唯「憂が急に! っていうか、誰か来てーっ!!」
律「分かったっ!」タタタッ
澪「どどどどうしたんだろう」アセアセ
紬「分からないわっ!?」アセアセ
純「憂!? ちょ、梓。ちょっとどいてどいてっ!」ジタバタ
梓「にゃ?」
律「うわーっ!? 憂ちゃん何やってんだっ! それ調理酒!?……じゃないっ 普通のお酒だろっ!」
唯「憂っ 駄目だよ! さすがにそれは駄目だよっ!!」
澪「おいおい、普通に飲酒か? まずいだろ……」オロオロ
紬「なんで……」オロオロ
純「憂ってば何やってんの……」オロオロ
梓「にゃぅ♪」スリスリギュゥ
憂「…………」スタスタ
澪「あ、戻ってきた」
唯「う、憂? あんなに飲んで大丈夫? 酔ってない?」オロオロ
律「いや絶対やばい量だったって。っていうか飲酒はさすがにまずいって」オロオロ
憂「…………」スタスタ
純「憂? お酒飲むなんて何考えてんの?」
憂「…………」スタスタピタッ
純「う、憂?」ビクッ
澪「憂ちゃん、大丈夫か?」オロオロ
唯「憂~? 憂~?」オロオロ
憂「純ちゃん……」
純「え? なに?」ビクッ
憂「……え~いっ」ピョンッドスンッ!
純「ぐぇっ!」グシャッ
梓「に゛ゃぁっ!」ドサッ
憂「純ちゃ~ん♪」ギュゥ
純「今度は憂かっ!?」ジタバタ
憂「純ちゃん純ちゃん純ちゃ~ん♪」ギュゥゥゥッ
純「ぐぁっ! う、憂……力つよ……強い……」ジタバタジタバタ
梓「あ、ずるいっ! 純~♪」ギュゥ
純「げほっ 梓まで! ちょ……うぐぐ……苦しい……」ジタバタジタバタ
唯律澪「…………」ポカーン
紬「はぁぁぁぁんっ♪ カメラッ カメラーッ!」ゴソゴソ
憂「純ちゃぁんっ♪」ギュゥゥゥッ
梓「純~♪」ギュゥ
純「うぐっ せ、先輩達……たすけ……てぇ……」ジタバタジタバタ
紬「っ! そうだわ、斉藤に持ってこさせればっ」ピッピッピッピッ
律「……写メればいいじゃん」アキレ
紬「そうか……そうねっ! りっちゃん天才っ!!」パシャパシャパシャパシャパシャパシャッ
唯「憂が……憂がおかしくなっちゃった……」オロオロ
澪「ホント……何がなにやら……」
純(うわーん。誰も助けてくれない~)
純「お、お願いだから二人とも離れて……」ジタバタジタバタ
憂梓「やっ」ギュゥゥゥゥッ
純「うぷっ お酒臭い。すごいお酒臭いよ」ジタバタジタバタ
憂「はぁ~ってやってあげるね? 純ちゃん、はぁ~ってやってあげる♪」ハァ~
純「うっぷっ! 分かる。分かるからしなくていいよっ 憂っ!」
梓「わたしもやってあげるっ はぁ~ってやってあげるっ!」ハァ~
純「近い近いっ 顔近いってっ!」ジタバタジタバタ
紬「はぁぁぁぁぁぁぁぁんっ♪」パシャパシャパシャパシャパシャパシャッ
律「そろそろやめとけ? ムギ」
唯「憂がぁ~……」オロオロ
澪「あ、あはは……」
憂「純ちゃ~ん♪」ギュゥゥゥッ
梓「純~♪」ギュゥ
純「お、重い~……」ジタバタジタバタ
・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
唯律澪紬「…………」
純「どうしてこうなった……」ガクリ
憂梓「♪~」ギュゥ
律「まぁ、モテモテでいいんじゃないか?」
純「モテモテって……そんなこと言ってないで助けてくださいよぉ」
紬「待ってねっ? もうちょっとだけ待ってねっ?」パシャパシャパシャパシャパシャパシャッ
澪「助けるって言ってもどうしていいやら」
律「っていうかあたしらに害ないし?」
純(ひどっ!)ガァンッ
唯「落ち着いちゃえば、後輩達のほのぼのスキンシップって感じだしね~」ニコニコ
純「ほのぼのじゃないですよぉ」ガクリ
梓「にゃぅ~♪」ゴロゴロ
憂「ふにゃぁ~♪」ゴロゴロ
律「にしても……梓もそうだけど、憂ちゃんも結構変わるなぁ」
澪「普段のしっかり者の影もないな……」
唯「こーいう憂も可愛いけどねぇ~♪」ニコニコ
紬「ふぅ……堪能したわ♪」
律「落ち着いたか?」
紬「えぇ♪」ニコニコ
唯「あ、ムギちゃん。後で撮った写真見せて?」
紬「うん♪ 一緒に見ましょう♪」ニコニコ
純(止めて欲しい……)
純「ねぇ、二人とも? そろそろ退いて欲しいなぁ……とか思うんだけど」
憂梓「やっ」ギュゥ
純「ですよねー」ガクリ
律「完全に懐いてるな♪」ニヒヒ
澪「梓は猫っぽいけど、憂ちゃんは……犬っぽい?」
紬「あ、そんな感じするかも~♪」
唯「憂~? 『わんっ』って言ってみて?」
憂「わんっ♪」
澪紬「おぉ~」
律「いや、させるなよ」アキレ
純「でもまぁ……唯先輩の言うとおり、こーいう憂も可愛いかも」ナデナデ
憂「わふっ♪」ゴロゴロ
純「よしよ~し♪」ナデナデ
梓「…………」
純「ん? どしたの? 梓」
梓「にゃぅ~♪」ゴロゴロ
純「はいはい。梓も可愛いよ~」ナデナデ
梓「にゃふっ♪」ゴロゴロ
憂「…………」
純「憂?」
憂「わふぅ~♪」ゴロゴロ
純「うんうん。憂も可愛いよ~」ナデナデ
梓「にゃにゃっ」ゴロゴロ
純「ほいほい♪」ナデナデ
憂「わぅん♪」ゴロゴロ
純「ほいさっ♪」ナデナデ
梓「にゃ~♪」ゴロゴロスリスリ
憂「くぅ~ん♪」ゴロゴロスリスリ
純「あんっ もぅ……まったく二人とも何やってんだか♪」ナデナデナデナデ
憂梓「♪~」スリスリ
唯「♪~」ニコニコ
澪「二人とも幸せそうだ」
紬「あぁ、メモリが足らないっ どうしようっ! どうしようっ!?」オロオロ
律「……あたしの携帯貸したげる」
紬「ありがとう、りっちゃんっ♪」パシャパシャパシャパシャパシャパシャッ
唯「……純ちゃんありがとね~♪」ニコニコ
純「え? あ、はい。でもどうしたんです? 急に」キョトン
唯「さっきあずにゃんが言った通り、憂は純ちゃんに甘えたかったんだと思うんだ~」
紬「そうなの?」パシャパシャパシャパシャッ
律「あー、確かに憂ちゃんはしっかり者だけど、甘えんぼなところもあるしなぁ」
澪「お姉ちゃんっ子ではあるけど、しっかりした子に見えてたけど……」ウーン
唯「しっかりはしてるんだけど……どっか抜けたところがあるしね~」
律澪(お前が言うなっ)
純「確かにそーいうところありますね……って、スミマセン。実のお姉さんの前で……」
唯「いいよぅ♪ そーいうところを分かってあげてくれる友達がいて、憂も幸せだしね~♪」ニコニコ
純「あははは。そんな大袈裟なものじゃないですよぉ」テレテレ
唯「わたしや和ちゃんにも甘える時はあるけど、やっぱり同い年の子に甘えたり頼ったりとは違うだろうし」
純「憂ってば、そーいう弱い部分自体ほとんど見せませんからねぇ」
唯「うんうん。そのくせ意外なところでポロッと見せるから驚いちゃうよね♪」
純「ホントにそうですよねぇ……もっと頼って欲しいって思うんですけど」ツンツン
憂「くぅん♪」ゴロゴロ
唯「うんうん♪」
純「ま、あたしに何が出来るってわけじゃないですけど……」テレテレ
唯「そんなことないよ~? 憂、純ちゃんの事すご~く信頼してるよ?」
純「そうですか? ……そうだと嬉しいです」
唯「うんうん。何時頃からだったかなぁ……よく純ちゃんの話とかするようになったしね♪」
律「ほほぅ? どんなどんな?」
唯「ん~とね……今日は純ちゃんと放課後までお話した~、とか。今度の休みは純ちゃんと遊びに行くんだ~、とか」
律「……普通じゃん」
唯「そんなことないよぅ。憂、わたしの話をいつも聞いてくれるけど、自分の話を積極的に話すのってあんましなかったんだよ?」
澪「それは……意外だな」
紬「社交的な性格だから友達とか多そうだけど」パシャパシャッ
純「あ、友達は多いですよ。クラスメイト全員と仲良いですから」
律「へぇ~……それはそれでちょっと意外だ」
唯「なんでさ~?」ムゥ
律「いや、嫌われて欲しかったわけでも、嫌われて当然とも思ってないって」
澪「じゃぁ、何で意外なんだ?」
律「だって憂ちゃん可愛いし頭良いし運動も出来るんだろ?」
紬「それなら嫌う人なんていないんじゃないかしら?」キョトンパシャッ
律「……平和頭め」アキレ
純「ほら、普通それだけ凄いと、妬む人が一人二人出てくるじゃないですか」
澪「あぁ、なるほど」
唯「そかなぁ~?」ウーン
紬「むぎゅぅ?」ウーン
純(平和だ……軽音部はやっぱり平和だ。そして意外にも律先輩が一番普通な人だった)
純「でも憂は人付き合い上手ですからね。兎に角、嫌われてるとかはないですよ」
唯「よかったぁ♪」ニコニコ
純「まぁ、あまり深く付き合うってことをしてないんでしょうけど」
唯澪紬「?」
律「ふぅむ……気遣いが過ぎる、って感じ?」
純「ですね。あとは過ぎたお姉ちゃんっ子って分かな? と」
律「なぁるほどねぇ~。出来過ぎるっていうのも問題だぁね~」フゥ
純「だから気付いてあげられない部分も多いかな……って思うんですよ」ハァ
律「……純ちゃんって意外に苦労性だったんだな♪」ニヒヒ
純「そんなことありませんよ? 気楽でマイペースな性格ですって♪」
純律「♪」ニカー
唯澪紬「?」
律(純ちゃん……今まで『ちょっと変な子』って思っててゴメン。実は出来る子だったんだな)
唯「ねーねー。なんで二人だけで分かり合ってるの~?」ムゥ
紬「そうよそうよっ ちゃんと教えて?」ムギュゥ
澪「私も……ちょっと分からなかった」ムー
律「お気楽脳め」アキレ
純(言っちゃうんだ)
唯「おーしーえーてーよぅ~」ブーブー
紬「おーしーえーてーよ~ぅ」ブーブー
澪「うんうん」コクコク
律「あー……全部説明すると長くなるから簡単に言うと」
唯澪紬「うんうん」コクコク
律「相手に気を使いすぎて友達にはなれるけど親友にはなりにくいって感じ?」
澪「な、なるほど」コクコク
紬「……うん、何となく分かったかも」コクコク
唯「うむぅ?」
律「やっぱ唯は分からんかったか」
純「……唯先輩、今まで誰かと喧嘩したことってありますか?」
唯「うーん……ないかなぁ」
純「じゃぁ、誰かが喧嘩してるのを見たことは?」
唯「それならあるー」
純「喧嘩って良くないことだと思います?」
唯「それは良くないよー。お互い怒り合うなんて嫌だもん」
純「ですよね。あたしもそう思います。でも、考え方を変えると良いところもあるんですよ」
唯「ほへ?」キョトン
純「例えばですね……あたしと唯先輩の前に美味しいお菓子が二つあったとします」
唯「うんうん」コクコク
純「で、片方は唯先輩の大好物で今とても食べたいお菓子です」
唯「おぉ~♪」
純「そのお菓子はど~しても譲りたくない。自分が食べたい……って思っています」
唯「……じゅるり」タラ~
律「涎垂らすな」
純「それじゃぁ、いただきます……と食べようとしたその時! あたしも、そのお菓子が食べたいっ! と言い出します」
唯「えぇ~っ!?」ガァンッ
澪(どれだけ想像力豊かなんだ)
純「さて、唯先輩はどうしますか?」
唯「え、えぇ~? う~ん……純ちゃんにお菓子を譲ってもらう……かな」ウーン
純「あたしは譲りませんよ?」キッパリ
唯「えぇ~……そんなぁ~」ショボン
純「悩んでていいんですか? あたしが先にお菓子を食べちゃいますよ?」
唯「やだやだぁっ わたしが食べたい~」
純「あたしも食べたいので譲る気はありません」
唯「うぅ~」ウーン
純「じゃぁ、喧嘩してでもどちらが食べるか決めるしかありませんね」
唯「喧嘩するのは嫌……だけど、ショートケーキのためなら……うーん、でも……」ブツブツ
律澪(ショートケーキだったのか)
紬(たぶんイチゴ付きね)
純「で、ですね。ここでちょっと待ったです」
唯「ん?」キョトン
純「さて、今あたしと唯先輩は喧嘩しそうになりましたね?」
唯「う、うん」
純「どうして喧嘩しそうになったんでしょう?」
唯「それは……ショートケーキをどっちが食べるかってことだよ」
純「そこですっ」
唯「ふぇっ!?」
純「あたしは唯先輩の好きなお菓子を知りません。唯先輩もあたしの好きなお菓子を知りませんよね?」
唯「そう……だね。わたし、純ちゃんのことあまり詳しく知らないしね」
純「でも、今……喧嘩しそうになって、初めてあたしは」
純「『唯先輩は誰かに譲りたくないくらいショートケーキが好き』ということを知ることが出来ました」
唯「うんうん……あぁっ! なるほどっ!!」
純「分かってもらえましたか?」
唯「喧嘩しそうになって、それで分かることもあるってことか~」
純「ですです。それが喧嘩する事の利点ってやつです。もちろん、喧嘩しないに越したことはありませんけどね♪」ニコッ
唯「だよね~♪ ……で、このお話が一体どーいうことなの?」キョトン
純律「……」ガクリ
最終更新:2010年09月23日 00:01