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ム: : : : |: : !: ::l 、 ,. |: : :|/!: : : : : : :い
廴ァ_从 l∧' r== =ミ. レくハリ: : : : :ムj
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梓「って、純が」
憂「うん」
梓「嬉々としてこの大量の紙束を渡していったよ」ドサッ
憂「純ちゃんは?」
梓「なんか私たちを監視してるらしいよ」
憂「監視?」
梓「これを読みきるまで帰らせないって言ってた」
憂「この紙束?」
梓「うん。帰省中に書き溜めた? って言ってたけど」
憂「帰省って、ずっと学校来てたじゃん……まあ、とりあえず読んでみよっか」
梓「え……マジ?」
憂「読まなきゃ帰してくれないんだし……しょうがないんじゃないかな」
梓「でもこれ、なかなか堆いよ」
憂「うーん……でもほら、ホッチキスで留めてあるけど……ひとまとまりめはそんなに厚くないよ」
梓「いやだから、全部読み切るんだって」
憂「……」ジッ
梓「……読みたいの?」
憂「うんっ!」パアァ
梓「そんな顔をされると……しょうがない、付き合うよ」
憂「ありがと~梓ちゃん」ニコニコ
ポイッ パサ
梓「……ん? なにこれ、投げ文?」
憂「見てみよう?」
梓「どれどれ」ガサ
梓『せっかくなので憂からタイトルコールをお願いします!』
梓「……って、純が」
憂「えー、恥ずかしいなー……」クネクネ
梓「そういうとこ、唯先輩に似てるよね」
憂「うーん、どうしよっかなー?」
梓「ごめん、なんでもなかった。早く進めて」
憂「……」ショボン
梓(扱いにくい……)
梓「か、かわいかったよ! かわいかったから……」
憂「どうかわいかった?」
梓「正直いま、純よりも憂のほうがだるい」
憂「えー」
梓「唯先輩に似ててかわいかったよ!」
憂「ほんとー? 嬉しいなぁ、梓ちゃんにそう言われると」
憂「でもおだてても何も出ないよー?」
憂「まあそんなに言うならタイトルコールやってみようかなーって」
梓(このイライラ……ウォルスの塔を思い出す)タンタンタン
憂「……でもなー、この台詞私のキャラと違うかなーって」
憂「こういうこと言ってイメージ悪くしてもなんだしなぁ」
梓「唯先輩もけっこうそういう言い方するよ」
憂「ほんと!?」パアァ
憂「たしかに、律さんへのツッコミで使いそう!」
梓(適当に言ったのに納得したよ……)
憂「ほら、こうケーキのイチゴとられた時とか!」
梓「あー、言う言う」
憂「糸目になって口三角にして、人差し指突きつけて言いそう!」
梓「そうそう、そんな感じ」タタタン タタン
憂「あと胸も張ってさ! そんなにないけど!」
梓「うるさいはち切れろ」
憂「……」
梓「……えっと?」
憂「……」
梓「憂? 進まないんだけど……」
憂「……」
梓「この間ムギ先輩がマドレーヌ持ってきたんだけど」
憂「『働かずに食う飯はうまいか?』!!」
ズビシ
梓(あー、こうすりゃよかったのか)
憂「それではどうぞ!」
憂「働かずに食う飯はうまいか?」
唯「ういー、なんか今日のご飯、味付けがうすいよ」
憂「え、本当?」
唯「お醤油の味がしないー。食べてみてよー」
憂「……」パク
憂「うーん、そんなこと無いと思うけど……」
唯「えー? おっかしいなあ……」
憂「作りなおそっか?」
唯「お願い、うい」
憂「わかった。ちょっと待っててね」
唯「たのんますぜー」グダー
憂「……」
憂「ふぅ……」
憂(おかしいなあ。いつも通りの分量で作ったのに……)
憂(水分が多かったのかなぁ。でも……)
憂(お姉ちゃんに出す料理を失敗するなんて……)
憂(とにかく、もうちょっとお醤油を足してみよう)トポトポ……
ミーンミーン
憂「あ、蝉の声」
憂(それにしても、お姉ちゃんが高校を卒業してもう三か月かあ……)ボー
憂(先輩方はどうしてるんだろう……軽音部はなくなっちゃったけど、大学でもまだバンドやってるのかなあ)
ドボボ……
憂「……あっ!」
憂「やだ、なにしてるんだろう私……」
唯「ういー、どしたね? かわいい声出しちゃってえ」ヒョコ
憂「!!」
憂「あ、えっと……それが」
グツグツ……
憂「ご、ごめんね。ちょっと……ううん、かなり入れすぎちゃって、もう食べらんないや……」
唯「おお!」キラリーン
憂「おねえ……ちゃん?」
唯「これですよー、ういちゃんー」グッ
憂「えっと……どうしたの、お姉ちゃん?」
唯「いただきまーす!」グワシ
憂「えっ!?」
憂(あ、熱々のフライパンに手を突っ込んだ!? いや、それより!)
憂「だ、だめだめ! そんなの食べたら体に悪いよ、お姉ちゃん!!」
唯「やー! おなか減ったの!」ハムッ
憂「あっ」
憂「お姉ちゃん! だめだよ、吐いt」
唯「うまい!!」テッテレー
憂「……」
唯「おいしいー。絶妙ー」パクパク
憂「お姉ちゃん……なんで、なんだかふわふわしてるの?」
唯「ういの料理がおいしいからだよー」
憂「……うーん?」
唯「ういも食べなよ」ズイッ
憂「う、うん……じゃあ、ちょっとだけ」
パク
憂「……かっ、から……」
唯「うい?」
憂「っと……うん、おいしいね? えへへ……」
唯「でしょー? って、作ったのはういだったか」
憂「あ、あはは……」
翌日、3年教室
憂「ってことがあって……」
梓「唯先輩が? 確かに、味にはこだわらないほうだと思ってたけど……」
憂「……うん、そうだよね……」
梓「あのさ……憂があえて言わないなら」
憂「……まだ、そうと決まったわけじゃないもん」
梓「どんな『そう』なのやら」
憂「梓ちゃんまで……」ハァ
梓「え? なに、憂?」
憂「ううん。お姉ちゃんのことは私がなんとかするから、さっきの話は忘れて? ね?」
梓「……しょうがないなあ、もう。でも、いつでもまた話してくれて良いから」
憂「うん、ありがとう梓ちゃん」
――――
憂「ただいまー」
唯「おかえりーういー」
憂「もう、お姉ちゃん。またごろごろして」
唯「アイスはー?」
憂「買ってきたよ。はい」ガサゴソ
唯「さすがういだね! いただきまーす!」
憂「……」ジッ
唯「うひー! 冷たーい! ……ってどしたの? ういも欲しい?」
憂「あ、ううん。そうじゃなくて……ご、ご飯の準備するね?」スクッ
唯「変なういー」パクパク
憂(冷たい、か。うーん……)
憂(……今日は全力でお料理しないとね。絶対失敗できない!)
――――
唯憂「いただきまーす」
憂「……」
唯「んっ?」ピク
憂「……っ」ビク
唯「うーいー。味うすいよー」
憂「あ……ごめん、お姉ちゃん」
唯「最近ずっとだけど、どうしたの? 調子が悪いなら言っていいのに」
憂「最近、ずっと?」
唯「あ、うん……憂にはお世話になってるから言わないようにしてたけど、この二ヵ月くらいずっと」
憂「そんなはず……ううん、ごめん! 私、料理修業し直すよ」ショボン
唯「うい……」
憂「今日は店屋物にしよっか」
唯「はは、そうだね……」
ブーン ブーン
憂「お姉ちゃん、携帯鳴ってるよ」
唯「とってー」
ゴロゴロ
憂「はい」
唯「ありがとー。あ、あずにゃんからだ」
憂「梓ちゃんから……?」
唯「もしもしー、あずにゃーん?」
梓『もしもし、唯先輩? お久しぶりです』
唯「うん、久しぶりだねー。どしたの?」
梓『その……軽音部がなくなってしまって以来、ギターを弾く機会がなくて。明日にでも、律先輩たちのところに行きませんか?』
唯「おおっ! そりゃ良いね! むしろ今すぐ行こう!」
梓『いや、私はそんなに暇じゃないですから』
唯「なにおー! 言うようになったのー!」
――――
唯「うん、うん。へぇー、ムギちゃんがねぇー」
梓『ええ、私も驚きました。……あ、そろそろ……それじゃあ唯先輩、明日の昼に、○○駅で会いましょう』
唯「うん、ばいばーい」プツッ
憂「お姉ちゃん、明日出かけるの?」
唯「うん。りっちゃん達のとこ行ってくる。あずにゃんがギター弾きたいっていうし、私もまたみんなの演奏聞きたくなったしね」
憂「そうなんだ。じゃあ、お弁当つくっておこうか?」
唯「お昼から行くから大丈夫だよ。あ、いや。別にういのご飯が嫌なんじゃないよ? ただ」
憂「ううん、分かってるよ。ありがとう、お姉ちゃん」ニコッ
唯「うい……それじゃあ私、もう寝るよ! おやすみ!」
憂「うん、おやすみ。……明日、起こした方がいい?」
唯「あー、久しぶりだからね……11時までに起きてこなかったら、お願いするよ」
憂「わかった。おやすみお姉ちゃん」
唯「おやすみー」
バタン
憂「……あれ?」
憂(梓ちゃんが? 明日は学校なのに……)
憂(……それ以上に、期末テスト、なんだけど)
憂「気になるけど……さすがに、休めないよね」
憂「洗いものして、勉強しないと……」
――――
テスト中
憂(やっぱり梓ちゃんは来てない)カリカリ
憂(これが終わったら、お姉ちゃんに電話してあげないと)ボー
憂(……今日は三教科だけだし、大急ぎで行けば後をつけられるかも)
憂(……今はテストに集中しないと)
ペラッ
憂(……)カリカリ
憂(……)カリカリ
憂(……)
先生「はい、時間です。筆記用具を置いてください」
憂(よし、終わった。お姉ちゃんに電話しなきゃ)
プルルルル プチッ
唯『あ、ういー?』
憂「あれ、お姉ちゃん起きてたの?」
唯『え? う……うん、あははー』
憂「? ……とりあえず、起きてるなら安心だね」
唯『そだね。電話くれてありがとー。んじゃ、切るねー』
憂「またね、お姉ちゃん」ピッ
憂(……なんだか変だったけど)
憂(気にしすぎだよね)
最終更新:2010年09月12日 22:26