唯「あずにゃん!ケーキ食べなよ!」

今日はさわちゃんが来なかったのでケーキが1つ余ってしまった。

梓「わ、私は…いいですよ…それより練習を…」

唯「そんなこと言わずに~ほら、あ~ん」

唯の強引な誘いにとうとう梓も観念し、口をあけた。

梓「…もぐもぐ」

唯「どう?」

梓「すごく…おいしいです…」

唯「でしょでしょ~、あずにゃんももっといっぱい食べて大きくなろうね~」

梓「私、ちっちゃくないです!」

何やってんだかこの二人は…

澪「ほーら、イチャイチャしてないで今日こそは新曲の練習するぞー」

紬「私はもうちょっと見てたいかな~♪」

澪「…」

ジャジャ、ジャジャ、ジャーン♪

梓「今日は息ぴったりでしたね!」

澪「ほんとだな、最近まともな練習できてなかったのに…」

唯「きっとケーキパワーだよ!ケーキが私たちを一つにしたんだよ!」

紬「すごーい!じゃあ明日はもっとケーキ持ってくる!」

律「そんなに食べたら軽音部じゃなくてデブになっちまうだろ~」

梓「…!わ、私はケーキいらないです!」

唯「あずにゃんは太らないから大丈夫だよ~」

梓「私だって太りますよ!」

この日は何もなかったのだ。そう、この日までは…


ー次の日、放課後

律「あーあ、みんな遅ぇなー」

澪、唯、紬は掃除当番。私だけ部室にいる。
掃除を手伝うのが嫌だったのもあるが、今日は部長会議とかもあったのだ。

律「それにしてもみんなこねーなー」

ガラッ
梓「…今日は律先輩だけですか?」

律「おー梓ー、ちょうどみんな来なくて暇だったんだー」

梓「暇だったら練習してればいいんですよ」

梓が私に近づいて気がついた。

律「梓、身長のびたなー」

梓「え、そうですか?」

梓は私より5cmぐらいちっちゃかったのだが、今は身長が同じぐらいある。
私も背が高いとはとても言い難いが、昨日までは身長差はあったはずである。

梓「…確かに、律先輩と同じぐらいになりましたね」

律「くそー、軽音部最低身長に再びなる日も近いかー」

梓「そんな、そうそうこんなに伸びないですよ」


しばらくして掃除組がやってきた。

唯「あずにゃーーん!」
だきっ

梓「もう、やめてくださいよー」

紬「あらあら」

澪「律、悪いな、掃除長引いて」

律「いいってことよ、それより梓が今日身長一気に伸びたんだぜ!」

唯「そういえばあずにゃん、今日はちっちゃくないねー」

梓「昨日もちっちゃくないです!」

唯「やっぱ私があずにゃん大きくなれ大きくなれって言ったからかな~♪」

澪「梓は植物かなんかか…」

律「…で、さわちゃん今日も来れないってさ」

さわちゃんはもう掃除が終わってると思って音楽室にケーキだけ食べに来たが、ムギがまだだと知って残念そうに帰って行った。

唯「じゃあ今日もケーキはあずにゃんにプレゼントだよ!」

律「ず~る~い~、わ~た~し~も~ほ~し~い~」

唯「あずにゃんは今が成長期なんだよ!たくさん食べて大きくならないと!」

梓「私は別に…」

澪「…ここは公平にじゃんけんで決めよう」

紬「負けないわよ~」

お前たちも食べたいんかい!


じゃんけん、ぽん!
梓「あ…私勝っちゃった…」

唯「ふふふ~、元からこうなる運命だったのさ~」

律「くそ~、次は負けないぞ!唯~!」

澪「そういうのはいいから」

紬「梓ちゃん、はいあ~ん♪」

梓「あ…もぐもぐ…」

梓は本当においしそうに食べるよな~。唯が餌付けしようとするのもわかるな。

唯「どう?あずにゃん、大きくなった?」

澪「そんなに早く大きくなったら怖いだろ!」

律「でもそんなに大きくなれるんだったら私も食べたいよ」

紬「りっちゃんは先輩なんだから我慢よ~♪」

梓「別に…私は食べたかったわけじゃ…」

唯「でも大きくなったら嬉しいよね!」

梓「それはまぁ…そうですけど…」


今日の練習も調子が良かった。

梓「昨日ほどじゃないですけど、いい感じですね!」

唯「ムギちゃん!明日もケーキだよ!」

紬「らじゃー!」

澪「だからケーキは関係ないだろ!」

この力が抜けた感じが私たちの息を合わせるのかもしれない。

律「お茶会やってるから練習うまくいってるってのもあながち間違いじゃないのかもな」
澪「まぁ、ピリピリしてたらこんなに息は合わないかもな…」

澪「じゃあ律、また明日な」

律「おう、明日は私がでっかくなるから待ってろよ~」

澪「なるか馬鹿!」
ガツ

…いくらなんでも馬鹿はないだろー、私だって大きくなる余地はあるはずだし!

律「実は私も身長がー…って、ねーよなー…」

家に帰ってはかってみたが私の身長は伸びていなかった。
現実は悲しいものだ…



ー次の日

律「身長伸ばすのは無理だった~」

澪「当たり前だろ」

唯「りっちゃんは成長期過ぎちゃったのかな~?」

律「私はまだ若い!ピチピチギャルだ!」

澪「おっさんか!」

紬「整体とかで身長のばしてみたらどう?」

律「つってもその日中に戻っちまうんだろ~」

律「あ、もしかして梓もそれだったりしてな!今日になったら元に戻ってたりとか!」

澪「整体じゃあそんなに身長のびないだろう…」



ー放課後

梓「あ、先輩がた、今日は遅かったですね」

唯「あずにゃんが早いんだよ~」

律「唯の勉強を私たちが見てやってたんだろ~」

澪「お前のもだ!」
ドゴッ

律「…って~、ずびばぜ~ん…」

紬「じゃあ早速お茶にしましょう♪」

梓「流れを断ち切ってお茶にしないでください!」

梓の訴えもむなしく、結局お茶会が開かれた。

律「そうだ梓、今日は身長伸びたか?」

梓「…わかりません、はかってないので…」

梓が立ち上がる。

律「ちょちょちょ、ちょっと!私より高くなってんじゃん!」

唯「うわー、私ぐらいになったねー」

…っつーことは156cmぐらいか。
…まぁ昨日よりは大きくなってないみたいだけど抜かれた…

律「これで軽音部最低身長の座は私のものに~」

澪「自慢みたいに言うな!」

紬「りっちゃん、気を落とさないで!」

別にそこまで気にしてないんだけどな。

梓「…(このままいけば私もかわいいキャラからセクシーキャラになれる!)」

澪「…どうした、梓?」

梓「…!い、いえ…何でもないです!」

唯「今日もさわちゃん来ないね~」

律「しばらく忙しいんじゃないか?」

梓「先生が忙しいのに私たちは…」

紬「気にしないで、私たちは私たちのペースでやりましょ♪」

澪「まぁ、ちょっと遅い気はするけどな」

で、今日もケーキが余った。


唯「あずにゃん!ケーキだよ、ケーキ!」

梓「いりませんよ~、二日連続で多く食べてますし…」

律「そうだぞ唯、不公平だ!私も大きくなりたい!」

澪「だから梓はケーキで大きくなってるわけじゃないから…」

梓「ケーキで大きく…私、食べます!」

律「!」

澪「!」

唯「やったー!」

紬「あらあら」

梓め…欲に目がくらんだか…

梓「…別に食べたいとか身長伸ばしたいからとかじゃなくて…唯先輩のシールが…」

梓…ばればれだぞ…

梓「もぐもぐ」

いい顔で食べやがる、悔しいが可愛いぜこの野郎!

唯「あずにゃんもどこまで大きくなるのかな~」

律「2mになったりとか~」

澪「そんなになったら怖いよ!」

唯「でもあずにゃんだし~、2mでもきっと可愛いよ~」

梓「もぐ…背が高くなったらかわいいキャラは脱却します!」

もう思考がだだ漏れだな…

紬「梓ちゃんは可愛いままでいいと思うんだけどなー」

唯「せっかくだから私のもあげよう!」

梓「本当ですか!ありがとうございます!」

澪「そんなに食うと太るぞ?」

唯「あずにゃんなら大丈夫!」

律「だからなんでお前が大丈夫だって言うんだよ!」

紬「まぁ梓ちゃんそんなに太ってないし、ちょっとくらいならいいんじゃない?」

ジャーン♪

唯「はぁ~、ケーキ分が足りない~…」

今日は唯の調子が悪かった。

律「お前が梓にあげるからだろー」

梓「…何かすみません、私のために…」

唯「いーんだよ、あずにゃんのためなんだから~」

いや、お前が良くても私たちが良くないぞ。

澪「やっぱりケーキ食べたほうがみんな上手くなるのかも…」

律「それは私のセリフ~」

澪「別にいいだろ、私が言っても…」



ー次の日の放課後

律「…おい、梓」

梓「なんですか律先輩?」

律「いや、お前今何センチだ?」

梓「ふふふ♪実は朝はかったら160cmになってました!」

澪「3日で10センチ伸びるとか…どこの怪しい広告だよ」

唯「きっとあずにゃんは成長のポイントが溜まってたんだよ~」

澪「なんだよそれ…」

梓「あれ…?違和感が…」

律「どうした、梓ー?」

梓「ギターに違和感があるんです」

澪「背が急に伸びて感覚が急に変わったからじゃないか?」

梓「なるほど!たしかにギターがちっちゃくなったような気がします」

紬「お茶の準備できたわよ~♪」

梓「はい、すぐ行きます!」

最近の梓のお茶会に対する反応はおかしい。
そんなに身長伸ばしたいか。

唯「今日もあずにゃんにはケーキあげるよ~」

ガラッ

さわ子「お茶会やってる~?」

律「あ、さわちゃん!ふふふ~、唯~これでお前の野望もおしまいだ~」

唯「さわちゃん…何で来ちゃったの~?」

さわ子「…え?どうしたの?」

唯「いいもん、私の分をあずにゃんにあげるから!」

さわちゃんには事情をさらっと説明した。

さわ子「私がいない間にそんなことが…じゃあ梓ちゃんの服を作る時は気をつけなきゃ!」

律「そこかーい!」

さわ子「とりあえず梓ちゃんは今日はケーキ1個にしたら?」

唯「ひどいよさわちゃん~、あずにゃんが可哀想だよ~」

梓がさわちゃんに訴えるような目を向けてる…

さわ子「これで身長が伸びなかったらケーキが原因だってハッキリするじゃない」

さわ子「そうなったら好きにケーキを食べればいいのよ」

さわ子「…ケーキが原因じゃないのにケーキが梓ちゃん一人に集中するのは嫌だもの」

そういうことかよ、さすがさわちゃん。


梓「…仕方ないです、今日は我慢します」

唯「あ~ずにゃ~ん…」

こいつら…もう梓がたくさんケーキ食ってあたりまえみたいに考えてるな。

紬「じゃあ久々に先生も来たし、お茶会にしましょ♪」

ケーキを食べてる時の梓の目が怖い…
性格変わり過ぎだろ梓…

お茶会は無事に全員ケーキ1個ずつで終わった。
梓と唯はしょんぼりしてたけど。


ジャーン♪

澪「今日は完璧だな」

やっぱ全員ケーキ食べてると調子いいんじゃないか?
むしろケーキ食わないと本調子にならないってダメじゃん!

梓「…」

練習が上手くいったときはいつも喜んでる梓がしょんぼりしてる…!
どんだけケーキが欲しいんだお前は…


2
最終更新:2010年08月07日 00:24