……………


ヨシノシティ


憂「早く戻らないと……ん?」

???「………」ダッ

憂「あれっ?」

???「!?」ピタッ

憂「え?」

???「ワニノコ!」ボン!

ワニノコ「ワニ!」

憂「わっ!?」ボン!

チコちゃん「チコッ!」


ワニノコ「ワニッ!」ドカッ

チコちゃん「チコッ!?」

憂「チコちゃん! "はっぱカッター"!!」

チコちゃん「チコッ!!」シュンシュンシュン

ワニノコ「ワニッ!?」

???「くっ!? 戻りなさいワニノコ!!」ボン

憂「な、なんですか急に攻撃してくるなんて……!」(赤い服に……赤いフードで顔がよく見えない……)


ビュウゥゥゥ!


憂「な、何!? 突風!?」

???「くっ!?」


バサッ!


???「あっ!?」


憂「!! え……?」

???「あ……」

憂「あ、あなたは……!」

???「……ヤミカラス!!」ボン!

ヤミカラス「カァー!」バサバサ

憂「あっ!? 待って!!」


バサバサバサ


憂「行っちゃった……」

憂「でも今のって……間違いない……なんで……」



……………

ワカバタウン ウツギ研究所


警察官「ご協力ありがとうございます。 では失礼します」

ウツギ「はい、ありがとうございました」

警察官「気をつけて下さいね」パタン

ウツギ「はぁー……まいったなぁ……」

憂「………」ガチャ

ウツギ「おぉ憂ちゃん! おかえり……どうかしたかい?」

憂「……何かありましたか?」

ウツギ「うん……実はポケモンが盗まれちゃってね……」

憂「盗まれたポケモンってどんなポケモンですか……?」

ウツギ「ワニノコっていうポケモンなんだけど……」

憂「……どんな人が盗んだんですか?」

ウツギ「えーと……赤い服を着ていて……」

憂「他に特徴は?」

ウツギ「他に特徴……? 確か眼鏡をかけてて……」

憂「どんな眼鏡ですか……?」

ウツギ「えーと……赤い眼鏡だったような気がするけど……」

憂「……私、その人を見ました」

ウツギ「えっ!? ホントかい!?」

憂「……はい」

ウツギ「その人の名前とかわかるかい!?」

憂「………」

ウツギ「もし知っていたら教えて欲しいんだけど……」

憂「………」



憂「和さんです」


ウツギ「和……? 聞いたことがあるような……」

憂「前に話してた私が探してる人です」

ウツギ「たしか……憂ちゃんのお姉さんのお友達だったかな?」

憂「はい……」

ウツギ「うーん……」

憂「博士」

ウツギ「なんだい?」

憂「私、和さんを探しに行きたいと思います」

ウツギ「どうして?」

憂「和さんがこの世界にいるってことはお姉ちゃんもこの世界のどこかにいると思うんです! お願いします!!」

ウツギ「もちろんだよ!」

憂「……え?」

ウツギ「元々憂ちゃんはこっちの世界の人間じゃないんだろう? だったら一日でも早く元の世界に帰る手掛かりを見つけた方がいいと僕は思う!!」

憂「博士……」

ウツギ「憂ちゃん。 行っておいで」

憂「ありがとうございます!!」

ウツギ「でも今日はもう遅いから出発するなら明日からの方がいいよ」

憂「わかりました!!」



……………


翌朝


ウツギ「それじゃあ憂ちゃん。 気をつけてね」

憂「ありがとうございました」ペコリ

ウツギ「何かあったらポケギアでかけてくれていいからね」

憂「はい! それじゃあ……」

ウツギ「気をつけるんだよー!!」

憂「ウツギ博士! ありがとうございました!! ……じゃあ行こっか!」

チコちゃん「チコッ!!」

ラキちゃん「ラッキー!!」



……………


和「………」プルルルルル

???「和か……」ピッ

和「ボス……ソライシ博士はどこにいるのでしょうか?」

???「なんだ? どこにもいねぇのか?」

和「はい、ジョウト地方にいると伺いましたが……」

???「そんなはずは無い。 ソライシ博士は調査で今ジョウトにいる筈だ。 もっとよく探してくれ」

和「……ホウエンに帰ってきたという可能性は?」

???「ホウエンに帰ってきてたら下っ端共がお前に連絡を送るはずだ。 それまではしっかり探せ」

和「……わかりました」

???「頼むぜ? お前には期待してるんだからよ? じゃあ切るぞ」ピッ

和「………」ピッ

和「……憂」



……………

キキョウシティ


ジョバンニ「おやー? あなた確か昨日の……?」

憂「あっ! 確かジョバンニ先生?」

ジョバンニ「そうでーす! 覚えていただき光栄でーす!!」

憂「あのー……聞きたいことがあるんですけど……」

ジョバンニ「なんですかー? 何でも言ってくださーい!!」

憂「あそこに町からの出口が2つあるんですけど、どっちに行けばいいでしょうか?」

ジョバンニ「おやー? 人探しですかー?」

憂「えぇ、まぁ……」

ジョバンニ「それなら北の出口に向かって自然公園がありまーす! その公園を南へ行けばコガネシティに着きまーす!! あの町は都会ですからたくさんの人がいまーす!!」

憂「本当ですか!? ありがとうございます!!」

ジョバンニ「いえいえ! お礼なんて結構でーす!!」


……………


36番道路


憂「えぇー!? 通れないんですかー!?」

男「あぁ見て通り大きい木が邪魔で通れなくなっているんだ」

憂「じゃあどうやってコガネシティへ行けばいいのか……」

男「なんだい? コガネシティに行きたいのか?」

憂「はい……」

男「ちょっと遠回りになるがコガネシティへは行けるぞ」

憂「え? どうやって行くんですか!?」

男「キキョウシティを南へ出てそのまま進むと『つながりのどうくつ』に出る。 その洞窟を出たら『ヒワダタウン』に着く。 えーと……そこから先は知らないや……ごめんね」

憂「いえ、大丈夫です。 とにかくヒワダタウンに行けばいいんですね!?」

男「うん、そうだよ」


……………


ヒワダタウン


???「うるせージジイだな……とっとと帰れよ!」

ガンテツ「誰がジジイじゃ! わしはボール職人のガンテツや!!」

???「ガンテツかなんか知らねえけどとっとと失せろ!!」

ガンテツ「やかましわ!! お前らが町中のヤドンを全部誘拐してんのはわかってとるんや!! はよ出さんかい!!」

???「うるせーなこの……」

憂「あのー……なにかありましたか?」テクテク

???「ん? なんだお前……」

ガンテツ「おりゃー!!」ダッ

???「ぐおっ!?」ドン!

憂「あっ!!」


ヒュウウウゥゥゥ・・・


憂「井戸に落ちちゃった……あのー! 大丈夫ですかー!?」


シーン・・・


憂「………」

憂「……助けた方がいいよね?」



……………


ヤドンの井戸の中


ガンテツ「いたたた……」

憂「あのー? 大丈夫ですか?」タッタッタッ

ガンテツ「ん? あんたか……いたたた……」

憂「あ、あのー……無理しない方が……」

ガンテツ「思いっきり腰打って無理できるかい……」

憂「す、すいません……」

ガンテツ「まぁええわ、あんたに頼みたいことがあんねん」

憂「な、なんですか……?」

ガンテツ「わしの代わりにロケット団からヤドンを連れ戻して欲しいねん」


憂「ロケット団?」

ガンテツ「さっきの入口にいたんがロケット団の下っ端や。 そんでロケット団はヒワダの町中のヤドンを誘拐しおったんじゃ。 恐らくこの奥にまだ仲間がおる筈や……」

憂「で、でも私なんかに……」

ガンテツ「頼むわ……礼やったらなんでもする……これはわしの問題やのうてヒワダの町の問題やねん……」

憂「………」

ガンテツ「あんたなら出来る……そんな気がするんや……」

憂「……わかりました。 ロケット団からヤドンっていうポケモンを連れて来たらいいんですね?」

ガンテツ「そうや……頼むで!」

憂「はい!」

ロケット団下っ端「いってー……思いっきり腰打っちまったじゃねえかよ……」

憂「あ! いた!」

下っ端「ん? さっきの……」

憂「ガンテツさんから話は聞きました。 ヤドンを返して下さい!!」

下っ端「くそっ! あのジジイめ……こうなったらコラッタ!」ボン!

コラッタ「コラッタ!」

憂「チコちゃん! "はっぱカッター"!!」ボン!

チコちゃん「チコッ!」シュッシュッシュッ

コラッタ「ラッタ!?」ザシュザシュ

下っ端「な!? 俺のコラッタが!?」

憂「やった!」

下っ端「くそっ!」ダッ

憂「あっ!? 待て!!」


……………


憂「随分奥まで来ちゃったなぁ……ん?」

ヤドン「………」ボー

憂「もしかしてこのポケモンかな……?」

ヤドン「………」ボー

憂「……あっ、よく見たら尻尾が無い!?」

下っ端(リーダー格)「おい」

憂「えっ?」

リーダー「さっきは仲間が世話になったそうじゃねぇか?」

憂「………」キッ

リーダー「お前がどれだけ出来るのか試してやるよ。 出てこい!!」

ロケット団の仲間達「おおおおおぉぉぉぉぉ!!」

憂「こ、こんなに!?」

憂(あんなにいるなんて聞いて無いよ……)

チコちゃん「………」ブルブル

憂「チコちゃん!? だ、大丈夫!?」

チコちゃん「………」ブルブル

憂「チコちゃん!?」

チコちゃん「」ググググ

憂「えっ!?」

チコちゃん(ベイリーフ)「ベェェェイィィィ!?」

憂「え!?」

下っ端「し、進化だと……」

憂「進化……」

リーダー「怯むな! 進化したって大したことは無いはずだ!!」

チコちゃん「……」ギロッ

下っ端「ひっ!?」ビクッ

チコちゃん「ベイッ!!」ドドドドドド

下っ端1「う、うわあ!?」ダダッ

下っ端2「きゃあっ!?」ダッ

リーダー「あっ! てめえら逃げるな!! ……こうなったら」

チコちゃん「ベイッ!!」ズン!

リーダー「ぐえっ!?」

憂「どうですか? まだやりますか?」

リーダー「ま、まいった……」


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最終更新:2012年09月27日 00:21