澪は見知らぬ部屋のベットで目を覚ました
澪「なに・・・ここ?私どうしてこんな場所に・・・?」
その部屋は全面がむき出しのコンクリートになっており
ベッド以外は家具どころか扉以外は窓すらなかった
澪(夢・・・じゃないよね・・・・)
澪は掛け布団を払い上体を起こす、
と、肌に直接触れる冷たい空気で自分が一糸纏わぬ姿であることに気づいた
澪「うそ・・・何これ・・・」
カチャ・・・
突然扉が開く
唯「あれぇ~澪ちゃん起きてたんだぁ~♪」
澪「唯っ!?」
異常な状況で見知った顔を見たせいか
混乱した澪は口を開けたままベッドの上で固まってしまった
唯「澪ちゃん♪かわいいお胸が丸見えだよ♪」
澪「え・・・・/////」
澪は恥ずかしさから咄嗟に掛け布団を羽織る
澪「こ・・これはどういう事だよ、唯っ!!」
唯「しっ!大きな声出さないで!」
唯は小声ながらも緊迫感の声で続ける
唯「今は詳しいことは話せないの・・ごめんね澪ちゃん」
澪「え・・・?」
唯「しばらくはここで大人しくしていて・・・」
澪「しばらくって・・・いつまでだよ」
唯「う~ん、2~3日程度かな」
唯「おいおい詳しい状況は話してあげる」
唯「あと・・・」
唯は手に持っていたトレーを差し出す
トレーにはスープの様なものが盛られた器と
オレンジ色の錠剤が2つのっていた
唯「食事と・・・・・・・・・お薬だよ」
唯「お薬は食事のあとに必ず飲んでね」
唯はトレーをベットの上に置くと足早に扉へ向かった
澪「お・・おい唯、まてよ!」
唯「ごめんね・・・澪ちゃん」
カチャッ・・・バタン・・・・カチャリ
澪は扉へ走る
ガチャガチャガチャ
澪「カギ・・・!?」
ドンドンドン!!!
澪「おいっ!!!唯!!開けろ!悪ふざけなら止めてくれ!!!」
~ 数時間後 ~
澪(今・・・何時なんだろ?みんな心配してるだろうな・・・)
時計がないためかあれから何時間経ったかわからない
起きた頃にはさほど感じなかった空腹感が、
今は耐えられないものへ高まっていた
澪は唯の置いて行ったスープを飲み始めた
スープはとろみが強く、色はコーンスープのようだが、味がほとんどなかった
澪(おいしくない・・・)
スープを飲み終えたが錠剤は飲まなかった
何の薬かわからないし、飲む理由もない
食べた後はやることもない
澪は仕方なく眠ることにした・・・・
~数時間後~
ズドドドドドドドドッッッ!!!!!!!!!
突然の凄まじい地響きに澪は飛び起きた
澪「うわああああああ!!」
澪はとっさに小学校の時の避難訓練を思い出し
ベッドの下へ身を隠した
ズドドドドドドッ!!!
ガタガタガタガタッッ
澪「ひいいいいいいいいぃぃ・・・!!!助けて!!!お父さん、お母さん・・・律ぅぅ!!!」
澪は目をギュッと閉じて必死に耐えた
~数秒後~
地響きがおさまってからも
澪はベッドの下から出られずにいた
ガチャッ
唯「澪ちゃん!大丈夫・・・て、あれ・・・?」
唯「ぷっw澪ちゃんベッドの下なんかに隠れてかわい~w」
唯「澪ちゃん、とりあえずこれを着てここから出よ」
唯はボロボロの作業着のような服を手渡した
見ると唯も同じ服を着ている
唯「聞きたいこといろいろあると思うけど」
唯「とりあえず今はここを出るのが先決だよ!」
唯「りっちゃんにもすぐに合わせてあげるから・・・・今は急いで」
澪「律っ・・・律もここにいるのか・・・?」
唯「ここじゃないけど・・・う~ん・・・」
ドカァアアアアアンンン!!!!!
ズドドドドドッッ!!!
爆発音とともに再び地響きが起こる
澪「ひいいい・・・!!!!」
唯「まずい・・・さっきより近い!!!急いで!!!」
唯は部屋を飛び出す
澪はあわてて作業着を着ると唯に続いて部屋を飛び出した
部屋の外にはまたも窓のない廊下が続いていた
角を何度か曲がり階段を数回下りた
唯「そこの角を右に曲がれば玄関だから先に言ってて!!!」
唯「私は車と武器を取ってくる!」
そう言うと唯は反対方向に駆けだした
澪「ちょっ!待ってよ唯!!一人にしないでッ!!」
唯はあっという間に見えなくなった
澪(う~もおいやだよぉ~~)
澪は恐る恐る唯が示した方向へ向かった
そこにはガラス張りの大きな玄関があった
そして・・・・・
澪(え・・・・う、嘘・・・・・・・)
眼前には崩壊した町が広がっていた・・・・
プロロロロロ・・・・
玄関先に軽自動車に乗った唯が現れた
唯「澪ちゃん、乗って!」
澪は言われるままに助手席に乗る
プロロロロ
唯は澪を乗せるとすぐにアクセルを踏んだ
澪「唯・・・お前運転できたのか?」
唯「うん・・・練習したんだ・・・」
唯「はじめは失敗ばかりですぐぶつけてたんだけど・・・」
唯「1年前ようやく乗れるようになったんだ♪」
澪「1年前から!?どういう事だよ??」
唯「大変だったんだよ・・・澪ちゃんが眠っていたこの2年間・・・・」
澪「に・・・ねん・・・・・なに言ってるんだ・・唯っ!」
唯「澪ちゃんはね・・・ある事故に巻き込まれてずっと眠ってたんだ」
唯「その直後だよ・・・・あいつらが攻めてきたのは・・・・」
唯「まっさきにやられたのはあずにゃん・・・かわいそうだったなぁ」
唯「そのあとは日本中の人たちが襲われた・・・」
唯「兵隊さんもたくさん来たけどだめだったんだ・・・」
澪「唯・・・お前何を言ってるんだ・・・!?」
窓の外はまるで爆撃でもあったかの様なぼろぼろの街並みだった
人影はまったくない
大通りでは至る道で車が縦列放置されており道を塞いでいた
唯は大通りを避けて住宅街を突き抜けた
しばらく車を走らせるとスーパーマーケットの前で車を止めた
唯「ここまで来れば大丈夫かな?」
唯「ちょっと休憩しようか・・・」
スーパーマーケットの中は、強奪でもあったのだろうか、
棚という棚が漁られた痕跡があり、食べ物は見当たらなかった
唯はある床を探ると引掛りをつかんで床板を開いた
床下には簡単な貯蔵庫がありわずかばかりの缶詰と小さなポリタンクが入っていた
澪と唯は外のベンチに座るとポリタンクの中の水を直接飲んで缶詰の中身を食べた
唯「ふぅ・・・落ち着いたね♪」
人心地ついたせいか、澪は尿意を催した
澪「唯・・・ごめん、ちょっとお手洗いに行ってくる」
唯「うん♪いってらっしゃい♪」
澪は立ち上がるとスーパーへ入った
先ほどは唯といっしょだったから何も感じなかったが
誰もいないマーケット内は一人で入ると少し不安になる
物陰から何か出てくるのではないか・・・
そんな恐怖心が湧き上がってくる
澪(ううっ・・・・確かこっちだったよな)
ガサリッ・・・・
澪「ひいいいいぃぃっ!」
マーケットの奥、薄暗くてよく見えないが明らかに人影がこちらへ向かってくる
澪「く、くるなぁ!!!」
??「なんだよ、人を化けものみたいに。傷つくなぁ~♪」
人影の正体は・・・律だった
最終更新:2010年01月28日 23:28