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 12時半

唯「あたし正座弱いんだ」

憂「知ってるよ?」

唯「それなのに、かれこれ4時間くらいやってるけどさ、なんだか逆に楽になってきたよ」

憂「良かったじゃん」

唯「……憂、私のこと嫌い?」

憂「ルール破ったから嫌いだよ」ツン

唯「ごめんなさいもうしません!」

憂「はぁ……次やったら半日だからね?」

唯「解いてよかですか!?」

憂「足がなくなっちゃうからね」ハァ

唯「やったー!」

唯「……」カクカク

憂「お姉ちゃん? やめないの?」

唯「足が……動かない……」カクカク

憂「もう……ソファーに座らせてあげるから、力抜いて」

唯「はい」ダラー

憂「よいしょっと」

唯(ここで憂から抱きついてきたー! とか言ったら車椅子か義足になりそうだね)

憂「足もんであげるね?」

唯「えっ」

憂「お姉ちゃん、足真っ白になってる」チョン

唯「はううっ!?」ピクン

憂「……ふーっ」

唯「あわわぁ……」プルプル

憂「お姉ちゃん、まだ続ける?」

唯「……どっちをですか」

憂「正座だよ?」

唯「だめ。憂それはだめ。断固絶対拒否します」

憂「でもさ」グニッ

唯「あふぅ……」

憂「反応が、なーんかおかしいんだけど?」

唯「なんか、感覚があるようなないような変な感じでさ。それなのに部分的に敏感になってて」

憂「敏感なのはここ?」ツツー

唯「ふぁっ! す、すね……」

憂「足の裏は?」グニグニ

唯「よくわかんない感じ……んう」ピク

憂「……お姉ちゃん、気持ちいいの?」グニグニ

唯「んく……あうう……わかん、ないよう……変なのぉ……」

憂「……お姉ちゃんもうそつきだね」

唯「ふ……へ?」

憂「私、お姉ちゃんが興奮した時の匂い、忘れてないからね?」

唯「うい……あ、いや……」カアァ

憂「節操無し!」ペシン

唯「うあうっ!」ビクッ

唯「な、なにこれ? そういう状況なの!?」

憂「……」グスッ

唯「憂?」

憂「……うっ、ふええええ……」

唯「えっ、えっ? どうしたの憂、泣かないで?」

憂「……わたしっ、お姉ちゃんを許したくて……」

唯「うい……?」

憂「お姉ちゃんをむりやり、おんなじ気持ちにさせて……お姉ちゃんが辛い思いをしたら、許せるから……」

憂「だから頑張ったのに……お姉ちゃん、嬉しそうなんだもん」

唯「……言い返せないや。私、憂だったらなにされてもいいから……」

憂「ううん……ごめん。私のやり方が間違ってたの」

憂「仕返しなんて泥沼になるだけだよ。こんなこと、しちゃいけないんだ」

唯「そう、かな。憂はいくらでも私のことを苦しめていいんだよ?」

憂「……そんなことができたら、いいんだけどね。やっぱりお姉ちゃんにはやれないな」

憂「大好きだから」

唯「憂、その認識をまず」

憂「お姉ちゃんの許し方は、しばらく考えるよ。とりあえず、一週間後の旅行の計画立てようよ」

唯「……そうだね」



 一週間後 某温泉郷のホテル

唯「もー!!」プンスカ

憂「お姉ちゃん……」

唯「くそー!!」ゴロゴロ

憂「あの、言いにくいんだけど」

唯「パパとママのバカー!!」ジタバタ

憂(パパママって言った……)

憂「お姉ちゃん、ちょっと落ち着こう?」

唯「あー、い草のいいにおいー……」ホワーン

憂「……まあそれでいっか。お姉ちゃん、話聞いてよ」

唯「ねー、憂もひどいと思わないー?」プクー

唯「せっかく家族で旅行したかったから4人部屋とったのにさ」

唯『いや、父さんたちは別の部屋をとるよ』キリッ

唯「って行っちゃったしさ!」

憂「たぶん、言わせんな恥ずかしい、ってことだと思うんだけど……」

唯「んー? どういうことー?」

憂「電車の中で言ったでしょ、お姉ちゃんを、私たちを生んでくれてありがとうって」

唯「うん、言ったね」

憂「それでお母さんたち、嬉しくなっちゃったんだと思うよ」

唯「だったら私たちをめでろー!」ウガー

憂「欲張りなのかもね、お母さんたちって」ニコ

唯「てゆーか結局意味分かんなかった……」

唯「ま、しょうがないか。こうなった以上、憂とお楽しみするしかないね!」

憂「……」

唯「いやあの、そんな深い意味はなくて」

憂「お姉ちゃん、晩御飯の前にお風呂いこうよ」

唯「温泉だ露天風呂だ! あ、でも良いの? 一緒にお風呂入ることになるけど」

憂「大丈夫。お姉ちゃんが下手に近づかなきゃ男湯に投げ込まれることはないよ」

唯「ちょっとそれは考えたくないね」

憂「それじゃ行こう? 私、けっこう楽しみにしてたんだ」ギュ

唯「わわ、待ってよ……いま準備するからさ」

唯(手が震えてるよ憂……相変わらずしれっとウソつくねえ)



 大浴場

唯「はぁー」チャプン

唯(そういえば、今日は憂と同じ部屋で寝ることになるのかー)

唯(良いのかな……? でも、お父さんたちの部屋は行きたくないし)イライラ

唯(廊下で……なんてことはないよね。憂そんな子じゃないよね?)チラ

唯(そもそも寝床は畳とベッドの2部屋あるわけだし……)チラチラッ

憂「……」ゴシゴシ

唯(泡まみれの白い背中……)

唯(おいしそう……いやいや、イカみたいでおいしそう!)

唯(そういえば晩御飯は海鮮料理だっていってたよね)

唯(イカあるかな。あるよね?)デレー

憂(お姉ちゃん、よだれ垂れてる……)チラ

憂(投げようかな? ……ううん、きっと晩御飯のことを考えてるの! きっとそう!)

唯「ゆかた!」バーン

憂「似合ってるよ、お姉ちゃん」

唯「見返り美人!」グリッ

憂「作者は?」

唯「ほえ? 誰が縫ってくれたかなんてわかんないよー」

憂(重症だなあ)

唯「そうだ憂、それより晩御飯だよ!」

唯「イカがあるかなイカ、そのイカんによってイカの予定が大きく変わるんじゃなイカ?」

憂「ずっとそれ考えてたの?」

唯「イエッス! オクトパス!」フンス

憂(重症だなあ)

憂(まあ私もお姉ちゃんのこと心配してる余裕はないか)

憂(あ、イカって言っちゃった……)カアァ

唯「うい、顔赤いよ? のぼせた?」

憂「の、のぼせてないから! ああ、またっ!」

唯「まあイっカ。部屋へ行こうじゃなイカ!」

憂「ああ、イカだらけ……」ガックリ



 夕食時、唯たちの部屋(1072号室)

唯「きた……きた……まさかの豪華イカづくし!」

仲居「こちらがまずアオリイカの刺身で……」

憂(仲居って逆から読んだらイカナだよね……)ボー

憂「あははは。ここにはイカしかいないんだ」
ニタニタ

唯「イカワールドだね!」

憂「海とひとつになれる気がする……」

仲居「最後こちらが海鮮釜飯になります。お熱いのでお気を付け下さいませ。では失礼いたします」

 スー パタン

唯「いやー、びっくりだね、憂?」

憂「はっ……ごめん、お姉ちゃんなに?」

唯「もー。イカもりだくさんでびっくりしたよね?」

唯「イカイカ言ってたら、本当に晩御飯がイカばっかなんだもん!」

憂「もしかしたら、私たちがイカイカ言ってたからかもしれないよ?」

唯「それはつまり……ことだまさんってこと?」

唯「うーん、ありうる。あんまりりっちゃんにデコハゲって言わないようにしないと」

憂「そんなこと言ってたんだ……金輪際言っちゃだめだからね?」

唯「うん。りっちゃんをハゲさすわけにはいかないよ」

唯「さ、それじゃ食べよ、うい!」

唯憂「いただきまーす!」



――――

 20時 1072号室

唯「口の中がデロデロするよー」

憂「すごかったね。ご飯ツヤツヤだなーって思ったらイカだったもん」

唯「あれって釜飯とは言わないよね? ただお釜の中にフリーダムに切り刻んだイカ詰め込んだだけだよね?」

憂「まあ、あのイカづくしは私たちが呼びこんだものかもしれないし……文句言っちゃだめだよ」

唯「そだね。ういー、卓球やらない? 腹ごなししたいよ」

憂「……お姉ちゃん」

唯「うん? なんだね妹」

憂「運動するんだったら……私、したいことあるんだけど」ギュ

唯「お、枕投げ? 憂も修学旅行に向けて特訓しないとね!」

憂「……違うよ。枕投げじゃない」

唯「違うの? そんなに枕ぎゅっと抱きしめちゃってるのに?」

憂「紛らわしかったかな。……温泉と言えば定番なんだけど」チラ

唯「うおっぷ!」

憂「……」ドキドキ

唯(い、いま憂の谷間がちらっと見えたの……すごい破壊力だった……気をつけなきゃ)

唯「えー、卓球も枕投げも違うんでしょ? 思いつかないなあ……」

憂「じゃあ……これでも、まだわからない?」グッ

 プルンッ

唯「え……うい、顔真っ赤……だよ」

憂「お姉ちゃんこそ……」

唯(憂、おっぱい出てる……お風呂でも完璧に隠してたのに……)ゴクッ

唯「だ、だめだよ憂。ちゃんと服着て、お願い!」フイッ

憂「なんでだめなの? 私、暑いの。体が火照って……ジンジンする」

憂「お姉ちゃん、エッチしようよ。お姉ちゃんもドキドキするでしょ?」

唯「憂……私を試してるの? だったらやめてよ」

憂「そんなんじゃないよ。私、あの時のことが忘れられないんだ」

憂「お姉ちゃんにしたこと、されたこと、ひとつひとつ思い出して……毎日オナニーしてたよ。気付いてたかな?」

唯「またうそついた! いいかげんにしないと怒るよ、憂!」

憂「ウソじゃないよ」スリッ

唯「近づいてきちゃ……だめ……」


 スリッ スリッ

唯(どうしよう……憂、どうしちゃったの?)

憂「あの時みたいに気持ち良くなりたいの」

憂「あの時以上の快感が欲しいの、お姉ちゃん」

 スリッ スリッ

唯(このままじゃ、私……また憂としちゃうよ……)ドンッ

唯「あ、壁が……」

憂「えへへ、お姉ちゃん追いつめた♪」ニコ

憂「鍵はかけたよ。いっぱいしよう? お姉ちゃん」

 スリッ スリッ

唯(誰かがことだまさんで憂をおかしくした? でも、そんなことしても何の得もないよね……)

憂「お姉ちゃん、こっち見て……」

唯「え……」チラ

憂「……んむ」

 チュッ

唯「……あ、あ」ドキドキ

憂「ちょっとしょっぱいね。お醤油つけすぎだよ、お姉ちゃん」

唯「う、うい……私、憂のことほんとに襲っちゃうから……離れてよ」

憂「だから、襲っていいよ? というか、襲わなきゃだめ」

唯「う、い……」

憂「理性の箍が外れそうだね。良いんだよ? 好きにしても」

憂「お姉ちゃん、興奮した時の匂いしてきたよ? 我慢しないで、私と気持ちよくなろうよ」ピトッ

憂「お姉ちゃんとくっついちゃった……えへへ」

唯「あ、あはは……憂、お姉ちゃんもう、だめ」ガバッ

憂「ひゃっ。びっくりした」ドサッ

唯「うい。今からお姉ちゃん、憂を犯すからね。でも……」

唯「でも、その前に。言いたいことがひとつあるから……聞いてくれる?」

憂「いいよ。あんまり我慢してられないけど」

唯「ありがと。……私ね、憂のこと、恋愛対象としても大好きだったけど……」

唯「妹としても、ほんとに大好きだった。……私と憂は、もう顔を合わせることはないから、いま伝えたよ」

憂「……えへ。変なこと言うね」ニコ

唯「そうかな。真剣だったよ? 私は憂を苦しめるだけの存在だって、よくわかったから」

唯「だから、私は私らしく……ちゃんと憂を犯すよ。そしたら、憂の前からいなくなる」

唯「それでいいよね?」

憂「……う、うそだよね?」

憂「いなくなるなんて……冗談だよね?」

唯「……いまさら、遅いよ」ニコ

憂「嫌、そんなのやだ……お姉ちゃんがいなくなるなら、こんなことしない!」

唯「どっちにしても」ポツリ

唯「……ここで憂を襲うにせよ、襲わないにせよ……その如何によらず、私は消えるよ」

唯「私がどんな人間か……本質的に変わらないところで、どれほど終わってる神経してるか、よく分かったよ」

憂「ま、まって……嘘だから! 全部ほんとのこと話すから、行かないでよ!」

唯「その約束はできないよ。とにかく……うい、お姉ちゃんに話してみて?」ギュ

憂「……」コクン


――――

 3日前 琴吹邸の一室

紬「……」カチャ

憂「……」カチャ

紬「……」コクン

憂「……」ズ……コクン

紬「……ふぅ」カチャ

憂「お、おいしいです」カチャ

紬「そう? ありがとう」

紬「それで憂ちゃん、私にお話って?」

憂「えっと……紬さん、前に私に味方だって言ってくれてたので……」

憂「その言葉が今も有効だと思って、ちょっと相談事を持ってきたんですけど」

紬「あら、純ちゃんとのことかしら?」

憂「ど、どうして純ちゃんがここで出てくるんですか!?」

紬「うふふ。ただ何となくよ。外したかしら?」

憂「もう……お姉ちゃんのことです。紬さんは、あれ以降の私たちのこと、どれくらい知ってますか?」

紬「そうね。言霊を使ってたことは、りっちゃん達から聞いたわ」

紬「そして、言霊を使うのをやめたってところまでは、唯ちゃんから聞き及んでいるわ」

紬「つまり、いま憂ちゃんが唯ちゃんを許したくても許せなくて困っている、というあたりまで知ってるかしらね」

憂「鋭いですね……まさにその通りなんです」

紬「まあ、唯ちゃんの話を聞いたら自然にわかることよ」カチャ


紬「……ん」コクン

紬「相談事は、そのことかしら?」

憂「はい。……どうやったらお姉ちゃんを許せるのかなって……」

紬「そうかしら。憂ちゃんの表情を見てると、そんな茫漠とした状態じゃないと思っちゃうわ」カチャ

紬「なにか腹案があるんじゃない? 言ってみてよ。大丈夫、ここには私しかいないわ」

憂「……引きませんか?」

紬「大丈夫よ。私は憂ちゃんの味方だから」

憂「……考え方を、変えてみたんです」

憂「お姉ちゃんを許すんじゃなくて、そもそもお姉ちゃんが責められることなんて何もなかった……そう考えようって」

紬「それで……どんな案が出たのかしら?」

憂「もう一回……お姉ちゃんとエッチしようと思います。言霊を使わない、素の状態で」

紬「まぁ……」キラキラ

憂「紬さん、エフェクトかかってますよ。あと鼻血……」

紬「あらいけない。よいしょ……どうして憂ちゃんはその方法を選択したの?」タラー

憂「ですから鼻……やっぱりいいです。お姉ちゃんのしたことを、きれいさっぱり許せる日は来ないように思ったので」

憂「だったら、いっそ素の私のままお姉ちゃんとエッチして……」

憂「あの時期よりずっと激しく求めあって、あの頃のことなんてどうでもよくなればいいな、と思ったんです」

憂「どうでもいいことなら、許せるかと思ったんです」

紬「なるほどね……」カチャ

紬「……」コクン

憂「涼しい顔して飲んでますけど、それ8割方がいましがた注がれた紬さんの鼻血ですよ。ティースプーンが真っ赤ですよ」


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最終更新:2010年09月12日 22:51