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唯「りっちゃんっ!澪ちゃんっ!むぎちゃん!あずにゃん!!」

唯「待ってて!今っ!」



唯「今行くからっ―!」

レスポールを背負った唯が、学校の門をくぐる。

そしてライブ会場―。

ステージの上―。





唯が待ちわびていた…軽音部の4人の姿が―







そこにはなかった。


唯「えっ……」


そこにあったのは、全く知らない男子学生4人の姿。

唯「な…なんで…?みんなはっ!?」








唯「―!!」






唯「そうだ……あの日………2月25日に死んだのは―」







唯「私じゃない……っ!!」


すべては、2010年 10月30日に起きた。

未来の律から事情を聞いた唯は、憂と2人で先に下校した。

もちろん、当時の事件に遭遇した時間をずらして下校したため2人は通り魔に遭うことはなかった。

しかし―。

後に下校した軽音部の4人




そう、2011年、2月25日。桜が丘通り魔事件で被害にあったのは




軽音部の4人っ!!





唯「そっ……なんでっ…」

憂と唯は時間をずらして帰った。なのに…


2015年、10月19日。

墓参りの帰りに、図書館で見た記事。

死亡1人、重症1人。

死亡したのは唯。これは間違いない。
そして、重症になった1人。これが憂だったというのは律たち4人のとんだ勘違い。


あの日、重傷を負ったのは…梓だった。


純の言葉をよく聞いていなかったせいもあってか、あの後律たちは気付くことはなかった。
最初の勝手な思い込みで…被害にあったのが唯と憂だったと


いつも通り5人で下校していた軽音部の5人を襲った通り魔―

ナイフで切られたのは後ろを歩いていた唯と梓だった。

前を歩いていた、紬、澪、律は犯人に突き飛ばされた程度で、怪我を負うことはなかった。

が。

唯と梓はその場に倒れて、救急車で運ばれた。

つまり…帰る時間をずらさなくてはいけなかったのは、むしろ律たちの方だった。

2011年、過去が変わったこの日に

事件に遭遇したのは…当然この4人っ!

不運にも…並んで歩いてた、この4人は…全員通り魔に切り裂かれた…

人通りの少ない道…4人全員被害にあったため…119番への通報が遅れた。



唯「……思い出した…っ」

唯「なんでっ……なんでっっ!!」



出血多量…っ!

4人は…助からなかった…。







過去が変われば、未来も変わる・・・。



K大学に一人取り残された唯は、その場に崩れ落ちた…。





唯「私のせいで…っ!みんな…みんながあああああああああああああああああああああああ」



















END



2016/2/25 16:05
唯「あああああああ!!なんでっ!なんで!!」

憂「おねえちゃん・・・」

後ろから追いかけてきた憂の声がした。

憂「おねえちゃ・・・」バシッ!

唯は憂の手を払いのけると、ざわつく男子学生の間を縫うように走り去った。

唯「なんでっ!なんで!!」

突然の出来事にただ走る他無かった。

校門を飛び出し、自宅へ向かう。

すれ違う人は何か何かと振り向くが、唯はただひたすらに走った。

憂「おねえちゃーん」

後ろの遠くから憂の呼ぶ声がするが、振り向く余裕は無かった。

唯「はあはあはあはあ・・・」

来るときに降りた駅の向かい側で、タイミング悪く信号が赤になってしまった。

ふと気が付くと、建物の窓ガラスに汗と涙でぐしゃぐしゃになった自分が映っている。

憂「おねえちゃーん」

遠くから憂が追いついてきた。

憂「はあはあ、おねえちゃん、落ち着いて!いきなりどうしたの」

唯「憂、どうしよう、大変なことになっちゃった。私が死ななかった代わりに皆が・・・ううっ」

憂「おねえちゃん、落ち着いて!私の代わりにって、何があったの!?」

唯「りっちゃんも澪ちゃんも、むぎちゃんもあずにゃんも・・・本当は私が通り魔に会うはずだったのに・・・」
唯「今日ここで放課後ティータイム再結成って言ってたのに・・・」

憂「それって、あの時の・・・おねえちゃん何で今・・・」

唯「分からない!分からないよ憂! 未来のりっちゃんからの電話が掛かってきて、今日のライブの約束して、
  無事通り魔事件の前に家に帰って、起きたら今日になってた!」
唯「会場に誰もいないのを見て、みんが通り魔に会ったことを思い出したんだよ、憂!」

憂「おねえちゃん・・・」
憂「とりあえず、落ち着いて。一旦おうちに帰ろう、ね?」

唯「・・・うん」


信号が変わり、駅に向かって歩き出した時、


憂「おねえちゃん!危ない!」
ドンッ!!

唯「えっ!?」

キキキキーッ!ドカッ!バリバリー!

憂に突き飛ばされた唯は一瞬なんのことだかわからなかった。

周りを見渡す。
突き飛ばしたはずの憂がいない。
代わりに、大破した1台の乗用車が信号柱につっこんで止まっている。

そして、頭から血を流した憂が倒れていた。

唯「憂っ!憂ーーっ!!」

ピーポーー ピーポーー・・・


2016/2/25 17:30
搬送先にて
医師「大変残念ですが、絶対安静が必要です。」

唯「・・・憂は、憂は助かるんですか!?」

医師「手は尽くしましたが、意識は戻るかは半々と行った所でしょう」

唯「そんな・・・りっちゃんたちだけじゃなく、憂まで・・・」
力なく、唯はその場にへたり込んでしまった。

医師「あなたも少し疲れているようです。」
   「妹さんのことは我々に任せて少し休んでください。それでは」
カツカツカツ・・・・

幸いに唯は突き飛ばされたときのかすり傷だけだったため、その日のうちに帰宅することとなった。
空には冬の暗い雲が一面立ち込めていた。



2010/2/25/18:05
唯自宅にて

唯「・・・ただいま」

唯「・・・憂」

唯「・・・みんな・・・」

唯「やっぱり、私が助かっちゃたのがまずいんだろうなぁ・・・」

唯「あのとき、未来のりっちゃんから電話があって、通り魔事件が起こるから早く帰れって・・・」

唯「電話・・・?」

朝、枕元に見慣れない携帯電話があったのに気が付く。

唯「できるかどうか、分かんないけど・・・」


唯「・・・今度は私が過去のりっちゃんを、憂を助けるんだ!!」

ピッピッピッピッ・・・



「お客様のお掛けになった電話番号はー・・・」

唯「過去のりっちゃんに繋がらない・・・どうしよう。」

時間は刻一刻とせまる。
通り魔事件の時間までにせめて伝えることができなければ、何も変えることができないのだ。

「お客様のお掛けになった電話番号はー・・・」

唯「澪ちゃんもダメか・・・何か、何かないのかな・・」

「お客様のお掛けになった電話番号はー・・・」

唯「ムギちゃんも繋がんない・・・もうだめなのかな・・・最後、あずにゃん・・・お願い」

「お客様のお掛けになった電話番号はー・・・プツッ」

唯「・・・」


いつの間にか、外は雷を伴った冬の嵐になっていた。

唯「・・・私だけ助けてもらって、私はみんなを救えないなんて・・・」
  「悔しい!悔しすぎるよ!!」 

ポロポロと大粒の涙がこぼれた。

唯「みんなを助けられなかった・・・私なんて、助からないほうが良かったんだ!!」

唯「みんなだけじゃない!憂もこんな目に合わせてしまった!・・・憂!?」


ピッピッピッピッ・・・
本来なら、憂は意識不明で病室で寝ているはず。

「プルルルル、プルルルル・・・」
当然携帯には出ないはず。

「プルルルル、プルルルル・・・」
唯「お願い!繋がって!!」


「ザザー ガチャ、はい平沢です。ザザッ」

繋がった。
間違いない、憂の声だ。それも、今病院で寝ている22才の憂の声ではない。

唯「憂!憂!繋がった!」

憂「ザザー えっ!おねえちゃん!?さっきここにいたのに!?なんで?ザザッ」

唯「憂聞いて!りっちゃんたちが通り魔にやられる!」

憂「えっ!」

唯「未来のりっちゃんのおかげで、2016年の私は生きてる!」
 「でも、代わりにりっちゃんたちが通り魔に殺されたことになってる!」

憂「そんな・・・」

唯「今す ザザッ 警 ザッ に電話 ザーー プツッ」

憂「切れた・・・」

唯「うい~。どーしたのー?」

憂「今、未来のおねえちゃんから電話だった。」

唯「えっ?」

憂「無事、2016年に生きてるって」

唯「やった~私通り魔に殺されなくて済んだんだね!」

憂「でも・・・でも・・・律先輩達が・・・」
  「律先輩たちが通り魔に殺されるって・・・!」

唯「えっ・・・?」

憂「聞き取りにくかったけど、すぐ通報してほしいって」

その後の動きは早かった。
平沢姉妹の通報により、通学路を後ろから追いかけた警察官が通り魔を現行犯逮捕。
律・澪・紬・梓の4名とも切りつけられたのものの、一命はとりとめた。

そして・・・


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最終更新:2010年12月07日 20:49