私と律先輩が付き合い始めて二年近くが経ちました。
ケンカしたり色々あったけど、今でも仲良く関係は続いています。

大学に入学した私は、律先輩と一緒にアパートでルームシェアを始めました。
ちなみに律先輩とは別の大学に通っています。



梓「ふあぁ…」

梓「……」

梓(もう朝か……起きなきゃ)

カチッ、カチカチッ

梓「あ、あれ?電気がつかない?」

ガチャッ

律「おーっす、ただいまー」



梓「あっ…律先輩」

律「いやー、遅くなってごめんごめん。バンドの練習がさぁ…」

梓「それより、電気がつかないんですけど」

律「え?なんで?」

梓「…電気代払いました?」

律「……あっ」

梓「昨日払っておいてって言ったじゃないですか!」

律「ご、ごめん…うっかりしてて」

梓「はぁ…後で私が払いに行きますよ」

律「あ~…その~…」

梓「どうしたんですか?」

律「そっかー…だから財布にお金がいっぱい…」

梓「え?」

律「……」

梓「…まさか、使っちゃったんですか?全部」

律「…きゃはっ」

梓「どうするんですか!今月苦しいのに!」

律「すいませぇーん…」

梓「はぁ…アルバイト週3に増やそうかな…」

律「それより眠い…私ちょっと寝るわ」

梓「もう、勝手なことばっか」

律「ぐー…すぅー…」

梓「…寝ちゃった。ちゃんと布団かけないと風邪ひいちゃいますよ」バサァ

律「ぐー…」

梓「まったく、律先輩は相変わらずだなぁ」

律「ん~…むにゃむにゃ…」

梓「…もうそろそろ学校に行かなきゃ」

律「ぐー…ぐー…」

梓「行ってきます、律先輩」チュッ

律「ぐー…」

梓(電気代は…しょうがない、無理して払うしかないか)

梓(はぁ…お金貯めて二人で旅行とか行きたかったのに)



律「ぐー……」

律「……」

律「……」

律「ふっ…ふがっ!?」

律「う、うーん……」

律「……」

律「…・…」キョロキョロ

律「…梓ー?」

律「…学校か」

律「てか今何時?……もう昼か」

律「ふあぁぁっ……」

律「……」

律「ねむっ…バイト行かなきゃ」



大学


梓(今日は早く帰らないと…私が夕飯の当番だし)

女「中野さーん」

梓「あっ…どうも」

女「よかった、会えて。この前の話考えてくれた?」

梓「え?」

女「バンドよ、私たちのバンドに入ってくれるかって話」

梓「あ、あぁ…」

女「どう?私たちプロを目指してるし…けっこう本格的にやってるんだよ?」

梓「えっと…」

女「中野さんギターすごく上手いし、入ってくれれば私たちも助かるな~って思ってるの」

梓「……」

女「ギターは続けてるんでしょう?」

梓「一応…」

女「ならバンド入ったほうがいいって!一人でやったって楽しくないし」

梓「……」

女「中野さん?」

梓「すいません、もうちょっと考えさせてください」

女「…そう、分かった。いい返事を期待してるわね」

梓「すいません…」



コンビニ


律「いらっしゃーませー」

律(あぁ…早く上がりてぇ~)

男「お疲れさま~」

律「は…お疲れです」

男「田井中さんってさぁ、今日ヒマっだったりする~?」

律「はい?」

男「よかったら~、この後オレとご飯でも食べにいかない~?」

律(うわぁ…うぜぇ…)

律(ん?でもタダ飯が食べれるってことだよな…)

律「じゃあ喜んで!」


レストラン


律(うへ~っ、なんか高そうなお店…周りピカピカだよ)

男「ここ、オレのオススメの店なんだよね~」クチャクチャ

律「はぁ…」

男「ほら、オレの父親社長じゃん?」クチャクチャ

律(知らねえよ…)

男「ここの店長とも仲良くてさ~」クチャクチャ

律「そうなんですか~」

律(ていうかクチャクチャ食べるなよ…)

男「でも、いくら社長の息子だからって甘えてるわけじゃないよ?」クチャクチャ

男「こうやってコンビニでアルバイトして社会勉強してるんだし」クチャクチャ

律「へ~…」

男「それにオレ、地元じゃけっこうなワルだったんだよね~」クチャクチャ

律「……」

律(帰りてえ…)

男「田井中さんは食べないの?」クチャクチャ

律「ちょっと食欲が…」

男「そうだ、今日は君に素敵なプレゼントを用意したんだ」

律「え?」

男「はい、ギター」

律「ギター?」

男「田井中さん音楽やってるんしょ?だからそれ使いなよ」

男「そこら辺の安物とは違うぜっ」

律「ははっ…どうも・・・」

律(私ドラムなんだけど…)

男「それはそうとさぁ…」

律「はい?」

男「今度から君のこと…りっちゃんって呼んでいい?」

律「も、もう帰らせてもらいますっ!」


律「あぁ…最悪だ…最悪な食事だった…」

律「ついて行くんじゃなかった…」

律「ていうか、ギターなんてもらっても嬉しくねえよ」

律「梓さにでも…いや、あいつ自分の持ってるし」

律「ん~……」

律「あっ、そうだ!売っちまおう」




梓「いっけない、遅れちゃった。早く夕飯の支度を…」

~♪

梓「あれ…律先輩からだ」ピッ

梓「もしもし?」

律『あっ、梓。飯もう作った?』

梓「すいません、今から…」

律『作ってないならいいや。今から外で食おうぜ』

梓「えっ…何言ってるんですか、そんなお金があるなら…」

律『いいからいいから、駅前で待ってるぞ』ピッ

梓「あっ、ちょっと!」

ツーッ、ツーッ

梓「きゅ、急にどうしたんだろう…」



駅前


律「じゃーん♪」

梓「ど、どうしたんですかそのお金!?」

律「へへー、凄いだろ?」

梓「まさか…強盗でもしたんですか?」

律「違うわ!!ちょっと都合がついたんだよ」

梓「へぇ…でもそれだけあれば溜まってた家賃とかも払えますねっ」

律「まぁな、とりあえずご飯食べに行こうぜ」

梓「はいっ!」


最終更新:2010年08月23日 21:35