十分ほどすると商店一軒と家が十軒ほどのちょっとした集落についた。
通りの退廃具合からして人はすっかり何年も前からいないのだろう。家々の庭は雑草パラダイスになっている。

示し合わせたように三人は散り散りになって集落を歩き回り何かないかを捜し歩いた。
何かとは、さっくりいえば水を飲む蛇口の類のモノである。
すでに三人ののどの渇きは口にこそ出さないものの相当ひどくなっていた。
そして三人それぞれがそれぞれの渇きを思って何かを必死に探す。

通り以外は雑草だらけで思うように探索も進まない。

律「おーい!二人ともー!こっちにこいよー」

家々の庭を観察していた唯たちに先駆け、律が何かを発見したようだ。

律「おいおい井戸があるぜ!!」



ついに水を発見した唯たち!果たして澪と梓は生きているのか!唯たちは生き残れるのか!唯たちのサバイバルは始まったばかりだ!!

完!!!!!!!!!!!!!

※第一部




第二部

井戸があっても水がきれいかわからない。いや、井戸などそもそもかれてるかもわからないのだ。
しかし、唯の腹部の熱がますます強くなる。水が飲みたい。三人の本能は理性的な嫌疑をどこかに置き去りにして井戸に向かわせた。
この渇きのまえでは水が安全かどうかなどどうでもよかった。真水ならなんでもいい。

井戸は手押しポンプ式で少々錆び付いていたが、律が手でポンプを動かすと、水がでてきた。

唯「うう……」

律「はあ……?」







真っ赤に錆びた色をした水が


ポンプが錆びついていたからだろう。しばらくは赤い水がで続けた。
しばらくして真水がでてくると律は何も考えずにポンプの下に口をやり水を飲み始めた。

きれいな水と夕焼けの光が空中でキラキラとぶつかって、唯は思わず生唾を飲む。

律「うまい、めちゃくちゃうまいぞ!」

そんな言葉を聞かされては紬も唯も黙ってはいられない。律に習って二人もポンプからの水を浴びるように飲んだ。

唯「おいひいよっ!」

紬「おいひい!」


どことなく鉄くさい味もしたが、のどの渇きの前では大した問題ではない。
浴びるように水を飲み乾きを癒した三人は急にもじもじし始め、お互いの下腹部を意味ありげにチラチラ見る。

紬「みんな……、いきたくない……?」

律「だよな、ずっと我慢してたしな……」

みなが恥じらいの目で自分の股に目をやる。










唯「うん、おしっこしたい……」


気づけば三人の尿意はクライマックスに達していた。本当は最初からクライマックスだったが、
三人の緊張が解けて、水をのんだことでそれは思い出したように強さを増して三人を襲うのだ。
尿意からすれば、俺の必殺技パート2といったところだろうか。

唯「おしっこしようか……」

律「まて、紙がないし、そもそもトイレがないぞ……」

紬「それはねえ……、仕方のないことだし……」

律「野外か!野外なのか!」

唯「どうせだれもいないよ」

律「そういう問題じゃねえ!」

紬「じゃあ、どうするの?」

律「みっ民家のなかのトイレを!」

唯「民家のことはよくわからないし、危ないよ」

紬「じゃあ野外しかないわね」

唯「うん、もう我慢できないし」

紬「非常時だし」

律「ううっ……お嫁にいけない……」

唯が待ってましたとばかりに短パンを脱ぎ、肌にまとわりついた水着を全力で脱ぎだす。
それを見て紬も勢いよく短パンと水着を同時脱ぎし、二人は秘所をあらわにかがみこんだ。

紬「ツーピースで良かったあ!」

唯「うん、すばやく脱げるよ!」

律「ちょっとまて……お前ら二人で一緒にやるのか……!!」

唯「まっさかー」

律「だよなー」









紬「三人だもの!!」

律「ですよねー」


律「まっ待てよ!」

唯「したいの!?したくないの!?」

律「ううっ!やるっきゃない!」

紬「待ってましたあ!」

意を決したのか律も服を脱ぎ、三人は輪になってかがみ、標的をその輪の中心に定め、


放尿を開始した。


ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

クライマックスなどっとっくに通り越した膀胱がうなりをあげる!!

唯「はっ、はぁ、うっあああああああああああああ!!」

内在的な水分量にすでに三人の膀胱は破裂寸前!
つまりはこの排尿も大変なエネルギーをもつのだ!!

律「いやあああっ!!お、おなかがああああ!!」

まさしく苦行!まさしく試練!三人は襲い来る水分の暴力に必死に抗う。

紬「音、音がすごいの!!消せなくてっ!!ああ!!」

そう、静音の仕様がない野外放尿は流れ落ちる滝のように激しくうなる!!

ブッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!1


律「見られてる!見られちゃってるう!!!」

唯「ふえっ、見られてするの!!!」

ぶっしゃあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!

紬「すっごく!!!!!!!!!!!」

ぶしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!111





律「……気持ちいい!!」

三人はしばらく全力を出し切り、お互いの放尿をしっかりとみつめながら、最後にはちょろちょろとそれを終えた!

さて、放尿を終えた三人の顔は勝利と悦楽に輝いていた。
紙がないこの状況では、清潔さを保つのに一つの方法しかなかった。
このあと、嫌がる律のまたを二人で丹念に井戸で水洗いしたり、
仕返しとばかりに律が二人のまたをきれいに洗ったりしたのだが、
さすがにその話は本編に関係ないうえ、狙いすぎなのでやめておこう。

落ち着いたころには太陽はほとんど沈みかけて、島を黄昏が支配しようとしていた。
まだ明かりのあるうちに探索を進めなければなるまい。
三人は井戸から離れて井戸に一番近い民家の探索にかかる

一軒目は古泉という立派な表札の平屋だ。
割りと保存状態がよかったのか畳はともかく、縁側や板の間は埃を被っていたが使えそうだ。
庭が広く、日当たりの問題か雑草もそこまで多くはなかった。

今夜はおそらくここの板の間あたりで寝ることになるのではないだろうか。


室内を探すと食料品は乾パンが台所にたんまりあったが他は全滅。
布団などは非常に状態が悪く使えそうなものはなかった。
あとはいくらかの調理器具と小説や聖書のような本があるくらいでほとんど何もない。
何十年も前に人がいなくなったようだったが、
缶詰の賞味期限はここ二三年前に切れたものばかり
このことに三人とも気がついたが、気にせずに缶切りを探しだした。

律「にしても、湿気た家だなあ、ったく」

紬「食料品と調理器具があるだけいいわ」

唯「とりあえず、当面の水と食料はなんとかなりそうだね!」

安堵に唯の顔がほころぶ。

が、

紬「どうかしら……」

紬が土間にあった古泉家のかまどを睨みながら、不安そうな表情をつくる。

唯「へ?」

唯が間抜けな声を出すと、律が紬の横に歩いていき相談を始めた。

紬「まず、私たちには調理器具はあっても火がない」

律「ああ、火を通さずに食材をとるのはなるべく避けたいところだ」

食中毒のリスクを下げるため、胃に優しい食事をつくるために
火は欠かすことのできないファクターである。

律「火はほかのことにも使えるしな」

唯はほかの事が何かはわからなかったが、二人の会話をじっと聞く。

紬「あとは靴ね、ビーチサンダルで畳が抜けたりしたら大怪我よ」

足を持ち上げ不満げにぶらぶらさせて、紬は律を見る。

律「だったら短パンに布だって改善したいとこだぜ」

対して律は大げさに布と短パンを強調してみせた。

唯「うーん、そういえば怪我しても医薬品もないし、じつは全然なんにもないんだね……」

律「ナイフやスコップもあってもいいだろう」

紬「うん、とにかく身の安全と健康を考えたら今すぐにでも欲しいものはたくさんあるの」

三人は水を手に入れた幸運になかなか気づいていないが、水こそ彼女たちの最大の発見、功績である。
水だけあれば三日は生き残れるのだから、なにもないなどとはサバイバル知識のある人間なら口にしなかっただろう。

三人は窓の外を見る。この家の窓には一応ガラスと網戸がかかっていた。
目を凝らすと夜が近いのが空の色でわかった。

律「まずは火だな……」

紬「ええ、いきましょう」

唯「ファイトー!」

紬「いっぱーつ!」

唯「マッチマッチー」

律「チャッカマーン」

紬「ガスバーナー」

三人は日が沈む前に火をつけるのが先決と各々集落内を駆け回り、火の元を探す。

唯「あっマッチあったよー!」

キョンと壁にペンキで書かれた、集落内でも一番ぼろぼろの家の仏壇からマッチを探し出した唯。
早速、紬と律は枯れ木を集めて、家のかまどに火をくべようとする。

長年の湿気のせいか、なかなか火をつけられなかったが、何とか日が沈む前にマッチをかまどに投げ込む。
かまどのなかでは徐々に徐々に火が燃え、燃え広がり、暖かな光が古泉邸をつつむ。
何本かの薪のストックを用意するまもなく、火がついて数分で 唯たち三人は睡魔にまけた。

玄関でくたくたになって横になる三人は、その瞬間だけは苦しさを忘れて安らかな表情を浮かべるのだった。



一日目終


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最終更新:2010年09月12日 21:54