唯「コタツはぬくいねー」

憂「ねー」

ピトッ

憂「わっ、お姉ちゃんと足がぶつかった」

唯「えへへー」ぎゅっ

憂「わあっ、お姉ちゃんの足が絡まってくる」

唯「逃がさないぞー」

憂「もうっお姉ちゃんったらー」




その時、悲劇は起きた

唯と憂の絡まった足がコタツとの相乗効果により、ビッグバンを起こし
コタツの中に宇宙を創造してしまったのだ


憂「わー、どうしよう…コタツの中に宇宙があるよー…」

唯「うう…これじゃぬくぬくできないよ…」

憂「お姉ちゃん…」


宇宙の温度は-270.42度
つまり、冷たい

唯はこのままだとぬくぬくできないのだ…


憂「お姉ちゃん待ってて!」

憂「すぐにこの宇宙に太陽を造るから!」


・・・


律「なんだよー、急に呼び出して」

憂「実は律さんにお願いしたいことがあるんです」

律「憂ちゃんが私にお願い?なんだろ?」

憂「お姉ちゃんのために…」

憂「コタツの太陽になってください」

どんっ

律「わああああーっ!?」


律はコタツの中の宇宙に吸い込まれていった


憂「これで太陽はよしっと」

唯「わあー、りっちゃんが太陽になってくれたんだねー」

律「うるせー」ピカピカ

憂「これで安心してコタツでぬくぬくできるね、お姉ちゃん♪」

唯「うん、ありがとー憂ー♪」

律「まったく、お暑いなー」


律が太陽になったことにより、コタツの中の宇宙はぽかぽかした


しかし…

唯「なんだか、殺風景…」

憂「え…?」

唯「太陽があるのにお月様がないなんて変だよ!」

唯「お月様があれば、月食やお月見も楽しめるのに…」シュン

憂「いますぐ用意するよ、お姉ちゃん!」

澪「月は降り立つもの~♪衛星(ほし)は打ち上げるもの~♪」

澪「日々世界進化中、だからボ~っとできな…」

憂「澪さんが適任だね!」ニコッ

澪「!?」


・・・


律「よお、澪」ピカピカ

澪「うぅぅ…どうしてこうなった…」キラキラ


唯「わあー、澪ちゃんお月様も綺麗だよー」

澪「そ、そうか?」///

唯「わあ、赤い月だー」キャッキャッ

憂(お姉ちゃんが喜んでくれてよかった)

律の光によって、澪もまた輝くことができる
2人の関係はまさに太陽と月であった


澪のいる場所によっては、律から照射される光の角度が変わる

満月の日は顔全体にスポットライトがあたり、そのかわいらしい顔を拝むことができる

半月では、顔が半分隠れてなんだか怪しげな雰囲気に
三日月は澪の横顔を強調する大人びた雰囲気、新月では律の陰に隠れ脇役に徹する澪

2人の距離感はまさに形を変えながら日々変化していくのだ

唯「わー、すごいすごーい」キャッキャッ

律「まあ、これが私と澪の1ヶ月って感じだな」

澪「律…」ポッ

憂(お姉ちゃん、楽しんでくれてうれしいなあ)




唯「だけど…」

憂「だけど!?」



唯「地球がないのは変だよー!」


そうなのだ、たとえコタツの中の宇宙といえど地球がないのはおかしい

憂「えぇ!?」


ここで問題が起こる


憂(地球って、誰を放り込めばいいんだろう…)


太陽の律、月の澪のように配役がピンとこないのだ

憂は思考を振り絞ることにした


憂(地球…)


憂(ジ・アース…)


憂(アース…)


憂(アース…ゴキジェット…)


憂「!!」


憂「梓ちゃんだ!!!」


奇しくも梓は、地球にうってつけであった

地球は太陽と比べて年が若い

そして月とは兄弟のような関係

丸い、青い、噴火などをするetc.

梓と地球は共通点が満載なのだ


憂(そしてなにより名前…)

憂(アースさ)

憂(あーずさ)

憂(梓…!)


憂(偶然とは思えない!)

憂(これは運命だよ!!)


憂「お姉ちゃん、私地球を連れてくる!」

唯「うん、お気をつけてー」

憂「うぃ!」



律「なあ、澪、信じられるか?」

澪「んー?」

律「ちっぽけな高校生の私達が今じゃ太陽と月をやってる…」

律「世の中って不思議なもんだよなあー」

澪「ああ…」

澪「無重力だ…」

澪「ふわふわ時間だな…」

そうなのだ…
彼女達は今や人類の夢…宇宙にいるのだ…

唯「コタツのスペースにね!」

澪「うまいこといったつもりかー!」

唯「えへへ、うまいついでに、アイスでも食べよ~っと」ぺろっ

律「おいおいコタツに入りながら、アイスってどんだけだよー」

唯「最高の贅沢だよねえーっ」ぺろりっ

澪「まったく…」

そのとき悲劇は起こった


つるんっ

唯「あ゛あああああーーっ、私のアイスーーー!!」


アイスは宇宙空間へ放り出される!


そう、アイスはハレー彗星になってしまったのだ!!


律「なんてこった!あれじゃ次に戻ってくるのは76年後だ!!」

唯「うええーん、私のアイスがああ…」ポロポロ

さすがの唯も、この出来事に涙を流さずに入られない!

澪「唯…」

律「なんていうか、掛ける言葉もないな…」

次にアイスが戻ってくるのは76年後…
つまり唯はそのころには94歳になってしまう、そんなお婆ちゃんがアイスを食べたらお腹を壊してしまうだろう
アイスは永久に失われた…
唯「うわあああああん…」

ポロ  ポロ

   キラ    キラ

澪「ん…?」

澪「律、なんだか様子がおかしいぞ?」

律「なんだなんだ?」

キラ  キラ

律「!!」

律「唯!!」

律「お前の涙がお星様になってる!!」

唯「え…」


キラ  キラ

   キラ   キラ


唯「わああああっ!!」


そこにあったのは一面の星空

流れる涙は天の川になり、そのしずくは銀河にちりばめられた星になっていた


律「唯、お前がこんなに綺麗な宇宙を造ったんだぞー」

澪「すごい…きらめいてるよ!」

世界中の宝石箱を開けてもかなわない輝き
それが唯が造った銀河なのだ


唯「すっごく綺麗だよおお!!」


この景色を目の前にして唯はアイスのことなどすっかり忘れてしまった


憂「お姉ちゃん、地球を連れてきたよー」

梓「いたいいたい!ツインテールひっぱらないでー」


唯「ういー、これを見てよーっ」

憂「わああ…綺麗だね、お姉ちゃん!」

梓「な、なんですかこれ!?」


憂「梓ちゃん、これはお風呂なんだよ」

梓「え、絶対違う…」

憂「いま流行の宇宙お風呂だよ、さ、梓ちゃん入ろ?」

梓「ひえええええ」ジタバタジタバタ


地球の誕生である

ここから、生命は生まれ、そして長い長い歴史が始まるのだ…


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最終更新:2011年07月31日 01:39