律「え?」

紬「急なお願いでごめんなさい…でもりっちゃんしか頼める人がいないの」

律「いやいやちょっと待て、落ち着けムギ」

唯「りっちゃんって男の子だったんだ~」

澪「唯ちょっと黙って」

律「どういうことなんだ?」

紬「実は私結婚させられる事になって…」

唯澪律梓「結婚!?」

紬「そうなの。でも全然知らない人だし…」

唯「ほうほう」

紬「だからお父様にお付き合いしてる人がいるって言っちゃったの」

律「なるほどなー」

紬「お願いりっちゃん!お父様に挨拶してくれるだけでいいの!」

律「うーん…」

唯「りっちゃんやってあげなよ~」

紬「…」ジッ

律「…うあーわかった!やってやる!!」

紬「ありがとうりっちゃん!」

唯「りっちゃん頑張れ!」

澪梓「不安だ…」

~~~~~~~~~~~~~~

ファーストフード店

紬「それで、りっちゃんの設定なんだけど…」

律「うんうん」

紬「名前は田井中陸。電機会社の社長の次男で趣味は読書と乗馬。私立の高校に首席で合格した秀才。私との出会いは街でハンカチを拾ってくれた所から」

律「欲張りすぎだろ!!」

紬「でもお父様はそれくらいの男性しか認めてくれなさそうだし…」

律「わかったよ…」

紬「ありがとう!服は私が用意するから、明日りっちゃんの家に迎えに行くわ!」

律「うん…」

~~~~~~~~~~~~~~

夜 律の部屋

律「どうしよう澪~…」

澪『引き受けちゃったんだから仕方ないだろ』

律「だってさぁ~あたしの設定『名前は田井中陸。電機会社の社長の次男で趣味は読書と乗馬。私立の高校に首席で合格した秀才。ムギとの出会いは街でハンカチを拾ってくれた所から』だぜ」

澪「ぶふぅっ」

律「笑うな!」

澪「だって…ぷくく…」

律「自分でも無理があると思うよ…」

澪『あはは、まぁ頑張れよ』

律「人事だと思って…」

澪『頑張れ陸くん!あははははは』

~~~~~~~~~~~~~~

ぴんぽーん

紬『こんにちはー』

律「はいはーい」ガチャ

紬「今日はよろしくね」

律「黒のリムジン…初めて見た」

紬「じゃあこのスーツを着て」

律「はいはい」

~~~~~~~~~~~~~~

律「む~暑苦しい…」

紬「わあ!りっちゃんとっても似合う♪」

律「そうかぁ?」

紬「あとはカチューシャを取って…」スッ

紬「うん!完璧だわ!」

律「バレると思うけどなぁ…」

紬「さ、行きましょ」

バタン ブロロロロロ…

~~~~~~~~~~~~~~

律「あー緊張してきた…」

紬「ごめんねりっちゃん…」

律「よーっし気合い入れるぞー!」パシパシ

紬「がんばって!」

律「ところでこの辺りずっと塀が続いてるな」

運転手「この辺りは全て琴吹家の土地でございます」

律「へ~…ってえぇ!?」

紬「りっちゃん今のギャグ?」クスクス

律「お前ん家の方がギャグだ!!」

運転手「つきました」

ガチャ バタン

律「…でか…なにこれ…城?」ガクガクブルブル

紬「じゃあお願いするわね」

律「う…うん」ゴクリ

ガラララ…

ずどーん!!!!

律「のわあああっ!」

紬「りっちゃん大丈夫!?」

律「なんか銅像が落ちてきた…」

~~~~~~~~~~~~~~~

律(廊下なげー)てくてく

律(なんかドアがいっぱいある…)てくてく

律(ていうか靴で入っていいのか…)てくてく

律(おおぅ、なんか高そうな壷が…)てくてく

律(ほぎゃー!メイドが!!メイドが掃除してる!)てくてく

律「…って廊下なげーよ!」

紬「ここがお父様の部屋よ」

律「…」ドキドキ

紬「じゃあ、入るわね」

律「う、うん…」

ガチャ

紬「お父様、ただいま帰りました」

紬父「ああ、おかえり」

紬「お父様、この前言っていたお付き合いしている男性です」スッ

律「はぁうっ!は、ははははははじめまして!紬さんとおつ…お付き合いさせていただいてる田井中陸です!」

紬父「まあそう硬くならずに…娘が世話になってるね」

律「いえいえ!こ、こちらこそ!」ペコペコ

律(なんか横に黒いスーツでサングラスの人がいるー!)

紬父「しかし陸くんはその…かわいらしいというか…中性的だね。背も紬より小さいし…」

律「えぇ!?」ドキーッ

紬「お、お父様失礼でしょ?」

紬父「あ、いや失礼…付き合いに見た目は関係ないからね」

律「い、いえ!よよよよく言われますので!」ドキドキ

紬「お父様ったらうふふふふ」ドキドキ

紬父「それで陸くんの趣味は?」

律「ドラムです」

紬「あっ」

律「あっ」

紬父「ほおドラムか、実は娘は高校でバンドをやっていてね…」

律(存じております!)

紬父「ちょっと叩いてくれるかな」パチンッ

どどどどど

さささささっ

律「い、一瞬でドラムセットが…」

紬父「さあ、叩いてみてくれ」

律「は…はい」

紬「りっちゃ…陸さん頑張って!」

律「じゃ、じゃあやります」ドキドキ

~~~~~~~~~~~~~~

律「こ…こんな感じです…」

紬父「…」

紬「…」ドキドキ

パチパチパチパチ

紬父「いやいや、良かったよ」

律「あ、ありがとうございます!」

紬「…」ほっ

紬父「それで娘とは…結婚を前提に付き合っているのかね?」

律「ええ!?」

紬父「大事な一人娘なのでね…もし中途半端な気持ちで付き合ってるなら…」

エスピー「…」スッ

律「ああ!しますします!!結婚させてください!」

紬父「良かった良かった、ははは」

エスピー「…」

律「ははは」

紬「うふふ」

紬父「ははは」

紬「陸さんそろそろ帰りましょう」

律「そうだな!おいとまします!!」

紬「それじゃあお父様、結婚の話はなかったことに…」ガチャ

紬父「あ、待った。折角だから一緒に食事をしないか?」

律「!?」

紬「お、お父様!挨拶だけって言っておいたでしょう?」

紬父「いやいや、陸くんともっと話がしたくてね」

紬「…」チラ

律「…っ…っ」ムリムリムリムリ

紬「やっぱり陸さんも忙しいし…」

律「すいません…」

紬父「そうか…」ショボーン

エスピー「…」スッ

律「わー!!ご馳走になりたいです!!はい!お腹ペッコペコ!」

~~~~~~~~~~~~~~~

律「」ガクガクガクガク

紬「りっちゃんしっかり…」ヒソヒソ

律「だってあたしマナーとかわかんねぇよ?」ヒソヒソ

紬「普通にしてればいいのよ」ヒソヒソ

律「ムギの普通とあたしの普通はとてつもなく差があるぞ…」ヒソヒソ

紬父「どうした二人とも」

紬「ちよっと陸さんをトイレに連れていきますねうふふふ」スタスタ

律「失礼しますえへへへ」スタスタ

~~~~~~~~~~~~~~

紬「はいこれ」スッ

律「なんだこれ?イヤホン」

紬「私がこのマイクで指示を出すから、りっちゃんはその通り動いてくれれば…」

律「あーなるほど!」

紬「私は監視カメラで見てるから!」

律「お、おう!」(監視カメラ…?)

~~~~~~~~~~~~~~

律「失礼しました」

紬父「おおおかえり、さっそく食事にしよう」

律「は、はい」ガタッ

シェフ「前菜とスープです」コト

律「あ、ありがとうごさいますっ↑」

律(…?なんか量少ないな、ムギのお父さん少食なのかな)

紬『りっちゃん聞こえる?』

律(!聞こえる聞こえる!すげぇ!)

紬『聞こえたら軽く咳ばらいして』

律「んんっ」

紬『まず右端のスプーンでスープを飲んで』

律(ふむふむ)ズッ

律(あっズズッて鳴らしちゃった!)アワアワ

紬父「…それで陸くんは紬とはどういう経緯で?」

律「えっあっ、えーと…街で紬さんが落としたハンカチを僕が拾ったのが出会いです」

紬父「そうなのか」

律「はい…」

紬父「…」

律「…」

律(きまずうううううい!!)

律(初対面の友達のお父さんと何喋るんだよ!)

紬父「…」

紬『次にさっきの内側のフォークとナイフで前菜を食べて』

律(ほうほう)カチャ

律「…」キコキコ

紬父「…」

律(うめー!)モグモグ

律「あ…」(なくなった)

律「ご、ごちそうさまでした」

紬父「えっ」

律「えっ」

紬『りっちゃん今のは前菜!まだ魚料理と肉料理とデザートがあるの』

律(はわわわわわ)

律「あ、あの…母から食材は生き物だから食べ終わるごとにお礼を言うようにと…その…」

紬父「…」

エスピー「…」スッ

律(エスピーがスッスッしすぎ!)

紬父「ご馳走様でした」

律「!」

紬父「はは、マネしてみたよ」

律(おじ様…っ!)

律(さすがムギのお父さんやでぇ…)

紬父「いいお母さんだね」

律「いやあ…えへへ」

シェフ「ヒラメのムニエルになります」

律「あ、ありがとうございますっ」

紬『外側のナイフとフォークで食べてね』

律(ほうほう…)カチャ

紬父「君から見て紬はどんな奴だね?」

律「ふぇ!?」もぐもぐ

律「…ごくん」アワアワ

律「えっと…ム…紬さんは…」

紬『…』ドキドキ


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最終更新:2010年08月24日 23:53