律「おい何してんだ中野!澪から離れろ!」

梓「先輩こそ離れてください!この乳は私のものです!!」

澪「んんっ…///」

澪「お、おい2人とも。は、恥ずかしいからやめてくれ…っ///」

律「えーい!離れろといっているんだ中野!」どんっ

梓「きゃあっ!」

もみっ

紬「あら!」

梓「む、ムギ先輩?す…すいません!」

紬「私のでよかったら、いくらでも触っていいのよ?」

梓「えっ…?」

梓「じゃ、じゃあ…失礼しますっ!」

もみもみ
もみもみ

紬「あっ…」

梓「ムギ先輩の、とってもやわらかいです」

紬「そう?それはよかったわ」

紬「で、でもちょっと激しい…かも…」

憂「・・・・・・」

もうわけがわからなかった。
律さんが澪さんの胸を揉み、
梓ちゃんが律さんの胸を揉んでいた。
この場にお姉ちゃんがいたらいったいどうなっていたのだろうか。
どうすればいいのかわからなかったので、
とりあえず私も近くにいた澪さんの胸を揉むことにした。

むにゅ

憂(うわ、おっきぃ…)



【食堂】

澪「さて、食事のときぐらいはおとなしくしろよ2人とも」

律「はい…」

梓「すびばせん…」

あのあと律さんと梓ちゃんは澪さんからゲンコツをくらっていた。

紬「あ、お食事が来たわよ」

ガラガラ

澪「ワ、ワゴン…?」

ワゴンと一緒にたくさんの料理が運ばれてきた。
どれも普通に生活していたら食べることはないであろう料理ばかりだった。

律「これ、あとでお金とられたりとかしないよな…」

梓「なんかバチが当たりそうです」

憂「す、すごい…」

紬「さ、いただきましょう」

「いただきまーす!」


たくさん動いて私たちはお腹が空いていた。
とはいえこんな量の料理をたいらげることも出来るわけなく、
どれも中途半端に残ってしまった。

梓「もう、お腹いっぱいです…」

律「なんかさわちゃんとか和とかみんな呼べばよかったな」

澪「確かに」

紬「じゃあまた今度、みんなも呼んでパーティーしましょ」

憂(お姉ちゃんにも食べさせてあげたかったなぁ)

食事が終わったあと、花火をした。
これも紬さんが事前に用意したらしく、
すごい量とバリエーションの花火だった。

律「くらえ!炸裂ロケット花火!」

ヒューン…パン

澪「馬鹿!危ないだろ!」

律「なにいってんだ、花火はスリルを味わうもんだろ!ほらもう一発」ヒューン

澪「ひぃぃ」

梓「先輩たち危ないからこっち来ないでくださいね」

律「ふっふ~ん。ほれ梓!くらえ、ねずみ花火じゃ」

シャアアアア…

梓「きゃああああ!!!」

律「あっはっはっはっは!おもしれー!」

紬「あらあら」

憂(なんで笑っていられるんだろう…)


花火を終え、紬さんの部屋で人生ゲームをした。
この人生ゲームは律さんが家から持参したものだ。
とりわけ紬さんは人生ゲームといったものをしたことがなかったらしく、
とても物珍しそうに遊んでいた。

澪「あっ、また子どもが…」

梓「これで4人目ですね」

律「あらあら澪さんたら、お盛んなこって!」

澪「う、うるさい!」

紬「やった!カジノで大当たりよ!」

律「ムギはゲームでも億万長者か…」

人生ゲームをやり終えた頃にはすでに12時近くになっていた。

律「なーんかいっぱい遊んで疲れちゃったな」

梓「そうですね、ふあぁ…」

澪「そろそろ寝ようか」

紬「今度は唯ちゃんも誘って、みんなでお泊りしましょう」

本当に楽しかった。
布団に入ってからも、話が止まらなかった。
部活の話、学校の話、ここにはいないお姉ちゃんの話。いろんなお話をした。
なんだか家出したことがバカバカしく思えた。
だって、お姉ちゃんはこんなに素敵な人たちと毎日を過ごしているんだもの。
寂しくなんかなくなった。お姉ちゃんは今を精一杯楽しんでいる。
私はそんなお姉ちゃんを見ているだけで幸せなんだ。

梓「憂、どうかしたの?」

澪「話が盛り上がりすぎちゃったかな、ごめんな?」

憂「いえ、今日は本当にありがとうございました」

憂「お姉ちゃんを、これからもよろしくお願いします」

律「なんだなんだ改まって?」

紬「私たちはずっと一緒よ。もちろん、憂ちゃんもさわ子先生も和ちゃんも。みんな私たちの大切な人だもの」

あったかい人たちだった。
みんなが魅かれる理由がわかったかもしれない。


【家出3日目】

紬「それじゃ斎藤。みんなを家まで送り届けてね」

斎藤「おまかせください」

梓「お邪魔しました」

律「そんじゃまたなー」

澪「また明日、学校で」

憂「お世話になりました」

紬「唯ちゃんにもよろしくね」

私たちは紬さんの家をあとにした。


【ゆいとういの家】

憂「さて」

3日ぶりの我が家だ。
お姉ちゃんはどうしているかな?
私は玄関のドアを開けた。

ガチャ

憂「ただいまー!」

しーん…

憂(寝てるのかな?)

私は靴を脱ぎリビングに向かった。
リビングではお姉ちゃんがソファの上でうずくまっていた。
電気もつけず、食事も食べかけだった。

憂「お姉ちゃん」

唯「…憂?」

憂「ただいま、いま帰っ――」

ぎゅっ

唯「ういっ!!!」

憂「きゃっ」

お姉ちゃんは私に抱きついてきた。
あまりの勢いに押し倒されそうになった。

唯「憂のばか!ばかばかばか!」

憂「…お姉ちゃん」

唯「何の連絡もしないで…。心配したんだからねっ?」

唯「憂になにかあったら、私どうしようかと…」ぽろぽろ

お姉ちゃんは泣いていた。私は悪い子だ。
大好きな人をこんなにも泣かせてしまったのだから。

憂「ごめんね…。ごめんね、お姉ちゃん」ぽろぽろ

私も泣いた。自分の愚かさに。
こんなに愛されていることに気づかなかった浅はかな自分に。

唯「憂。いったいどこで何をしていたの?」

私は正直にすべてを話すことにした。


唯「そっか、そういうことだったんだ…」

憂「うん、ごめんね?お姉ちゃん」

唯「・・・・・・」ぷいっ

憂「お姉ちゃん?」

唯「…もう憂なんて知らない!」

憂「えっ…?」

お姉ちゃんは急にそっぽを向いた。

憂「お姉ちゃん、怒ってる…?」

唯「当たり前だよ!憂のばか!!」

お姉ちゃんが怒るのも当然だと思った。
構ってもらえなかったという単純な理由で家出し、
ここまで心配をかけたのだから。

唯「どうして…」

唯「どうして!ムギちゃんの家に私も呼んでくれなかったの?!」

憂「え?」

唯「私だってムギちゃんの家で鬼ごっことか花火とかしたかった!」

唯「私だけ仲間外れにしてみんなで楽しんだなんてひどい!!」

憂「………ぷふっ」

唯「なにがおかしいの!憂!」

私は思わず吹き出してしまった。
おかしいに決まってる。
お姉ちゃんが怒っていたのは家出の理由ではなく、
紬さんの家でのお泊り会に参加出来なかったことだったからだ。
その答えがあまりにもお姉ちゃんらしくて、我慢出来なかった。

唯「本当に怒ったんだからね!もう憂とはしばらく口もきかないんだから!」

憂「お姉ちゃん?」

唯「・・・・・・」

お姉ちゃんは私に背を向けたまま黙っている。
どうやら本当に口をきかないつもりらしい。
私は買い物袋からあるものを出した。
本当は仲直りのために用意したものなんだけど、
まさかこんな形で使うことになるとは。

憂「ねぇお姉ちゃん、私アイス買ってきたんだけど…」

唯「・・・・・・」ぴくっ

アイスの単語に反応したらしい。
お姉ちゃんは振り返らないよう必死に我慢していた。

憂「今日買ってきたアイス、高くてすごくおいしいやつなんだ」

唯「・・・・・・」ぷるぷる

お姉ちゃんが震えている。
もうひと押しだ。

憂「お姉ちゃんが何もしゃべってくれないなら、私一人で食べちゃおうかなぁー…」

唯「・・・・・・」ぴきーん

お姉ちゃんは硬直した。
どうやらとどめをさされたようだ。

唯「……………憂。アイス」

憂「・・・・・・」

私はわざと聞こえない振りをした。

唯「あ゛~~~い゛~~~す゛ぅ~~~!!!!」

がばっ

憂「きゃっ!」

お姉ちゃんは私の足にしがみついてきた。

唯「ういぃぃ~、アイスアイスアイス~!!」

お姉ちゃんとこのやりとりをするのは久しぶりだった。
いつもならすぐにアイスをあげるんだけど、
今日はほんの少しだけ、いじわるをした。
久しぶりのこのかわいさをもう少し見ていたいと思ったからだ。

憂「お姉ちゃんが何も反応してくれないみたいだし、溶ける前に一人で食べちゃうか…」

唯「えっ…?わたしいるよ?!ここにいるよ、憂!」

私はお姉ちゃんを無視してキッチンに向かって歩き始めた。
お姉ちゃんは私の足にずるずると引きずられていた。

唯「憂…。ういぃぃ…」しゅん

とうとう諦めたのか、私の足から離れてソファに向かってしまった。
ソファで丸くなり小さくアイスアイスとつぶやいていた。

そんなお姉ちゃんがかわいくて愛しくてどうしようもなかった。

もうこのくらいでいいかな。
ちょっとお姉ちゃんがかわいそうになってきた。
私はアイスをもってお姉ちゃんの元に向かった。

とんとん

憂「お姉ちゃん」

唯「…?」ぐすっ

おねえちゃんは半べそをかいていた。

憂「アイス、食べよ?」

唯「……うんっ!!」ぱぁぁ

お姉ちゃんは途端に元気になった。
もう、お姉ちゃんったら…。

机の上にはラクトアイスとスプーン。
今日はちょっぴり奮発していいアイスを買ったから、ひとつだけ。

唯「お、おいしそう~…!」

憂「仲直りの印に私が最初の一口を食べさせてあげる」

唯「えぇ、いいよう自分で食べられるから」

お姉ちゃんはうずうずしていた。
早く食べたくて仕方ないのだろう。
私はそれをなだめるように言った。

憂「いいから。はいお姉ちゃん、目を瞑ってあーんして?」

唯「んん~っ。あぁー…」

憂「ふふっ」

ちゅっ

唯「えっ?」

憂「大好きだよ、お姉ちゃん」

お わ り



最終更新:2010年08月26日 20:50