……………


タマムシシティ ポケモンセンター


梓「えーと……パソコンのメール……と」

梓「あっ、もうメール来てる……早いなぁ……えっと?」


『梓へ
 もしメールを見てたらヤマブキのポケモンセンターに来てくれ。』


梓「ヤマブキ? なんだろう?」



……………


ヤマブキシティ ポケモンセンター


梓「いるかな……」ウィーン

澪「梓、こっちだ」

梓「あっ! 澪先輩!!」

澪「メール見たんだな」

梓「はい、ヤマブキのポケモンセンターに来てってメールを……」

澪「そうだ、ここじゃあ人も多いから宿泊施設の方に行こう。 部屋もとってるから」

梓「は、はい」


……………


澪「まずはこの地図を見てくれ」バサ

梓「この地図は?」

澪「今私達がいるカントー地方の地図だ。 梓が行ったことの無い町はあるか?」

梓「えーと……セキチクとグレンには行ってませんねぇ……でも唯先輩と律先輩は行ったんですけど……」

澪「唯と律が行ったから一応カントーの町は全部回ったってことになるな」ゴソゴソ

澪「それじゃあこっちの地図を見てくれ」バサ

梓「? 何の地図ですかこれ?」

澪「ナナシマ地方の地図だ」

梓「ナナシマ?」

澪「まだこのナナシマは探していないだろう?」

梓「探してないですけど……」

澪「次はここへ行ってみようかと思う」

梓「ナナシマにですか?」

澪「そうだ」

梓「でもカントーからどうやって行くんですか? ナナシマの周辺の地図が無いと……」

澪「それなら心配無い。 このトライパスを持ってクチバにあるシーギャロップ号に乗ればナナシマ地方に行ける」

梓「そのトライパスはどこで手に入れたんですか?」

澪「マサキさんだよ」

梓「マサキさんに?」

澪「マサキさんに色々話してたら、ナナシマとか行ってみたら?って言われてそれでこのパスを貰ったんだ」

梓「でも私達が乗って大丈夫なんですか……ポケモンリーグのこととか……」

澪「その件なら大丈夫だ。 あのことは一般の人には知られていないらしい」

梓「本当ですか!?」

澪「ジムリーダーとかに見つかると厄介だけど見つからなければ特に問題は無い」

梓「そうですか……」

澪「あと……」

梓「あと?」

澪「唯と律は元気でやってるそうだ」

梓「ほ、本当ですか!?」

澪「ああ、マサキが言ってた」

梓「良かった……」ホッ


澪「ところで梓」

梓「なんですか?」

澪「そのポケモンは出しっぱなしだが大丈夫なのか?」

梓「えっ?」クルッ

ドーブル「………」

梓「うわあ!?」ガタ

澪「梓!?」

梓「い、いつのまに!?」

澪「ヤマブキのポケモンセンターに入ってきた時からずっといたぞ?」

梓「そ、そんなに前から!?」

ドーブル「ブル?」

澪「なんだ? 新しく仲間になったんじゃないのか?」

梓「なってないです! 助けてもらいましたけど捕まえてません!!」

ドーブル「………」ジー

梓「えーと……」

澪「別にもったいぶらずに仲間にすればいいんじゃないか?」

梓「え、でも……いいのかな……」

澪「野生のポケモンがここまで懐くなんて中々無いそうだし、いいんじゃないか?」

梓「じゃあ……よろしくね!」

ドーブル「♪」

梓「でも、どういうポケモンなんだろう……どんな技使うかもわからないし……」

澪「それなら受付の近くにポケモンのことが書かれた本があるから見に行ったらどうだ?」

梓「いいんですか?」

澪「船に乗るのは明日の昼頃だからな。今日はここで泊まるつもりだし」

梓「じゃあ、行ってきますね」ガチャ

ドーブル「ブル!」タッ


……………


翌日 昼 


クチバシティ クチバ港


船員「シーギャロップ号に乗船する方はこちらへ並んでくださーい!!」

梓「あの船ですか?」

澪「船員さんが言ってるから間違いないだろう」

船員「お客様、トライパスはお持ちですか?」

澪「二人分です」サッ

船員「はいオッケーです! 乗船して下さーい!!」

梓(良かった……)ホッ

澪「梓、乗るぞ」

梓「は、はい!」

ボォォォォー


アナウンス『皆様、長らくお待たせしました。 間もなく出航します』

梓「ひっろい船ですねぇ……」

澪「ナナシマまで結構時間掛かるらしいからしばらくは部屋でゆっくりしとこう」

梓「部屋まであるんですか!?」

澪「あぁ、こっちだ」

梓「凄い船ですねぇ……」







……………


ジョウト地方 ワカバタウン



ウツギ博士「ふぅ……」

助手「それじゃあ博士、お先に失礼しますね」パタン

ウツギ博士「うん、お疲れさん。 ……さて、僕もそろそろ帰るか」



……………


ウツギ博士の家


ウツギ「ただいま憂ちゃん」

憂「おかえりなさい、ウツギ博士!」

ウツギ「家内と息子は?」

憂「二人とも寝ましたよ」

ウツギ「そう? ん……もしかしてまた食器洗ってたの?」

憂「はい」

ウツギ「別にしなくてもいいんだけどなぁ……」

憂「なんていうか……しないと落ち着かないっていうか……」

ウツギ「まぁ無理にやめろとは言わないけど、一応無理はしないでね?」

憂「ええ」

ウツギ「……にしても今から1ヶ月程前だったかな?」

憂「何がですか?」

ウツギ「 憂ちゃんがトージョウの滝で倒れてた日だよ」

憂「あぁ……そういえば……」

ウツギ「あの時はビックリしたなぁ。 たまたま僕が通りかかって無かったら……」

憂「そ、それは……」

ウツギ「まぁ事情はある程度聞いたからね。 それまでは好きなだけここにいても構わないからね」

憂「は、はい! ありがとうございます!」


ウツギ「そういえば憂ちゃん」

憂「なんですか?」

ウツギ「憂ちゃんにあげたポケモンはどうだい?」

憂「ラキちゃんだったら食器洗い手伝ってもらってますけど……」

ラキちゃん(ラッキー)「ラッキー」トコトコ

憂「あっ、終わった?」

ラキちゃん「ラッキー」コクン

憂「お疲れ様」ナデナデ

ウツギ「うん、だいぶ懐いたみたいだね」

憂「でも本当にいいんですか……? 私がこのポケモン貰っても……」

ウツギ「大丈夫だよ。 このラッキーは知り合いから譲ってもらったんだけど僕より憂ちゃんの方が懐いてるからね。 ラッキーのことは憂ちゃんに任せるよ」

憂「ありがとうございます」

ラキちゃん「ラッキー♪」

ウツギ「そうだ憂ちゃん」

憂「なんですか?」

ウツギ「明日憂ちゃんに手伝って欲しいことがあるんだけど頼んでいいかな?」

憂「私は構いませんけど?」

ウツギ「そうかい? じゃあ明日下の研究所に来てくれないか?」

憂「わかりました!」



……………


翌朝 ウツギ研究所


憂「失礼しまーす」カチャ

ウツギ「おっ! 待ってたよ憂ちゃん!!」

憂「ウツギ博士、用事って何ですか?」

ウツギ「実は憂ちゃんに届けてもらいたい物があるんだ」

憂「届けたい物ですか?」

ウツギ「キキョウシティにポケモン塾の塾長のジョバンニ先生にこの資料を渡して欲しいんだ」パサ

憂「はい、わかりました! じゃあ行ってきますね!!」

ウツギ「ちょっと待って!」

憂「はい?」

ウツギ「連絡手段も必要だろう? だからこれを憂ちゃんにあげるよ」

憂「これは……」

ウツギ「ポケギアだよ」

憂「ポケギア?」


ウツギ「こうやって……」ピッピッ

ウツギ「連絡する時はこのように僕の名前を選ぶと僕と通話ができるからね」

憂「はぁ……」(携帯電話と同じ用法かな?)

ウツギ「それと……」ピッ


ウイーン


ウツギ「ここに3つモンスターボールがある。 この中から好きなポケモンを選んでよ」

憂「えっ!? ……でも私はラキちゃんでも十分ですよ!!」

ウツギ「憂ちゃん、ラッキーはあまり戦闘には向いて無いポケモンなんだ」

憂「そうなんですか?」

ウツギ「この辺りの野生のポケモンはそこまで強くは無いけど、たくさんの数に襲われたりでもしたら憂ちゃんが危ない」

憂「で、でも……」

ウツギ「1匹と2匹はかなりの差があると思う。 これは憂ちゃんのためでもあるんだ。 お願いだから……ねっ?」

憂「……わかりました」

ウツギ「うん、じゃあ遠慮せずに選んで!」

憂「じゃあ……」ジー

憂「………」ジー

憂「この子にします!」スッ

ウツギ「早速出してごらんよ」

憂「はい!」

ボン!

チコリータ「チコッ!!」

ウツギ「草ポケモンのチコリータでいいのかい?」

憂「はい、この子がこの中で可愛いので……」

チコリータ「チコッ!!」フン!

ウツギ「見た目と違ってちょっと気が強いんだけど、憂ちゃんなら大丈夫かな」

憂「えーとチコリータだから……チコちゃんでいいかな?」

チコちゃん「チコッ!!」

ウツギ「随分気合い入ってるなぁ……でもこれで心配無いかな」

憂「じゃあ博士、今度こそ行ってきますね」

ウツギ「うん、こっちも何かあれば連絡するからね」

憂「じゃあ行こっか、チコちゃん」

チコちゃん「チコッ!!」


……………


キキョウシティ


憂「ふぅ……野生のポケモンに襲われたりトレーナーに無理やり勝負させられたりして疲れたなぁ……」

チコちゃん「チコ……」

ラキちゃん「ラッキー……」

憂「ウツギ博士にポケモン貰って正解だったかもね」

チコちゃん「チコ?」

憂「ポケモン塾に行く前にポケモンセンターで休んでからにしよっか?」

チコちゃん「チコッ!」

ラキちゃん「ラッキー!」


……………


ポケモン塾


憂「すいませーん!」ガチャ

ジョバンニ「おや? どちらさまですかー?」

憂「ウツギ博士から資料を届けに来たんですけど……」

ジョバンニ「おおー! ありがとうございまーす!! 助かりましたー!!」

憂「これで大丈夫ですか?」

ジョバンニ「えぇ! これでオーケーでーす!!」

憂「それじゃあ私は失礼しますね」

ジョバンニ「お気をつけて下さいねー!!」



……………


憂「えーと……他に用事は無いよね?」

ピリリリリリ

憂「あっ、ポケギア鳴ってる……ウツギ博士からだ」ピッ

憂「もしもし、憂ですけど……」

ウツギ『もしもし憂ちゃん!? た、大変なんだ!! えーと……何が何だか……』

憂「えっ!? どうしたんですか!? 落ち着いて……」

ウツギ『と、とにかく大変なんだ!! 急いで戻ってきてよ!!』ピッ

憂「えっ!? もしもし! もしもし!?」

ツーツーツー・・・

憂「何があったんだろ……とにかく戻ろう!」


8
最終更新:2012年09月27日 00:20