梓ちゃんとは、私が傭兵を始めてまだ間もない頃、ブランチのロビーで数年ぶりに再会した。
お姉ちゃんがいなくなった私が<アヴァロン>に身を投じた理由は、少なからずその姿を追っていたこともあった。
長い間病院にいたという彼女は、身寄りがないという。
最初私は信じられなかった。
私は梓ちゃんを連れて彼女の家まで行こうとするけど、どういうわけか……
その家がどこだったか、本人にも私にも、まして近所の人さえも知らない。
まるで全て忘れてしまったように、一人うずくまって泣く梓ちゃんに、一緒に私の家で暮らそうと言った。
梓ちゃんに何があったのか……私は聞いてもどうすることもできないだろし、
お姉ちゃんが失踪した今、何か気づいてはいけないようなことがあるのではないかと内心怯えていたから。
私自身も、お姉ちゃんをなくした心の隙間を、誰かの存在をもってして埋めてしまいたかったというのもある。
お姉ちゃんが誰よりも仲の良かった後輩の梓ちゃん。その姿に、お姉ちゃんの姿が重なってひどく切ない気持ちになる。
ただの同情だったなら、きっとブランチのロビーにでも置き去りにしてきただろうと思う。
梓ちゃんも、下手な同情されるくらいなら、一人で浮浪者にでもなっただろう。優秀な<アヴァロン>のプレイヤーには一定のプライドがある。
本人の口からは「昔、ちょっとやってただけ」としか聞いたことがなかったけれど、
今日彼女の口からソロだったという言葉を聞いて彼女が<アヴァロン>の中で最も優秀なプレイヤーであっただろうという確信を持った。
私が梓ちゃんを、梓ちゃんが私を、ある程度友達以上の存在として見ていたからこそ今こうして二人でいる。
そんな確信が、より強く持てるようになった。


「ねえ梓ちゃん……ソロプレイヤーだったんでしょ?」
「……うん」
「お姉ちゃんも、ソロだったんだよ」
「うん……知ってる。先輩には、たくさん迷惑かけちゃったから……」
梓ちゃんは、虚構でつくられた戦場の中で何を見てきたんだろう。
「梓ちゃん、お姉ちゃんは……どんなプレイヤーだったの?」
「私はお姉ちゃんが戦ってるところ、見たことないから……」
梓ちゃんが、私の背中に手を回した。
「私が最後に見た先輩は」
お互いの身体が密着して、梓ちゃんの胸が鼓動を刻んでいるのが伝わってくる。
「現実がどこにあるのか……悟るために目を逸らさなかった。だから、今は私たちの前にはいないの……」
「そうなんだ……」
私は、梓ちゃんの目を見つめ続けた。
お姉ちゃんが悟るために目を逸らさないのなら、私は今、梓ちゃんから目を背けない。
最後までお姉ちゃんを見ていた、梓ちゃんの目はお姉ちゃんそのものを物語るだろう。

「憂……まだFAL、使ってるの?」
「うん、使ってるよ」
私が使っているFALは、着の身着のままだった梓ちゃんが唯一持っていたIDカードの中の装備データを私にくれたものだ。
もとより弾薬消費を気にする私は、全自動射撃機構を廃したタイプのFALの優れた射撃精度、高い貫通力と小口径のアドバンテージに惹かれた。
<アヴァロン>のプレイヤーは、武器もまたキャラクターとしての要素と考える人間が多い。
殊に戦闘技能と個性を売り物にする傭兵はその装備に神経質なもので、メンテナンスのためには貴重なポイントも惜しまない。
AK使いに名手なし、という言葉が横行するくらいで、かくいう私のFALも銃身を非常に高額な競技用バレルに換装している。
「そっか……どんなところ、使いやすい?」
「遠射性能と小口径……貫通力と弾薬の節約……あとは、趣味かな」
「趣味?」
梓ちゃんが不思議そうな顔をして聞いた。
「うん、趣味だよ。梓ちゃんがくれた銃だから、趣味に合うの」
そう言って、私は梓ちゃんにキスした。


唇をつけたまま、梓ちゃんの服の中へ手を滑らせた。
梓ちゃんのしなやかで細い身体が、ぴくりと震える。

今日は、馬鹿な連中に振り回されて大馬鹿を演じて、その馬鹿から稼いだお金をさらに悪質な馬鹿に奪われかけたけれど、
梓ちゃんのおかげでなんとか逃げおおせて、こうしてご飯も食べてお酒も飲んで、梓ちゃんと寝られる。

良くはないかもしれないけれど、そう酷くもない――そんな生活にいつ頃から浸っているのかも億劫になるほど、お酒が回っているみたい。
梓ちゃんと汗ばんだ身体を重ねて、酔いとともに興奮と快楽に身を預けようとしながら、私は心の中で繰り返しひとつの言葉を呟いていた。



この世界は常に強烈な既視感に満ちている――。

「……っ!!!」
ベッドから飛び起きた私は、カーテンの隙間から日の光が差し込んでいるのを見て、夢から覚めたと知った。
夢の中に久しぶりに純ちゃんが出てきたけれど……あんまり思い出すと頭の痛くなる夢だったから、忘れることにしよう。
隣には梓ちゃんが可愛らしい寝息を立てて眠りこけていた。
「……よかった、国に帰ってなくて」
心底安心した私はわけのわからないことを口走りながら、脱ぎ捨てた下着を身につけた。
結局昨日は、梓ちゃんと裸であれやこれ……思い出すと結構恥ずかしいこと色々して、そのまま寝てしまったんだった。
毛布からはみだしている梓ちゃんの小振りな胸を見て、どきりとしてしまう。
「女の子同士でもいいっていうのは……何かしら異常なのかなぁ……」
<アヴァロン>で傭兵稼業をやってる時点で異常なのは今に始まったことではないし、気にするほどのことでもないよね。

ふと時計を見ると、もう夕方だった。
……むしろおかしいのは性癖や同性に抱く恋よりも、体内時計みたい。

梓ちゃんと二人でシャワーを浴びてから、私はキッチンで遅めのお昼ご飯を作っています。
最近は私は昔のお姉ちゃんのように<アヴァロン>で稼ぐのがメインになっていて、梓ちゃんが家事をほとんどまかなってくれている。
料理するのは久しぶりなので、少しだけ不安はあるけど……まあ大丈夫。

簡単なうどんを二人で食べ終えたあと、私は梓ちゃんに見送られて、<アヴァロン>のブランチへと出かける。
「帰る頃に迎えに行くから、電話かメールしてね」
「うん。じゃ行ってきます、梓ちゃん」
「行ってらっしゃい、憂」

私は民生課の役人が決して認めることのない職場へと向かった。

ブランチは回線の接続が開始される夕刻から混み始める。

ロビーはもちろん、各種端末の並ぶ長い廊下にまでプレイヤーが溢れて、
そこかしこでブリーフィングに余念のないプレイヤーが円陣を組んで座り込んでいる。

人混みをかきわけ、私は回線の状況を表示する巨大なモニターの前にやってくる。
ここが私の仕事場……<傭兵待機所>。
傭兵を必要とするパーティはここを訪れて直接交渉によって契約条件に適う人材を雇い、傭兵は自分に有利な条件を呈示するパーティを待つ。

雇う側からすれば、アクセス料金を払った上で貴重な獲得ポイントの高率な割り戻しを保証するわけだから、
見かけ倒しの傭兵など雇おうものなら目も当てられない。

凄腕で、誠実で、危急の時には身を捨ててパーティを救い、しかも法外な要求をしない……そんな完全な兵士を求めるけれども、
そもそもそんなプレイヤーは傭兵などしていない。
しかし、「いざというときに逃げない」という点に関しては傭兵を必要とするようなパーティであれば真っ先に考慮する条件で、
当然のことながら戦場からリセットをかけるような傭兵は悪評を立てられて二度と仕事にありつけないことにもなる。


ともあれ傭兵を雇う際の条件や取り決めは全て直接交渉による口約束で、その契約を確実に守らせる組織なんていうものは存在しない。
もめ事などの処理は一切プレイヤーたちの自主的判断と良識ある行動……つまり掟と暴力にゆだねられている。

<アヴァロン>の管理者たちは、警察が介入することでもない限りはプレイヤーのもめ事には口を出さない。
同時に正規の業務内容以外にプレイヤーの便宜を図ることも一切ない。
全てプレイヤーが自己責任において行うのが当然とされており、アクセス料金さえ払えば、パーティの内実が問われることはない。
舞台を管理し、支障なく運営するのが自らの役割であって、
そこに至る過程や結果を含むどのような劇を演じたかはプレイヤーにゆだねられている、というのが管理者のポリシーだった。

もともと<アヴァロン>は本当に最低限のルールしか設定されていない。
この非常に緩いルール設定がパーティのメンバー間の不満、不平、嫉妬などの葛藤や軋轢を生み、造反や独立、分裂、
あげく友軍誤射から解散に至るあらゆる厄介事の原因となったのは言うまでもない。

たとえばRPGや擲弾筒などの重火器を扱える<メイジ>はパーティの戦力増強にうってつけなのは確かだけど、成長はそれなりに遅く、
一人前になるまでパーティで育てる必要があるが、引き抜きによって戦力を増強しようとするパーティもある。
パーティ間に緊張が高まったあげく戦場で殺し合い、ブランチで乱闘し、果ては殺人や傷害にエスカレートすることすらある。

引き抜きまで至らないにせよ、このようなパーティ編成に関するもめ事はキリがない。
そのほとんど全てが「戦場に至る過程とその結果」をプレイヤー自身にゆだねた<アヴァロン>のルールのせいといっても過言ではない。


それが試練か悪意なのかは私にはわからないし、それ自体永遠の謎なんだろうけど、はっきり言えることはある。
戦場という場所は、人を試みる場であるということは間違いないと、私は信じている。

<アヴァロン>は、そう言った意味で人間の作りだした究極の戦場なのかもしれない。


回線状況を表示するディスプレイが点滅し、次々と順番を待つパーティが接続していく。

いまこの瞬間、様々な思惑を秘めたパーティが続々と戦場へと旅立っていく様は、私の胸を高鳴らせる。

「この世ならざる土地で、夜毎に繰り返される騎士の狩り……なんてね」
「……ひゃあっ!?」
アーサー王伝説にでもなぞらえたような言葉を囁かれ肩をぽんと叩かれた私は飛び上がった。
振り向いた先には、ニヤけた律さん……いや、ガーランド。
「感傷にふけるのも悪くないけど、ぼんやりしてると仕事なくなっちゃうぜ、308」
私は胸の内を見透かされた気恥ずかしさを苦笑で覆い隠して答える。
「安売りはしない主義だから……えへへ」
「そりゃ残念、いい客を紹介しようかと思ったんだけど……」
「本当!?」
表情を変えた私に、今度はガーランドが慌てた。
「いや思ったんだけど……実はもう埋まっちゃったんだ」
「なるほど、今こうして私とガーランドが話している間に、どこかのおでこさんがさっさと話を決めてしまった、と」
「ごめん。担ぐつもりはなかったんだけど、実はそういうわけなんだ」
両手を顔の前で合わせる。
律さんのそんな姿が妙に可笑しくて、私は思わず顔がほころんだ。
こういう素直さは人間関係に難ありの多い傭兵にはとても珍しい、律さんならではのこと。
「気にしないでガーランド。冗談だよ」
「ありがと……ホッとした」
そんなに私、凶暴に見えるのかな……。
「それに、こう言っちゃなんだけど……妙な客なんだよ」



そう言って肩越しに促した視線の先に、ディスプレイを見上げるプレイヤーたちから少し離れたところにいる女の人がいた。
どこの国のものとも知れぬ軍用コートを着込んで、顔はフードに覆われている。
目元もサングラスをかけ、顔はわからない。
「どこの人なの……あの人?」
背丈は私と同じくらいだけど、気迫が違う。恐ろしく印象的だ。
「どこが妙なの?」
「傭兵だけで編成したパーティなんて、聞いたことあるか」
ガーランドが困惑としか言いようがない表情を浮かべていった。

「傭兵だけって……全員が?」
「そうなんだ。私含め3人の傭兵を雇った」
「分配率は一人30パーセント、もちろんアクセス料は向こう持ち」

傭兵のポイント配分は普通は良くても20パーセント……そう考えると30パーセントは破格の数字だ。
そんなことをしたら、主宰する人間へのポイントがアクセス料金すら払えないほどになってしまう。
「一体何者?」
「質問はなし、が条件だそうなんだ」
「IDはチェックした?」
「それもなし……どう思う?」
ガーランドが私に話しかけたのは、初めからそれが目的だったのかもしれない。


あり得るとすれば、<アヴァロン>に関するルポを書きたがっている雑誌記者やフリーライターが護衛として傭兵を雇うケースかもしれない。
でも一時期もてはやされた<アヴァロン>の読み物もすっかり人気をなくし、そんなものに見向きする人間がいるかどうかすら怪しい。
これは私の勘だけど、あの女の人の雰囲気がジャーナリストとは思えないし、護衛を必要とするタイプの人間とは思えない。

新規に参入するパーティが採算を無視してガイドを雇うというのもあるけど、一人で来ている時点でそうとは思えない。
「プレイヤーキラー……かな」
私は最後の可能性を口にした。

プレイヤーの装備は本人が死亡判定されると、戦場から消滅して自動復帰するが、負傷や放棄した場合は可処分データとして扱われる。
装備の購入には多大なポイントが必要になるから、これを回収して戻るのもパーティの重要な任務になることがある。
もちろん他のパーティが持ち帰ることも可能だ。
<アヴァロン>のルールは、装備の掠奪や他のパーティへの攻撃を禁止してはいないため、パーティ間の掠奪行為が怒ることは必然だったし、
これを専らとするパーティであるプレイヤーキラーが登場することはかなり早い時期から予想されていたという。

ちなみに他のパーティを待ち伏せして襲撃し、その装備を奪ってポイントに換える連中を<ニーシューター>と呼ぶのは、
システムの死亡判定をかわすために彼らが選んだ射撃方法に由来する。
現実でも膝撃ちは相手を確実に肢体不自由にすることから忌み嫌われるが、プレイヤーたちもこれを蛇蝎のごとく憎んだ。
フィールドで装備を奪われて激痛にのたうつプレイヤーは、敵に虐殺されるのを待つかリセットを選ぶしかないから。

「でも、プレイヤーキラーは絶対パーティで行動する」
ガーランドはあっさりと否定してみせた。
「あいつがどんな凄腕だとしても、私たち三人を相手に回して死なないように無力化する、なんて真似はできないぜ」
まあ、ベッドの上でなら別かもしれないけど、と捕捉して笑ってみせた。
案外律さんも、女の子同士でいける人なのかな……。
「まあそれはいいとして……ニーシューターは同じ端末で仕事したりしない。バレればフクロじゃ済まないしな」
「フィールドで仲間が待ち伏せっていう可能性は?」
「にしても、さ……なんで私たちを選ぶのかがわかんない。みんなG3とかだぜ」
それはその通りだった。
G3はローラーロッキングシステムを搭載した名銃だけど、<アヴァロン>ではFALと同じ30口径のハイパワーが敬遠されて傭兵以外に人気がない。
律さんの使用するM1なんて現物だとしたら目が飛び出すほどのプレミアかもしれないけど、データして評価するなら……
名前通りガーランドは傷つくだろうけど、ハイパワーだけが取り柄の半自動小銃であって、実質的な価値はAK以下になってしまう。
そもそも傭兵の好んで使用する火器は、たいていそれほどのポイントにはならない。

律さんはどこか困った表情で肩を竦めたが、私はといえば結論のでない話を続けるのが正直面倒な気がしてきた。
「まずいと思うならやめておいた方がいいよ。ガーランド」
「それはそうなんだけどな……」
律さんにしては珍しくはっきりしないものの言い方だった。
「どうしたの?」
「何があるのかさ、興味あるだろ? もう予備接続に登録しちゃったんだよん」

私は呆れてガーランドの顔を見つめた。
カチューシャとおでこの下の目の中で、瞳がキラキラと輝いていた。
要するに、律さんはこれから始まる愉しい冒険について誰かと話をし、その期待感を共有したかっただけだったみたい……。

ハイレベルなプレイヤーになるほど無表情になり、良くてお坊さん、悪ければ無感動な殺し屋にしか成り得ない戦場も、
律さんにとっては心躍る冒険の世界であり続けているのかもしれない。そんな意味では彼女こそ真のプレイヤー、冒険者なのかもしれない。

「30-06さん」
ガーランドの肩越しに、女の人が私を見つめていた。
サングラスを通り越して、視線を感じる。
何か切なくなるほど懐かしい感覚に襲われて、私はぼんやりと運命の人という言葉を思い浮かべた。
「時間だよ」
その声を聞いた途端、また懐かしい……何かとても大切なものを心の中まで探られたような気がして、
待って、あなたは誰なの……と声をかけようとしたけれど皆はもう廊下へと姿を消していた。

私は眉間に指を当てて、力なく私の指定席である通気ダクトに腰を下ろした。
まさか……あの人……。
いや、そんなはずはない。

「308……だね」
女の人に声をかけられた。
「仕事を頼めないだろうか」

見上げると、そこには長い、黒髪の女の人。
梓ちゃんと似た感じの目つきで、抜群のスタイル。
「お久しぶりです」
「よかった、覚えててくれたか」
「今は何とお呼びすれば?」
「ホウワ、でお願い」
秋山澪さん。
お姉ちゃんの部活仲間の先輩。
大人な雰囲気をまといながらも、即効性抜群の可愛らしさを備えた人だ。

「それじゃ、分配率は20パーセント。トルーパー以上の敵を私が倒した場合はその40パーセントをボーナスとしていただきます」
「弾薬代は私持ち、アクセス料金はそちら持ち。これ以下の条件なら、お断りします」
私はいつものように手短に条件を告げた。相手が旧知の仲でも、これは別の話だ。
駆け引きは苦手……というよりは時間の無駄だと今では考えている。結局のところ雇う人は雇うし、冷やかしにつき合うこともない。

「それだけ、でいいのか?」
澪さんは言葉を返した。別に怒っているわけでも、驚いているわけでもないようだった。
「こちらのことは、何も訊かなくていいの?」
「フィールドに立てば、判りますから」
「わかった。お願いするよ」


澪さんも私と似たような信条の持ち主らしい、メンバーを紹介すると言って背を向けるとさっさと歩き出した。
<アヴァロン>に身を投じた澪さんに何があったのかは知らないけれど、上級プレイヤーとしての雰囲気は、本物だった。
澪さんが近づくとベンチに座り込んでいた5人組が起ち上がって整列し、一斉に頭を下げた。
全員が黒髪の綺麗な女の子で、<アヴァロン>のプレイヤーというよりも何というか、清楚な女学生のような印象を受ける。
大和撫子の集団、と言えばぴったりだ。

「ドッグズヘッズ、と名乗らせて貰ってるんだ」
ピュアピンク(ピュアな撫子)……なんてのも悪くないかなと思ったけれど、思ったより違ったイメージの名前だった。
今度は全員が私に向かって無言で頭を下げた。
訓練された犬のような人たちだ。
犬のように従順な美少女たちと、それを従える魅惑の美女。

<ドッグズヘッズ>は風変わりなパーティだ。


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最終更新:2010年01月25日 21:22