それで、私は気持ちが抑えきれなくて告白しちゃったよね。
そしたら、和ちゃんは・・・『よろしくね』って言った?
え?何で??
あ、そういえばそれより先に私とだったらそういう関係も嫌じゃないって言ってたもんね。
和「折角返事をしたのに、無視は酷くないかしら」
あはは、そっか。和ちゃんは私と恋人同士でいいって言ってるんだー。
憂「・・・って、うええぇぇぇっ!?」
和「」ビクッ
和「ちょ、ちょっと憂?急にどうしたのよ」
憂「和ちゃん!」
和「な、何?」
憂「さっき、和ちゃんは私と恋人になってもいいって言った?」
和「言ったけど・・・」
憂「私と手を繋いで歩いたり、キスしてもいいって言った?」
和「そうは言ってないけど・・・まぁ意味合いとしては同じようなこと言ったわね」
憂「・・・本当に、いいの?私達、女の子同士なのに?」
和「何よ、憂は嫌なの?」
憂「だって・・・和ちゃん女の子同士は嫌って・・・」
和「確かにそう思ってたんだけど、憂とだったらいいって思えたんだから仕方ないじゃない」
和「・・・それに気付けなかった私が愚かだって話だけど、当たり前のことだったのよね」
憂「何が?」
和「恋愛っていうのは一人ではできなくて、相手が居なきゃできないってことよ」
和「相手が誰かも考えず一人で考えてたら、世間で駄目だと言われていることは勝手に駄目だと思ってしまうものだわ」
和「だから私は一人で勝手に同性愛がいけないことだと思い込んでた、そして今日の告白も断ったわ」
憂「・・・うん」
和「でもそれも今考えると、女同士だから断ったって訳じゃないんだと思うの」
和「さっき、憂に言われて考えてみた時にね?」
憂「うん」
和「憂のことも考えたけど、他の皆でも考えてみたのよ」
和「例えば澪とは仲が良いけど、そういうことはきっとできないなって思ったわ」
和「唯は・・・元々ああいう子だから何の気無しにキスくらい迫ってくるかもしれないし、多分私も拒みはしないと思う」
和「でも、自分から唯にキスしたいとは思えなかった・・・けど、憂は別だったの」
憂「・・・うん」
和「私も憂に触れていたい、ずっと一緒にいたい、誰か他の人になんて憂を盗られたくないって気付いちゃったの」
憂「本当に・・・?」
和「ええ、本当よ。自分の気持ちにすら気付けない、駄目な幼馴染でごめんね」
和「でも、そんな私で良いのなら、今後は憂の隣に居させて欲しいわ」
憂「和、ちゃん・・・」ポロポロ
本当に・・・私、和ちゃんの隣に居られるの・・・?
和「憂が信じられないって言うなら、何度でも言うわ」
和「憂、大好きよ。私の隣に、私と一緒に居て欲しいの」
憂「和ちゃぁぁぁぁん!!」ダキッ
和「これはオッケーってことで、いいのかしらね?」
憂「あた、当たり前じゃない・・・!うぅっ・・・私、本当にずっと・・・和ちゃんのこと・・・ひっく」
和「憂って意外と泣き虫よね・・・」
憂「だってだって・・・!和ちゃんの恋人に本当になれるなんて・・・うわぁぁぁん!嬉しいよぉぉぉ!」
和「よしよし・・・ごめんね、ずっと待たせちゃって。・・・それにしても憂って、本当に可愛いわね」スッ
憂「和ちゃん・・・?」
あれ?和ちゃん、そんなに顔を近づけて何を―
憂「んっ!?」
チュッ
いいい、今何が!?
憂「の、和ちゃん、なななな何を!?///」
和「何って・・・キスよ。言葉で言ってもあまり信じてもらえなかったし、憂も恋人でいいって言ったから・・・憂顔真っ赤よ」
憂「ふ、不意打ちすぎるよ!私初めてだったし・・・///」
和「じゃ私が憂の初めての人なのね、嬉しいわ。でも私もそうだったしお互い様ってことで、ね?」
憂「わ、私が和ちゃんの初めての・・・!?う、嬉しい・・・」
和「じゃ、本当にお互い様ね。憂、これから改めてよろしくね」
憂「よ、よろしくお願いします!・・・うぅ、良かった・・・ううぅっ・・・」
和「折角泣き止んだと思ったら、また泣き出しちゃったのね・・・」
和「どう?落ち着いた?」
憂「・・・うん、ありがとう和ちゃん」
和「落ち着いたなら良かったわ、私も安心よ」
憂「もう、下校時刻になっちゃうんだね」
和「そうね、そろそろ帰らないとね」
憂「あ、メール来てた・・・お姉ちゃんが待ってるって・・・」
和「そうなの?じゃあ早く行ってあげなさい」
憂「うん、じゃあ私お姉ちゃんのところに行くね」
何か、あっさり行けって言われちゃったな・・・。
まぁ和ちゃんは元々そういう感じだけど・・・もう少し何か―
和「憂」
憂「! な、何?」
和「私明日の初デート、すごく楽しみにしてるからね?」
憂「・・・!うん、私も今から楽しみにしてるね!」
和「じゃあ今日はこの辺にしておきましょう。明日もまた逢えるの、楽しみにしてるわ」
憂「うん!また明日ね!」
一人で、早とちりしちゃってた。何か恥ずかしいな。
さっきの話で伝わってきた。
和ちゃんは本当に私のことを想ってくれてるんだ。
これからは、私の片思いじゃないんだ、お互いのことを想い合っていけるんだ。
良かった、本当に良かった。
大好きだよ、和ちゃん。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
和「・・・ふぅ」
憂の居なくなった生徒会室で、私は一人深呼吸をする。
和「・・・困った、わね」
まだ、顔が熱い。
憂の前では平静を装っていたけど、さっきから私の心臓は爆発しそうだ。
憂の体温、
憂の香り、
憂の鼓動、
その全てが本当に愛しかった。
和「憂の唇、柔らかかったわね・・・」
思い出すと、また顔が紅潮していくのがわかる。
和「馬鹿ね、私」
私はこんなにも、憂のことが好きだったのだ。
なのにそのことに気付けず、憂の気持ちにも気付いてあげられず、憂は苦しんできた。
和「だから、これからは・・・」
精一杯、憂のことを想っていこう。
憂と二人で、お互いを想い合っていこう。
きっと私達二人なら、それができる筈だ。
和「憂、大好きよ」
呟いた言葉は、すぐに静寂の中にかき消されていった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
憂「お姉ちゃんごめん!待たせちゃっ・・・ってあれ!?梓ちゃんはともかく何で純ちゃんが!?」
純「あ、やっほー憂」
唯「憂ぃぃぃぃ!」ダキッ
憂「わっ!?お、お姉ちゃん・・・?」
唯「どうだったの!?」
憂「え?」
純「あー、訳あってここに居る皆は事情を把握してるよ。ていうか私が言ったんだけどね」
憂「そ、そうなの・・・?」
梓「うん、他の先輩達は・・・何となく察して、早めに帰ってくれたんだ」
純「だから、ここに居るのは『
平沢憂の恋路を応援する会』会員だけってこと」
梓「ちょっと純!また適当なことばっかり言って!」
純「まぁまぁ落ち着きなって、それより・・・聞いていいことかもわからないけど、本当にどうだったの?」
唯「そうだよぉぉぉ憂ー!」
憂「えへへ、それはね―」
私の満面の笑顔を見て、皆察してくれたみたいです。
お姉ちゃんは泣きながら、『良かったね憂ー』って何度も言ってくれました。
純ちゃんも梓ちゃんも、気付かれないようにしてたけど涙ぐんでいました。
自分のためにここまで真剣になってくれる姉や友人を持って、私は本当に幸せです。
そして、何より―
一番大好きな人が、私の隣に居てくれるんですから。
憂「えへへ、ねぇ和ちゃん」
和「どうしたの?」
fin
最終更新:2010年09月11日 21:55