梓「先輩達が殴り合ったりしてるんでしょ?」
純「そうだよ!憂が止めようとしてるんだけど、全然駄目なんだよ」
澪「あいつら・・・!」
紬「予想を裏切らない二人ね」
梓「先輩!」
律「う・・・。よし、みんなで行こう。な?」
純「なんでもいいから早くー!」
律「ごめんごめん。よし。んじゃ行くぞ!」
澪「あぁ!」ヒラヒラ
紬「急ぎましょう!」ヒラヒラ
梓「純!案内して!」ヒラヒラ
純「オーケー!こっちだよ!」ダッ
律「おう!」ダッ
カンカンカンカン・・・!
純「場所は3年生の廊下です」
律「そうか。人目も憚らず何をしてんだ、あいつらは・・・」
純「なんていうか、律先輩ってやっぱり部長なんですね」
律「へ?なに?急に」
純「ほら、今もこうして仲間のために走ってるじゃないですか」
律「当たり前だろー?な、みんな?」クルッ
シーン
律「誰もいない!!?」
純「え?最初から誰もついてきてませんでしたよ?」
律「」
純「みんな手を振って見送ってましたし」
律「道理であいつらのセリフの後がやけにヒラヒラしてたワケだ!」
教室
和「ねぇ、さっきのなんなの?」
パシッ
唯「和ちゃんこそあれはやりすぎじゃないのかな?」
パシッ
和「何言ってるのよ、最初に手を出してきたのは唯の方でしょ?」
パシーン
唯「そうだっけ?よく覚えてないや」アハハ
パシーン
律「な、なぁ・・・」
純「なんですか?」
律「さすがにあの中に割って入るのはちょっと」
純「えぇぇぇ・・・」
律「なんであいつら笑顔でビンタし合ってるんだよ、絵的に怖すぎるだろ」
憂「全く、困ったものですよねー」
律「憂ちゃん!?」
憂「あ、こんにちは。お昼ぶりですね」ニコッ
律「んあ、あぁ。それよりこれは・・・?」
憂「さっき帰る前にお姉ちゃんのとこに寄ったんです」
律「唯のところに?」
憂「はい。お弁当箱だけ私が持って帰ろうと思ったんですよ」
律「なるほどな。それで?」
憂「私がこの教室に来たときにはもう叩き合ってました」
律「なっ」
純「怖いよね。憂がいくら話しかけても無視だもん」
憂「うん。エキサイトしてるのはわかるけど、ちょっと寂しいな」
律「いや、エキサイトとかそういう問題じゃないだろ」
憂「え?」
律「え?」
憂「和さんも普段は大人だけど、お姉ちゃんのことになると周りが見えなくなっちゃうみたいで・・・」
律「・・・憂ちゃん、聞いてくれ」
憂「なんですか?」
律「私は唯達が喧嘩か何かしてるんじゃないかと心配してるんだけど・・・」
憂「喧嘩?それはないですよー」アハハ
律「そうなのか?」
純「じゃあなんで二人は叩き合ってるの?」
憂「じゃれてるだけだよ」
律「度が過ぎるだろ」
憂「あっ。でも、確かに喧嘩と言えば喧嘩かも」
律「ほら、やっぱり喧嘩じゃないk」
憂「と言っても、悪い喧嘩じゃないですよ」
純「喧嘩にいいも悪いもないでしょ」
憂「なんていうのかな、痴話喧嘩みたいな」
律「ち、痴話喧嘩・・・?」
憂「なんていうか、お姉ちゃんも」
スパーン!!
律憂純「!?!?!?」
和「ったいわね・・・今のは効いたわ」
唯「そう?ごめんね」
律「お、おい・・・お前ら」
スパーン!!
唯「あぅ、ったぁ・・・」
和「お返し」
純「あの、二人とも?」
唯「お返しっておかしいよ。元々和ちゃんが悪いんだから。私が叩いてそれでおしまいでしょ?」
和「あんたこそおかしいわよ。先に仕掛けてきたのはどっちよ」
律「おい、憂ちゃん。これのどこが『悪くない喧嘩』なんだ?」
憂「う、うーん・・・あはは」
純「ちょっと、笑って誤魔化さないでよ」
憂「お姉ちゃん!和さん!」
唯「・・・何?」
和「後ででいい?」
憂「駄目だよ!律さんも純ちゃんも戸惑ってるでしょ?」
唯「・・・」
憂「どうしてもって言うなら続きは家でしてください。うちなら私とお姉ちゃんしかいませんから」
和「結構よ。私は唯にわかってもらいたかっただけよ」
憂「でも・・・」
律「なぁ」
純「なんですか?」
律「私、ここに来た意味あるか?」
純「あまりないですね」
律「お前友達少ないだろ」
純「よく言われます」
帰り道
律「・・・」
澪「おーい、律?」
律「なんだよ」
澪「さっきから元気ないぞ?」
律「そんなことないよ」
澪「いや、あるって。どうしたんだ?」
律「澪達が唯と和の喧嘩を一緒に止めてくれなかったから」
澪「あ、いやぁ・・・あはは。それは、本当にごめん」
律「冗談だよ」
澪「え?」
律「唯と和の喧嘩、どうにかなんないかなーと思って」
澪「そのことか。私も気になるけど、二人とも『普通だよ?』なんて言うからそれ以上突っ込めないんだよな」
律「あぁ。でも、ここまで来るとそうも言ってられないだろ?」
澪「そうだけど・・・」
律「唯、口の中切れてたぞ?」
澪「おおお思い出させるなよ!あれは、本当に痛そうだったな・・・」
律「憂ちゃんはじゃれてるなんて言ってたけど、やっぱ変だって」
澪「だよなー」
律「いつからだっけ、二人があんな風になったの」
澪「・・・一ヶ月くらい前だったと思う」
律「最初はちょっと小突くくらいだったよな」
澪「あぁ。あの時は唯に『澪ちゃんとりっちゃんはやりすぎだよー』なんて笑われたけど・・・」
律「やりすぎなのは唯達だよな。流石にあれはちょっと・・・」
澪「何か理由があるみたいだよな」
律「あぁ、憂ちゃんが事情を知ってそうなんだ」
澪「そうなのか?」
律「うん。上手くはぐらかされちゃったけどな」
澪「・・・」
律「私達は元々叩いたりするコミュニケーションがあったけど、唯達は急にだもんな」
澪「うーん、唯達に聞いても駄目っぽいし。憂ちゃんに聞いてみるか」
律「それしかないな。・・・唯は和がいないと普段どおりっていうのが逆に性質悪いんだよな」
澪「私達に内緒にしたいことでもあるのかな」
律「うーん、どうだろ」
澪「そうだとしたら勝手に憂ちゃんに探り入れる様な真似すべきじゃないんじゃないか?」
律「じゃあどうするんだよ」
澪「うっ、それは・・・」
律「ずーっと黙って見てろっていうのか?友達が怪我しても?」
澪「そ、そうは言ってないだろ!?」
律「じゃあ何が言いたいんだよ」
澪「だから・・・どうして喧嘩するのか、唯と和の口から聞いた方がいい、と思う」
律「それが出来たらそうしてるだろ」
澪「憂ちゃんに聞くのが一番早いんだろうけど、それは最終手段だ。正直、私達も二人のそれをスルーしてたところあっただろ?」
律「う、まぁな。特に最初はふざけてるのかなーくらいにしか思ってなかったよ」
澪「だろ?それが少しずつエスカレートしてこうなってるんだ。私達はまだ打つ手を全て打ったとは言えない」
律「確かに考えればもう少しマシな方法が思いつくかもな」
澪「あぁ。梓やムギにも言って真剣に考えてみようよ」
律「おっけー」
澪「それじゃ、私帰るな」
律「おう。家の前で長々と喋っちゃったな」
澪「いいよ。それじゃな」
律「ん。梓とムギには私から後でメールでもしとくよ」
なかのけ
梓「ふぅ、さっぱりした」フキフキ
梓「暑い・・・部屋着着たくないなぁ」
梓「ま、そういうワケにもいかないんだけど・・・」
梓「・・・」モソモソ
梓「あっつ・・・」
ピピピンピン♪
梓「あれ?メール?」
梓「誰だろ」ピッ
梓「律先輩・・・?」
『よっ!最近の唯と和、どう見てもおかしいよな?
私達でどうにかあの二人を止めないか?今まで軽く見てたけど、
ここら辺で止めてやらないとマズイと思うんだ。』
梓「・・・律先輩」
梓「たまにはあの人もいい事言うんですね」
梓「確かに、このところの二人はおかしい」
梓「でも、止めるってどうやって・・・?」
梓「うーん・・・律先輩に電話しようかな」
ムギの家
紬「それじゃ、おやすみなさい」
斉藤「はい。おやすみなさいお嬢様」
バタンッ
紬「ふぅ。明日の時間割は・・・」
紬「・・・」ゴソゴソ
紬「・・・!」
紬「ケータイが光ってる?」スクッ
ピロピンロピ♪
紬「あら、またメール?」トテトテ
紬「誰かしら・・・?」カチャ
紬「唯ちゃん?」ピッ
紬「こんな時間にどうしたのかしら」
『和ちゃん、私・・・やっぱり無理だよ』
紬「・・・?」
紬「これは、何かしら・・・」
紬「和ちゃん?間違って私に送っちゃったのかな?」
紬「・・・」
紬「あ、そういえば最初にケータイが光ってたのは誰からだったのかしら」
紬「・・・あ、りっちゃんだ」
紬「私達でなんとか、か。・・・うん、してあげたい」
紬「このメールの件は、りっちゃんに言ったほうがいいのかな」
紬「『無理だよ』って、どういうこと・・・?」
紬「うーん」
プルルルル!
紬「きゃああ!!」
紬「で、電話・・・!?」
紬「あ、唯ちゃんからだわ!」
紬「ど、どうしよう・・・」
紬(この電話に出たらきっと『今のメールのことは忘れて!あと内緒にしてね!』ってなんて言われる。
それを言われたら黙ってるしかないわ。つまり、この電話には出ない方がいい・・・?
でも友達の電話を無視するなんて・・・。だけどこのメールは『最近の二人はやっぱり
何かしら理由があってああいうコミュニケーションを取っているんだ』と証明する重要なもの。
りっちゃん達に報告したい、けど)
紬「あぁもう!やっぱり友達の電話を無視するなんて出来ない!」ピッ
紬「もしもし、唯ちゃん!?」
「残念、ハズレ」
紬「・・・え?」
和「私よ、和」
紬「あれ?どうしたの?」
和「唯が間違って変なメール送ったでしょう?」
紬「あ、う、うん・・・あれって」
和「そのことなんだけど、なんでもないから気にしないで」
紬「え、ちょっと待って」
和「それじゃ」
紬「待ってってば!」
和「!?」
紬「そうやってはぐらかそうとしても駄目よ」
和「・・・」
紬「ねぇ、何があったの?最近の二人は、傍から見てても変よ?」
和「それは、言えないわ」
紬「どうして?」
和「・・・」
紬「どうして唯ちゃんのケータイから電話してきてるの?今一緒にいるの?」
和「それも言えない」
紬「言わなくてもわかるわよ。わからないから聞いてるんじゃないの、わかってるけど確認してるの」
和「え・・・?」
紬「一緒にいるの?っていう聞き方が悪かったかしら。言い直すわ。一緒にいるんでしょ?」
和「・・・えぇ、そうよ。ムギには敵わないわね」
紬「また喧嘩してるの?」
和「喧嘩なんて、してないわ」
紬「さっきね、りっちゃんからメールがきたの」
和「律から?」
紬「えぇ。二人の様子がおかしいから、なんとかしたいって」
和「そう・・・みんなに迷惑かけちゃったわね」
紬「迷惑なんかじゃないわ。私達は心配してるの」
和「えぇ、わかってるわ」
紬「何があったの?」
和「・・・」
最終更新:2010年08月21日 03:18