唯「唯 でいいよ~」

憂「…ゆい?」

唯「お姉ちゃん!」

憂「うっ…」

憂「あはは…おね、唯ち、じゃなくて唯、ご飯だよ」

唯「はーい!お姉ちゃん」

憂(なんかくすぐったいなぁ)

憂「おね、唯、座ってー!」

唯「おぉ…おいしそ」

憂「ふふっ、召し上がれ~」

唯「いただきまーす!」


─一時間前

唯『う~い~…』

憂『どうしたのーお姉ちゃん』

唯『これ……もう入り方も分かんないや』

憂『ふんふん……』

憂『ここをこうやって……』

唯『ほぅ…』

憂『……こんな感じで背理法を使って解けば』

唯『なるほど!その手があったか!』

憂『後はお姉ちゃんならできるよ♪』

唯『ありがと~、うい』

唯『……ねぇ、うい』

憂『ん?なぁにお姉ちゃん』

唯『ここも教えて!』

憂『どれどれ……』

・・・・・

唯『……さすが憂、私の妹なだけあるね!』

憂『えへへ~…』

唯『というかむしろ憂の方がお姉ちゃんにふさわしいよね』

憂『えっ』

唯『…』

憂『そ、そんなことないよっ』

唯『うい……私、お姉ちゃんを辞任することにしました』

憂『ええっ!?』

唯『そして憂の妹になります』

憂『な、なんで』

唯『ううん、特に意味は無いよ』

憂『あ、はは…』

唯『じゃあ明日まで憂が私のお姉ちゃんね』

憂『う、うん…?』

唯『憂は私をゆいって呼んでね』

憂『呼び捨てでいいの?』

唯『私だって普段ういって言ってるじゃん』

憂『そうだけど…』

唯『はい、じゃあ始めるよ!よーいスタート!!』

憂『うん…』


唯(ふふ、私がお姉ちゃんじゃないといけないってことを憂に思い知らせてやるぜぇ)

憂(お姉ちゃんがやっぱりお姉ちゃんだってことをお姉ちゃんに感じてもらわないと…)

・・・・・

唯「ごっつぁんです!」
憂「ごちそうさまでした」

唯「いや~、う、お姉ちゃんはお料理上手だよねぇ…流石私の妹」(間違えたぁ…褒めちゃった)

憂「唯だってやればできるじゃん!」(お姉ちゃんだってできるよ!)

唯「ふふっそのとーり、じゃあ明日のお弁当は私が作っちゃうよ」(よしよし)

憂「えっ…おね、じゃなくて唯はいいよ…私がやるから」(お姉ちゃんが危ないよね…)

唯「私がやるっ!憂は見てて!」(このチャンスを逃すわけにはいかぬ!)

憂「そう?じゃあ見てよっかなぁ…」(心配だけど…お姉ちゃんに活躍してもらおうかなぁ)

唯「お風呂掃除は私がやるよっ!お姉ちゃん!」(私は働き者だね、まさに憂のお姉ちゃん)

憂「そう…?じゃあお願いしよっかなぁ…」(お姉ちゃん大丈夫かなぁ…)

・・・・・

唯「じゃあ洗うよ~」(完璧に洗ってやるもんね)

憂「…」(お姉ちゃんが滑って転びませんように…)

唯「見てなくてもいいよ、お姉ちゃん」

憂「…うん、ゆい、ありがとう」

唯「これくらいへの河童だよ!任せてっ!」

・・・・・

唯「終わったぁ…」(ふっ…この完璧な仕上がり、まさに憂のお姉ちゃん)

憂「ありがとう、ゆい」(何事もなくて良かった……しかもピカピカだし。さすがお姉ちゃん)

・・・・・

憂「ゆい、今日は一緒に寝ない?」モジモジ

唯「うんうんっ、いいよいいよ、さぁ入りたまえお姉ちゃん」

憂「うんっ!」

憂(良かった……これでお姉ちゃんも自分のお姉ちゃんらしさをまた感じられるよね)

唯(妹を暖かく迎え入れるなんて、まさに私はお姉ちゃんだね)

唯「お姉ちゃん、寒いから私に抱きついてごらん」

憂「えっ……」

唯「ほら早くおいで、私の熱をあげるよ~」

憂「うん……」ぎゅ

唯「んもう、お姉ちゃんったら、わがままなんだからぁ」

唯(さすが私、お姉ちゃんだね)

憂(最後がよく分からないけど…お姉ちゃん暖かい……)


・・・・・

─翌朝

憂(そろそろ起きないとお弁当作れないんじゃ……)

憂(…お姉ちゃんを上手く起こそう)

憂(寝返りうつフリしてお姉ちゃんの肩を叩く)


唯「んっ……」ぬくっ


唯(んあ、もうこんな時間!お弁当作らないと)

唯(肝心な時に憂は寝坊するんだから…やっぱり私がお姉ちゃんだね)

唯(お弁当作ろ~)


憂(ちょっと経ってから私も行かなくちゃ)

ジュージュー

唯(順調順調~)

唯「~♪」


憂(お姉ちゃん頑張ってるなぁ……そろそろ出てもいいかな)

憂「おはよう、ゆい」

唯「あ、お姉ちゃんおはよう!寝坊だよ~」

憂「えへへ、ごめんねゆい」

唯「いいよぉお姉ちゃん」


唯(この心の広さ!まさにお姉ちゃん!)

憂(お姉ちゃん自信つけてきてるみたい♪)

唯「それより見てみて~!」

憂「おお~……」

唯「どお!?凄いよね!?」

憂「うんっ!すっごく独創的なお弁当だと思う!」

唯「えへへ♪でしょ~」

唯「後はこれを詰めるだけだよぉ~…」


唯(私1人でもすごいお弁当ができたよ、私はやっぱりお姉ちゃんだ)

憂(お姉ちゃん怪我してないし楽しそうで良かった~)


─通学路

律「おっ唯おはよ」

唯「おはよーりっちゃん澪ちゃん」

澪「おはよ」

憂「おはようございます」

唯「あ、お姉ちゃん、髪にごみついてるよ~」(気が利くのもお姉ちゃんポイントだよ!)

憂「あはは……ありがとう、おね、唯」(さすがお姉ちゃん、優しいなぁ)

律「なっ……」

澪「…変装?唯?」

唯「ぶー!私は私だよ!」

澪「ということは…」

唯「憂がお姉ちゃんなのです」

憂「えへへ…」

律「へ~…また面白そうなことやってんな~」

唯「でしょお!?」

澪「にしてもなんでそんなことを?」

唯「……それには辛い事情が……っく」

憂「お姉ちゃん……」

律「な、なにがあったんだよ」

唯「私……お姉ちゃんの資格無いし……」(さぁ憂、反論しなよぉ…ふふふ)

律「そんな気にするなって~」

唯「ううん……私は資格が無いっ!ぜろだよ!」(憂!何か言って!)

澪「そ、そんなこと無いと思うけど」

唯「だよね!?」

律「…はぁ?」

憂「うんっ!お姉ちゃんはやっぱりお姉ちゃんだよ♪」

唯「でしょ~ね~ふふ~♪」

律「なんなんだ一体」

唯(はっ……)

澪「……で、結局なにがしたいんだ?」

唯(憂が自分からお姉ちゃんの位をキブアップするまで続けないと)

唯「いいや!私はお姉ちゃんの資格が無いっ!」

憂「そんなこと……」

唯「ううん、憂、じゃなくてお姉ちゃん、私に任せなさい!」(お姉ちゃんの位をね!)

憂「な、なにを…」

唯「え?な、なんでもだよ~!なんでも任せて!」

憂「う、うん」(何でも任せるのはちょっと不安かも…)


律「よく分からないけどなんだか楽しそうだな」

澪「なんだかな」


─お昼休み、3年2組

唯「ふふ……じゃーん」パカ

紬「まぁ♪」

澪「すごいな……色んな意味で」

律「そのお弁当……憂ちゃんが作ったのか…?」

唯「ううん!私です!」

紬「すごいわぁ!唯ちゃん!」

唯「えへへ~…早起きして作ってみましたっ」

律「通りで……」

澪「でも唯なりに頑張ってるな!」

唯「でしょ~!!」(ふふ……やっぱり私がお姉ちゃんだよねぇ)


─2年1組

憂「お姉ちゃんがお弁当作ってくれたんだぁ」

梓「あの唯先輩が……意外」

純「見せて見せて~」

憂「うん♪」パカ


梓「…」

純「おお……」

憂「ふふ♪いいでしょ~」

梓「すごい……」

純「……くく」

憂「純ちゃん?」

純「やっぱり唯先輩って面白いよねー」

憂「そう?かな」

梓「面白いというか……変わってるというか」

憂「えっ……」

憂「じゃあこのお弁当は」

純「んああ、すごい!すごいお弁当だよ!」

梓「うんうん、唯先輩らしさが出てると思う!」

憂「えへへ~…」

憂(さすがお姉ちゃん、評判もなかなかだよ!)


─放課後、部室

梓「あれ?唯先輩は?」

律「どーしても外せない用事があるんだとよ」

────
────────

唯『ごめんっ!今日はどーーしても外せない用事があるんだよ!』

澪『なにがあるんだ?』

唯『んーっとねー…掃除したりご飯作ったり…』

律『ん?憂ちゃんがやってくれるんじゃないの?』

唯『今日は私がやらないとだめなんだよ!!』

律『なんで?』

唯『話すと長くなるよ!』

律『ほー、ならいいけど』

唯『というわけでごめんっ!あずにゃんにも言っといてね!』

律『ほーい』

────────
────

梓「あのお弁当も……」

澪「なんだか想像つくけどな、あの様子だと」

紬「姉妹っていいよね~♪」



─帰路

唯(完璧にお掃除してー)

唯(憂に美味しいお夕飯作ってー……)

唯(……ふふふ、これを完璧にすればっ)

・・・

憂『やっぱり私はお姉ちゃんの妹だなーって!』

憂『お姉ちゃんには敵わないや!お姉ちゃんさすが!お姉ちゃんかわいい!』

・・・

唯(……普段とあんまり変わらないかも)

唯(いいや!きっと、もっと良いことが…)


「お姉ちゃん!」


唯「憂!?」

憂「うんっ!お姉ちゃ…唯、軽音部は?」

唯「…今日はおやすみなんだよ!」

憂「えっ……でも梓ちゃんは」

唯「私だけおやすみなんだよ!あ、憂!!ちょーゆっくり帰ってきてね!」タタッ

憂「え、おね、唯!?」

唯「ゆっくり帰ってきてね~」ピュー

憂「?」

憂(行っちゃった……)


憂(…お姉ちゃん、なにかしてくれるのかな?)


2
最終更新:2011年10月18日 00:04