律「あ、秋山さ～ん！！」
澪「あっ……、ﾀｲﾅｧｻ……」
律「なんだよ『ﾀｲﾅｧｻ……』ってぇ。それより、もう部活決めた？」
澪「………………ﾌﾞﾝｹﾞ……」ﾎﾞｿﾎﾞｿ
律「え？」
澪「…………ﾌﾞﾝｹﾞｲ……」ﾎﾞｿﾎﾞｿ
律「ごめん、よく聞こえないや」
澪「す、すすすいま……」
律「ところでさ、私、軽音部に入るつもりなんだけど、秋山さんもいっしょにやってみない？」
澪「……ｴ？」
律「ほらっ、同じ中学のよしみって奴で」
澪（文芸部に入りたいのに……まあ田井中さんの頼みなら仕方ないか……）
律「ん？ 大丈夫？」
律「秋山さんはどの楽器がやりたい？」
澪（昔から明るく活発で、私のあこがれだった田井中さん）
律「私はドラムやってるんだ～」
澪（そんな彼女の隣に、私が立っている……）
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗｗ」
律「ん？ 何かおかしかったかな？」
澪「ｱ……、すすいま……」
律「まあ、秋山さんの楽器はのちのち決めていくとして」
澪（……初めての、共同作業ですｗｗｗｗｗ）
律「軽音部ってどこで活動してるんだろう？」
澪「……しょ、職員し……」
律「あ、そっか！ 先生に聞けばいいのか！！」
律「秋山さんって頭いいんだね！」
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗ」
………………
音楽室
律「うーん、まさか軽音部が廃部になっていたとは！」
澪「……」
律「でも、部員をあと二人集めれば！ 新たに発足することができる！！」
澪「……」
律「一緒に頑張ろうね！ 秋山さん！！」
澪「ﾄﾞｩﾌﾌﾌｗｗｗｗｗｗ（一緒にｗｗｗ頑張るｗｗｗｗ）」
律「いつまでも苗字で呼び合うのも何だし、私のことは律でいいよ」
澪「ｴ？」
律「私も澪って呼ぶからさ！」
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗｗｗｗ」
律「じゃあ、さっそく呼んでみようか！！ みおーー！！」
澪「ﾄﾞｩﾌﾌﾌｗｗｗｗ」ﾃﾚﾃﾚ
律「ほら、澪も私のこと呼んでみて！」
澪「……ﾘ………………ﾘｩ～……///」ﾃﾚﾃﾚ
律「もっと大きな声で！！」
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗｗｗｗ（幸せすぎて死にそうｗｗｗｗｗ）」
律「みぃーおぉーー！！！！」
澪「…………ﾘ……ﾘｯ……律……さん……」
律「『さん』とかいらないから！！」
澪「す、すすすすいま……」
律「それじゃ、新入部員を集めよう！」
澪「ｱ……ｳ……」
澪（知らない人間に声をかけるのってキツいな……）
律「？ どうかした？」
澪「な、なんでもな……」
律「う～ん、澪は人見知りするタイプっぽいからな～。知らない人に声かけたりするの難しいでしょ？」
澪「……」
律「あ、私思ったこと何でも口にしちゃうから、言い方キツかったらゴメンね」
澪「ｴ……いや……」
律「ん？」
澪「……ﾀｲﾅｧｻ……り、律が……」
澪「私のこと知ってる感じが……嬉しかっただけ……」
律「……そっか！」
澪「……///」
律「新入部員を集めるためにはどうしたらいいかなぁ～？」
澪「……こ、広告とか……」
律「あー！ 『来たれ軽音部！！』みたいな？」
澪「……」ｺｸｺｸ
律「あとは……やっぱり勧誘かな？
私のほうで声をかけておくよ」
澪「ｱ……じゃあ、広告……」
律「ん？」
澪「……書く……」
律「広告は澪が書いてくれるの？」
澪「……」ｺｸｺｸ
律「よっし！ 広告は任せたぞー！！」
澪「……///」ｺｸｺｸｺｸｺｸｺｸｺｸ
律「そんなに首振らなくてもいいって！！」
音楽室
………………
律「何人か声かけてみたんだけどさ、もう他の部活に決めちゃったんだって」
澪「……」ｶｷｶｷ
律「知り合いに頼めれば早いんだけど、
ウチの中学から来たのって、澪と私くらいだからなぁ～」
澪（それでも律には……もう既に友達が何人か居る……すごい……）ｶｷｶｷ……
律「あ、今書いてるのって勧誘のチラシ？ 見せて見せて！」
澪「ｱ……」ｻｯ
律「うおーい！！ 何で隠すんだー！！」
澪「……は、恥ずかしい……」
律「いずれ見せるモンだろうがー！！ み～せ～ろ～！！！」
澪「ﾔ､ﾔﾀﾞ……///」ﾀﾞｯ
律「まてー！！ 逃げるなぁー！！！」
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗ」
律「へぇ～、けっこう上手にかけてるじゃん！ 澪って絵がうまいんだな～」
澪「……///」ﾃﾚﾃﾚ
律「じゃあ、さっそく掲示板に貼ってこようか！」
澪「……ｱ……」
律「まさか、掲示板に貼るのが恥ずかしいとか？」
澪「……」ｺｸｺｸ
律「掲示板に貼らないでどこに貼るって言うんだー！」
澪「目立たないところに……ひっそりと……」
律「だめだめ！ 目立つところに堂々と貼る！！」
澪「あぅ～……律ぅ～……」
律「大丈夫っ！ ちゃ～んと『
秋山澪 画』って書いておくから！！」
澪「ﾀﾞ､ﾀﾞﾒｯ！///」ｶｧｧ
律「あはは！ ウソウソ！ 普通に貼るって！」
通学路
………………
律「部員来てくれるといいな！」
澪「……」ｺｸｺｸ
律「澪の家って、私の家から結構近いんだよね？」
澪「……」ｺｸｺｸ
律「そうえば、澪は中学校も小学校も私と一緒だったっけ？」
澪「ｱ……うん……」
澪（幼稚園も一緒だったけど……）
律「でも今まであまり話したことなかったよな～」
澪「……」
律「澪はいつも教室で本読んでてさ、私は逆に外で遊びまわったりしてて、
お互い全然接点がなかった」
澪「……ｳ……うん……」
律「前から結構気になってたんだ。澪のこと」
澪「ｴ……？」
律「髪が長くて綺麗だしさ～、それに美人さんだしぃ～？」
澪「……そ、そそそんなこと……」ｶｧｧ
律「だけど澪は、ガサツな私に声をかけられても迷惑なんじゃないかって思って
ガサツな私なりに気を使ってたんだ」
澪「そんなことない……！」
律「ん？」
澪「……ｺ……声かけて……くれて、嬉しかった……よ」
律「……そっか！」
澪「……」ｺｸｺｸ
律「でもガサツは否定してくれないんだ？」
澪「……あっ」
律「そうそう、澪はどの楽器がやりたい？」
澪「……目立たない楽器がいい……」
律「う～ん、もう少し具体的な特徴を！」
澪「……ステージに上がらなくてもいい楽器がいい……」
律「難題だなぁ～」
澪「……ご、ごめ……」
律「謝らなくても良いって！ とりあえずさ、お試しキャンペーンってことでベースやってみたら？」
澪「……ベース……」
律「バンドにおいて最も重要なのは、ベースとドラムのリズムコンビネーション！！
私と澪の二人で天下取ろうぜー！！」
澪「……ふ、二人で……///」ﾃﾚﾃﾚ
律「それじゃ！ 私の家こっちだから！」
澪「……ｱ……うん……」
律「バイバイ！ また明日ぁー！！」
澪「……うん、また明日……」
澪（誰かとこんなに長く話したのは初めてかも知れない……）
澪（しかも相手は憧れの……）
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗｗ」
子供「ママー、あの人なんでニヤニヤしてるのー？」
母親「シッ！ 見ちゃいけません！！」
澪の部屋
………………
澪（もし私が律と……親友だったら……）
澪（律が言う冗談に私がツッコミを入れたりして……）
澪（ベースも上手くて……、ドラムと息がピッタリで……）
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗｗ」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ
澪（はやくベース弾けるようになりたいなぁ……）
澪（ママに私の貯金を降ろしてもらって、足りなかったらお小遣いを前借りして……）
澪（私がベース弾けるようになったら、もっと律と仲良く……）ｶｧｧ
澪「ﾄﾞｩﾌﾌﾌｗｗｗｗｗｗ」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀ
澪（律……私と話してて退屈じゃなかったかな……）
澪（新入部員くるかな……）
澪（他の人と上手くやれるかな……怖いな……）
翌日。音楽室
………………
澪（昨日は色々考えすぎて全然寝られなかった……）
律「よーし、入部希望者を待つぞぉー！」
澪「……」ｺｸｺｸ
律「なんだぁ～？ 元気が無いぞ澪ぉー！ 昨日ちゃんと寝たのかー？」
澪「」ﾋﾞｸｯ
澪（どうして寝てないってバレたんだろう……？）
律「ん？ ひょっとして本当に寝てないの？」
澪「……」
律「夜しっかり寝ないと背が伸びないぞー！！
……って、私の方が身長低いんだったー！！」
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗｗ」
律「あっ、笑ったなぁ！！ このヤロこのヤロ～！！」ﾍﾟｼﾍﾟｼ
澪「ご、ごめｗｗｗｗｗ（幸せｗｗｗｗ）」
ガラッ
澪「」ﾋﾞｸｯ
紬「あのぉ～、見学したんですけど」
律「おぉー！！ 軽音部のぉ！？」
紬「いえ、合唱部の
律「軽音部に入りませんか！？」ｶﾞｼｯ
紬「あの、合唱部に
律「今部員が少なくて！ お願いします！！ 後悔はさせません！！」ｽﾞｽﾞｲ
澪（ちょっと強引すぎるような気が……合唱部に入りたいって言ってるのに……）
澪「……ｱ……ｳ……」ｵﾛｵﾛ
澪（ダ、ダメだ……上手く喋れない……）
紬「……」ﾁﾗｯ
澪（あああ、こっち見てる……！ ちゃんと言わないと！）
澪「……り、律……！！」
律「ん？」
澪「……ご、ごごｺﾞｲﾝ……！！」
律「？？？？？」
澪「……ｺﾞｳｲﾝすぎ……」
律「ああー！ なるほど！！ 『強引』かぁー！！」
澪「……」ｺｸｺｸｺｸ
澪（ちゃんと言えた……）ﾎｯ
律「う～ん、確かにちょっと強引すぎたかも。
ゴメンね、えーっと……」
律「ゴメン！ 琴吹さん！！」
紬「いえ、大丈夫です。ふふ」
律「私は部長の
田井中律！ こっちの子が秋山澪って言うんだ！」
紬「澪さん、さっきはどうもありがとう」
澪「……ｳ……ｧ……ど…………」
律「澪はちょっと人見知りなんだ！ 今のは多分『どういたしまして』って言ってる！」
澪（その通り……！）
紬「ふふっ、なんだか面白いですね」
律「え？ どうして？」
紬「二人とも、仲が良いなぁって感じで」
澪「！！」
澪（仲が良いって……///）
律「あはは！ 仲の良さの秘密は軽音部だからです！
琴吹さんも一緒にやろう？」
紬「はい。キーボードくらいしか出来ませんけど、私でよければ入部させてください」
律「ええー！？ ほんとにー！！ ありがとうー！！」
澪（琴吹さんとなら……仲良くやれるかも……）
律「これであと一人入部すればー！！！」
澪（そうだった、もう一人必要なんだ……）
律「私がドラムで澪がベース、琴吹さんがキーボードだから～、あとはギターだな」
紬「あ、私のことはムギって呼んで！
友達からあだ名で呼ばれるのって夢だったのー」
律「なんかわかる！ 琴吹さ、ムギって『琴吹さん』！ って感じがする！！」
紬「そうなのかしら？
私の学校は苗字で呼び合うのが普通だったから」
律「ひょっとして中学はお嬢様学校に通ってたとか！？ 『ごきげんよう』とか言ってたりして！！」
紬「えっ？ どうして分かったの！？」
律「えぇー！！ ほんとにぃー！！ ひょえーー！」
澪（話題に入れない……）
紬「りっちゃんと澪ちゃんは中学からの友達なの？」
律「澪とは小学校と中学校が一緒なんだ～！ 話すようになったのは最近だけど、なぁ澪！！」
澪「……ｱ……うん……ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗ」
澪（よかった、忘れられてなかった……）
ファーストフード店
………………
店員「ご注文をお伺いします！」
澪「……ｱ……ｳ……ｺ､ｺﾚ……」ｽｯ
店員「ハンバーガセットをお一つですね。お飲み物は何にしますか？」
澪「……」ｽｯ
店員「メロンソーダをお一つ、ご注文は以上ですか？」
澪「……」ｺｸｺｸ
律「いやぁ～、大したもんだ。話せなくても注文できるんだな～」
澪「ﾄﾞｩﾌｗｗｗｗ」
律「ファーストフードって凄いなぁ！！」
澪「///」ﾃﾚﾃﾚ
律「いや、澪のことは褒めてないぞ？」
澪「！」ｶﾞｰﾝ
紬「うふふ」
律「どしたー？」
紬「私、ファーストフードのお店って初めてで」
律「そうなの！？」
澪「！？」
紬「『ご一緒にポテトもいかがですか？』って言われるの、憧れてたの」
律「ほぉー」
紬「あ、すみません！ はじめてください」
律「よぉし！ 作戦会議開始！！
今月中に部員をあと一人獲得するために」
………………
律「いい案が出ないなぁ～」
紬「とりあえず、勧誘のチラシを描いてみたらどうかしら？」
律「あ、チラシは澪が描いてくれたんだ！
澪ってば絵がうまいんだぜー」
紬「まあそうなの？ 明日学校で見せてね」
澪「……」ﾃﾚﾃﾚ
最終更新：2010年08月07日 23:28
