梓「というより唯先輩が猫みたいにのんびりしてるだけか」
憂「お姉ちゃん?どこどこ?」
純「落ち着きなよ、ネオ・ヴェネツィアに唯先輩がいるはずないでしょ」
憂「お姉ちゃんちゃんとご飯食べてるかな」
アリア「ぷいにゅー」トタトタ
梓「あっ猫さん待って」ダダッ
純「梓!猫なんてどこにも」
憂「いなかったよね、時差ボケかな?」
梓「待ってー」ダダダダ
アリア「ぷいぷいにゅー」トタトタ
梓「あっ!小さい穴から建物に入っちゃった」
梓「古い建物だなあ」
梓「ごめんくださーい」コンコン
梓「誰もいないのかな」ギギィ
梓「開いた」
梓「暗いなあ、もう猫さんいなくなったかも」シュン
アリア「ぷいにゅー」トタトタ
梓「いた!」
梓「待っててくれたの?」
アリア「ぷいにゅー」
梓「かびくさいねー」トコトコ
アリア「ぷいにゅー」トタトタ
梓「出口だ」
アリア「ぷいにゅー」
梓「このドア重い……」
梓「よいしょ!」ギギギィ
梓「うわあ……すごく綺麗な景色」
アリア「ぷいにゅー」
梓「見てみなよ純……」
梓「あれ?」
梓「憂?」
梓「ヤバいはぐれた」
アリア「ぷいにゅー」トタトタ
アリア「ぷいぷいにゅー」タタタ
梓「あっ猫さんどこへ!」
灯里「アリア社長こんなところにいたんですか」
アリア「ぷーいぷい」
梓「アリア……社長?」
灯里「はひっ!アリアカンパニーの社長です」
梓「ああウンディーネの」
灯里「アリア社長と遊んで下さってありがとうございました」
灯里「それじゃ戻りましょうかアリア社長」
アリア「ぷいにゅー」
梓「待って」
灯里「はひ?」
梓「あなた日本語わかるのね」
灯里「ええまあ」
梓「実は修学旅行でここに来たんだけど友達が迷子になっちゃったの」
灯里「えー?大変!」
梓「大変なの、だから同じ日本人のよしみで一緒に探してほしいの」
灯里「うーん、でも私これから練習なんだよね」
梓「練習ってウンディーネの?」
灯里「そうだよ、藍華ちゃんとアリスちゃんと一緒にゴンドラで練習するんだよ」
梓「だったら練習しながらでいいから私もゴンドラに乗せて」
灯里「でも私はシングルだからお客様は乗せられないんだ」
梓「そうなんだ」ショボン
灯里「ごめんね」
アリア「ぷいにゅー」
アリシア「あらあらどうしたの?」
灯里「アリシアさん」
梓(綺麗な人キター)
灯里「実は……」
アリシア「あらあら……あなたお名前は?」
アリシア「梓ちゃん、いい名前ね」
梓「ありがとうございます」
アリシア「私はアリシア、こっちは灯里ちゃんよ」
灯里「水無灯里です」
アリア「ぷいにゅー」
アリシア「そうねえ、お客様は乗せられないんだけどお友達ならいいんじゃないかしら?」
灯里「お友達?」
梓「はい!お友達です!ねー灯里ちゃん」
アリシア「あらあら」
灯里「それじゃあ梓ちゃんのお友達を探しにれっつらごー」
梓「おー!」
アリア「ぷいにゅー」
アリシア「気を付けてね」
灯里「はひっ」
梓「ありがとうございましたアリシアさん」
アリシア「うふふ」
灯里「梓ちゃんお友達とはどこではぐれたの?」
梓「わからない、アリア社長を追うのに夢中だったから」
アリア「ぷいにゅー」
灯里「修学旅行で来てるんだよね?付き添いの先生とかに連絡してみたら?」
梓「さっきから携帯が圏外なんだよ」
灯里「じゃあお友達の特徴は?」
梓「コアラとポニー」
灯里「動物さん?」
梓「一応人間だよ、純と憂っていうんだけど」
灯里「そっか二人とはぐれて迷子になっちゃったんだね」
梓「わ、私が迷子になったんじゃないんだからね!」
灯里「うふふ♪」
梓「何よ!どうせこの歳で迷子なんてバカにしてるんでしょ」
灯里「ちがうよー」アセアセ
梓「じゃあ何で笑ったの?」
灯里「なんか嬉しくなっちゃって」
梓「は?」
灯里「梓ちゃんには悪いけど、迷子になったおかげでこうしてお友達になれたんだもん」
梓「だから迷子じゃないって!」
灯里「まるでクアの気まぐれが生んだ嬉しい奇跡みたい」
梓「えー」
「恥ずかしい台詞禁止!」
灯里「藍華ちゃん」
藍華「で?この子は誰」
灯里「今日お友達になった梓ちゃん、一緒にお友達を探してるんだよ」
梓「ども」
藍華「練習はどうするのよ」
灯里「練習しながら探そうと思って」
藍華「あんたまたタダ乗りさせる気?」
灯里「だってもうお友達になっちゃったもん」
藍華「全くお人好しなんだから」
灯里「お願い藍華ちゃんも一緒に探して」
梓「お願いします」
藍華「仕方ないわね」
灯里「ありがとう藍華ちゃん」
藍華「でも後輩ちゃんは何て言うか……」
「でっかい問題なしです」
灯里「アリスちゃん」
アリス「話は聞いてました。早速探しに行きましょう」
梓(なんか頼れそうな子が来て良かった)
灯里「それじゃ梓ちゃんゴンドラに乗ってね」
梓「私ゴンドラに乗るの初めて」
灯里「まだ半人前だから至らぬ点もあると思いますが、お手をどうぞお客様」
梓「客を乗せちゃ不味いんじゃないの?」
藍華「練習よ、あなたはお客様役をやればいいの」
梓「そういうものか」
アリス「ところで梓さん、泊まってるホテルはどこなんですか」
梓「忘れちゃった」
藍華「修学旅行のしおりに載ってないの?」
梓「荷物は二人のとこに置いて来ちゃったから」
灯里「コアラちゃんとポニーちゃんだっけ?」
アリス「可愛い名前ですね」
梓「いやいや違うから、コアラみたいな髪形が純でポニーテールが憂だよ」
藍華「純ちゃんと憂ちゃんか、とにかく探して見ましょ」
梓「名前と言えばさっきから気になってたんだけど」
灯里「どうしたの?」
梓「灯里ちゃん、藍華ちゃん、アリスちゃん、さっきのアリシアさんにアリア社長……みんな頭文字が“あ”なんだね」
アリア「梓さんもそうですね」
藍華「そういえばそうね」
灯里「すっごい偶然だね、名前に惹かれて梓ちゃんも迷い込んじゃったのかな」
藍華「どういう理屈よ」
藍華「それじゃ観光客が行きそうなとこ中心に探して見ましょうか」
梓「よろしくです」
灯里「出発しんこー」
アリア「ぷいにゅー」
梓「わあ動いた動いた」
アリス「なんか緊張感ないですね」
灯里「純ちゃーん!」
藍華「憂ちゃーん!」
梓「どこー!」
灯里「見つからないね」
梓「相変わらず携帯も圏外のまま」
藍華「えっ?そんなはずないわよ」
アリス「でっかい圏内です」
梓「壊れちゃったかな?ちゃんとアクアに対応したやつ持ってきたんだけど」
藍華「ちょっと見せて」
梓「はい」
藍華「うーん見たことないモデルね」
梓「一応地球の最新型なんだけど」
アリス「でっかいレトロな香りがします」
灯里「あっ」
藍華「見つけたの?」
灯里「ジャガバター食べていこうよ」
アリア「ぷいにゅー」
藍華「あんたねえ」
梓「あっ」グウウゥ
アリス「でっかいお腹の虫が鳴きました」
梓「そういえば朝から何も食べてないや」
藍華「しょうがないわね」
灯里「すいませーん、ジャガバター下さい」
アリア「ぷいにゅー」ガツガツ
灯里「ここのジャガバターはとってもおいしいんだよ」
アリス「はふはふ、あちあち」
藍華「はーっ、のどかよねー」
梓「……おいしい!」ニパッ
灯里「あっ!やっと笑ったね梓ちゃん」
梓「えっ?」
藍華「さっきまで仏頂面だったからね」
梓「ちょっと!食べ物で笑顔になったってまるで私が食いしん坊みたいじゃない」
藍華「それにしても見つからないわね」
灯里「どこにいるのかな?」
梓「私と同じ制服着てるからすぐに見付かると思ったんだけど」
アリス「それです!」
灯里「制服?」
アリス「修学旅行なら学校名で宿泊するはずです。調べてみれば」
藍華「ひょっとしたらホテルがわかるかもしれないわね」
灯里「私パソコン取ってくる」
灯里「梓ちゃんの学校は何て言うの?」
梓「桜ヶ丘女子高等学校」
灯里「さくらがおか……」カタカタ
藍華「どう?」
灯里「ないなあ」
梓「まさかそんな!」
灯里「桜ヶ丘高等学校ならあるんだけど」
梓「見せて……違うよ女子高だもん、これは共学だ」
藍華「調べ方が悪いんじゃない?」
灯里「えーっ」
アリス「梓さん修学旅行でゴンドラに乗る予定はありましたか?」
梓「あったよ確か二日目に」
アリス「どこのゴンドラですか?」
梓「えーと確か姫屋とか……」
藍華「うそっ!うちじゃないの」
梓「うち?」
灯里「藍華ちゃんは姫屋の跡取りなんだ」
梓「お嬢様なんだ」
藍華「そんなことはどうでもいいの!明日団体の予約なんてないわよ」
灯里「ええー?」
アリス「どういう事でしょうか?」
藍華「わからない、晃さんならなにか知ってるかも」
灯里「それじゃ姫屋に行ってみる?」
藍華「そうね」
アリス「でも修学旅行客が来るなんて大きな仕事予約無しじゃありえませんよね」
藍華「そうよ、昔うちに来た修学旅行客の事なんか語り草になってるくらいだし」
梓「へぇ」
灯里「ここが姫屋だよ」
梓「大きい」
藍華「ネオ・ヴェネツィアで一番古い老舗だからね」
梓「晃さんて言う方は?」
藍華「水の三大妖精の一人で姫屋のエース、おまけに私の指導教官」
梓「すごい人なんだ」
藍華「すごいけど鬼教官よ」
「誰が鬼だって?」
晃「こら藍華!」
藍華「晃さん!ごめんなさい」
晃「全くみんなで何やってるんだ……その子は?」
灯里「はひっ!お友達の梓ちゃんです」
梓「初めまして」
藍華「晃さん明日修学旅行の予約って入ってませんか?梓ちゃんの高校なんですけど」
晃「いやないぞ」
梓「そうですか」
アリス「いったいどういうことでしょうか?」
藍華「桜ヶ丘女子はどこに予約したんだろう」
晃「なんだって?」
晃「藍華、今桜ヶ丘女子と言ったか?」
藍華「はい」
晃「それは昔うちに修学旅行で来たところだろ」
藍華「あっ!それじゃ語り草になってる高校って」
晃「ああ、その高校の生徒が素人とは思えないゴンドラの操縦をしたらしい」
梓「あれ?うちの高校ネオ・ヴェネツィアに修学旅行来るの今年が初めてですよ」
灯里「ええー?」
梓「去年までは京都だったし」
晃「それにその高校は確か……」
藍華「確か?」
晃「すまん忘れた」
藍華「そこ忘れないで下さいよ!」
晃「すわっ!」
藍華「ひいっ!」
灯里「梓ちゃんどうしたの?」
梓「え?」
灯里「顔色悪いみたいだけど」
梓「大丈夫ちょっと疲れただけだから」
梓「晃さん、ひょっとして桜ヶ丘女子は共学になったんじゃないですか?」
晃「あっ!そうだ。なんだ知ってたのか」
梓「いえ、それっていつの話ですか?」
晃「確か80年くらい前だぞ」
梓「やっぱり」
灯里「どういうこと?」
アリス「まさか」
梓「私は過去のネオ・ヴェネツィアから来たってことだよ」
最終更新:2010年08月24日 23:12