唯「ねぇムギちゃ~ん」

紬「なぁに?」

唯「なんで私たち病院に入っちゃダメなんだろうね?」

紬「う~ん…お邪魔だからじゃないかな?」

唯「えぇっ!?なんで~…」

紬「うふふ。…ねぇ唯ちゃん」

唯「なに?」

紬「時間があるなら…これから二人でどこか遊びに行かない?」

唯「あっ、それいいかも」

紬「じゃあ行きましょうか!」

唯「うん!あっ、待って…」

紬「どうしたの?」

唯「帰りが遅れる前に、憂に連絡しないと」


憂「はぁ…お姉ちゃんは紬さんと遊んでるし…今日は一人かぁ…」

ピンポーン

憂「はーい」

ガチャッ

和「こんばんわ」

憂「あっ…和ちゃん」

和「唯いる?学校に忘れ物があったから届けに来たんだけど」

憂「お姉ちゃんは帰りが遅くなるって…」

和「そう…分かったわ」

憂「あの、和ちゃん」

和「なに?」

憂「よかったら、夕飯…一緒に食べて欲しいなぁって…」

和「え?」

憂「えへへ」

和「…いいわよ」


……

梓「……」

律「落ち着いたか?」

梓「…はい」

律「よかった、本当に殺されると思ったぜ」

梓「……」

本当は落ち着いてはいない。

顔が熱い。
心臓がはちきれそうだ。
穴があったら入りたい。

律「…なぁ梓」

梓「は、はい!」

律「…ありがとな」

梓「えっ…」

律「梓の本当の気持ち…知れてよかった」

梓「……」

律「私さ…お前に嫌われてると思ってたんだ」

梓「……」

律「なんか私に対して冷たいし、そっけないし…」

梓「…ごめんなさい」

律「いや、いいんだよもう。本当のこと知ったから」

梓「うっ…」

律「それにしても梓が私のこと、キスしちゃうぐらい大好きだなんてなー」

梓「ち、違います!!あれは…ついちょっとうっかりしょうがなくて!!」

律「なんだそれ…」

梓「うぅ///」

律「なぁ、梓」

梓「…な、なんですか?」

律「私もお前のこと、大好きだぞ」

律「好きだ、一人の女の子として。愛してる」

梓「なっ、ななななにをっ!?」

律「私は梓が好きだ!大好きだ!!」

梓「あっ…えっと…」

律「まだ言わせるのか?梓ー!好きだー!愛してるー!!」

梓「わ、分かりましたから叫ばないでください!!」

律「へへっ」

梓「もう///」

律(よかった…本当によかった。梓と分かり合えて本当によかった)

梓「あ、あの…」

律「なんだ?」

梓「本当に…私でいいんですか?」

律「当たり前だろ!私はお前を超愛してるんだからなっ!」

梓「私も…律先輩のこと超愛してます」

律「なんだとぉ!?じゃあ私は超超愛してる!」

梓「な、なら私は超超超愛してます!!」

律「だったら私は……ぷっ」

梓「ふふっ」

律「あははっ、何くだらないことで張り合ってんだよ」

梓「律先輩こそ、子供じゃないんだから」

律「なにぃ?生意気なことを言うのはこの口か!お仕置きだ!」

梓「きゃー♪」

律先輩に抱きしめられる。

力強い。
なんか落ち着く。
幸せな気分だ。

梓(そっか、私…ずっとこうされたかったんだ)

梓「あの…律先輩」

律「んー?」

梓「もう一度…キスしてもいいですか?///」

律「その前に…」

梓「え?」

律「中野梓さん、私と付き合ってください!」

梓「律先輩…」

律「ほら、早く答えてくれよ。改めてやると恥ずかしいんだからさ…」

梓「ふふっ…はい、喜んで」

梓「こちらこそ、よろしく願いします」

律「よっし!」

梓「律先輩…大好きです」

律「私も…」

見つめ合う二人。
キスするまでそう時間はかからなかった。

唇と唇が触れ合う。
あたたかい。

ずっとすれ違っていた私たちは、ようやく交わることができた。
嬉しくて涙が出てくる。

律「泣くなよぉ…」

梓「律先輩こそ」


律「…なぁ梓、いっこ聞いていいか?」

梓「なんですか?」

律「私のどこが好きなんだ?」

梓「そうですねぇ…お姉ちゃんみたいなところ?」

律「へっ?」

梓「私一人っ子なんですけど、姉妹が欲しかったんです」

梓「それで、律先輩みたいなお姉ちゃんもアリかな…と」

律「…恋人じゃなくて?」

梓「お姉ちゃんみたいな恋人ですっ」

律「なんじゃそりゃー!」

梓「きゃー♪」

また律先輩に強く抱きしめられた。
癖になりそうなぐらい気持ちい。
幸せだ。

私たちが付き合ったことなんて、世界規模で考えればちっぽけな事かもしれないけど…
たぶん私は、世界で一番の幸せ者に違いない。

梓「律先輩…大好き」



数ヵ月が経った。
文化祭も最後のライブも全部終わり、三年生は本格的に受験勉強を始めている。

そして冬休み。
私は律先輩の家に遊びに来ていた。

梓「本当に来ちゃってよかったんですか?勉強の邪魔になるんじゃ…」

律「いいっていいって、梓がいる方が集中できるんだよ」

梓「そう言って、落ちたら私のせいにしないでくださいよ?」

律「任せろって!」

梓「不安だ…」

律「なにぃっ!?」

梓「あっ、でも落ちたら落ちたで私と同学年になるかもしれませんよね」

梓「それはそれでいいかも…」

律「そ、それだけはご勘弁をっ!!」

梓「ふふっ、じゃあ勉強頑張ってくださいよ」

律「はいっ!」

梓(私もちょっとは勉強しておこうかな…)

律「なぁ、梓」

梓「はい?」

律「春休みになったらどっか遊びに行こうな」

梓「いいですね」

律「私、合格できるよう頑張るから」

梓「はいっ!」

律「だから…息抜きにキスしていい?」

梓「なんでそうなるんですか…」

律「なー、いいだろー?」

梓「…ふふっ、いいですよ。断る理由はありませんし」

律「やった!」

律「じゃあ…いくぞ?」

梓「はい」

律「んっ…」

梓「んむっ…」

律先輩と口づけをする。
毎回ドキドキしてしかたがない。

唇どうしがくっつくだけではなく、舌まで絡ませるようになった。
律先輩の口の中は温かく、優しい。
体までポカポカしてくる。

寒い冬なんて吹き飛んでしまいそうだ。

ずっとこうしていたい。

律「梓…今日はもう一足踏み込んだことする?」

梓「もう…先輩のエッチ///」

願わくば、この温もりが永遠に続きますように…




おわり



最終更新:2010年08月23日 21:30