父「唯!?どうした!!?」

母「唯!?」


はぁ…はぁ…


母「よしよし…」


怖い…怖い…


父「…」


怖い…


母「大丈夫だから…大丈夫だから…」

母「お母さんと一緒に寝よう?ね?」

唯「うんっ……っ…」

母「無理もないわ……」

父「……」

母「わたしはここで寝るわ…」

父「…それがいいね」


母「大丈夫よ~唯~」

唯「お母さん…」


「…ねぇお姉ちゃん」

来ないで…

「なんで…?わたしはお姉ちゃんが…」

やめて!来ないで!

「お姉ちゃん…」

こっちを見ないでっ!

「…ういだよ、お姉ちゃん、お姉ちゃんの妹だよ」

知らないっ!!そんなの知らないっ!!

「お姉ちゃん……っ…ぅ…」

泣くなっ!!来るなっ!!

「…ありがと…お姉ちゃん……大好きだった…」

どっかいって!!

「うん……ごめんね…本当にごめんなさい…」

早くいけっ!!

「もう…戻れないんだね……っ…」

うるさいっ!!

「っ……お姉ちゃん…」

ああああっ!!!消えろっ!!

「……っ……」

よし…


・・・・・


母「憂のお部屋…片付けようか…」

父「…ああ、早く忘れたいもんな…唯も」

母「そうよね…」

母「憂、ごめんね…ごめんね…」

父「…憂……」

父「まだ…生きたかったよなぁ…なぁ……」

母「……」

父「殺したいよ……仇を…」

母「……」

母「…ゆっくり眠ってね…憂……」

父「うぅぅ……ういぃ……」


・・・・・

隣の部屋は物置になった。
誰も使ってないんだから当然のことだよね。

今日もいい天気だなぁ。

母「唯ー!ご飯よー!」

唯「はーい!!」

唯「おはよー!お父さん」

父「おはよう!」

母「元気ねぇ!唯」

唯「いつも元気だよ!」

母「それもそうね」

わたしたち家族は全く普段通りの生活をしている。
何も変わらない。昔からずっと同じ。
このままが一番いいんだってわたしは知ってる。

母「ねぇ、唯?」

母「今日は何も予定入ってないよね?」

唯「なんで?」

母「ほら、憂のお墓参り行くって話だったでしょ?」

唯「…ごめん、わたしはパス」

父「ま、まぁ、予定があるならしょうがないな」

母「憂も喜ぶと思うんだけどな~」

唯「…」

父「しょうがないよ、お母さん、2人で行こう」

母「…そうね」


知らない人のお墓なんて参ってもしょうがないよね?
知らない人にとっても迷惑だし、わたしも面倒だし。
喜ぶわけないのにね。お父さんもお母さんも変なの。


明日は大学のみんなとスタジオでみっちり練習!
大学のみんなって言っても、HTTの5人なんだけどね。
今日はギー太としっかり個人練しておかないと。


唯「リビングで練習するよ~ギー太~♪」

唯「~♪」


・・・・・

夕食後

母「唯、買い置きのアイス食べちゃって?」

唯「はいはーい」


父「年季はいってきたな~このギターも」

唯「そお?」

父「ちゃんと手入れとかしてるの?」

唯「もちろんだよ~」

父「ふぅ~ん」

母「なんか弾き語りしてよ」

唯「え~…そうだねぇ」


古いアルバム めくり ありがとうってつぶやいた

いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ

晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔

想い出 遠く 褪せても

おもかげ探して よみがえる日は 涙そうそう


唯「どお?」

母「唯…っ…」

唯「な、なんで泣いてるの!?」

父「うまい、うん、うまい」

唯「そうかなぁ//えへへ~…」

母「明日も練習?」

唯「そだよ」

母「楽しそうね」

唯「楽しいよ~高校のときの皆と一緒だし」

父「みんな一緒のところに進めて良かったな」

唯「うんっ!」


翌日、スタジオ

律「いやー大変だよ」

澪「いつも大変そうに見えるけどな」

律「ってそれどういう意味だよー」

紬「うふふ♪」

梓「そろそろやりましょうよ!」

律「唯来たらなー」

梓「はい!準備はしておきましょう!」

紬「まあまあ♪」

梓「…全く唯先輩は」

唯「やぁ!」

梓「遅いですよ!遅刻です!」

唯「ごめん…乗り遅れちゃって」

律「唯~」

唯「どうしたりっちゃん」

律「兄弟がいる良さも辛さも知ってるのは私と唯だけだよな…」

唯「え?私は一人っ子だよ??」


律「…この話題はおいといて!」

律「今度やる曲はどうするよー?」

澪「思い切って新曲無しで行ってみないか?」

梓「澪先輩がそんな…」

唯「別にいいと思うよ~」

紬「私も賛成~♪」

梓「私も反対はしませんが…」

律「私もべつにいいけど…なんで?」

澪「いや…ほら、わたしたちのこれまでのまとめ!みたいな感じでさ」

律「ふぅ~ん…澪もなんか変わったな~」

澪「そうか?」

紬「じゃあ曲、決めよう?」

梓「はい!とりあえず今までの私たちの曲は…

ふわふわ時間
カレーのちライス
ふでペン ~ボールペン~
私の恋はホッチキス
ぴゅあぴゅあはーと
ごはんはおかず
U&I

ですね」

唯「私ふわふわやりたい!」

律「定番だな~」

澪「はい!」

律「…はい、澪さん」

澪「U&Iやろう!」

律「なっ…それ唯作詞なのにか?」

澪「だから…じゃなくて、作詞が誰かなんて関係無いだろ?」

律「まぁそうだけどさ…」

唯「え~…それもういいよぉ」

紬「どうして?」

唯「だってなんかさぁ…」

澪「なんか?」

唯「ん~ふふ、わかんないや」

律「なんだそれ」

澪「じゃあ決定か?」

律「まてぃ、梓、ムギ、なんかある?」

梓「先輩方にお任せにします」

紬「私もどれでも~」

律「曲数は時間的に3曲ぐらいだからーその2つは決まりかな」


・・・・・

U&I。
部室が使えるとか、無くなって分かるものの有り難みを書いたんだよね。
こんな歌詞よく書けたなぁ昔の私。昔っていってもちょっと前だけどね。

帰ったら練習しようかな。

唯「ふ~」

澪「唯、U&I、歌えるのか?」

唯「なんで?」

澪「なんでって……あんなこと言って、憂ちゃん悲しんでると思わないのか?」

唯「ういちゃんってだから誰?」

澪「唯…ほんとに言ってんのか?それ」

澪「唯の気持ちも分かるけど…私はそれはダメだと思う」

唯「澪ちゃん…ごめん、何を言ってるのかさっぱり分からないよ」

澪「唯……」

澪「…いや、こちらこそごめん。私が無理に言う話じゃなかったな。気にしないでくれ」

唯「?」

澪「じゃあ、また今度」


変な澪ちゃん。

澪ちゃんは詩を書くのが好きで、たまに私にもよく分からないようなことを話す。
でも澪ちゃんの書いた詞は歌になると途端に可愛くなる。ふわふわも同じ。

それに比べて私の歌詞は一体…


・・・・・

『キミがいないと 何も できないよ』
何もできない────ねぇ。
寝たきり老人じゃないんだから。
って、まさかそのままの意味じゃないよね。


『キミのごはんが 食べたいよ』
分からない。ごはんが食べたいって…
それに「キミ」っていうからには、やっぱり男の子の視点なのかな?


「次は~桜が丘~お出口は左側です」


そろそろ駅だ。
考える時間は家に帰ってからにお預け!



唯「ただいまー」

母「おかえり」

家に入るとすぐに自分の部屋に戻る。
うーん、なんだろうこの感覚は。

歌詞の解読作業を進めよう。


キミがいないと 何も できないよ

キミのごはんが 食べたいよ

もし キミが 帰ってきたら とびきりの笑顔で 抱きつくよ

キミがいないと 謝れないよ

キミの声が 聞きたいよ

キミの笑顔が見れれば それだけで いいんだよ

キミがそばにいるだけで いつも勇気 もらってた

いつまででも 一緒にいたい

この気持ちを 伝えたいよ

晴れの日にも 雨の日も

キミはそばに いてくれた

目を閉じれば キミの笑顔 輝いてる


やっぱり分からない。

私は何を考えていたんだろう?
何を思って書いたんだろう?

これはどういう意味なんだろう?

何か重要な意味を持っているようなのに分からないので、お母さんの力を借りることにした。

唯「この歌詞、どういう意味だと思う?」

母「これって唯が作詞してたのね」

唯「うん……そうなんだけどさ」

母「U&Iって…ゆーあんどあい……うい……」

唯「うい?」

みんなが言う。

うい。ういちゃん。

誰だか分からないのに、何故か思い出すのが怖い。

母「唯から憂への曲?なのかなー?」

唯「…」

母「君がいないと何もできないってねぇ…」

唯「もういいや、ありがとう、お母さん」

母「?」

物置にある知らない人の仏壇。
知らない人の写真がおいてある。

誰?なんで?

私に兄弟なんていなかった。姉妹なんていなかった。
なのになぜ?

私は何か重要なことを忘れてるのかもしれない。


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最終更新:2011年10月18日 15:53