唯「……でも、先生はやっぱり先生だよぉ?」
さわちゃん「唯……ちゃん?」
律「まあ、正直さ、雰囲気は変わったかもしれないけど」
澪「でも、やっぱり先生がいないとけいおん部、って感じがしないよな」
さわちゃん「二人とも……」
唯「うん、さわちゃんはさわちゃんだよ。他の誰でもない、さわちゃん先生だよ!」
紬「はい、先生。お茶……ふふっ、高級な玉露茶です」
梓「そうですよ。お寿司、車エビにシャコもありますし、どうぞ先生!」
さわちゃん「み、みんな~……」ウルッ
さわちゃん「……」グスッ
さわちゃん「よ、よ~し、先生また桜ヶ丘高校で頑張っちゃうんだからっ……」
ガチャリッ
律「あっ、さわちゃんおかえり」
ゴリラ「ンゴ」
唯「これで先生が二人揃ったね~」
梓「さ、さわちゃんゴリさん、サーモン握ってくれませんか!」
紬「はい、さわちゃんお茶」
ゴリラ「ンゴ」
さわちゃん「……」
ベンチ
さわちゃん「みんなもう、ゴリラって言ってるようなもんじゃない……」
ゴリラ「……」ポン ポン
躊躇無しは酷いよね。
ガチャリッ
和「ねえ、ちょっといいかしら」
唯「あ、和ちゃんだ~、どうしたの~?」
和「えっと、先週言ってた部室整理の話。はい、これ……通達書類」
律「どれどれ、えっと……な、なにい!」
澪「ど、どうした律?」
律「整理する備品の中に……あのロッカーがある……」
唯「えっ!」
和「もう、随分古いロッカーだから、整理したいって言ってたよね?」
律「あ、あれは無し! 無し!」
紬「ね、ねえ。これ、通達って事は……」
和「……ええ、もう変更はできないわよ。あくまで通達するだけだから」
唯「そ、そんな……」
ガタン ガタン
唯「……行っちゃったね」
澪「これで、もう会えないのかな」
律「さ、寂しい事言うなよ! 寂しいけどさ……」
梓「ゴリラさんのお寿司、もっと食べたかったなあ」
律「……今日は、もう帰るか」
澪「明日から、また部室が広くなるな」
次の日
ガチャリッ
神山「あ、すいません。入り口が部室外の非常ドアからに変更になったんで、お願いします」
全員『……』
ベンチ
澪「クロマティってすごいんだな……」
律「私たちの涙……」
どこでもいいみたいです。
クロマティ高校
神山「……というわけで、曲を作りましょう」
林田「曲?」
神山「ええ、青春クロマティーらしいオリジナル曲を作るんです」
北斗「うむ、自分たちの曲を持ってこそのバンドと言えよう」
前田「でもよ、曲作りって難しいんじゃねえのか?」
神山「まあ、そこは手探りでやっていくしかないね」
林田「そっちの方がやってる感じがしていいじゃねえか」
前田「……まあ、確かにそうかもな」
子分「でもよ、曲を作るって言っても何をどうすればいいんだよ」
神山「とりあえず、フレディに作曲をしてきてもらいました」
フレディ「……」コクッ
林田「お、デモテープがあるのか、本格的だな」
カチッ。
『ダン ダン ダン』
『ダン ダン ダン』
前田「……」
『ウィーワーウィルエー、ロックユー』
カチッ
神山「とりあえず、このメロディーに合わせて作詞……みんなには歌詞を考えてもらいます」
前田「いや、歌詞入ってんじゃん。しかもロックユーって……」
林田「難しそうだけど、やってみるぜ」
北斗「俺の音楽センスの見せどころというものだ」
前田「いや、だからよお……」
前田家
前田「ったくよお……結局歌詞出しあってもロックユーのまま変わらずじゃねえか」
前田「楽器だってあれから一度も弾いてねえしよお……」
前田「まあ、いいや。腹減ったな、飯はなんだ?」
前田母「……」スッ
前田「ん、今日はいやに豪勢なんだな。一体何か……あっ」
『お誕生日おめでとう』
前田「そうか、今日は俺の単純だったか……最近忙しくて、忘れていたぜ」
前田母「……」
前田「ん、まだ何かあるのか?」
ガラッ
神山「前田君」
前田「か、神山? それにみんな……どうしてここに」
林田「みずくせえな、友達の誕生日だろ。お祝いくらいさせてくれよ」
前田「林田……」
北斗「ふっ、部下の祝日くらい祝うのはリーダーとして当然だ」
フレディ「……」コクッ
ゴリラ「ンゴ」
前田「みんな……ありがとう」
神山「よし、じゃあみんなで前田君のために誕生日の歌を唄おう!」
全員「おおー!」
前田(へっ、さっきまで腐っていた自分が情けなくなるぜ)
神山「……さん、はい」
『ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー』
『ハッピーバースデーディアー……ロックユー』
前田「……」
『ハッピーバースデートゥーユー……』
パチパチ パチパチ
神山「前田君、誕生日おめでとう」
前田「……ありがとう、みんな」
トイレ
前田「ディアーロックユーって何だよ……」
とりあえず、語呂はいい。
……
のなー「この際だから、はっきり言っておくとさ」
担当「はい?」
のなー「最初は俺もけいおんキャラを使う気はなかったわけよ、借りておいてなんだけどさ」
担当「……いや、借りてはいませんから。勝手に描かれているだけで」
のなー「まあ、俺も漫画家だからよ。ただ絵を描くだけじゃなく、お話を考えないといけないわけだよな」
担当「まあ、仕事ですから」
のなー「お話、つまりアイディアがなきゃあ話だって描けやしない。当然だな」
担当「当然ですね」
のなー「まあ、つまりもうネタがない」
担当「はい」
おわり
竹之内「……久しぶりだな、学校に顔を出すのも」
竹之内「俺がいない間に、何か変わった事でも起きていないか……ふっ、つい仲間を心配してしまう」
ガラッ
竹之内「よう、みんな」
神山「あ……た、竹之内君」
林田「久しぶりじゃねえか」
前田「一体今までどこに言ってたんだ?」
竹之内「ふっ、ちょっと旅に……な」
神山「ああ、旅といえばちょっと面白い物があるんですよ」
竹之内(……)
竹之内(こいつの提案で得をした事は一度もなかったからな……不安だ)
移動後
竹之内「……ここは?」
神山「桜ヶ丘高校という女子高です。まあ、ちょっとした経緯から交流をしていまして」
竹之内「ほう……確かに男ばかりのクロマティよりはいい思いができそうだな」
神山「ここが、例の部室になります」
神山「お邪魔します」
ガチャリッ
さわちゃん「あっ、いらっしゃ~い」
紬「こんにちは~」
神山「今日は二人だけなんですか?」
さわちゃん「ええ、部活がお休みな日なのよ。あら、そっちの人は……」
竹之内「……竹之内だ、よろしく頼む」
紬「新しいお客さんね。けいおん部へようこそ~」
さわちゃん「また大きな子ね~」
竹之内(けいおん部? ……いや、それはともかくこいつら。俺の姿が怖くないのか)
竹之内(けっして怖がってほしいわけではないが、仮にもクロ高を牛耳る俺だ……)
竹之内(まあ、こいつらが最初にゴリラとでも対面していたなら、話は別だかな)
竹之内(ゴリラに比べりゃあ、人間の俺なんてまだ可愛いもんだ、うん)
さわちゃん「ねえ、君たち今から暇?」
神山「ん、何かあるんですか?」
紬「実は、先生が私のために色んなお店を案内してくれるの~」
さわちゃん「いい機会だからね。あなたたちもどう? 人数は多いほうが楽しいでしょ?」
竹之内(おいおい、待てよ。知り合いの神山はともかく初対面の俺までか?)
紬「そちらの、竹之内さんもお時間大丈夫ですか?」
竹之内「……あ、ああ」
さわちゃん「じゃあ決まりね! レッツゴーよ」
紬「はい~」
竹之内(……こいつらの緩い雰囲気はなんだ。これが女子高というものなのか?)
さわちゃん「じゃあ、出発~」
ブロロロロ
竹之内(……)
竹之内(うん、大丈夫だ。位置は助手席、しかも何か起こしそうな神山は後ろで彼女とおしゃべりしてやがる)
竹之内(それに、放課後の外出だ、たかが出掛ける場所も知れているだろう)
ブロロロロ
竹之内(いいとこ、駅前のデパートや歓楽街という所だろうな)
ブロロロロ
竹之内(……まだ走るのか)
ブロロロロ
ブロロロロ
神山「そういえば、どこに行くんですか?」
さわちゃん「あ、もう着くわよ~。ほら、看板見えてきた」
紬「こ、ここが噂の……!」
『ここより先、いろは坂』
紬「きゃああ~、来たわ~」
竹之内「……」
休憩所
竹之内「いろは坂ってなんだよ……」
庶民派、ムギちゃんのリクエストです。
ブロロロロ クイッ
竹之内(うっ……一々左右に揺れる感じが相当くる。ヤバい、気持ち悪い……)
さわちゃん「でも、竹之内君って本当に無口ね~。坂に入ってから一言も喋らないなんて」
神山「彼は硬派な性格ですから。あ、でもけっして不愉快なわけではありません、そういう顔なんですから」
さわちゃん「ふ~ん?」
竹之内(くっ……好き放題言いやがって。何か喋って口を開いたら、それと同時に何か出てきちまうんだよ)
紬「あ、あの。お菓子持ってきたんだけど食べますか?」
さわちゃん「あ、私は運転終わったら食べるわね~」
神山「僕も休憩所でいただくよ」
紬「そうですか、竹之内さんはどうしますか?」
竹之内(今そんなもの食べている余裕なんてねえ……くっ、甘ったるい匂いが社内に充満してやがる)
神山「多分、竹之内君もあとで食べるんじゃないかな。よっぽど外の景色が気に入っているみたいだし」
竹之内(違う、外を見ていないと一瞬でゲームオーバーするだけだ。しかし、ナイスフォローだ神山)
紬「……わかりました。じゃあ、これはまた後で食べましょう」スッ
竹之内(……ふう、一難去ったか)
ブロロロロ ガクッ
竹之内「うおっ!」
さわちゃん「ち、ちょっと下りでスピード出るから! ちゃんと掴まっててね!」
ブィイイイー
紬「きゃあっ」
竹之内(ぐ、ぐおおおあ……や、ヤバい……)
竹之内(内臓が、右に左に踊ってやが……ぐっ……)
竹之内(耐えろ、耐えるんだ……初対面でゲロなんか吐いたら、そりゃあもう最悪の印象だ)
竹之内(おそらく、ゴリラと俺が並んでいても俺の周りには誰も寄らなくなるくらいの……ぐっ)
竹之内(それだけは、勘弁だ……耐えるんだ、竹之内……!)
……。
さわちゃん「ふぅ、ちょっと落ち着いたみたいね」
神山「まさにジェットコースターみたいなスリルでしたね」
紬「怖かったけど、楽しかったわ~、来てよかった」
竹之内(……ふう、危なかった。いくら訓練した俺とはいえ……何か『あと一押し』があったら吐いていた所だったな)
神山「いやあ、よかったよかった」
竹之内(いつもなら、その一押しをこいつがもたらすんだが……今日は大丈夫なようだ)
竹之内(ふっ、窓から入る風がいつもより気持ちよく感じる……)
さわちゃん「あ、もう休憩所みたいだから……あそこでひとやす……」
紬「ええ、そこで……って、き、きゃあっ!」
さわちゃん「ど、どうしたのムギちゃん?」
紬「後で食べようとしていた……みんなの分のエクレアが……」
紬「さっきの坂と揺れで混ざってぐちゃぐちゃに……」
竹之内「……」
神山「うわあ、これはひどいね」
紬「ほら、見て竹之内さん、こんなに」テロ~ン
竹之内「う……うおっ!」
紬「きゃあ~、竹之内さんが暴れてる!」
神山「こんな所で暴れちゃ危ないよ」
竹之内「う、うるせえ!」
さわちゃん「あ、そ、そんなとこ蹴ったらエアバックが作動しち」ボシュウ!
ちなみに、いろは坂行った事ありません。
……
のなー「そろそろ1000だから、終わり、と」
のなー「うん」
のなー「けいおんのみんなに協力してもらってここまで来れたけど」
のなー「振り返ってみると、そうだな……」
のなー「……」
のなー「……四天王オンラインゲーム編が書いてて一番楽しかったかなあ」
ご愛読と保守、ありがとうございました。
最終更新:2010年09月17日 22:30