紬「唯ちゃん…」
唯「何?」
紬「ううん、なんでもないの」
唯「そう?」
紬「今日のお菓子はケーキを持ってきたの」
唯「ケーキ!?やったー!」ニコッ
まぶし過ぎる笑顔
この子はまるで太陽のようだ、と思うことがある
紬「ごめんなさい 遅れちゃった…」
唯「あーずーにゃん!」ギュッ
梓「もう…やめてくださいよー」バタバタ
唯ちゃんが他の人と仲良くしていると胸が痛くなる
だけどしょうがないのだろう
太陽は誰にでも平等なのだから
紬「じゃ…じゃあお茶にしましょうか」
唯「わーい!今日のお菓子はケーキだよー!」
律「おお!」
澪「いつもすまないな ムギ」
紬「いえいえ」
唯「ムギちゃん大好き!」
紬「!」
紬「私も唯ちゃんのこと大好きよ」ニコッ
唯「エヘヘー」ニコッ
彼女の好きと私の好きは違うのだろう
それでも私は満足なのだ
満足…だか…ら…
唯「…ムギちゃん?」
紬「!」
少しぼーっとしていたみたいだ
太陽の笑顔を曇らせるようなことがあってはいけない
紬「ごめんね すぐお茶入れるわね」
唯「うん…でもどうして」
唯「ムギちゃんは泣いているの?」
紬「……え…?」
気付かないうちに私は涙を流していたらしい
紬「あ えーと…これはなんでもないのよ」ポロ
唯「何でもなくないよ?どうしたの?」
紬「何でもないの…」ポロポロ
唯「ムギちゃん…」ギュッ
唯「わかったよ…でも」
唯「辛いこととか悲しいことがあったら」
唯「なんでも話して」
唯「なんにもできないかもしれないけど」
唯「一緒に泣いてあげることくらいならできるから」ウルウル
紬「うん…ありがとう 唯ちゃん」ポロポロ
本当に彼女は温かい
唯「ムギちゃんは暖かいねぇ」
紬「…」クスッ
同じことを思っていたんだ
それだけで嬉しくなる
唯「やっと笑ったね」ニコッ
紬「ええ みんなもごめんね?」
律「いいってことよ!」
澪「無理はするなよ?」
紬「ありがとう… じゃあお茶入れるわね?」
唯「わーい」
なんて居心地のいい場所なんだろう
みんな温かい人ばかり
太陽が温めてくれているからかな?
澪「ケーキを食べ終わったら練習だからなー」
唯「えー!?」
律「今日はいいんじゃないかー!?」
澪「そんなわけにはいかないだろ!」ゴツンッ
律「おおう…」
澪「文化祭も近いんだからな!」
そっか…もうそろそろ文化祭だ
文化祭が終わったら半分引退状態になる
多分一人残った梓ちゃんのためにちょくちょく顔を出すとは思うが
今のように毎日の放課後に部活をするわけにはいけないだろう
唯ちゃんと同じクラスなのはよかったけど…
私は耐えられるのだろうか
太陽の無い放課後に
紬「唯ちゃん…今日部活終わった後大丈夫かしら?」
唯「うん 大丈夫だよ 憂に連絡しないとだけど」
紬「少し二人きりで話したいの」
紬「部室に残ってくれないかしら?」
唯「うん いいよ!」
澪「よーしじゃあ練習するぞー」
唯「よし来た!」
…
唯「じゃあ私はムギちゃんと話したいことがあるから」
律「ああ じゃあ戸締りとかよろしくな」
唯「まかせてください!」フンス
律「よろしくな ムギ」
唯「えぇ~」
紬「はい♪」クスッ
律「じゃあなー」
澪「あんまり遅くなるなよー」
梓「失礼します」
…
紬「あの…今日はごめんなさいね」
唯「何がー?」
紬「あの…突然泣き出しちゃったりして」
唯「ううん いいんだよ」
唯「誰でも辛いことはあるはずだもん」
唯「私だってあるよ」
紬「唯ちゃんにも…?」
唯「うん!」
紬「唯ちゃんにも辛いことがあるんだ…」
唯「なんか酷いよムギちゃん…」
心底意外だった
ということは唯ちゃんは自分の辛いことは心の奥にしまって
他人を照らしていたのだろうか
紬「ごめんなさい…」
紬「実は…私…」
どう相談すればいい?
『好きな人がいるの』
『唯ちゃんが好きなの』
『唯ちゃんと離れたくないの』
そんなこと言えるはずない
紬「ううん…私の友達から相談されちゃって…」
唯「それで悩んでたの」
紬「うん…どう答えてあげればいいか…」
唯「そうなんだ…」
紬「うん… よかったら唯ちゃんの意見も聞かせてくれないかしら?」
唯「うん もちろんだよ!」
紬「その子には好きな子がいるの」
紬「でもその子とは結ばれちゃいけないの」
紬「理由は3つあるわ」
紬「ひとつは大切な『仲間』だから」
紬「『仲間』に愛を告白されたっていい気はしないわ」
紬「もうひとつはその子の好きな子…同性なの」
紬「女の子が女の子を好きになっちゃったの」
紬「最後に…なんていえばいいかわからないけど」
紬「好きな子は太陽なの」
紬「みんなを平等に照らしているから」
紬「独り占めしてはいけない」
紬「でも…独り占めしたくなっちゃったの」
紬「どうすればいいの?唯ちゃん」
唯「…」
唯「そうだね…」
唯「私は…結ばれちゃいけない恋なんて無いと思う」
唯「あっちゃだめだよ…」ポロ
唯「そんな悲しいこと」ポロポロ
紬「唯ちゃん…」
唯「それに…」
唯「太陽はみんなを平等に照らしてなんかいないと思う」
唯「多分誰かを必死で照らしていて」ポロポロ
唯「そのついでに周りのみんなも照らしているの」ポロポロ
唯「その誰かは…みんなが温かいのが好きだと思ったから…」ポロポロ
紬「唯ちゃん…」ポロポロ
紬「ありがとう」ポロポロ
紬「ごめんね」ポロポロ
唯「泣かないで」ポロポロ
唯「太陽はそんなこと望んでない」
紬「うん…ごめんね…」グズッ
唯「あと…」
唯「ムギちゃんは嘘が下手だね」
紬「えっ」
唯「エヘヘッ」ダキッ
紬「あっ」
唯「バレバレだよー」
唯「ムギちゃんが私のことそんな風に思ってたなんて…」
紬「な…なんのことかしら?」
唯「凄く顔に出てるもん」
唯「友達のことであんな顔なんてしないって」
唯「それに…」
唯「部活中いつも私のことばっかり見てるもん」
唯「もしかして…違った…?」ウルッ
紬「…」キュン
その上目づかいは反則よ 唯ちゃん
紬「ちがわ…ない…」
唯「エヘヘーでしょー?」
紬「ごめんなさい」
紬「気持ち悪いよね…」
紬「女の子を好きになるなんて…」
紬「もう…好きになんかならないわ」
紬「難しいだろうけど…できれば今まで通りの関係に戻ってくれないかしら?」
紬「私も…できるだけ今まで通りにふるまうから…」
紬「お願い…」ポロポロ
唯「無理だよそんなの」
紬「えっ」ポロポロ
唯「さて問題です」
唯「太陽はどんな人が好きでしょう?」
紬「…わからないわ」
唯「太陽はね」
唯「みんなの事を第一に考えて」
唯「自分の恋心を封印しようとするような」
唯「自分の家がお金持って事を一切鼻にかけないで」
唯「おっとりぽわぽわ暖かい人が大好きです!」
紬「唯ちゃん…」
唯「エヘヘ…なんか恥ずかしいね」
紬「ゆいちゃーん」グズッ
唯「ムギちゃん」ニコッ
紬「ウワーーーン」
私はその後しばらく唯ちゃんの胸で泣いていました
その間も唯ちゃんはずーっとニコニコして私を抱きしめていてくれました
本当に太陽のような子なんだから…
紬「ねえ…唯ちゃん…」
唯「なあに?」
紬「はっきりと言ってなかったから言わせて」
唯「うん」
紬「唯ちゃん 大好きです」
唯「うん」
紬「付き合ってください」
ガタッ
?「おい押すなよ」
?「だっていいところなんだぞ!?」
唯「…」スタスタ
ガラガラ
律「うわー!」
澪「痛たた…」
梓「あっ…」
紬「みんな!?」
律「ごめん…」
澪「なんていうか…」
唯「ムギちゃん…」
紬「唯chチュッ
唯「大好きだよ!」
律澪梓「おぉ…///」
~数日後~
紬「実は曲を作ってきたの~」
律「へーなんて曲なんだ?」
紬「『私の太陽』って曲!」
澪「全く…あの日以来…」
唯「ムギちゃーん」ベタベタ
紬「唯ちゃーん」ベタベタ
梓「お熱いですね」
紬「熱いのは当たり前よ」
紬「だって」
紬「なんだから」
唯「ムギちゃーん」チュー
律「ああもう練習するぞ練習!」
紬「はーい♪」
おまけ
律「なあ…今日ムギと唯が残ったのって…」
澪「確実に告白だな」
梓「ムギ先輩ずーっと唯先輩ばっか見てますもんね」
澪「気付かれて無いとでも思ってるのかな」
律「よし のぞきに行こう!」
澪「おい律!」
律「行くぞマイハニー!」
澪「り…律ぅ///」
梓(あんたたちも気づかれてないとでも思ってるの?)
お わ り
最終更新:2010年08月11日 23:09