体育館!!

律「澪ー、パスの練習しようぜー」

澪「悪い、私は唯達の方に参加するから」

姫子「え、澪って運動苦手なんだ? 背高いのにもったいないね」

澪「す、スポーツはやるものじゃなくて見るものなの」

姫子「なるほどねぇ、頑張って」フフ

律「じゃあ、姫子、こっちはこっちで練習しようぜー」

姫子「ん」

和「じゃあ、バスケ苦手な子はこっちに集まってー。信代が教えてくれるからー」

唯紬澪『はーい』

風子「あ、私も…」

いちご「はい」

しずか「私もこっちで……」

信代「それじゃまず、ドリブルの練習からいくよ」

信代「唯っ、腰を曲げ過ぎ! それじゃおばあちゃんでしょ!」

唯「だぁってぇ~」

信代「いちごはもっと腰を落として! それじゃ鞠つきみたいだよ!」

いちご「……」

信代(こりゃ思ったよりも大変ね)ハァ

紬「唯ちゃん、何か掴めた?」

唯「全然ボールが言うこと聞いてくれないんだよぉ~」

しずか「バスケットボールは重いから……」

澪「ああ、それはあるかもな」

風子「」コクコク

紬「先生! バレーボールとか、もっと軽いボールでやってみたらどうでしょう!」

信代「いや、それだとバスケじゃないから!」

紬「ダメかぁ」シュン

信代「今度はパスをやるわ。基本のチェスト・パスぐらいは、ちゃんと覚えて帰ってね」

全員『はーい』


紬「唯ちゃん、すごーい。ちゃんと胸のところに来るようになったね」

唯「なんかコツが掴めたかも!」

いちご「ふんっ」

しずか「いちごちゃんも真っ直ぐ飛ぶようになったね」

風子「えいっ」

澪「風子はもうちょっと力を入れられるように頑張ろうな」

風子「はいっ」

信代「うんうん、パスはみんな形になってきたわね」

唯「信代ちゃん、凄いっ。慶子ちゃんが言った通り、教えるの上手なんだね!」

信代「まぁ、伊達に後輩を指導して来たわけじゃないから///」

唯「ありがとうね!」

信代「エヘヘ。じゃあ次はいよいよシュートの練習ね」

全員『できませーん』

信代「そこで綺麗にハモらないでよ!」

信代「……っと、まあ、今のが基本のレイ・アップよ。ボールは投げるんじゃなくて、置く、って感覚で……」

紬「待って。走りながらシュートするのは、初心者には無理だと思うの」

澪「私らには難易度高くないかな?」

風子「で、できそうにないです…」

いちご「」コク

信代「えぇ~、でもこれが基本なのよ?」

唯「わかった! 下からゴールを狙うから難しいんだよ!」

しずか「唯ちゃん、どういうこと?」

唯「ダンクシュートだよ! ダンクシュートなら上から入れるんだから、きっとできるよ!」

紬「ああ、そうね! 先生、お手本をお願いしまーす」

信代「え……?」

唯紬「」ワクワクキラキラ

信代(え? 何、このバスケ部ならダンクができて当たり前みたいな空気……)

澪「男子だって難しいダンクを女の子ができるわけないだろ……」ハァ

唯「え、そうなの?」

しずか「あはは…」

いちご「天然」ボソ

信代「それじゃ順番に教えた通りシュートしてって~」

全員『はーい』

しずか「はいっ」

がんっ

しずか「当たった! リングに当たった!」パァァ

唯「ほっ」

ひゅー

唯「あわわ、全然違うトコ飛んでっちゃったよ」

紬「えいっ」

ごんっ

紬「私もリングに当たっちゃった♪」

風子「えいっ」

ごんっ

風子「私も当たりました」パァァ

信代(いやいや、当てるだけじゃなくて入れようよ……)ハァ…

いちご「やっ」

ひゅー

いちご「……」

澪「はっ」

すぽっ

澪「え?」

風子しずか『わぁ』

唯「すごーい! 澪ちゃん入ったよ――――っ!!」

紬「凄い凄いっ!!」

澪「え……え?」

信代「やったね、澪!」

澪「や……やった――――っ!!」パァァ


曜子「きゃ――――っ! 秋山さんがシュート決めた――!!///」

俊美「カッコイイ~///」キャッキャッ

律「いや、あっちにいる時点でカッコ悪いだろ」

三花「あははっ」

律「んん? 何だよ、三花」

三花「りっちゃんったら、どこにいても澪ちゃんが気になるのね~」

潮「いよっ、熱いね~」

慶子「あははは」

律「だーから、変な想像すんなっつーの!」

姫子「ふふっ」



授業後!!

律「よぉー、見てたぞー。澪やったなー」

澪「あっ、律。えへへ///」

律「唯とムギはどうだったんだ?」

唯「私はボールを真っ直ぐ投げられるようになったよ!」

紬「私は何とか走りながらドリブルできるようになったわ」

律「あら、ずいぶん低いレベルで戦ってらっしゃったのねー」

姫子「いいじゃない、上出来上出来。頑張ったね」ナデナデ

唯「えへへぇ~///」

律「姫子は唯に甘いな~」

姫子「あは、まあね」

澪「まぁ、姫子の気持ちもわかるけどな」

紬「うんうん」



放課後!!

純「梓、これから部活?」

梓「うん、純もこれからジャズ研でしょ?」

純「いやー、今日は私、憂と学園祭の買出しなんだよね」

梓「そうなんだ。ゴメン、任せちゃうけどよろしくね」

純「はいよ」

??「あっ、あずにゃん発見」

梓「へっ?」

姫子「あずにゃんはこれから部活?」

純(うおっ、なんか大人っぽい美人来た!)

梓「姫子先輩、あずにゃんって呼ばないでください!」

姫子「あは。ごめんごめん」

梓「姫子先輩はこれからバイトですか?」

姫子「そ。……あ、お友達?」

純「私、梓のクラスメイトで鈴木純って言います!」

姫子「私は3年の立花姫子。よろしくね」ニコ

純「こここ、こちらこそ!///」

梓(何故赤くなる)

姫子「それじゃ、軽音部も頑張ってね」

梓「はいっ、さようなら」

純「さようならっ!」

梓「んもう、唯先輩のせいでみんなからあずにゃんって呼ばれちゃう」

純「梓っ、あの美人は誰!?」グイッ

梓「ゆ、唯先輩のクラスメイトだよ」

純「イイなぁ、カッコイイなぁ。やっぱり3年生となると大人っぽいよね!」

梓「……(唯先輩やムギ先輩を知ってる私は素直に同意できない……)」



音楽室!!

唯「あれ!?」

律「どうしたー、唯」

唯「そう言えば思い出したんだけど、いつの間にか澪ちゃんと姫子ちゃん、名前で呼び合ってたね」

律「って、今更かよ」

澪「い、いいだろ別に」

紬「うふふ、昨日からよね」

律「澪は姫子にビビッてる感じだったのになー。どんな心境の変化なんだか」

梓(やっぱりビビッてたんだ、澪先輩……)

澪「わ、私も律や唯みたいにみんなと普通に話せるようになりたいな、って……」

律「澪っ!」

唯「澪ちゃん!」

紬「まぁ!」

澪「な、何?」

律「澪っ、成長したなっ! 私はいつまでもお前を見守ってるぞ――――っ!!」

唯「澪ちゃんっ、私も応援するからねっ」

紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」

澪「だ――――っ! 大袈裟に騒ぐな! はっ、恥ずかしいだろ!」

梓「でも向上心を持つのって素敵です! さすが澪先輩」

澪「うぅ~///」

紬(いいなぁ、いいなぁ。毎日が楽しくて夢みたい)

紬(私、この学校に来て本当によかった)

紬(軽音部に入って本当によかった)



いきなり学園祭後!!

「おはよう」「おはよー」「おーっす」「おはよう」

紬「あ……」

紬(ケーキ持ってきちゃった……)

紬(私ったら何をやってるんだろう。もう部活はないのに……)

唯「ムギちゃん、おはよー!」

紬「お、おはよう、唯ちゃん」

唯「寒くなってきたねー。朝起きるのがつらいよ~」

紬「うふふふ」

唯「今日は早く帰って、お家で勉強しようっと」

紬「あ、唯ちゃん……」

唯「ん?」

澪「唯、ムギ、おはよう」

律「おーっす!」

唯「澪ちゃん、りっちゃん、おはよう」

紬「2人ともおはよう」

澪「今日は律と一緒に問題集を見に行くつもりなんだけど、2人はどうする?」

唯「私は今日は真っ直ぐ帰るよ」

紬「ごめんなさい、私も。そういうのは大体揃えちゃったから」

澪「うん、わかった」

律「そんじゃあ、今日は2人っきりで遊ぶとしますか~」

澪「って、遊びじゃないだろ!」

紬「うふふふ」



放課後!!

紬(音楽室に来ちゃった……)

紬「トンちゃん、こんにちは」

トンちゃん「……」コポコポ

紬(梓ちゃんはトンちゃんのお世話を終えて、もう帰っちゃったみたいね……)

シーン

紬(この前まであんなに賑やかだったのに、もう随分昔のことみたい……)

紬(教室も学園祭が終わってから、受験ムードになってきちゃったし)

紬(このまま、年明けには自由登校になって、卒業式を迎えるだけになって……)

紬(もう、この部屋でお茶会をすることも演奏することもないのかな)

紬「寂しいな……」

紬「あっ」ポロポロ

紬(やだ、声に出したらどんどん悲しくなってきちゃった)

紬(どうしよう、止まらないよぉ)ポロポロ

かたん…

紬「!?」

唯「あ……」

紬「唯ちゃん!?」

唯「ごめんね、ムギちゃん」

紬「う、ううん。唯ちゃんはどうしてここに?」ゴシゴシ

唯「ギー太を取りに来たんだ」

紬「ギー太? え? なんでここに?」

唯「えへへ/// 実は朝ぼんやりしてたら持って来ちゃってたの」

紬「ふふっ、そうだったの」

唯「うん。りっちゃん達に知られたらからかわれると思って、ここに置いてたんだ」

紬「うふふ……」


紬「…………」

唯「……ここも、寂しくなっちゃったね」

紬「うん」

唯「あずにゃんにも、寂しい思いさせちゃってるね」

紬「ええ」

唯「学園祭、楽しかったね」

紬「…………」ジワッ

唯「!! む、ムギちゃんっ!!」

紬「ぐすっ、なあに?」

唯「じ、実は私、曲を作ったんだ!!」

紬「えっ!?」

唯「学園祭が終わった後、なんかメロディと歌詞が浮かんで来てね、頑張ってまとめたんだ」

紬「きっ、聴きたい!」

唯「うん、1番最初は、ムギちゃんに聴かせてアドバイスをもらおうと思ってたんだぁ」

紬「うんっ! もちろん、いいわ」

じゃらーん

唯「それじゃいくね」

紬「ええ」ワクワク


唯「♪みんなが大好きっ!!
   延々続行 ルララ Miracle Sing Time
   歌って 歌って 愛伝える最強手段♪」

紬(え、何、この高い演奏能力を要求されそうな曲……)

唯「♪つたない曲でも 微妙な歌詞でも
   届けたい 精一杯のsoulを♪」

紬(ギターのリフも作ってあるのね……リズムもコードも凝ってて、初めて作ったとは思えない)

紬(んもう、これだから天才は)フフッ

紬(…………)

紬(でも、唯ちゃんらしい元気な曲ね)

紬(歌詞も唯ちゃんらしさが出てる)

紬(と言うより、唯ちゃんの高校時代が詰まった歌詞なんだ……)

紬(……私達のことを思い浮かべながら作ってくれたのかな……?)

紬(この曲を聴いてると、みんなの顔が浮かんでくるみたい)

紬(唯ちゃん……)

唯「♪大好き 大好き 大好きをありがとう
   歌うよ 歌うよ 心をこめて今日も歌うよ♪」

紬(…………)

唯「♪大好き 大好き 大好きをありがとう
   歌うよ 歌うよ 愛をこめてずっと歌うよ♪」

紬(…………)グス

じゃん♪


唯「えへへ、どうだった?」

紬「うぅ~~~」ポロポロ

唯「わわわ、ムギちゃん、どうしたの!?」

紬「唯ちゃんがこんな曲作るから……」ポロポロ

唯「え? え?」オロオロ

紬「うぅ~、卒業したくないよぉ」ポロポロ

唯「ムギちゃん……」

紬「うぅ」ヒック

唯「よしよし」ナデナデ

紬「わあぁ、唯ちゃ~~~~~ん」ギュッ

唯「ムギちゃん、落ち着いた?」ナデナデ

紬「うん、ごめんね…………それと、もうちょっとこのままでいい?」

唯「うん、もちろんだよ。えへへ、今日のムギちゃんは甘えん坊さんだね」

紬「ふふ(こういうところ、唯ちゃんもちゃんとお姉さんやってるんだ……)」


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最終更新:2010年08月25日 22:55