会議室

イガちゃん「えー、では早速今日も会議を始める」

トミー「今日のテーマは?」

イガちゃん「ふむ。実は俺が最近ハマっている漫画があるんだが……それについて話そうと思う」

タミー「漫画?」

ユリー「……」

能智「ま、待ってくれよ。どうして議題が漫画の事になるんだよリーダー」

イガちゃん「うむ、それはだな。この漫画が俺たち四天王のテーマ……ロックとワルの融合にマッチするからだ」

タミー「ロックとワルの融合……」

イガちゃん「ああ。まずはこの漫画を見てほし……」ガサガサ

イガちゃん「ん……」

トミー「どうしたんだリーダー?」

イガちゃん「……すまん、肝心の漫画を忘れてしまったようだ」

能智「え。なんだよ、俺ちょっとワクワクしていたのに」

イガちゃん「ああ、明日には必ず持ってくるから、すまん」

トミー「……とりあえず、どんな漫画なのか、大雑把に教えてくれないか」

イガちゃん「うむ。まず、主人公は女子高生だ」

能智「女子高生?」

タミー「……その女子高生がすっごいワルとか?」

イガちゃん「いや、どちらかと言えば良い子達だ」

トミー「おいおい、それの何処がロックとワルの融合な漫画なんだよ」

イガちゃん「……すまん、少し嘘をついた。別にワルと言う訳ではないんだ」

能智「?」

イガちゃん「だが、見てもらえれば分かる。俺がその漫画を薦める理由が……お前たちにも分かるはずだ」

タミー「そんなに面白い漫画なのか?」

イガちゃん「ああ、俺が保証しよう!」

トミー「そんなに力強く言われちゃあ……な」

イガちゃん「と言うわけで、今日は解散だ。明日の会議でまた会おう」ガチャ

タミー「ま、待てよ。せめて漫画のタイトルだけで……」

バタン

能智「……行っちまった」

トミー「俺たちも……帰るか」

帰り道

ユリー「……」

タミー「なあ、さっきのリーダーの話、気にならないか」

能智「え、やっぱり? 俺もチョー胸がモヤモヤしているんだけど」

トミー「あんな中途半端に宣伝されたら、誰だって気になるよな」

タミー「……明日まで待てねえよな」

能智「ああ……」

トミー「なあ、今からちょっと本屋に行ってみねえか?」

ユリー「……」コクッ

タミー「よし……行くか」


本屋

タミー「……でよ、どんな漫画だっけ?」

能智「タイトルはわからねえけど、確か……」

ユリー「女子高生がどうとか、言っていたな」

タミー「女子高生か……まあ、人気がある本なら特設コーナーとかもあるだろうしな」

トミー「……でもよ、女子高生が主役の漫画なんていくらでもあるぜ。せめてジャンルでもわからねえと……」

能智「うーん……」

タミー「仕方ねえ。手分けしてそれらしい本を探すしかないな」

トミー「ああ。それらしい本を見つけたら買って確かめてみようぜ」

タミー「そうだな……よし、じゃあ行動開始だ」


公園

タミー「全員揃ったな。では、品定めと行こうか」

トミー「ああ」

ユリー「おう」

能智「じゃあまず俺から……」スッ

『らき☆すた』

タミー「……これが女子高生が活躍する本なのか?」

能智「ああ、アニメになったり何やらと……そこそこ大きく取り上げられていたぜ」

能智「中身もまあ、ほのぼのしている内容だから、良い子達ではある」

トミー「とりあえず、リーダーの言った条件はクリアしているみたいだな」

タミー「これが俺たちに影響を与える漫画とは、あまり思えないがな」

能智「まあ、いいじゃねえか。次は誰だ?」

トミー「俺は、この本じゃねえかと思うんだ」スッ

『ひだまりスケッチ』

タミー「これが?」

トミー「ああ……女の子がメインの四コマ漫画だ。これも、リーダーの言った条件はクリアしている」

ユリー「……なんか、さっきのらきすたと雰囲気が似てるな」

タミー「四コマってだけじゃねえか。まあ、そういう俺も結局は四コマ漫画だったんだがな」

能智「ん、タミーもか」

タミー「おう、俺の場合はこれだったがよ」スッ

『けいおん!』

トミー「へえ……女子高生が主人公の漫画って結構あるもんだな」

トミー「俺の場合は店員に聞いたからな。まあ、ちょっと恥ずかしかったが……」

タミー「あ、その手があったか」

能智「……でもよ、本当にこの中にリーダーの言ってた本があるのかな」

全員「……」

トミー「ん、そう言えばユリー。お前の本がまだだったな」

ユリー「お、俺のは多分違うからいいよ」

タミー「おいおい、一応見せてみろよ。そんな隠され方したら気になるじゃねえか」

能智「そうだそうだ、せっかく買ったなら見せてみろよ」

ユリー「じ、じゃあ……」スッ

トミー「ま、女子高生が主役ならよ、それだけで正解している可能性があるんだから……」

『侵略!イカ娘』

トミー「いや、多分女子高生ではないんだ……」

全員「……」


ベンチ

能智「イカかあ……」

イカが主人公でいいじゃなイカ!



次の日

ガチャリ

イガちゃん「む。もうみんな集まっていたのか」

タミー「ああ……早速だかよリーダー。机の上を見てくれ」

イガちゃん「ん……この漫画はどうしたんだ?」

トミー「いや、昨日のリーダーの話が気になってよ。俺たちが独自に漫画を推理してこれを買ってきたんだよ」

ユリー「で、この中にリーダーの言っていた、すげー俺たちのタメになる漫画があるのか……教えてほしいんだ」

イガちゃん「ほう」

能智「まあ、イカの漫画以外は女子高生が主役なんだ。そして良い子ばかり……この中にきっとあるんじゃないか、と思ってな」

イガちゃん「……」

トミー「個人的にはよ、このけいおんか、ひだまりスケッチが当たりだと思うんだが」

タミー「まあ、待てよ。慌てなくてもすぐわかるんだ」

能智「そうだ。リーダーが薦めるすげー漫画……それがもうすぐわかるんだ」

ユリー「昨日はモヤモヤして眠れなかった……ゲソ」

タミー「……なんか移ってるぞユリー」

イガちゃん「……」

全員「……」ゴクリ

イガちゃん「残念ながら、俺のおすすめする漫画、それはこの中には無い」

全員「な、なにぃ!」

トミー「くそっ、自信あったのによ……少しショックだぜ」

タミー「じ、じゃあ何なんだよ! 正解の漫画はよ!」

ユリー「……」

イガちゃん「うむ、それはな……」ガサガサ

全員「……」ゴクリ

イガちゃん「これだ」

『あずまんが大王』

全員「……」


ベンチ

タミー「……うん、少ないヒントだったけどさあ……」

トミー「昨日とは違う、このモヤモヤは何なんだろうな……」

ユリー「……ゲソ」

テッテテ、テッテテ、テテ、テッテッテ♪ あ




イガちゃん「えー、本日の議題は……」

トミー「ち、ちょっと待ってくれよリーダー」

イガちゃん「ん、どうしたトミー。何か提案があるのか?」

トミー「いや、提案もなにもよ……俺たちメンバーは前回の結果に納得いって無いんだけどよ」

イガちゃん「前回?」

タミー「……どうしてあの漫画をリーダーがオススメしたか……その、正直ちょっとわからなくてな」

イガちゃん「なんだと?」

ユリー「いや、確かに内容は面白かったよ、でも……ただ女子高生が話しているギャグ漫画ってだけで……」

イガちゃん「お前ら……何が言いたい?」

タミー「だから、あの漫画からリーダーが何を感じて俺たちに何を伝えたかったか……聞きたくてな」

イガちゃん「……」

イガちゃん「話は変わるが、昨日の本の中にあったけいおんを読んでみたんだ」

タミー「いや、話題変えるんじゃねえよ!」

トミー「そうだぜリーダー、ちゃんとあずまんがの良さを説明してくれよ」

イガちゃん「ああ、あのデスデビルのさわちゃんには俺たちに近い物……まさにロックとワルを感じた」

能智「……ダメだ、完全に話をすり潰す気だ」

タミー「……まあ、確かにけいおんは面白かったけどよ」

トミー「ああ、女の子だから、なんてちょっとバカにしていたが……伝わってくる物はあったよな」

イガちゃん「そうだ、俺はただ漫画を紹介したかっただけじゃない。いいか……けいおんのメンバーを考えてみろ」

能智「メンバー?」

トミー「ハッ、俺たちと同じ人数……全部で五人だ」

イガちゃん「そうだ、最初はあずにゃんがいなくて四人……まさに四天王状態だったが、気が付けば五人」

イガちゃん「……これに俺は運命を感じた

トミー「……いや、別に向こうは四天王にこだわっていた訳じゃなくて」

能智「というか運命って何だよ?」

イガちゃん「うむ、実はな……俺たち四天王でやりたい事が出来たのだ」

能智「やりたい事?」

イガちゃん「ああ……」

ユリー「ま、まさかリーダー……」

イガちゃん「うむ。実は最近メンバー同士の交流が少なくなった気がしてな……きっかけは漫画で恥ずかしいのだけれども……」

タミー「俺は、賛成だ」

イガちゃん「タミー……」

タミー「リーダーがやる、と言ったら俺たちはそれに従う。それが四天王だからよ……」

トミー「……ああ、あの漫画には俺たちを動かすだけの、パワーがあった。協力するぜ」

イガちゃん「い、いいのか……だが、初心者が上達するにはかなり長い時間を要すると聞く。誘っておいてなんだが……」

能智「いいんじゃねえか。俺たち五人が協力すれば……頂点を極めるなんてあっという間だぜ、きっとよ」

イガちゃん「お前ら……」

イガちゃん「し、しかし金もかかるのだぞ?」

タミー「……さすがに何十万は出せないがよ、まあ、安物で数万の物もあるだろうよ」

能智「そうだな。実は俺、ちょっと憧れていたんだよな」

トミー「こんなメイクしているから、余計にな……へへっ」

イガちゃん「しかし、いいのか。始めるきっかけは、漫画と……俺のワガママなんだぞ」

ユリー「水くさいぜリーダー」

タミー「ああ、リーダーの決定には従う……俺たち四天王で天下取ってやろうぜ」

トミー「何でも、リーダーに力を貸すぜ」

リーダー「……すまん、みんな」

リーダー「よし、ではみんなの力を貸してもらうぞ!」

トミー「おう!」

タミー「腕がなるぜ!」

ユリー「よし、じゃあまずは担当から決めようぜ」

イガちゃん「いや、まずはその前に道具を揃えるんだ。ちなみに俺のはだな……」ゴソゴソ

タミー「な、リーダーはもう楽器を持っているのか……」

トミー「すげー熱の入れようだ……」

イガちゃん「昨日特売で買ったノートパソコンだ。大容量でサクサク動くと言われたから、これにした」

全員「……」

タミー「なあ、リーダー、ちょっといいか?」

イガちゃん「ん」

タミー「なんでノートパソコンなんだよ?」

イガちゃん「パソコンを使わなければ達成できない目的だからだ。当たり前だろ?」

トミー「リ……ーダーのやりたい事って一体何なんだよ。バンドを組んで楽器をやる事じゃないのか?」

リーダー「楽器だと? 俺はただ『レバ剣』という物が欲しいだけだ」らきすたであった

全員「……」


ベンチ

トミー「あー、すげーモヤモヤする……」

タミー「いつから話がすり変わったんだろうな……」

多分、運命の件の後からかな。


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最終更新:2010年09月17日 22:18