律「くっそ!!切れやがったっ!!まただ!!」
ゴツン!!
律「あいったーっ!!なっ、何すんだよ澪!!」
澪「なんで唯の声聞かせてくれなかったんだよっ!!」
梓「そうです!!律先輩だけ唯先輩とたくさん話してずるいです!!」
純「・・・」
律「しょうがねえだろっ!?いつ切れるかわからない電話なんだから!のんきに『私だ!澪だーわかるかー?』とか」
律「『あずにゃんですーお久しぶりです唯先輩!』とか自己紹介してる時間はないんだよっ!」
澪「でも…少しくらい…」ウッ
梓「私はそんなこと言わないです!そうですよ。少しくらい声聞きたかったですよ…」
律「わっ…悪かったって……………ん?」
澪「ん?」
梓「え?」
純「…過去の…唯先輩からの電話…??えっ?」
律「あっ…いやー、これはっ…アハハハハー」
純「あっ…いやごめんなさい。話が読めないなーと思って…あははは」
澪「純ちゃんにも…話そう…」
律「待て、…純ちゃん。もう一度聞くけど、唯が死んだ日っていつだったっけ?」
純「えっ……5年前の…文化祭の日に……」
律「NA☆ZE☆DA!!」
純「!?」
梓「なっ……なんでっ…記憶がっ……」
純「えっ?えっ??」
澪「純ちゃんの記憶も変わってしまった……」
律「駄目だ…もう…」
純「(えー……)」
律「もう…憂ちゃんしかいない…」
澪「でも…憂ちゃんには…」
律「うん…言えない…憂ちゃんの事を考えると…またこんな嫌な過去をほじくり返すようなこと…聞けないっ」
澪「ありがとね、純ちゃん」
律「なんだかごめんね…」
純「いえいえ…………って、えっ?」
律「じゃあ、うちら帰るから!じゃあな梓、純ちゃんも。ありがとう」
澪「じゃあね。また今度」
梓「はい!それじゃあ」
純「えwwwちょwww」
澪と律は、手を振りながらMAXバーガーを後にした。
純「ちょっと梓!!」
梓「なっなに!?」
純「どういうことなの!!」
梓「えっ?あー…」
もう話してもいいかと思い、梓は純に全てを話した。
律「伝えるには伝えたけど…どうする…」
澪「どうするって…唯と電話が繋がらない以上…これ以上は」
律「いつ繋がるかはわからない。いつかかってくるかもわからない…」
律「そして…もうかかってこないかもしれないし、繋がらないかもしれない…っ」
澪「そんなっ!!」
律「皆で暇ありゃ唯の番号にかけてみようぜ。それで連絡取れ次第、唯に2月25日の事を報告する」
澪「うん…それでいくしかないな…」
律「あ、そういえばさ、澪。来年、あたし卒業じゃん」
澪「おお!そうだったな!おめでとう!」
律「いやいや、で、それで卒業ライブみたいなの学校でやろうと思うんだ」
澪「卒業ライブ…?」
律「まだまだ先だけどさっ、それで、放課後ティータイム再結成!ってのはどうだ?」
澪「いいな!それ!!でも…私ら部外者だけど…」
律「大学の卒業ライブにそんなの関係ねえよっ。あたしは関係者だ!」キリッ
澪「ふふっ、楽しみだな」
律「唯も……唯も来てくれることを信じてさっ―」
澪「…そうだな」
唯が生きて過去から帰ってくることを信じて、律は卒業ライブの計画を立てることにした。
澪「にしても雨…止んでよかったなぁ~」
律「だな!まさか降ってくるとは…………」
律「・・・」
澪「?」
律「雨…」
澪「どうした?律?」
律「唯から電話がかかってきたときには雨が降ってる日だった気がする…っ」
澪「何!?」
律「そうだ!最初の時も!!雨が降った後だった!!おっきな虹が出てて―」
澪「虹…?」
律「そうか!虹だ!!さっきも雨降ってたし…虹は見えなかったけど…どこかで虹が出てたんだ!」
澪「そんなことが…」
澪「じゃあ、虹が出てる時しか唯と電話は繋がらない…?」
律「いや待てよ…2回目は確か雨なんか降ってなかったぞ…」
澪「なんだよ…どういうことだ…?」
律「5年前の唯の世界で虹が出ていた…?」
澪「まあ…その可能性はあるけど…」
律「ていうか!そもそも虹が出ることなんてそんなにないぞっ!!」
澪「と、とにかく!雨が降ってるときや虹が出てるときにひたすら唯に電話かけてみよう」
律「そうだな…やってみるしかないな」
澪「律の卒業ライブのために…放課後ティータイム再結成のために……そしてっ―」
澪律「唯のためにっ!!」
2人は、律の家の前で別れた。
今日は色々あって疲れた。律はそう思いながらフラフラと自室に入り、ベッドに横になった。
律「唯…必ず助けてみせるからなっ!」
2015年、10月22日
―K大学―
律は、卒業ライブの申請をするべく、学校に向かった。
しかし、卒業ライブのステージはもう一杯だった。
律たちが演奏する時間はない。と言われた。
しかし、律は諦めることができなかった。入学したてのころ、少し入っていた音楽サークルに行った。
サークル内でバンドを結成していて、当然卒業ライブの日もステージに上がる。
その時間を少しだけ譲ってもらおうと頼みに行ったのだ。
1曲だけでいい。5分だけでいい。と律はお願いした。
その結果―
男「いいよ!1曲とは言わず、2曲3曲やっちゃえよ!多少時間延びても問題ないって!」
律「ほっ本当か!!」
男「俺たちのゲストって形で紹介すりゃなんの問題もないだろ。それにガールズバンドだし、盛り上がるぜきっと」
律「ありがとう!!本当にありがとうっ!!」
男「いいっていいって!律たちが高校時代にやってたバンドメンバーでの演奏…俺らも聞いてみたいしなっ!」
律「で、卒業ライブって3月だよな?」
男「うんにゃ、今年はちょっと早いんだ」
律「え?いつ?」
男「2月25日だけど…」
律「!?」
男「えっ?」
律「2月…25日…!?」
男「え?何予定あるの?」
律「あーいやっ、そんなんじゃないんだけど…」
2月25日は…そう、通り魔事件の日だ。
卒業ライブは、その日に行われる。
律「おまえらのステージの時間はっ!?」
男「4時から45分の予定だけど…」
律「ギリギリ…か…」
男「律?予定あるなら無理すんなって―」
律「いや、あたしの予定じゃないんだ。大丈夫だって!」
男「ならいいけど…」
律「本当にありがとなっ!!楽しみにしてるっ!」
男「おう!頑張れよ!っていってもまだまだ先だけどな」
律「だな。じゃ、ありがとなー」ノシ
その日、唯と憂を早く下校させて、唯が助かったとしてもこのライブの時間に間に合うかどうかはわからなかった。
おそらく間に合ってもギリギリになるだろう。
唯と。放課後ティータイムで1曲できればそれでいい。律はそう思っていた。
そのためには、自分たちも楽器の練習。
そして何より、このことを唯に伝える必要があった。
仮説にすぎないが、唯と電話が繋がる可能性があるのは、雨の降っている日か、もしくは虹の出ているとき。
しかし、この虹。なかなか出るものではない。
10月19日に家に帰ってから、早速パソコンで天気予報を見てみたが雨の降る日は当分来そうにない。
これが梅雨の時期ならよかったのになぁと律は思った。
天気は、自分たちがどう頑張っても変えられるものではない。
天に…神に祈るしかなかった。
2015年 10月30日 15:45
律「雨の野郎…全然仕事しねえっ!!」
あれから雨が降ることはなかった。
雨が降ってない日でも唯の携帯に4人で何回か電話をかけ続けていたが、繋がることはまずなかった。
幸運にも事件が起きるのは来年の2月。まだまだ時間はあるが、心配で仕方なかった。
もちろん、他の3人も。
天気予報では、この週は雨は降らない。
律「冬に入っちまったらもう、雨降っても虹なんか出ねえよ……クソッ!!」
律「・・・」
律「あっ、やべっ、バイト行かなきゃ」
律は自転車にまたがり、いつもの道を軽快に走り抜けた。
律「ふあーーーすっずしいいいいい」
ポツ―ポツ―
律「えっ?…雨!?」
ザ―――――――――――――――――――――ッ!!
律「うわっ!!馬鹿っ!!」
律「この野郎!!夕立とはっ!!こしゃくな~!!」
律「いそげええええええっっ!!」
空には太陽が出ているというのに、この大雨。
自転車のペダルを必死にこいでバイト先まで急いだ。
しかし、バイト先の居酒屋に着いたころには律の服はびしょ濡れだった。
律「トホホ…」
律「ん?……雨!!」
律「そうだ!!夕立!!雨!!虹!!」
律「唯にっ…唯に電話だっ!」
最終更新:2010年09月04日 23:54