唯「ただいまー…」
憂「お帰り、お姉ちゃん」
憂「……」
憂「遅かったね」
唯「えっ、部活がちょっとね」
憂「そう…」
唯「じゃ、じゃあ、私ごはんできるまで部屋にいるねっ」
憂「うん」
唯「また後でね」
憂「」
憂「」トントン
唯「ううっ」
唯(苦しいよ…)
唯(辛いよ…)
唯(私、一体どうすればいいの?)
唯(あずにゃん…)
唯(今すぐ、元気なあずにゃんに会えるのなら)
唯(他のものなんて何もいらないよっ)
唯(ううっ…)
唯(なんで、なんでこんな事になっちゃったの?)
唯(あずにゃん)
唯「あずにゃん」
唯「あずにゃん、あずにゃんっ、私…」
ドンドンッ
唯「!!!?」
憂「おねーちゃん」
唯「なっ、何っ!?」ビクッ
憂「ごはん…」
唯「あぅ、今行くよっ」
憂「」
憂「待ってる…」
憂「早く……ね」
唯「わ、わかったよ」
唯(今の聞こえてないよね?)ビクビク
カチャカチャ
唯「……」モグモグ
憂「……」モグオグ
憂「おねえちゃん」
唯「なに?」
憂「昨日の電話…」
唯「えっ、何のこと…」タジッ
憂「間違い電話」
唯「あっ、ああ、そういえば、あったね」オロオロ
憂「純ちゃん、昨日お姉ちゃんに電話したって」
唯「えっ、ああ、そうだったかな?」オロオロ
憂「」
憂「止めようか、この話し…」
憂「私、言っといたから」
唯「」
憂「梓ちゃんは、一昨日、ココに来てないって」
唯「!!!?」
唯「はあっ、はあっ」ガクガク
憂「」
憂「お姉ちゃん、大丈夫?」
唯「ああっ、うん、平気…っ!」
唯「ごほっ、はあっ、はあっ」
唯「ううっ…」
憂「……」
唯「なんで…」
憂「?」
唯「なんで、そんな『嘘』ついたの?」ハアハア
憂「なんでって…」
憂「『本当』の事だから」
唯「……!?」
憂「ダメかな?」
唯「えっ?」タジッ
憂「『本当』のことつくらない?」
憂「私と…」
憂「お姉ちゃんで」
唯「!!!?」
憂「いい?お姉ちゃん?」
憂「一昨日、梓ちゃんはココへは来なかった」
憂「梓ちゃんがお休みしている理由、私達は知らない…」
唯「えっ、えええっ!?」
憂「これが、『本当』の事」
唯「はあっ、憂っ、まさかっ!?」ガクガク
憂「」
憂「お姉ちゃんの考えている通りだよ…」
憂「お姉ちゃん、知ってるんでしょ?」
唯「いやっ、そんなっ、私しらないよっ!!!!」
憂「」
憂「もういいんだよ」
憂「もう、わかってる…」
憂「お姉ちゃんは知ってるっ」
唯「はあっ、もう、やめて…」
憂「一昨日、梓ちゃんに何があったか」
唯「やめてっ、憂っ!?」
憂「今どうなっているか」
唯「ダメッ!!!聞きたくないっ!!!!!」
憂「」
唯「ふうっ、がぁっ、はあ、はあっ」ブルブル
憂「お姉ちゃんは全部知ってる…」
憂「私と…」
憂「同じように…ね」
唯「!!!?」
唯「ああっ、ああああああっ!!!!!!」
唯「ああああっ、がああぁぁあああっ、ごほっ、げふっ」ガクガク
憂「」
憂「お姉ちゃん…」
憂「私も、辛いの…」
唯「うううっ…」ガクガク
憂「どうすればいいのか、分かんないよ…」
憂「でも」
憂「逮捕だけはダメ」
憂「私達が一緒にいられなくなっちゃうでしょっ?」
憂「それだけはっ!!!」
憂「絶対にっ!!!だめぇっ!!!!!!!!」ドンッ
唯「ああっ!!!?」ビクビク
憂「……」
唯「」ビクビク
憂「ごめんね、大きな声出して…」
憂「でも」
憂「一番大事なことは、私達が一緒にいることでしょ?」
憂「そこから考えたら、これが一番いい方法なの」
唯「ううっ…」
憂「きっと赦してくれるよね…梓ちゃんだって」
唯「!!!?」
憂「勢い余って」
憂「ちょっと」
唯「はあっ、はあっ!!!」ブルブル
憂「ちょっと、『殺しちゃった』くらい…ね」
唯「!!!!?」
唯「ああーっ!!!!」ガクガク
唯「いやーっ!!!いやーーーーっ!!!!!」
憂「お姉ちゃん…」
憂「」
唯「いやっ、いやっ!」ブルブルッ
憂「大丈夫お姉ちゃん?」スッ
唯「!!!?」
唯「来ないでっ!!!!」バッ
憂「!?」
唯「近付かないでぇっ!!!」
憂「……」
唯「ちょっと、一人にさせて…」
唯「わ、私、部屋にもどるからっ!」ダッ
憂「」
憂「……」
憂「お姉ちゃん…」
次の日!
憂「お姉ちゃんっ、帰ってるの?」
唯「お帰り、憂…」グタッ
憂「だいじょうぶ?」
唯「だいじょうぶ、じゃないよ…」
憂「……」
唯「ねえ憂、どうしてこうなちゃったの?」
唯「私達、幸せだった」
唯「つい、数日前まではね…」
憂「……」
唯「私、もう、疲れちゃった…」
憂「えっ…」
唯「疲れちゃったよ…」
憂(お姉ちゃん…)
唯「たった三日が」
唯「百年みたい」
唯「その間、ずっとあずにゃんが私を見てるの」
憂「!?」
唯「あずにゃんがね、カーテンの隙間とか」
唯「少し開いたドアの間とか、ベッドの下とかね」
唯「ずっと見てるの、私を、あずにゃん、ふふっ」
唯「あーーーーーっ!!!」
憂「!?」
唯「はあっ、はあっ」ガクガク
唯「いつまで続くの?こんなこと?」
唯「あと何百年?何千年?ふふっ」
憂「……」
憂「そうなの、わかったよ」
憂「ごめんねお姉ちゃん、苦しかったね…」
憂「ううっ」
憂「ああっ、うああっ…」ポロポロ
憂「ううううっ、はあっ、ひっく」ボロボロ
憂「あーんっ、わーんっ」グシャグシャ
唯「憂!?」
唯「泣かないで憂っ」グスッ
唯「私がここにいるから」ダキッ
憂「おねーちゃーーーん!!!!」
唯「ううっ、ういーっ」
憂「おねえちゃん、お姉ちゃん」
憂「なんで悲しい事はあるのかな?」
憂「なんで、人を傷つけたり、傷つけられたりするのかな?」
憂「わかんないよー!」
唯「ごめんね憂、お姉ちゃんバカだからわかんんない」
唯「だっこしか、してあげられない…」
憂「おねーちゃーん!お姉ちゃん!」グスグス
唯「ういーっ」ダキッ
憂「……」
憂「」
憂「そろそろはじめなきゃ」
唯「えっ憂?」グスッ
憂「澪さんが感づいてる」
唯「澪ちゃんが?」
憂「もしかしたら」
憂「私が今からすることも予想してるかも」
唯「えっ、憂、何をするの?」
憂「捨てて来るんだよ」
憂「梓ちゃんの死体」
唯「!!!!?」
憂「行こうお姉ちゃん、私一人の力じゃ大変だよ」
唯「いやっ、いやーーーーっ!!!!!」
憂「お願いお姉ちゃん、言う事を聞いて」
憂「協力してくれないと、私達、一緒にいられなくなっちゃう」
唯「やだよっ!!!行きたくないっ!!!!あずにゃんを見たくないっ!!!」
憂「いいから来てっ、私達の為なのっ!!!!!」グイグイ
唯「やだよーっ!!!」
憂「お姉ちゃんも、梓ちゃんの場所知ってるよね?」
唯「ガレージから入る…地下の倉庫…」
憂「そこにお父さんが使ってた、大きな古い旅行鞄があるの」
憂「梓ちゃん、小柄だから入ると思うのっ」
唯「そんなものにあずにゃんを入れて、どうするの?」
憂「埋めるためには掘らなきゃいけないから」
憂「海まで行って、鞄ごと捨てようっ」
憂「中に石をいっぱい入れて、紐や鎖でしっかり縛ってね!」
唯「そんな事したくないよーっ!!!!」
憂「私達姉妹が一緒にいる為だよっ!?」
憂「いいの?これから私がいなくなっても?」
唯「ううっ」オロオロ
憂「さあ、早くっ!部活があるから少し時間があるけど」
憂「澪先輩が来るかもしれないよっ」
憂「あの人は油断ならないからっ」
憂(本当は…わざと来るように仕向けたんだけどね)
憂「さあっ行くよ、お姉ちゃん!」グイッ
唯「ううっ、う…」ヨロヨロ
地下の倉庫
憂「ここだね、お姉ちゃん」
唯「うっ…うん…」
憂「梓ちゃん、ビニールシートに包まれてる」
唯「……」
憂「なんか液が出て汚くなってるよ」
憂「拭いてあげれたら良かったんだけど…」
憂「お姉ちゃんも、見る?」
唯「ああっ!嫌だよっ!!!!」ブルブル
憂「ダメだよちゃんと見ないと…」
憂「大好きな梓ちゃんでしょ?」グイッ
唯「きゃっ!」
唯「!!!!?」
唯「うっ」
唯「おえっ、おええっ!!!!」ゲボゲボ
憂「なんだかもう、梓ちゃんだかわかんないね」
唯「おえっ、おええっ」
憂「お姉ちゃん…」
唯「私、無理だよっ、それっ、運べないよっ!!!!!」
唯「ダメだよっ!出来ないよっ!!!」ガクガク
憂「……」
憂「うん」
憂「わかってた」
唯「えっ?」
憂「ごめんね、梓ちゃんを運ぶってのは嘘なの」
唯「どういうこと?」
憂「うん…」
憂「はじめは本当に、梓ちゃんを海へ捨てに行くつもりだったけど…」
憂「私が帰ってきてからの、お姉ちゃんの様子を見てると、気が変わったんだ…」
憂「こんなこと、お姉ちゃんには辛すぎるよ」
唯「憂…」
憂「このまま計画がうまくいっても、私とお姉ちゃんは救われない」
憂「たとえ、生涯この罪がばれなくても」
憂「その分、生涯苦しみ続けなきゃいけないの…」
憂「私達、どうすればいいと思う?」
憂「現実に向き合うの?嘘をつき続けるの?」
憂「本当は辛いし、嘘は傷つくし」
憂「あははっ、どっちもいやな事だね」
唯「憂!?一体どうするつもりなの?」
憂「おねえちゃん…」
憂「終わりにしよう」
憂「もう、これしか無いんだよ…」
唯「えっ?ちょっと憂!?」
憂「ごめんねお姉ちゃん」
憂「ごめんねっ、ごめんねっ」
唯「憂っ、何する気なのっ?」
憂「お願いっ」
憂「私の頼みを聞いて」
憂「お姉ちゃん…」
唯「…!?」
憂「お姉ちゃん、自首してっ!」
唯「!!!!?」
最終更新:2010年08月14日 22:09