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たいいくそうこ!
紬「待ってたわ、唯ちゃん……」
紬「さぁ、このお茶を飲んで。唯ちゃんのために入れたの」
唯「……飲みたくない」
紬「じゃあ、梓ちゃんに飲んでもらおうかな」
唯「どうして!?」
紬「だって唯ちゃんが言うこと聞いてくれないんだもん」
唯「……あずにゃんにも『飲まないで』って言う……」
紬「あら、私はそれでも構わないわよ」
唯「……」
紬「でも、無理矢理飲まされたら可哀想よね。
梓ちゃんはちっちゃいから、抵抗できないだろうし……」
唯「……飲みます……飲ませてください」
唯「」 ゴクゴク
紬「美味しい?」
唯「……美味しく飲めるような気分じゃないよ……」
紬「そうね。紅茶を飲むときって、誰とどんな状況で飲むかも大事よね」
唯「……」
紬「だから、放課後に皆で飲む紅茶は格別の味だったわ」
唯「……」
紬「唯ちゃんは……どうして百合が嫌いなの?」
唯「どうしてって……それが普通だよ。女の子同士なんておかしいよ」
紬「そうかしら? でも唯ちゃんは平気で女の子に抱きつくじゃない」
唯「あ、あれは……ただのスキンシップで……」
紬「梓ちゃんにキスしようとしたくせに……」
唯「……」
紬「あれもただのスキンシップなの?」
紬「あのとき唯ちゃんは冗談のフリしてけど、アレって本気だったんでしょ?」
唯「ち、ちがうよぉ……」
紬「でも梓ちゃんに抵抗されて、ちょっと泣きそうになってたわよね?」
唯「……」
紬「唯ちゃんって、女の子好きの変態さんなのね♪」
唯「ちがうよ……ちがうよ……」 ポロポロ……
紬「昨日、唯ちゃんが『百合が不潔』なんて言い出したのは……」
紬「梓ちゃんに嫌われたくなかったからでしょ?」
唯「……」 ポロポロ……
紬「梓ちゃんが百合じゃないって分かったから、自分も百合じゃないってアピールをしたのよね」
唯「もうやめてよ……ムギちゃん……」 ポロポロ……
紬「大丈夫よ唯ちゃん……」
唯「……」
紬「唯ちゃんには私が居るわ」
唯「……」
紬「私なら、唯ちゃんを拒んだりしない……。
唯ちゃんを受け入れてあげる」
唯「……イヤ」
紬「どうして嫌なの?」
唯「どうしてもイヤ!!」
紬「そう……」
唯「……」
紬「なら、身体に覚えさせてあげる♪」
唯「イヤ……! こっちへ来ないで……!」
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こうばい!
純「かつサンドゲット~♪」
梓「私は何にしようかなぁ」
ヴヴヴヴ……
梓「あっ、律先輩からメールだ」
From:田井中 律
Sub:Re:
ごめん 見失った(T∇T )
梓「」
梓「……っ!!」 ダッ
純「梓! どこへ行くの!?」
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梓「一体どこに……携帯もつながらない……!」
梓「唯先輩……! ゆい先輩……っ!」
梓「どこに居るんですか!?」
律「おい、梓っ!」
梓「律先輩……! 唯先輩は?」
律「分からない。さっきから探してるんだけど……。
でも澪と和にも頼んだし、きっとすぐに見つかるよ」
梓「……」
さわ子「どうしたの二人とも?」
梓「さわ子先生! 唯先輩を見かけませんでしたか!?」
さわ子「唯ちゃん? さあ、見てないわね」
梓「そんな……」
さわ子「ムギちゃんなら、職員室で見かけたけど」
梓「本当ですか!?」
さわ子「ええ、カギを返しに来たって言ってたわ」
梓「カギ……? どこのカギですか!?」
さわ子「えーっと……カギとしか言ってなかったから、よく分からないわ」
梓「(少なくともカギをかけられるような場所にいるってこと……?)」
律「梓、手分けしてさがすぞ!」
梓「はい」
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たいいくそうこ
紬「梓ちゃんのことは諦めたほうがいいわよ」
唯「……んぅ……やぁ……そんなところ触らないで……」
紬「私と一緒に居たほうが気持ちいいわよ」
唯「やめてよ……ムギちゃんやめて……」 ビクビクッ
紬「ウソ。悦んでるくせに♪」
唯「……ちがっ……んっ……」 ピクッ
紬「梓ちゃんは唯ちゃんのこと、ただの先輩としか思ってないのよ」
唯「…………うっ……」
紬「それなのに、唯ちゃんが変な目で見てるって分かったら……」
唯「……」
紬「梓ちゃんはきっと、唯ちゃんのこと嫌いになっちゃうね♪」
唯「……あ……あずにゃぁん……」 ポロポロ……
紬「唯ちゃんは梓ちゃんに嫌われたくないよね?」
唯「……うん……」 ポロポロ……
紬「ならどうすればいいと思う?」
唯「……」
唯「……あずにゃんのこと……諦めるよ……」
紬「そう……」
唯「……ううぅ……」 ポロポロ……
紬「可哀想な唯ちゃん。私が慰めてあげる」
唯「……うあああぁぁ……」 ポロポロ……
紬「大丈夫よ。私が傍にいてあげるから」 ギュッ
唯「…………ムギちゃん……」
ドンドン! ドンドン!
紬「……!」
唯「……?」
ドンドン! ドンドン!
梓『唯先輩……!! そこに居ますか!?』
唯「あ……」
唯「……あずにゃん!!」
梓『唯先輩っ!! 居るんですね!? 開けてください』
唯「あずにゃん! あずにゃん!!」
紬「……待って唯ちゃん!!」
紬「さっき言ったでしょう? 梓ちゃんのことは諦めるって!」
唯「うん……。あずにゃんのことは諦めるよ……」
紬「だったら、開けちゃダメよ!!」
唯「でも……私はムギちゃんの思い通りにはならない!!」
紬「どうして……!?」
唯「だって、あずにゃんがそこに居るから!!」
紬「……」
唯「……私を呼んでるから!!」
ガチャッ
梓「唯先輩!!」
唯「あずにゃん!!」
梓「唯先輩……大丈夫ですか?」
唯「うん。私は平気だよ」
梓「どうしてこんなところに居たんですか?」
唯「ムギちゃんと……お話してたんだぁ」
梓「顔赤いですよ? 熱でもあるんですか?」
唯「うん。あるかもしれないね」
梓「じゃあ、保健室へ行きましょう?」
唯「そうだねぇ~」
紬「あーあ……」
紬「ちょっと本気だったんだけどなぁ……くすんっ」
紬「……さて、次はりっちゃんと澪ちゃんのどちらにしようかな♪」
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ほけんしつ!
梓「保健の先生、居ないみたいですね」
唯「二人きりだね、梓!」 キリッ
梓「はいはい。馬鹿なこと言ってないで横になってください」
唯「ああん、あずにゃんのいけずぅ……」
梓「子供じゃないんですから。シャンとしてください」
唯「ぶーぶー」
梓「ブタさんですかアナタは……」
唯「ブヒブヒ♪」
梓「……もう反応しませんよ?」
唯「トホホ……」
梓「お昼ごはんは食べましたか?」
唯「まだ食べてないよー」
梓「じゃあ、何か買ってきましょうか?」
唯「ええー? いいよ~そこまでしなくても~」
梓「そ、そうですか?」
唯「あずにゃんこそ、お昼は食べたの?」
梓「まだですけど……あっ! 唯先輩! 一緒に食べませんか!?」
唯「食欲ないからあとで食べるよ~」
梓「そうですか……」
唯「じゃ、あずにゃんはそろそろ教室へ戻ったほうがいいよ」
梓「え? でも、まだお昼休みはありますし……」
唯「お昼食べる時間なくなるよ?」
梓「……そうですね」
梓「それでは、また様子を見に来ますから。
おとなしく寝ててくださいね?」
唯「りょーかいであります!」
梓「唯先輩、おやすみなさい」
唯「うん……おやすみ、あずにゃん」
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梓「(いつもの……唯先輩だよね?)」
梓「(あ、そういえば律先輩に連絡するの忘れてた)」
梓「(『唯先輩見つかりました。今保健室に居ます』……っと)」
純「あずさ~!! おっそーい! もう食べる時間ないよー?」
憂「どうしたの梓ちゃん?」
梓「ちょっと唯先輩を保健室まで連れに行ってたんだ」
憂「お姉ちゃん?」
梓「うん。唯先輩、熱があったみたいで……」
憂「やっぱりムリしてたんだ……。もう、しょうがないなぁ」
純「はぁ~、唯先輩が羨ましいなぁ」
梓「なんで?」
純「だって、梓と憂の二人に世話されてるんだもん」
梓「べつに世話してるわけじゃないよ」
憂「それくらい妹だから普通だよー」
純「ぜったい普通じゃないと思うけどなぁ。むしろ逆?」
梓「まあ、唯先輩だからね」
憂「そうだ! 純ちゃんもお姉ちゃんのお世話をすればいいんだよ!」
純「えっ? 何その逆転の発想」
憂「そうすれば、どうしてお姉ちゃんがお世話されるのか分かるよ!」
純「理屈は合ってる……」
梓「どうするの純……」
純「えっ? なんで梓に睨まれてるの?」
梓「べつに睨んでませんけど」
純「嘘だ~! 眉間にシワ寄ってた!」
梓「大体、睨む理由がないもん」
純「唯先輩が取られると思ったりして~?」
梓「ないない」
憂「お姉ちゃんは物じゃないよ!」
純「私は唯先輩みたいになるのは諦めるよ。スタートラインからして違うし」
憂「そうだよ。純ちゃんは純ちゃんだよ」
純「その言葉、もう少し早く言って欲しかったなぁ」
梓「(唯先輩、ちゃんと寝てるかな)」
梓「(……唯先輩……)」
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唯「……」
唯「あずにゃん……」
唯「……」
唯「もう抱きついたりしないから……」
唯「私のこと、嫌いにならないでね……」
唯「……」
唯「……あずにゃん……」 ポロポロ……
最終更新:2010年08月27日 23:39