唯「子猫ちゃん、キレイな肌してるねー」サワサワ
梓「…………」
唯「子猫ちゃん、今夜は寝かさないよ☆」サワサワ
梓「…………」
唯「おお、よく見たらあずにゃんそっくりなまな板みたいな胸っ!」モミモミ
梓「…………」
唯「えへへ、お腹もすべすべ。ほっぺすりすり~」スリスリ
梓「…………」ムカムカ
唯「ちっちゃなお尻もカワイイよ~」ナデナデ
梓「……ブチッ」
ガブッ
唯「っっっいったあああい!! な、なんで噛むのあずにゃん!?」
梓「あなたが雌である私のの尻をさわるからです」
唯「なんで胸さわったときは怒らなかったのに、お尻だと怒るの!?」
梓「私は下半身をさわられるのが極端に嫌いなんです!」シャアア!
梓「だいたいどこの馬の骨ともつかないあなたに私の臀部をさわられなければならないのですか!?」
唯「うわあん、あずにゃんが怖いよー」
梓「まったく……私が噛んだところを見せてください」
唯「ほぇ? ここだよ」
梓「意外と傷が深いですね」
唯「うん、すごく痛かったよ」
梓「よくよく考えたら、あなたは命の恩人でした。お詫びに傷をなめてあげます」ペロペロ
唯「ひゃう!……こしょぐったいよあずにゃん」
梓「人間は傷ができたら唾をつけておくといいと仲間から聞いたんですが、違うのですか?」
唯「ちょこっと違うかな」
梓「ふーむ、ではお詫びに、ひとつ私の失敗談を聞かせてあげましょう」
唯「なんで失敗談をわたしに聞かせるのかわからないけど、期待するよ」
梓「あれはまだわたしが外の世界に出たばかりの頃です」
唯「どういうこて?」
梓「ああ、私はもとは飼い猫だったんです」
唯「そうなんだ……。あれ?じゃああずにゃんは、どうして今は野良猫なの?」
梓「…………」
唯「あ、ごめん。思い出したくなかったら話さなくていいよ」
梓「いえ、べつにそういうわけではありませんが、これからする失敗談には関係なので」
唯「あずにゃんの失敗談かあ。なにを失敗したの?」
梓「昔、話です。私は野良猫としては、全然ダメな猫でした」
梓「キャットフードとか猫缶とかしか食べたことのなかった私は、それ以外のものが食べられなかったのです」
唯「泣けるね」
梓「そのせいでで、虫を見つけて殺しても、食べないもんだからすっかり空腹になってしまったのです」
唯「あわわ」
梓「それで衰弱した私はたまたま通りかかった人間から餌を得るために、人間に化けたんです」
唯「ほほう。それでそれで?」
梓「化けたまではよかったんです。
が、野良猫デビューしたばかりのそのときの私には、人間に化けるのは難しかったみたいで」
唯「うんうん」
梓「胸の乳首が八個のままの状態だったんです」
唯「あらま」
梓「そしてそれを見た人間は悲鳴をあげて逃げていきました」
唯「切ないね」
梓「あのとき、私は本当に死ぬかと思いましたね」
梓「しかし、空腹があまりにもヒドかったので最終的に虫を食べたんですけどね」
唯「あずにゃん……!」ダキッ
バリッ
唯「いったああいっ!? なにするのあずにゃん!?」
梓「それはこっちの台詞です! こんな真夏日に抱き着く馬鹿がどこにいるんですか!」
唯「ここにいるよ!」フンス!
唯「猫のあずにゃんはダメだね。あずにゃんだったら私が抱き着いても、引っ掻いたりしないよ」
梓「知りませんよ、あずにゃんなんて」
唯「それに人を引っ掻いたらダメなんだよ」
梓「私も好きで引っ掻いているわけではありません」
唯「ていうかあずにゃん、爪長すぎだよ。わたしが切ってあげようか?」
梓「……」シャアア!
唯「い、いやなんだ……」
梓「爪は私たちにとってのライフラインみたいなものですから」
唯「そうなんだ」
梓「しかし、たしかに最近は爪が伸びすぎな気がしないでもないかもしれません」
唯「うん、長すぎるのはよくないよ」
梓「あちらのソファーをお借りしてもいいですか?」
唯「ん?もしかして眠たくなったの?いいよいいよ。一緒に寝る?」
梓「違いますし、あなた寝息がうるさそうなので結構です」
唯「あー、ヒドイ!」
梓「とりあえずソファーはお借りしますね」
唯「寝る以外になにするの?」
梓「こうします」
バリバリッ バリバリッ
唯「あ゛ー!?」
唯「な、なにしてるの!?」
梓「爪研ぎです」バリバリ
唯「やめて、ソファーがボロボロになるから!」
梓「貸してくれると言ったくせに」
唯「爪研ぎに使うとは思わなかったもん」
梓「そういえばソファーは爪研ぎに使うものではないみたいですね」
唯「座るためのものだよ」
梓「ふうん……」チラッ
バリバリ バリバリ
唯「だからダメ! めっ!」
梓「イヤだイヤだ!爪研ぎキモチいいもん」ジタ、バタ
唯「裸でジタバタしないでよ~」
梓「やはりあなたもソファーで爪研ぎをすると怒るんですね」
唯「当たり前だよ。ソファーって高いんだよ。憂が言ってたもん」
梓「私のご主人もソファーでバリバリするとよく私を叱りました」
唯「へえ。あずにゃんの飼い主さんはどんな人だったの?」
梓「忘れました」
唯「えぇー冷たいよあずにゃん。自分を飼ってくれた人でしょ?」
梓「私、飼われてから一ヶ月で家から抜け出したんで」
唯「家出したの?」
梓「まあ、家出と言えば家出なのかも」
唯「じゃあ飼い主さんのことなにも覚えてないの?」
梓「そんなこともないです。ご主人が私の頭を撫でてくれる感触は今でも覚えています」
唯「あずにゃん、なんとなく嬉しそうだね?」
梓「そうですか?」
唯「うん、嬉しそう」
梓「そういえば、ご主人は私に夫を選ぶときは慎重に、と言っていました」
唯「あ、あずにゃんダーリンいるの?」
梓「ダーリン?」
唯「旦那だよ、旦那」
梓「いると思います?」
唯「うーん、どうなの?」
梓「実は……」
唯「実は……」
梓「実は……何回かプロポーズは受けているのですがどいつもコイツも気にくわない雄ばかりで」
唯「あずにゃんはモテモテなんだね」
梓「まあ私ですからね」
唯「でも、ということはダーリンはいないんだよね?」
梓「ええ。私も早く子供が欲しいなとは常々思っているんですけど」
唯「あずにゃんの子供……」
梓「はあ……」
唯「ところであずにゃん」
梓「なんですか?」
唯「あずにゃんって、今何歳なの?」
梓「私の年齢ですか」
唯「うん、見たかんじは私と同じくらい?」
梓「正確には数えてないから知りませんね。しかし、最近は食べたものをよく戻しますね」
唯「え?そ、それ病気じゃないの?」
梓「いえたぶん、ただの加齢です」
唯「か、かれい?」
梓「おそらくもうすぐ私の発情期も終わるんじゃないですかね」
唯「は、発情期?」
梓「昔は本能のおもむくままにお尻を振ってました」
唯「ね、猫ってすごいね」
梓「未だにバージンなんですけどね」
唯「ははは……」
唯(なぜだか安心しちゃった)
唯「猫さんって色々すごいんだね」
梓「そうですかね。我々からしたら人間のほうが色々狂っていますが」
唯「そう?」
梓「はい。たとえばあなたたちは文字とやらが使えるでしょう?」
唯「うん、使えるよ」
梓「あの意味不明な記号で意思の伝達ができるのってすごいですね」
唯「えへへ、そう?」
梓「まあ、私もひとつだけ書ける言葉があるんですが」
唯「 なになに? なに書けるの?」
梓「ご主人が書いているのをたまたま見て覚えたんです」
唯「紙とペンがあるから書いて」
梓「あ、やっぱり面倒なのでいいです」
唯「気まぐれだね」
梓「猫ですから」
梓「なんですかソワソワして、気になります」
唯「あずにゃんに抱き着きたいなあ、って思って」
梓「引っ掻きますよ?」ニャパー
唯「ううー」
梓「それにあなた雄でしょ?そんなふうに私に抱き着くなんて……」
唯「ええ!?」
梓「……あれ? 雄じゃないんですか?」
唯「わ、わたしが男の子に見えるの?」
梓「いえ、てっきりこんなに私に尽くしてくれているので雄かと思いました」
唯「そんなの見たらわかるじゃん」
梓「人間なんて見た目でどうやって雄雌の区別をつけるんですか?」
唯「え、えーと……胸とか、髪型とか?」
梓「だいたい私たちは、猫だって雄雌の区別をつけられないんだから人間なんて到底無理ですよ」
梓「それにあなたの乳房なんて衣服の上からでは全然わかりませんしね」
唯「ひ、ヒドイ……!」
梓「髪もそんなに長くないし」
唯「まあ暑いからね」
梓「暑いなら私のように裸になればいいじゃないですか」
唯「それはちょっとヤダ」
梓「人間って変わってますよね」
唯「そうかもね。……って、じゃあ、あずにゃんたち猫さんはどうやって雄雌の区別つけてるの?」
梓「知りたいんですか?」
唯「うん、すごく興味あるよ」
梓「じゃあ服脱いでください」
唯「はーい、ってええ!?」
梓「いいから脱ぎなさい」
唯「へ? あ、あのあずにゃん……」
梓「シャアアッ!」ヌギヌギ
唯「ぎゃあ」
唯「なんでパンツごと脱がすの!?」
梓「ちょっと黙って」
唯「ひゃう!?」
梓「……」クンクン
唯「あのー……あずにゃん? どこの臭いをかいでるのかな?」
梓「局部です」
唯「いやああああああ」ジタバタ
梓「落ち着きなさい」クンクン
唯「うええん」
梓「……たしかにあなたの局部からは雌の臭いがしますね」
唯「聞きたくないよぉ……」
梓「おわかりになられましたか?」
梓「私たち猫はこのように相手の肛門の臭いを嗅いで、相手の性別を判断するんです」
唯「わたしのお尻の穴の臭いもかいだの!?」
梓「局部をかいだついでに興味がわいたのでかがせてもらいました」
唯「あ、あはは……」
梓「私の友人たちと同じ臭いがしました」
唯「聞こえない聞こえない」
最終更新:2010年09月04日 01:34