)
唯(私はちょっと素が出すぎなんだっけ……でもムギちゃんはそれが良いって言ってくれたけどね!)

唯(……それに格好だけじゃ気付かなかったよね、純ちゃんは。ふふっ)

唯(あ……でもあずにゃんにはもうバレてるかも)

唯(……)

唯(あ、それは無いか……憂に抱き付かれても気付かなかったし)

唯(よし……前向きに考えよう!)ふんす




ういのきょうしつ!



唯「ただいまー」

梓「あ、おかえり憂」

純「おかえりー。唯先輩どうだった?」

唯「お、お姉ちゃんは相変わらずお姉ちゃんだったよー。あはは……」

梓「ふ~ん」

唯「そういえば梓ちゃん、どこに行ってたの?」

梓「職員室。次の時間、担当の先生が休みだから自習だって」

純「何しよっかなー♪」ウキウキ

梓「勉強しなさいよ」ゴソゴソ

純「……そう言って取り出したるは音楽雑誌。やっぱり梓もこっち側ね!」

梓「あーあー聞こえなーい。雑音をシャットダーウン」カチッ

純「ミュージックプレイヤーまで……流石の私もそこまで思い付かなかったよ」ガーン

唯「サボる気満々だね」クスッ

純「憂、お喋りしよ」

唯「良いけど、一応授業中だから静かにね?」

純「はいはーい」




じしゅう!



梓「~♪」ペラッ

純「数学の先生、小皺増えたよね」

唯「う~ん……二年くらい前はもっと少なかったかなぁ……」

純「……私達まだ居なくない?」

唯「あ゙っ!?」



梓「~♪~♪」ペラッ

純「最近来た実習生、長身でカッコいいよね」

唯「そうそう! イケメンだよね!」

純「……女の人だけど」

唯「え゙っ!?」

梓「あ、これ買おう」



おひるやすみ!



梓「んー、お腹減ったー」ノビーッ

純「……」ジトーッ

唯「う……(やっちゃったよ……)」サッ

梓「あ、メール……ムギ先輩からだ」

純「……」ジトーッ

唯「な、何かな純ちゃん?」アセアセ

純「べっつにー」

唯(こ、これはまずい……)ドキドキ

梓「今日は部室で食べるね。先輩達に誘われたから」

唯「なっ!?」

純「おー行ってらっしゃい」

唯(……今一人にされるときっとボロ出しちゃうよ~)

純「どこで食べる?」

唯「お任せします……」

純「じゃあ屋上で」

唯「屋上立ち入り禁止だよ?」

純「バレなきゃ大丈夫だよ」

唯「えぇ~……」

純「あ、その前に購買によって良い?」

唯「お弁当は?」

純「遅刻しそうで急いでたから……あはは」

唯「おっちょこちょいだね」

純「う、うるさいやい」

唯「ふふっ、行こ?」ギュッ

純「あ、うん」

唯(リードすればさっきのを忘れさせられるよね!)

純(……憂ってこんなに積極的だったっけ)


唯「購買にとうちゃーく!」

純「うわー……込んでるね」

唯「で、何買うの?」

純「うーん……今日はなんかガッツリ系が良いかな。カツサンドとか」

唯「カツサンドね……」

純「うん……」


──「ちょっと! アンタ足踏んでるわよ!」
──「押さないでってば!」
──「先に取ったのは私だぞ!」
──「何よこのデコっぱち!」
──「助けてー!」


唯「……戦争みたい」

純「……ここホントに女子校?」

唯「……よ、よし! 行くよ!」

純「う、うん」

純「ま、前が見えない……」

純「憂……って、あれ? さっきまで横に居たのに」

……ゴンッ

純「おぶっ!?」

純「え、エルボーが飛んで来た……いったあ……」

純「うう……もっと早く来るんだった……」

律「メンチカツサンドとったどー!」ドドドド

ドカンッ

純「ぐぶっ!?」

純「み、見覚えのあるデコに激突された……」フラフラ

純「も、もーだめ……」フラフラ



……ぽふっ


純「……あれ? 柔らかい……」

唯「おいっす!」

純「……う、憂?」

唯「カツサンド買えたよ。あとメンチカツサンドも」

純「す、すご……」

唯「純ちゃんの為に頑張っちゃった」ニシシ

純「……ありがと」

唯「どういたしまして! さ、屋上行こっ!」

純「……」ジッ

唯「ん?」

純「……やっぱり、憂じゃなかったんだね」クスッ

唯「え? あ、あれ?」

純「……髪、ほどけてますよ、唯先輩」

唯「あっ!?」


唯「屋上の鍵、閉まって無かったね」

純「すんなり入れましたね」


純「……」

唯「風、気持ち良いね」

純「ちょっとだけ肌寒いですけどね」

唯「……」

純「……」

唯「座ろっか」

純「はい」

純「もう少しそっちに寄って良いですか?」

唯「ん、おいで」

純「じゃ、失礼します」

唯「うん」

純「……」

唯「……」

純「……唯先輩、体温高いですよね」

唯「暑い?」

純「いえ、丁度良いです」

唯「そっか」

純「はい……あったかい」

唯「ふふっ」グゥ~

純「……お昼、食べましょうか」クスッ

唯「……うん」カアッ


唯「いただきまーす」

純「いただきまーす」

純「あむっ」パクッ

唯「おいしい?」

純「……ん~衣サクサクで肉汁が凄い……おいしい!」

唯「ふふっ、良かったね」

純「まぁ……唯先輩が確保してくれたのが一番の味付けですけどね」

唯「純ちゃん……」

純「えへへ……」



唯「結構恥ずかしい事言うね~」ニヤニヤ

純「あっ!? ……もー!!」


唯「ごめんよ純ちゃ~ん期限直してよ~」

純「唯先輩なんか知らないもん!」プイッ

唯「ほ、ほら、卵焼きあげるから!」スッ

純「どうせ憂が作ったやつでしょ!」

唯「私が作ったやつだよ。ちょっと崩れちゃってるけど」

純「……唯先輩、料理出来たんですか?」

唯「出来る出来ないじゃないよ! やるかやらないかだよ!」ふんす

純「えー……」

唯「はい、あ~ん」スッ

純「……いただきますっ!」パクッ

唯「どうかな!? おいしい!?」

純「……あっま」

唯「甘いの嫌いだった?」

純「そういう問題じゃないですよ……」

唯「え?」

純「これは甘いだけです。甘ければ美味しいってワケじゃ無いんですよ?」

唯「……」シュン

純「でも……大事なものは入ってますね」

唯「! 愛情だねっ!?」

純「う、恥ずかしいからあえて言わなかったのに……次は頑張ってくださいね?」

唯「うん!」


唯「ごちそうさまでしたー」

純「ごちそうさまでしたー」



唯「まだ、時間あるね」

純「ところで唯先輩」

唯「なあに?」

純「どうして憂の格好してたんですか?」

唯「どうしてだと思う?」

純「……」


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最終更新:2010年08月05日 23:09