夏休み前

澪「なあ、みんな。広島にバスケのインターハイ見に行かないか?」

律「いきなりだなオイ」

梓「広島ですか……」

唯「またずいぶん遠いね~。なんでバスケットなの?」

律「あーほら、澪ってスポーツ観るの好きだし。特にバスケみたいに点がバシバシ入るスポーツは好きなんだよ。な?」

澪「うん。そういう事だ」

紬「インターハイかぁ。青春!って感じね」

澪「今年のインターハイは面白いぞ」

唯「なんで~?」

澪「ふふ。なんてったって、今年の山王工業は史上最強なんだ!!」

唯「ヤマオー?」

梓「いや、今澪先輩思いっきりサンノーって言ってたじゃないですか。どんな聞き間違いですか」

唯「さんのう!」

澪「まさか唯……王者・山王を知らないのか?」

唯「もちろん知りません!」

澪「さすがに沢北さんくらいは知ってるだろ?」

唯「知らないよ~。ていうか私、いんたーはいって何かすら知らないや」

澪「な、なにぃ……?」

律「唯、それはさすがに高校生としてマズいぞ……」

唯「むっ。じゃありっちゃんはいんたーはいって何か知ってるの?」

律「当たり前だ!えーとインターハイってのはだな、あー……つ、強いところと強いところが戦うんだよ」

梓「全然知らないじゃないですか」

澪「全く、二人ともしょうがないな……。いいか?高校バスケには夏のインターハイ、秋の国体、冬の選抜っていう三大大会があるんだ」

唯「ふむふむ」

澪「で、その中でもインターハイが一番重要な大会なんだ。ほとんどの三年生にとっては最後の大会だからな」

唯「なるほど~。桜高は出ないの?」

澪「桜高は県予選で敗退してるから出れないよ」

唯「よせん?」

紬「6月に信代ちゃんの高総体の応援に行ったでしょ?」

唯「あー!あれが予選なのかぁ」

唯「って事は、それを勝ち上がった強いところしかいんたーはいには出れないんだね!」

澪「まぁそういう事だ」

律「ほ、ほらな~!私の言ったとおりだろ」

梓「律先輩の説明は大雑把すぎです」

澪「どうだ唯?見たくなってきただろ?インターハイ」

唯「ん~……あんまり興味ないなぁ……」

澪「……」

唯「だって私、バスケのルールよくわかんないんだもん」

律「そういや信代の応援に行った時も……」


唯『ねーねーりっちゃん、なんで今の2点なの?』

律『バスケは基本的に2点なんだよ』

唯『え?でもさっきは1点ずつだったよ?』

律『ああ、フリースローは1点…』
唯『あっ!見て見て!信代ちゃんがボールとったよ!すごい!がんばれー!』

律『聞いちゃいねー』


律「回想終わり」

梓「唯先輩らしいですね……」


唯「ルールわかんないし、知らない人の試合なんて観たってつまんないよ~」

澪「なっ……」

紬「私もバスケットはあんまり……」

澪「ムギまで!?」

律「……でも唯、広島に行けばもみじ饅頭が食べられるぞ?」

唯「」ピク

律「あと広島風お好み焼きも。焼きそばの上にお好み焼きが乗ってるやつ」

紬「」ピク

唯「行きたい!」

澪「え」

紬「私も!広島行きたいです!」

律「梓はどうする?」

梓「みなさんが行くなら……まぁ私は構いませんけど……」

律「だってさ。良かったな~澪」

澪「……!」

澪「えへへ……///」

澪「……コホン!みんな、目的はあくまでもインターハイの観戦!山王工業の応援だからな!」

唯紬梓「はーい」

律(はー……やれやれ)



広島駅

唯「着いたー!ヒロシマー!早くムギちゃんのホテル行こうよ!」

律「よーし!ヒロシマだから広島弁以外使っちゃいけないゲームしようぜ!」

紬「すごく暑いわのぉ。たちまちお茶にする?あ、でもわし、はよぉ焼きそば食べたい。お店調べてきたけぇ、行ってよう。こっちの方向じゃけぇ、迷子にならんでね!」

梓「なんで喋れるんですか!?」

澪「はいそこ、早速はしゃがなーい!私たちの目的は山王の応援だろ?早く試合会場行かないと」

唯「えー?あしょびたーい!」ブーブー

律「おなじくー」ブーブー

澪「ああもう!海南の試合始まっちゃうじゃないか!ほら、タクシー乗るぞ!」


タクシー車内

ブロロン

梓「ところで澪先輩、山王の応援はいいんですけど、対戦相手はどこなんですか?」

澪「えーっと、月バスのトーナメント表によると……豊玉だな」

律「ふーん。強いのか?豊玉って」

澪「Aランクだし、ベスト8くらいの力はあるよ。まぁ我らが山王の敵じゃないけどね」

紬「この湘北ってところが勝ち進んでくる事はないのかしら?」

澪「湘北なんて聞いた事もないよ。Cランクだし、初戦敗退する弱小校だろ。豊玉が負けるはずないよ」

唯「そっかぁ!さすが澪ちゃん、詳しいですなぁ!」

澪「ふふふ」


試合会場

唯「ちょっ……澪ちゃん待ってよ~!」ハァハァ

澪「海南の試合始まっちゃったじゃないか!急がないと見逃すぞ!」タタタタ

ガチャッ

ワアアアアアアアア

梓「うわ!凄い盛り上がりですね」

紬「わぁ~……!なんだか私、ワクワクしてきちゃった!」

澪「海南は!?スコア!スコアは……!」キョロキョロ

律「落ち着け」

神「バシッ シュッ」スパッ


澪「あっ、今打ったの神だよな!神のスリーだ!」


清田「ルーキーセンセーション清田信長全国デビュー!!」バッ

清田「せいっ!!」ガンッ


澪「だ、ダンク!あの身長でダンクしたぞ!律、今の見た!?」ユサユサユサユサ

律「「「一人で興奮してないで解説してくれよ……」」」ユサユサ

唯「澪ちゃん楽しそうだね~」

紬「そうね~」


前半終了
海南 50-20 馬宮西


澪「いやーさすが海南だな。圧倒的だ!」

唯「澪ちゃん、海難ってなに?事故かなぁ?」

澪「え?海南も知らないのか唯は。何しにここに来たんだよ」


紬「ま、まぁまぁそう言わずに、私達にも教えて澪ちゃん?」

澪「やれやれ、仕方ないな」フーヤレヤレ

梓(会場に入った途端態度でかくなったなぁ……)

澪「まず、あの4番を着てる人が牧だ。ダンプカーなんだぞ」

唯「あずにゃんに似てるね~」

梓「ま、まだ私は焼けてません!それにあんなに老けてませんよ!」


牧「」ピク


澪「で、6番が神だ。スリーがとってもうまいんだぞ!」

紬「ふむふむ」

澪「以上だ」

唯「えっ」

ワーッ

澪「ん?なんだ、急に騒がしく……あっ!」

律「今度はなんだよ……」

澪「山王だ!出てきたぁー!!沢北さーん!!」

唯「えっ?どれどれー?」

梓「あの坊主頭の集団ですかね」

澪「山王ォー!山王ォーッ!!」ハフハフ

律「落ち着けって……。まだ練習だろ」


紬「あれ?対戦相手はショーホクだね?」

唯「澪ちゃんの予想外れちゃったね」

澪「え?ま……まぁそういう番狂わせもあるさ。そこが高校バスケの面白いところなんだ!ははは……」

唯「なるほど~」

沢北「ドッ」河田「ドッ」深津「ドッ」←タップ


澪「おおっ!さすが山王!はやい!」

唯「ねえねえ澪ちゃん、あれなにやってるの?」

澪「見てわからないか?練習だよ」

紬「何の練習なの?」

澪「そりゃバスケの練習だろ」

唯「なるほど~。さすが澪ちゃん」

澪「エッヘン」

律梓「……」

深津「ラストピョン」

河田「ドコ!!」

おーーーっ!


澪「やってくれるわ河田の奴!ははっ」

律「うお~!すげーな」

唯「山王ってみんなボーズでかわいいね~」

梓「……アレかわいいですか?」

唯「うん!かわいい!」フンス

梓「やっぱり唯先輩の感覚はわかりません……」
唯「えー?かわいいじゃん!ジョリジョリしたいよ~」

律「頼むから男の人相手にいつものノリでスキンシップはやめてくれよな……」

紬「あれ?コートに赤い頭の人が残ってるわよ?」

桜木「そこで見てろヤマオー軍団」ズンズンズン

桜木「フンガッ!」ドギュッ


梓「フ……フリースローラインから……」

澪「跳んだっ!?」


桜木「ぐえっ」どぎゃ どちゃっ


律「ぶふっ!失敗してやんの!」

梓「律先輩みたいな人だなぁ……」

唯「あははははは!おもしろ~い!」


海南戦 終了
海南 104-49 馬宮西


澪「さぁいよいよ山王の試合だ!みんな頑張って応援しよう!」

唯紬「おー!」

澪「せーの……」



澪唯紬「山王ォー」
赤木「湘北ーーーーー!!」

澪唯紬「!?」

湘北「ファイ!!おおし!!!」

唯「うわぁ……おっきい声だね~」

紬「びっくりしたわ」

澪「見えない聞こえない見えない聞こえない……」ガクガク

桜木「パァース!!」ドドドド

桜木「フンガァ」

桜木「だりゃ」ガコン


律「うお!すげーダンク!」

唯「かっこい~」

澪「敵を誉めてどうする!ていうか山王側のゴールじゃないか!!」

紬「そうなの?」

澪「全く……これだからヤンキーはイヤなんだ!立花さんといいあの赤頭といい……」ブツブツ

唯「姫子ちゃんはヤンキーじゃないよ!」

澪「ヤンキーだよ!ルーズソックスだし髪染めてるし!」

唯「ヤンキーじゃないもん!」プンスカ

梓(姫子って誰……?)

『只今より秋田県立山王工業対神奈川県立湘北高校の試合を行います』

澪「いけいけ河田!とべとべ河田!」

唯「かわたー!」

紬「頑張ってくださーい!」

澪「ほら!律と梓も声出して!」

律「わ、わかってるよ。かわたーがんばれー……」

梓「が、がんばれー……///」

澪「恥ずかしがってちゃ応援なんてできないぞ!もっと声出さないと!」
梓「は、はい……」


律(お前にだけは言われたくねー!)

澪「河田!河田!河田!」


唯「あ、ショーホクボールだね」

澪「ディーフェンス!ディーフェンス!」パンパン

唯紬「ディーフェンス!ディーフェンス!」パンパン


宮城「いっ」バッ

桜木「いっ」


律「え……ま、まさかアリウープ!?」

澪「ぷっ!弱小チームが無理しちゃって。アリウープなんてできるわけ……」


桜木「」ガス


澪「!?」

梓「わぁ……!澪先輩、今のがアリウープですか!?」

澪「な、ななななな……」

律「すっげー!あんなの高校生がやってるの見た事ねーよ!」

唯「ショーホクってもしかして強いのかなぁ?」

澪「そ、そそそそんなずは……」

紬「ひょっとして山王さんに勝っちゃったりして」

澪(バカな……いつもの試合と違うぞ……)


シュッ バス

深津「同じ2点だピョン」


澪「よぉーーし!やった!ナイスシュート深津!」

唯「でもなんか地味だねえ」

澪「何言ってるんだ!同じ2点だろ!最強山王はアリウープなんかで動じたりしないんだ!」

唯「あぅ……」

澪「ほらまたディフェンスの応援だぞ!ディーフェンス!ディーフェンス!」パンパン

唯紬「ディーフェンス、ディーフェンス」パンパン

三井「ピッ」 スパッ


澪「」


三井「落とす気がしねぇ」スパッ


澪「ぐっ……」

梓「うわ、また入れましたよあの14番」

唯「ねーねーりっちゃん、なんであの人が入れたら三点なの?」

律「あそこに線があるだろ?あの外側からシュート決めたら三点なんだよ」

唯「ほえ~。じゃあ全部外側から打てばいいんじゃないの?」

律「遠いとそのぶん入れるの難しくなるだろ」

唯「おぉ……!バスケって奥が深いんだね~」

紬「難しいのね~」


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最終更新:2010年09月04日 20:37