唯「あ、大丈夫だよ、もちろん憂をクビになんてしないからね」
憂「私はお姉ちゃんと二人で…」
唯「いや~~やっぱり二人だと限界があるでしょー」
憂「そんなこと…」
唯「あるよ!!だってさ、宣伝でも憂ひとりじゃなかったらもっと早く売れたはずじゃん」
憂「え…」
唯「そう思わない?今こんな調子だしさ」
憂「そんな…」
唯「いいよ何も言わなくても。もう社長の私が決めたんだから」
憂「お姉ちゃん…」
唯「じゃお願いしまーすトムさん」
ガチャ
トムさん「ハーイ」
唯「ハーイ、トム」
憂「外人さん…?」
唯「そうだよ憂、これからはぐろーばるな世界で戦わないといけないんだよ」
唯「高い給料でもゆうしゅうなじんざいを集めることが会社のためになるの」
憂「でもお姉ちゃん英語話せるの…?」
唯「高校行ってたんだよ?少しは話せるよ。それに通訳の人もいるし」
通訳「こんにちは」
憂「こんにちは…」
唯「じゃ、憂、その部屋で増やす仕事しておいてね」
唯「それだけやってもらえればいいから」
憂「う、うん」
唯「ありがと」
ガチャン
憂(私は何がしたかったんだっけ…)
憂(お姉ちゃんと一緒に…)
憂(思い出せないや)
憂「うぅ…」グス
―
ガチャ
唯「憂、帰ろ」
憂「お…お姉ちゃん」グス
唯「憂!?全然終わってないじゃん!!」
憂「ご…ごめんなさい」
唯「もぉ~…憂と私にしかできないんだからさぁ。しっかりしてよ」
唯「それに私は社長だからそんなことやってられないし…分かるでしょ!?」
憂「うん…ごめんね…お姉ちゃん」唯「社長!」憂「…」
唯「憂!?」
憂「社長…なんでしょ…か」グス
唯「車乗せて」
憂「はい…社長」
唯「ふぃ~疲れた疲れた」
憂「…」
唯「ねえ、憂?」
憂「なんでしょう…社長」
唯「…憂が今一番したいことってな~に?」
憂「…」ウル
憂「特に…ありません」
―次の日
唯「あ~今日も行かないとな~」
唯「でも正直もうトムさんに全部任せてもいいかな~」
唯「筆頭株主は私だし、どうせ会社は私のものだし」
唯「なんか面倒くさくなってきた…」
唯「そう思わない?」
憂「うーん…」
唯「あ、でも憂は行かないとだめだよ、生産止まっちゃうんだから」
憂「はい…」
唯「まあ今日も行こうかな」
唯「朝ご飯は会社でいいよ、憂も作るの面倒でしょ?」
憂「そんなこと…」
唯「いいのいいの」
―某日
梓「あ!憂!!」
憂「梓ちゃん」
梓「久しぶり!…唯先輩の会社!凄いじゃん!」
憂「う、うん…結構大きくなったよね」
梓「凄いよ!!…私もほら」
憂「『ロマンス?』…」
梓「凄い流行ってるよ!!」
憂「うん」
梓「憂はまだ唯先輩の秘書なんでしょ?知ってるよ」
憂「え、なんで」
梓「ちょうどさっき買ったんだ、ほら」
憂「週刊秋春…」
梓「唯先輩の対談が載っててね、ここ読んで」
憂「
『
―そのキーパーソンというのは
平沢「ええ、私の妹です。2人で立ち上げてここまでやって来れました。」
―妹さんは現在もご活躍中なのですか
平沢「はい。私の秘書として常にアドバイスをくれます。かけがえのない存在です。」
』
」
梓「あの唯先輩がここまで凄い人になるなんて…憂凄いよ本当に」
憂「…ん?」
梓「あ…」
『謎の資金源……てぃーたいむの女社長と暴力団の繋がり』
『……警察権力をも黙らせる琴吹財閥が主要株主の恐ろしさ』
梓「酷いよね…週刊誌って」
憂「うん…これは嘘だよ」
梓「分かってるよ…唯先輩もムギ先輩もそんな人に見えないし」
憂「うん。お姉ちゃんと暴力団なんて無縁だよ。本当に」
梓「そりゃあねえ…」
憂「…それに私が秘書だって…」
梓「え?」
憂「いや…なんでもないっ!」
店員「360円です」
店員「またお越しくださいませ」
憂「『かけがえのない存在』…」
憂(……わたしはどうすれば…)
―――――――
唯「~♪」
唯「新作できたぁ~♪」
ガチャ
社員「社長!本日出荷分ができていません」
唯「え?」
唯「また憂サボってんの~?」
ガチャ
唯「…う…うい?」
社員「社長?」
唯「いない…」
唯「どこにいるの憂…」
唯「と、とりあえずトムさんにも言ってほかの在庫から回して!」
社員「は、はい!」
唯「憂がいないことなんて今まで無かったのに…」
―海
ザパーン!!
憂「はぁ…」
prrr prrr
憂(…社長から電話だ…)
憂(怒ってるよね……)
憂(電源切っとこ)
ピピッ
憂(……私はどこで間違ったんだろう…)
憂(もう家にも会社にも戻りたくないや)
ザパーン
憂「…楽になれるかなぁ……」グス
「おーい!!」
憂「?」
澪「憂ちゃん!?」
憂「あっ澪さん」
澪「こんなところでどうしたの?」
憂「いや…たまには休みをと思って」
澪「さすがの憂ちゃんでもな……休んだ方がいいよ」
憂「はい……澪さんは?」
澪「ああ、いい詞が思い浮かぶかな~と思って」
憂「なんだか素敵ですね…」
澪「そうかなぁ?この辺にはぼちぼちくるんだよ、人も少ないし、きれいだし穴場だから」
憂「ですねー」
澪「……唯はどう?」
憂「…はい、し、お姉ちゃんは毎日頑張ってます」
澪「社長?…ふふ、偉くなったんだな~…唯は」
prrr prrr
澪「お?唯からだ」
憂「!?」
憂「澪さん…お願いします…」ウル
澪「(ああ……分かったよ)」
澪「もしもし」
唯『澪ちゃん!?大変なの、憂がいなくなっちゃって…』
澪「どうしたんだよ…」
唯『憂がいなくて…私…』
澪「唯さ」
澪「憂ちゃんはどこにいると思う?」
唯『へ!?それが分かったらこんな電話』
澪「…なぁ唯、憂ちゃんをどこへやる気なんだ?」
唯『え…』
澪「よく知らないけどさ、あの憂ちゃんが消えたってよっぽどだろう?」
澪「今、唯の中では、憂ちゃんはどこにいるんだろうな?」
唯『憂は私の妹で…』
澪「で?」
唯『私は憂を思って……』
澪「ふふ、よく考えなよ社長、いや、憂ちゃんのお姉さん」
唯『澪ちゃん…?』
澪「頑張れ、唯」
ピッ
澪「こんなんでいいかな…アハハ」
憂「うぅ…」ポロポロ
憂「今すぐ帰らないと…」グス
澪「どこに?」
憂「…え…それは」
澪「…たまには…さ、憂ちゃん」
澪「とことん…ね?」
憂「うう…」
憂「お姉ちゃん…」
憂「…澪さん、本当にありがとうございましたっ!」タッタッタ
澪「姉妹愛か…いい詞が書けそうだ」
―旧事務所
ガチャ
憂「…お姉ちゃんと始めた場所」
憂「忙しかったけど…充実してたなぁ」
憂「お姉ちゃんが戻ってこなくても」
ガチャ!
唯「憂!!」
憂「社長…」
唯「憂……」
憂「社長…申しわ…」
唯「うい、もういいんだよ」
憂「え…」
唯「私はもう社長じゃないんだよ」
唯「憂のお姉ちゃんなんだ」
憂「え…お姉ちゃん?」
唯「そおだよぉ…憂のお姉ちゃん」
唯「ただの、だめなお姉ちゃん」
憂「お姉ちゃん…」
唯「憂…ごめんね、本当にごめんね」ギュ
―――
―――――――――
―数週間後
『創業者姉妹、電撃退社』
『現経営陣の巨額脱税発覚、一斉捜査へ』
『株式会社てぃーたいむ、経営破たん』
―――――――――
梓「え!?服が光って…消えてく」
梓「な、なんで!!?」
キラキラ
澪「そういうことがあったのか…」
憂「本当にありがとうございました」
澪「いやいや…これで良かったの?」
憂「はい……お姉ちゃんも、私も」
憂「今が一番幸せだなって」
唯「うい~溶ける…早く食べよお~!!」
憂「うん!!」
唯憂お金持ち編 -唯FX成功パート-
完
ちなみにゴーン日産、英語化楽天を揶揄する意図は全くありません
一つの物語として、深く考えずに読んで頂けたら幸いでした
最終更新:2010年09月24日 00:13