A:置手紙の日にちを守る
いや、ダメだ。置手紙に3日と書いたのだからちゃんと守らなければ。
私がお姉ちゃんを裏切ってしまったら、元も子もなくなってしまうではないか。
憂「ありがとうございます。でも3日で帰ると置手紙に書いたので…」
憂「一日だけ、誰かのお家にお世話になれれば大丈夫です」
律「んーそっかー。残念だなぁ」
澪「まぁ約束は守らないとな」
紬「じゃあ私の家に来る?」
憂「えっ、いいんですか?」
律「えー、なんか憂ちゃんだけずるいぞ!私だってムギの家行ったことないのに」
紬「じゃありっちゃんもどう?」
律「本当に?!やったー!」
澪「お前がよろこんでどうする!」
紬「何なら澪ちゃんも来ていいのよ?」
澪「えっ?!いいのか?」
律「自分だってよろこんでんじゃん…」ボソッ
澪「う、うるさい///」
律「じゃあ梓も呼んでムギん家でお泊り会しよーぜー!」
澪「唯にはちょっと申し訳ない気もするが…」
律「憂ちゃん、梓に連絡とってもらっていい?」
憂「わかりました」
紬「あぁ…お泊り会。なんて甘美な響きなの…。私の夢が、またひとつ叶った…」
律澪「」
というわけで、紬さんの家で軽音部の方々とお泊り会を開くことになりました。
紬「じゃあ私と憂ちゃんは先に行って待ってるから」
律「わかった。唯とご飯食べたあとまた連絡するよ!」
紬「それじゃあ憂ちゃん。行きましょうか」
憂「はい、お世話になります」
唯「ごめーん、遅くなっちゃって…。あれ、ムギちゃんは?」
澪「あ、あぁ。なんか急用を思い出したって言って帰ったぞ!」
律「う、うんうん!」
唯「なんで2人ともちょっとうれしそうなの?何かあった?」
律「へっ?そ、そそそそんなことはないぞ!な、澪?」
澪「も、もも…もろちんだ!」
唯(澪ちゃん下ネタ…?)
紬さんの家に向かう途中、梓ちゃんに連絡した。
梓ちゃんもすごく楽しみにしているようだ。
そんなに紬さんの家ってすごいのかな…。
紬「もしもし、斎藤?いま駅に着いたんだけど、お迎えいいかしら?」
斎藤「おまたせいたしました」
ガチャ
紬「さ、乗って憂ちゃん」
私たちの前に止まったのはリムジンだった。
紬「あ、今日はお友達がたくさん泊まりに来るから盛大にもてなしてね」
斎藤「かしこまりました」
憂「」
私は考えるのをやめた。
憂「うわぁ…」
紬さんの家は家というより屋敷といった方が正しかった。
家に入ると何人もの使いの人たちが迎えてくれた。
紬「ごめんなさいね、ちょっと散らかってるかも知れないけど」
憂「ここ…紬さんの部屋ですか?」
紬「そうよ、何か変かしら?」
何畳?いやこの場合は何LDK?
とにかく紬さんの部屋だけは大きかった。
普通の家庭のリビングでもこれだけの広さはない。
紬「お茶持ってくるから待っててね」
紬さんとお茶を飲んで雑談していた。
しばらくして律さんと澪さんと梓ちゃんも来た。
梓「り、リムジンなんて乗ったことなかったです…」
澪「私、赤絨毯初めて歩いた…」
律「ここは天国か何かですか?」
紬「んもう、大げさよみんな」
みんな私と同じようなリアクションだった。
律「これだけ大きいと家の中で鬼ごっことか出来そうだな」
梓「絶対捕まらなそうですけどね…」
紬「……それ」
律「へっ?」
紬「それ…すごくいいわぁ……」
澪「おいおい…」
紬「やりましょう、鬼ごっこ!」
憂「い、家の中でですか?」
紬「もちろんよ!こんなこと、今しか出来ないじゃない!」
ひょんなことから私たちは紬さんの家…
ではなく屋敷で鬼ごっこをすることになりました。
律「じゃあ範囲はこの屋敷の中な」
紬「はいみんな。これつけて」
梓「何ですか?これ」
紬「発信器よ」
澪「なんでこんなもの持ってるんだ…」
紬「こうやって鬼の発信器が近づくと」
ピピピピピピピピ
憂「わっ、すごい!他の発信器が共鳴してる」
紬「これで鬼が近くにいることがわかるわ」
澪「なるほど、スリルあって楽しそうだな」
梓「じゃあ、最初の鬼は誰にしますか?」
紬「はい!私がやります!」
律「ルールは増え鬼な。どんどん鬼が増えていくゲームだ」
梓「つまり、生き残れば生き残るほど地獄が待ってるってことですね…」
律「ムギが3分数えたらゲームスタート。それじゃ、散れっ!」
だっ
【3分後】
紬「さて、一人ひとりじっくり追い詰めてあげるわぁ…」
【澪・律】
律「そ、それにしても広いなここは…」
澪「あぁ。でもこれだけ広いなら逆に隠れてやり過ごせそうだな」
ピピッ… ピピッ…
澪「えっ?」
ピピピピピピピピ
澪「うわあああ!もう鳴ってる?!」
律「わ、私のもだ!近くにいるのか?!」
澪「み、見当たらないぞ。どこだ?!」
ぬっ
紬「澪ちゃんつかまえた♪」
澪「なん…だと…?」
律「こんなところに抜け道が…」
紬「なにいってるの澪ちゃん、ここは私の家よ?」
紬「さて、りっちゃんも捕まりましょうか」
律「すまん!澪!!」ドビュン
澪「あっ!律!!この裏切りものぉぉぉ!!」
【憂・梓】
憂「なんか向こうの方が騒がしいね」
梓「何かあったのかな…」
brrrr
梓「はい。あ、澪先輩。どうしたんですか?」
澪『もしもし、梓か?さっそく律が捕まった!』
梓「えっ?律先輩が?!」
澪『あぁ、どうやらこの家には抜け道がいくつかあるらしい』
梓「そうなんですか…」
澪『単独より複数で行動した方がよさそうだ。今から梓のところに行く。一緒に行動しよう」
梓「はい、わかりました。場所はあとで連絡します!」
ピッ
憂「澪さん何だって?」
梓「一緒に行動しようって。この屋敷、抜け道がいくつかあるみたい」
澪さんの誘いに私は違和感を覚えた。
この場合は複数ではなく単独で行動し、機動性を重視すべきではないか。
ましてやこれは増え鬼だ。一人が犠牲になって場合に他の人も道連れになる可能性がある。
私は少し警戒心を強めた。
梓「ムギ先輩の部屋の前にいます…っと」
澪「おーい!梓、憂ちゃん!」
梓「あ、澪先輩!」
ピピッ、ピピピピピピピ
憂「は、発信器が鳴ってる!」
梓「近くにムギ先輩が?!」
紬さんは私たちの後ろにいた。
見つけて追いかけてくる。
紬「2人とも、逃がさないわよぉ…」じゅるり
梓「憂!早く澪先輩のところに逃げよう」
憂「う、うん…」
澪「・・・・・・」にやり
梓「澪先輩!後ろからムギ先輩が来てます、早く逃げましょう!」
澪「……ふふ」
ガシッ
澪「梓、捕まえた」
梓「えっ?」
澪「悪いな梓、私はもう鬼なんだ」
梓「そ、そんな…。憂!逃げて」
澪「逃がすか…ってあれ?いない」
紬「抜け道を見つけた様ね」
澪「さすがだな、やはり憂ちゃんは一筋縄じゃ行かないか…」
私は近くに抜け道を見つけたのでそこから逃げた。
なんとか難は免れた。梓ちゃんごめん。
…が紬さんに先回りされ、あっけなく捕まった。
最後に残ったのは律さんだった。
律さんは全員で挟み込んで捕まえることにした。
とりわけ澪さんは張り切っていた。
澪「さあ、観念しろ律」
律「あーっ!後ろに幽霊が!!」
澪「ひいぃぃっ!」がばっ
律「チャンス!」だっ
がしっ
律「ありゃ?」
梓「その手が通用するのは澪先輩だけです」
律「ちくしょう…」
澪「見えない聞こえない見えない聞こえない」
紬「第一回戦、終了ね」
鬼ごっこを何回かやったあと缶けりをした。もちろん発信器付きで。
用意された缶は紬さんの屋敷にあった外国の高価な飲み物の空き缶だった。
蹴るのにすごく抵抗のある缶だった。
高校生にもなってまさかこんなことをするとは思わなかった。
みんな全力で楽しんでいた。あぁ、これが軽音部なのか。
お姉ちゃんが少しうらやましかった。
律「はぁ…はぁ…。も、もう無理…」
澪「つ、つっかれた…」
梓「広すぎですよ、この屋敷…」
憂「あぁ~楽しかったぁ」
律「憂ちゃん大健闘だったよな」
梓「憂、運動神経もいいですから…」
紬「それじゃあ汗もかいたし、お風呂に入りましょうか」
澪「なんで息ひとつ乱れてないんだムギは…」
【お風呂】
律「で、でけぇ…」
紬「普段は大浴場は使ってないんだけどね、みんなが来るってことだから開放したの」
梓「ライオンの口からお湯が出てる…」
澪「いったい何者なんだムギは…」
律「あれ、憂ちゃんは?」
憂「・・・・・・」
憂「・・・・・・」ちらっ
梓「うっ…」
梓(わ、私を警戒している?!)
澪「どうしたんだ憂ちゃん、さっきから梓の方ばっか見てるみたいだけど」
憂「昨日梓ちゃんの家に泊まったとき…い、一緒にお風呂に入ったんですけど」
憂「そ、その時、梓ちゃんに…む、胸をいっぱい揉まれて…」
澪「えっ」
紬「まぁ」
律「梓。お前、おっぱい星人だったのか」
梓「ち、違います!誤解です!」
憂「・・・・・・」うるうる
梓「ご、ごめんね憂?大丈夫だから、こっちおいでよ」
憂「・・・・・・」ささっ
澪「ゆ、憂ちゃん?」
梓(あ、あからさまに避けられている…)
梓(にしても、ムギ先輩や澪先輩は憂よりも大きいな…)
梓(特に澪先輩。何カップぐらいあるんだろう)
梓(それに比べて律先輩は…)ちらっ
梓「…ぷっ!」
律「おい中野、今私の胸を見て笑っただろ。なぁ、笑っただろ」
梓「そ、そんなことありませんよ!…ぷぷっ」
律「お前だって私と大して変わらんだろ!」
梓「私はこれからまだまだ大きくなりますもん!まだ16だし」
律「もう18になる私には可能性はないって言いたいのか!」
梓「ふっ…」
律「ぢ、ぢぐじょー!やい澪!お前がそんなにでかいからいけないんだぞ、私によこせ!」
むにゅう
澪「ひぃぃ///や、やめろ馬鹿律!!!」
梓(よし、私もこの混乱に乗じて…)
むにゅ
澪「あ、梓?!」
最終更新:2010年08月26日 20:49