そんなことをしていると映画が始まった
流行りものの映画だけあってまずまず面白い作品だった
憂にとってはそれより、映画をみながら時々するラブノックがとても楽しかった
どちらからともなく、ぎゅっぎゅっ、っと握り、それに答えるようにぎゅっぎゅっ、っと握り返す
他愛もない、ただ二回手を握りあう、ただそれだけで本当に楽しかった
唯「なかなか楽しい映画だったね~」
憂「うんうん、お姉ちゃんと映画なんて久しぶりだからとってもうれしかったよ~」
唯「また一緒に来ようね、手をつないでね!」
唯「それじゃ~アイスでも食べて帰ろっか~」
憂「うん!」
唯「ソフトクリーム一つください!」
店員「ありがとうございます。少々お待ち下さい」
憂(一つ……?)
店員「お待ちどうさまでした。こちらご注文のソフトクリームです」
唯「ありがと~。憂みて~すっごくおいしそうだよ~」
憂「本当だね~」
唯「あそこのベンチに座ってだべよ~」
唯「憂~。あ~~んしてっ」
憂「ええっ、そんな周りに人がいるよ~?」
唯「気にしない、気にしない~、ほら、あ~ん」
憂は恥ずかしそうにしながらも、目の前のソフトクリームを口で摘むようにして食べた
唯「えへへ~どう~?美味しい」
憂「うん、冷たくて甘くて美味しいよ」
唯「じゃ交代!次は私に食べさせて!あ~~~ん」
憂「え、え………えっと、はい、あ~ん」
唯「んふーっ!憂に食べさせてもらうと美味さ100倍だね~」
憂「あはは、かわんないよ~」
仲良く手をつないで、さらに一つのアイスを分け合って食べる二人は周りの人からどう見えたであろうか
そんなことも気にならないくらい二人は二人だけの世界を気兼ねなく楽しんだ
唯「美味しかったね~」
憂「うんっ!」
唯「記念に写真とろっ!」
唯「ゲームセンターになんとか倶楽部とかあるだろうし!」
憂「いいよ~お姉ちゃんについていくよ」
────ゲームセンター
唯「これ、これ~。お金を入れて~」
唯「憂~フレーム選んで~」
憂「えっと~これがいいかな?」
唯「うふふ~憂の選んだのかわいい~」
唯「はい、はい、ポーズポーズ」
計四枚撮りのコースにした
唯と憂はつないだ手に両手を添えて見詰め合うポーズで一枚
唯が憂を後ろから抱きしめるようにして一枚
反対で憂が唯を抱きしめるようにして一枚
最後はオーソドックスなピースで一枚
一人、二枚書き込むことになった
憂は一枚に「私の大好きなお姉ちゃん」、2枚目に「日付と誕生日プレゼント記念」
唯は一枚に「私の大好きな妹」、2枚目に「仲良し姉妹万歳!」
それぞれカラフルに仕上げて出来上がりを待った
唯「まだかなまだかな~」
憂「結構時間かかるよね~」
ガタンっと完成品のでてくる音がした
唯「どれどれ~おおおおおっ!」
憂「どう?お姉ちゃん?」
唯「いやーいいできですぜダンナー」
憂「うんうん、お姉ちゃんのデコレーションかわいい~」
唯「えへへ~憂のも素敵だよ~。ハサミ借りてわけよ~」
憂「あそこで借りられるみたいだよ~」
二人はカウンターでハサミを借りて半分に分けた
憂はバッグの中へ、唯はパンツのポケットへと入れた
疲れたのか憂は帰宅途中の電車でウトウトしている
こっくりこっくりしている間にふら~っと力が抜けて唯の肩を借りてしまった
唯(珍しいな~、しっかり者の憂が電車で寝ちゃうなんて)
唯(昨日から興奮してあんまり眠れてなかったんだろうな~)
唯(朝からずっと動きっぱなしで疲れてたのもあるのかな)
唯(でも、本当に楽しそうだったし、一緒にいて楽しかった)
唯(部活をはじめてから、こうやって遊ぶことが少なくなったけど)
唯(また時間を作って……もっともっと憂と一緒に遊びたいな)
唯(そろそろ私達の降りる駅だ)
唯「憂~憂~降りるよ~」
憂「あっ…んっ…お姉ちゃんごめん、寝てた……」
唯「あはは、気にしないで~さっおりよっか」
憂「うん」
──────自宅到着
少し疲れた面持ちだが、しっかり手をつないで帰宅した
唯憂「ただいま~」
憂「あ~楽しかったー」
唯「いや~いってよかったよかった」
憂「お腹は大丈夫?空いてない?」
唯「うん、大丈夫だよ~夕食はもっとあとでいいよ~」
憂「わかった~。それじゃお風呂入って汗流す?」
憂(あっ…………)
唯「顔に出てるよ~」
憂「手つないだままってことはそういうことだもんね」
唯「そそ、まぁここまできたんだから~」
憂「はい」
唯「あれ、これまで恥ずかしがってたのに、どういう風の吹き回しだい?」
憂「もう観念しいたよ」
唯「あっはーはーっ、何事も慣れだよ慣れ!」
憂「そもそもお姉ちゃんにお願いしたのは私だしね」
唯「いざまいろうか、憂さんや」
憂「うん、お姉ちゃん」
──────脱衣所
唯「今日も暑かったね~いっぱい汗かいちゃったよ~」
憂「うん、汗かいたらお風呂でさっぱりするのが一番だよね」
唯「憂~、甘えていい?」
憂「そのつもりだったよ」
唯「やった!はい、好きなようにはいで……いいよ?」
憂「ちゃんと脱がせるから、変な喋り方しないでよ」
唯「あはは、ごめんよ~」
憂「ばんざいして~」
憂は午前で学習した技術をフルに活用して唯を剥いた
一枚一枚剥がれるたびに唯が「アーレー」「おやめになって」「お嫁にいけない」と
声を出し、憂はその度に恥ずかしがった。そんな姿に大喜びした唯であった
憂「はい、終わったよ」
唯「攻守交替だね~!」
憂「お姉ちゃんが脱がしてくれるの?」
唯「あたりまえだよ!受けた恩は忘れない主義さ!」
憂「手をつないだままやらなくちゃいけないし結構難しいよ?」
唯「大丈夫、憂の見てて覚えたから」
憂(お姉ちゃんは見て覚える人だからすごく飲み込みがはやいんだよね)
唯「それじゃ、いっくよーっ!」
憂「は、はいっ」
唯は記憶したパズルを正確に順序良く解いていった
それは憂より早く手際がよかった
憂「お姉ちゃんすごいね、見てただけなのに覚えてるなんてびっくりだよ」
唯「いやー憂の手順をそのまま真似ただけだから、すごいのは憂だよ~」
唯「あとね、憂の肌が綺麗だったから早く全部みたいなって!」
憂「お姉ちゃん……恥ずかしいよ……」
唯「えへへ、は~いろ!おふろっ!」
憂「うんっ」
唯「あ゛あ゛あ゛~ん~~ん、気持ちねぇお風呂は!」
憂「本当だね、疲れがとれるよ~。でも二人で入るとちょっとせまいかな」
唯「その分密着できて私はすきだよっ」
憂「えへへ、実は私も」
唯「ねぇ……憂?」
唯「ぎゅーって抱きしめていい?」
憂「お姉ちゃんならいい……よ」
唯「うん……」
唯は憂を後ろから抱きしめる形で風呂に浸かった
そっからぎゅーっと力を加えていく、壊れないように大切に
憂(お姉ちゃんに抱きしめられてるとすごく安心する)
憂(このまま腕の中で眠りたいな……)
ぎゅっぎゅっ……唯は二回つよく抱きしめた
憂は驚くように振り返った
唯「ラブハグ~」
憂「びっくりした~。ラブハグ?」
唯「今命名した!!」
憂「あはは、お姉ちゃんらしい」
唯「これね~ラブノックと一緒で返さなくちゃいけないんだよ」
憂「……うん」
憂は体の向きを変えて、唯と抱き合う形になった
憂「お姉ちゃん……」
憂(物凄くドキドキする……、いいよね、しちゃうよ……)
ぎゅっぎゅっ
唯「憂、ありがと~!私からも」
ぎゅっぎゅっ
憂「お姉ちゃん痛いよ~」
憂(でも嬉しいな~。もっとしてほしいな)
唯「ごめんごめん、愛情が押えきれなかったんだよ」
最終更新:2010年08月25日 21:11