#10
『旅行!』


純「おはよう、今日もいい天気だね」

梓「遅刻」

純「今日は絶好の旅日和だ!」

梓「一時間遅刻してる」

純「…すいません」

憂「ふふっ」

梓「もう、純が誘ったのに」

純「ごめんごめん、早く電車乗ろ?」


ガタンゴトン、ガタンゴトン


純「この前プールに行ったきり真っ黒なままだね、梓」

梓「はぁ…夏はしょうがないよ」

憂「ところで純ちゃん、どこに行くの?」

純「ん?」

梓「そういえば、まだ聞いていなかったけど」

純「実はネットで調べたんだけど、ここのホテルがいいらしんだよ」

純「ほら、温泉やプールもある」

梓「おぉ…」

純「ね?凄いでしょ?」

憂「アルバイトしておいてよかったね~」

純「早く着かないかな…楽しみ」


純「とうちゃーく!」

チュンチュン、チュンチュン

純「……」

梓「……」

憂「……」

梓「…ここどこ?」

純「すごいね、何もない」

憂「どこかの田舎かな?」

梓「…こんな所にリゾートホテルなんかあると思えないんだけど」

純「……」

梓「まさか道間違えた?」

純「旅ってさ、目的地につくことが大切じゃないと思うよ」

純「その途中で見たものや経験したことが、後々に宝物になるんじゃないかな?」

梓「間違えたんだね?」

純「……はい、おっしゃるとおりです」

憂「これからどうしよっか?」

純「もう遅いし…どこか泊まれるところ探そ」

梓「…泊まれる所あるの?」

純「山、山、山…山だらけだ」

憂「あっ、ここに地図が貼ってあるよ」

梓「何もないね…」

純「川はある…」

憂「泊まれる所……あった」

憂「ここから2キロぐらい歩いたところに民宿があるよ」

純「2キロ…」

梓「とりあえずそこに行こっか」

ミーンミンミンミン
ジ~~~ッ


純「つかれた~…」

憂「頑張って、純ちゃん」

梓「コンビニもないね」

純「人住んでるのかな…ここ」

梓「怖いこと言わないでよ…」

憂「あっ、ついたよ」

憂「すいませーん」

「はい…」

憂「あの…ここって今日空いてる部屋ありますか?」

「はい、ございますよ」

「三名様ですか」

憂「はい」

「ではこちらへどうぞ」

純「よかった、人はいるみたい」

梓「ほっ…」


純「あ゛~~!もうくたくた~」

「では夕飯の支度ができましたらお呼びしますので」

憂「お世話になります」

純「テレビつけよっと」

梓「結局リゾートホテルに泊まれなかった…」

純「何も知らない所でも、テレビつけてると安心できるよね」

純「なんでだろ?」

梓「知らないよ…」

梓「だいたい、純のせいでこんな所に来ちゃったんだからね」

憂「まぁまぁ、梓ちゃん」

純「しょうがないよ、来ちゃったものは」

純「とりあえず楽しもうよ」

梓「……何を?」

純「…そういえば何もないね、ここ」

梓「……」

純「田舎は退屈だよ~!!」



夕飯


「そういえば皆様はどうしてこんな田舎へ?」

純「いや~ははっ…ちょっと道間違えちゃいまして…」

「そうですよね、こんな何もないところにわざわざ来る理由もないでしょうに」

梓「そ、そんなことないですよ…ここご飯美味しいですし」

「そうだ、皆さん知っています?この村にはどこかにお宝が隠されているんですよ」

憂「お宝?」

「えぇ、戦国時代かなんかにどこかの大将が、金みたいなのをこの村に埋めたとか埋めてないとか言い伝えが…」

純「金!?」

梓(なんか適当な言い伝え…)

「もしかしたら、探せば見つかるかもしれませんね」

憂「ふぅ、ご飯美味しかったね」

梓「テレビつけよっと」

純「ねぇ、明日金を探そうよ!」

梓「本気で信じてるの?さっきの話」

純「だって面白そうじゃん」

憂「そうだね~」

梓「憂まで!?」

純「よし、じゃあ決定!」

梓「はぁ…」

純「そうと決まれば今日はお風呂入ってすぐ寝よう!」



就寝


憂「じゃあもう電気消すね」

梓「うん」

純「おやすみー」

パチッ

純「……」

梓「……」

憂「…グズッ……お姉ちゃん…」

梓「憂?」

憂「お姉ちゃん……会いたいよぉ……」

梓「突然どうしたの!?」

純「ホームシックかな?」

憂「お姉ちゃん……」

純「あぁほら憂、寂しくないよ!」

梓「そうだよ、私たちがいるんだから!」

憂「お姉ちゃ~ん…ふぇぇえん」

梓「そこまで!?」

純「きっといきなり知らないところに来ちゃったから、今まで積もってた不安が爆発しちゃったんだね」

憂「ふぇえぇぇん」

純「あ~、よしよし」

梓「何だかんだで憂も不安だったんだ」

梓「全部純のせいだね」

純「私が悪いの!?」

憂「ふぇぇええぇん」

純「あぁ、ごめんねごめんね」

憂「すやすや……」

純「はぁ…ようやく寝てくれた」

梓「私も寝よっと」

純「…なんかここ幽霊とか出そうだよね」

梓「やめてって、そうこと言うの」

純「ぐぅ…ぐぅ…」

梓「…寝つきはやっ」

梓「まったく、不安を煽るようなこと言って寝るなんて…」

梓「…私も寝よ」



翌朝


梓「う…うぅん…」

梓(朝…起きなきゃ…)

梓「……あれ?」

梓(体が動かない!?)

純『…なんかここ幽霊とか出そうだよね』

梓(まさか…えっ、うそ)

梓(金縛り!?)


梓(ど、どどっどどうしよう!)

梓(まさか本当に幽霊がいたなんて…)

純「ぐぅ…ぐぅ…」

梓「……」

梓「なんで私の上で寝てるの、純…」

純「すやすや…」

梓「人を怖がらせて!」ゴチン

純「いたっ!?」

梓(はぁ…疲れる…)


#10
『旅行!』 おわり



最終更新:2010年08月18日 02:03