#3
『物語!』


むかしむかし、とある町に一人の小さい女の子が住んでいた。
名前は梓。
梓はギターが得意で、少し生意気だった。


梓「なまいきじゃないもん!」

律「なまいきだろー!すくなくともわたしにはー!」


梓は今日もお友達と遊んでいる。


純「あずさー、あそぼうよー」

唯「あずさちゃ~ん、ギターおしえて~」

梓「もう、きょうはひとりであそびたいの!」

梓はとても人気者でした。
色々な子たちから引っ張りだこです。

憂「ごほっ、ごほっ」

梓「うい?だいじょうぶ?」

憂「うん…ちょっとかぜひいたみたい」

唯「わたしがいえまでおくってあげる」

憂「ありがとう、おねえちゃん」

梓「じゃあわたしは」

律「プロレスごっこだー!」ガバッ

梓「いたい!?」

律「どうだ!まいったか?」

梓「ふぇーーん!」

律「あっ…」

澪「こら!なかせてどうする!」

律「ご、ごめんよぉ…」

紬「だいじょうぶ?」

梓「りつのやつがいじめた~!」グズッ

律「ち、ちがうよ!わざとじゃないもん!」

梓「もうりつなんてだいっきらい!」

律「わたしだってきらいだ!」

澪「ふ、ふたりとも…」オロオロ

梓「ふんだ!」

律「ふん!」



平沢家


憂「ごほっ、ごほっ!」

唯「だ、だいじょうぶ?」

憂「うん…だいじょうぶだよおねえちゃん」

憂「ごほっ…けほっ」

唯「びょ、びょういんいかないと!」

憂「お、おおげさだよおねえちゃん……ただのかぜだから」

純「ねぇあずさー、なかなおりしてあげなよー」

梓「いや!わたしわるくないもん」

純「でもなかなおりしたほうがいいでしょ?」

梓「むぅ…」

純「あしたはちゃんとなかなおりするんだよ?」

梓「……かんがえておく」



翌日
梓たちが遊んでるいつもの公園に、今日も子供達が集まって来ました。
ただそこには唯ちゃんと憂ちゃんの姿はありません。


紬「どうしたのかな?」

澪「ねつでもあるんじゃない?」

律「……」

梓「……」

純「ほら、あずさ」

梓「あっ…」

律「……」

梓「その……」

律「……」

梓「…わたしはわるくないから」

純「だめだこりゃ」

律「あっそ」

梓「むっ…だいたいそっちがわるいんだからね!」

律「……」

梓「なんかいいなよ!」

律「…かえる」

梓「えっ…」

律「ちょうしわるい…」

澪「りつ?」

梓「に、にげるの!?」

律「……」

澪「わたしもいっしょにいくよ、りつ」

紬「わたしも」

梓「もう!なんなのよ!」

純「しゅがないよ、たいちょうわるそうだったし」

梓「だって…ちゃんとあやまろうとおもったのに…」

純「あしたあやまればいいじゃん」

梓「むぅ…」

純「それにしても、きょうはなんかしずかだね」

梓「…ほんとだね」


梓たちが帰路に着くときいつも歩いている大通りには、普段人がいっぱいでした。
しかし今日はなぜだか人通りがいつもの半分以上に減っています。
それに加えて、町は眠っているかのように静かになっていました。


翌朝、梓はいつもより遅くに目覚めました。
普段なら母親が起こしてくれるのに、今日は来ませんでした。
不安に思った梓は一階へと下りていきます。


梓「おかあさん…?」


太陽の日差し。
朝の気持ちいい空気。
鳥のさえずり。
テレビのニュース
いつもと変わらない光景のはずでした。


母「……」

父「……」

梓「ふたりとも…なんでまだねてるの?」

梓がいくら起こしても二人は起きませんでした。
疲れているのだろうか。
そう思い梓は二人に布団をかけると、ご飯を食べ出かけました。

いつもの公園に行けばみんなが待ってる。
今日こそは律に謝ろう。
梓は歩を進めます。


律「……」

梓「りっちゃん…?」

梓「こうえんでねてたらかぜひくよ?」

律「……」


律「……」

梓「ねぇ、りっちゃんってば!」

律「……」

梓「もう…せっかくあやまりにきたのに」

律「……」

梓「…おきたらあやまろう」

梓(だれもこない……みんなまだねてるのかな?)

律「……」

梓「おーい、りっちゃーん」

律「……」

梓「はぁ…」

梓「そういえば、ここにくるちゅうでだれもいなかたような…」

梓「みんなどうしたんだろう…」



その日、律はそのまま目覚めませんでした。


翌日
防護服を来た人たちがトラックに眠っている人たちを詰めこみ
どこかに連れて行き始めました。

「おい、この子たちもそうだ」

「全員処分だ」

澪「……」

紬「……」

律「……」

純「……」



梓(…みんなどこにいっちゃうんだろう)


何ヶ月経ったのでしょう。
町の人は誰一人帰って来ません。
梓はそこでやっと、「みんなが死んだ」のだと理解しました。


梓「…さむい」

梓「体調わるいかも…」

梓「……」

梓「結局……謝れなかったなぁ…」

梓「……」

梓「ごめんね……りっちゃん」


そう呟いても誰も答えてくれませんでした。
梓はそのまま一人ぼっちで町をさ迷い続けました。

おしまい



――――――
――――
――



梓「!?」ガバッ

梓「はっ、はっ…」

梓「……夢?」




学校
キーンコーンカーンコーン

律「よーし!今日も部活だー!」

梓「……」

律「ん?どうした梓」

梓「……」ダキッ

律「なっ!?///」

梓「……」

律「は、離せって!」

梓「よかった…」

律「はぁ?」

梓「律先輩…ごめんなさい」

律「いや…なにが?」

梓「私、今日から律先輩と仲良くなります」

律「は?」

梓「えへー」

律(気持ち悪っ!?)


梓「律先輩もあずにゃんって呼んでいいんですよ?」

律「誰が呼ぶか!とりあえず離れろって!」

梓「呼んでくれるまではなしませーん♪」

律「うわああああっ!?梓が変な病気になったーーー!!」


澪「なにやってんだあいつら」

紬「うふふ、楽しそうね」


#3
『物語!』 おわり



最終更新:2010年08月18日 01:50