唯「うーいー、今週の日曜日は何やる?」

憂「えっと、今週は買い物に行こうと思ってるよ」

唯「ほーい、何買うの?」

憂「えっと、日用品なんだけど量が多くなりそうだから……」

唯「荷物持ちだね!任せて!」

憂「あっ重いのはかわいそうだから私が持つよ!」

唯「えぇ~全然大丈夫だよ~」

唯「なんなら料理も洗濯も任せてよ!」フンス!

憂「それは……う、うん、考えておくね」ニコッ

唯「……」ジー

憂「わ、私お風呂掃除してくるね」アセアセ

唯「……」シュン


部活!

澪「ほら、律、唯!練習するぞ!」

律「もーちょっと!もーちょっとだけお茶にしようよー澪ちゅわん!」

唯「そうだよ!せっかくおいしいお菓子もあるし!」

梓「駄目です!もう文化祭まで日がないんですよ!」

律「でもまぁ演奏自体はいい感じじゃん?それに明日は土曜日だし一日中練習できるしさ~」

梓「それはそうですけど……そうやって余裕を見せてると本番で失敗しちゃいますよ!」

澪「梓の言うとおりだ!それに今から頑張ればもう1曲新曲を組み込む事だって出来るんじゃないか?」

律「えぇーっ!?今のままでいいよー」

澪「お前部長だろ!もっとやる気出せ!」ゴツン

紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」

唯「10回」

梓「6回です」

コンコン
憂「あのー、失礼しまーす」ガチャ

唯「あっういー!」

梓「憂どうしたの?」

憂「うん、先生に用事を頼まれて遅くなっちゃったから軽音部を見学してお姉ちゃんと一緒に帰ろうかなって」

唯「やったぁ!一緒に帰ろう憂!」

梓「その前に練習です!」

唯「分かってるよ~憂聞いていってね」

憂「うん!」キラキラ

澪「やれやれ、憂ちゃんのおかげで練習が出来そうだよ」

律「しゃーない!じゃ、やるかぁ」

澪「なんか律って憂ちゃんが来るとやる気出してないか?」

律「いやぁそんなことないってー!」

紬「憂ちゃんお茶とお菓子もあるから遠慮なくどうぞ~」

憂「はい、いただきます!」


律「よーし!今日の練習終わり!」

澪「うん!良い出来だったな!特に唯!」

梓「はい!リズムも音もすごく良かったです!」

唯「そ、そうかなぁ?才能かなぁ?えへへ」

紬「違うわ!憂ちゃんが見てるからよ!」

憂「えぇっ!?」

紬「唯ちゃんは憂ちゃんに良い所を見せたかったのよね!」

唯「そ、それはまぁそうだけど……」

紬「憂ちゃんの為にいつも以上に頑張っちゃう唯ちゃん……素敵……」ホワァ

唯「いやぁその、そうやって言われると……///」

紬「照れてる唯ちゃんかわいい……憂ちゃん!見てあげて!」

澪「落ち着け!落ち着けムギ!」

律「ま、まぁ帰ろっか?ははは」

憂「そうですね」ニコニコ


律「じゃあ私たちこっちだから!」

憂「はい!お疲れ様でした!」

澪「……」

律「どったの澪?早く行こうぜ」

澪「皆!やっぱりさ、文化祭のライブもう1曲新曲やらないか?」

梓「賛成です!今日の出来なら全然不可能じゃありませんよね!」

澪「ああ!私達にとっては最後の文化祭なんだし、頑張ってみないか?」

紬「確かにもう1曲やれたら気持ちいいかもしれないわ!」

律「そうは言ってももう1曲覚える時間なんてないんじゃない?」

澪「だからさ、これからは土曜日だけじゃなくて日曜日も音楽室開けてもらって練習しないか?」

唯「!」

憂「……」

律「えぇ~~っ!?」

澪「最後の文化祭だろ!それくらいやってもバチ当たらないぞ!」

律「んー、まぁ最後だし、か……唯はどう?」

唯「私は反対!」

澪「なっ、どうして反対なんだ?」

唯「だってそれじゃ毎日練習だよ?休める日無くなっちゃうよ?」

梓「ライブ前なんだから当然です!唯先輩は出来る限り最高のライブにしたいって思わないんですか!?」

唯「それは思うけど……無理に練習したって楽しくライブなんて出来っこないよ!」

梓「頑張って練習したからこそライブで成功した時の喜びが増すんじゃないですか!」

紬「梓ちゃん落ち着いて!唯ちゃん何か理由があるの?」

唯「それは……」チラ

憂「!」

唯「た、ただ単純に休みがほしいからだよ!ゴロゴロしたいもん!」

梓「はぁー、そんな理由で……憂も何か言ってやってよ!」

憂「あ、えっと、その……・」チラ

唯「……」

律「!!」

憂「わ、私は、賛成です……」

唯「!!?」

澪「唯、憂ちゃんもこう言ってるしさ、最高のライブにしたいだろ?」

紬「唯ちゃん?」

唯「とにかく私は反対だから!行くよ憂!」ギュ

憂「あっお姉ちゃん引っ張らないで……!」

澪「お、おい唯!?」

律(あちゃー……)

紬「行っちゃった……」

梓「唯先輩どうしてあんなに強情だったんでしょうか?」

澪「ごめん、私が無茶言い出したばっかりに……」

梓「澪先輩は悪くないです!私だってもう1曲やりたいです!」

澪「ありがとう梓、でもやっぱり唯には悪いことをしたな」

律「軽音部の事を思って言った事だし澪は悪くないよ」

律「まっ明日みんなで謝ろうぜ、唯があそこまで強情なのは訳があるんだろうしさ」

澪「律、こういう時だけはちゃんと部長だな」クス

律「まぁな、ってこういう時だけってどういう意味でございますかしら!?」

紬「唯ちゃん……」



平沢家!

憂「おねえちゃん……」

唯「……」

憂「お姉ちゃん、さっきはお姉ちゃんの味方しなくてごめんね?」

唯「……なんで」

憂「……」

唯「何であんな事言ったの!?日曜日は……」

憂「うん、部活で私との時間が取れないからってお姉ちゃんと毎週一緒に遊ぶ約束をしたよね」

唯「そうだよ!それに今週は買い物に行く約束だよね?憂も荷物多いからって言ってたもん……」

憂「それはそうだけど……」

唯「じゃあ憂もあそこで日曜日は駄目ですって断ってくれたっていいじゃん……」

憂「あのままじゃ軽音部の仲に亀裂が出来ちゃうと思ったから……」

憂「私のわがままで軽音部の仲を裂くような事は出来ないよ」

唯「憂はいつもそうだ!そうやって自分ばっかり我慢する!」

唯「だからさっきだって日曜日は憂と遊ぶって言わなかったのに!皆にお願いされたら憂は絶対引き下がるから!」

憂「我慢じゃないよ!お姉ちゃんと遊べなくなるのは寂しいけど文化祭でお姉ちゃんの演奏が聞けないのはもっと寂しい!」

憂「私、文化祭のライブすごく楽しみにしてるから!」

唯「別に日曜日憂と遊んでたって文化祭でライブは出来るよ!」

憂「ううん、亀裂が生じたままの軽音部の演奏は私が聴きたい演奏じゃないよ……」

憂「こういう話が出た以上、やっぱり新曲を組み込まなきゃ皆さん最高のライブとは言ってくれないよ……」

唯「だったら!このまま日曜日に練習参加したって私は心から楽しく演奏できないよ!」

憂「!! で、でもお姉ちゃんがせっかく夢中になれる物を見つけたのに……」

憂「私、いつまでもお姉ちゃんの足枷になりたくないよ……」グス

唯「ちょ、ちょっと待ってよ!憂は私が憂に気を遣って日曜日空けてると思ってるの!?」

憂「うーん、ちょっとは……思ってるかも……」

唯「ち、違うよぉ!憂は特別!私が憂と遊びたいだけなんだよ!」ダキッ

憂「わっお姉ちゃん///」

唯「だって憂は大切な妹なんだから!」

憂「えへへ、ありがとお姉ちゃん……でもね、やっぱり日曜日は部活に参加して?」

憂「やっぱり私は軽音部で頑張ってるおねえちゃんが大好きだから」

唯「それは憂の本心?」

憂「本心だよ?」

唯「どうしても?」

憂「どうしても」

唯「じゃあもういいよ……憂の馬鹿!分からず屋!」ダッ

憂「あっお姉ちゃん!待って!」


憂(ごめんねお姉ちゃん……)

憂(ホントはお姉ちゃんが気を遣ってるなんて思ってないよ)

憂(私がお姉ちゃんを大好きなように、お姉ちゃんも私を好きでいてくれてるのは分かるから)

憂(でもやっぱり、私は本心を曝け出す事は出来ないよ)

憂(だって……)

憂(あの話を聞いちゃったから)


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2年前夏休み
憂「あっ、律さんいらっしゃい!」

律「やっほー憂ちゃん!唯いるかな?」

憂「はい、今呼びますね!」

憂「おねーちゃーん!律さんが来たよー!」

唯「ほぇ?りっちゃん?どしたの?」

律「いや~今日部活ないから暇でさぁ!急に憂ちゃんにこの前のゲームのリベンジしたくなってさ」

憂「えっ私ですか?」

律「うん、急だから駄目だったかな?」

唯「全然駄目じゃないよ!ねっ憂!」

憂「うん!それに今もちょうどお姉ちゃんとゲームやってたんですよ」ニコニコ

律「おっそうなの?よっしゃー今日は勝つぞーっ」

憂「えへへ、まだまだ負ける気はありませんからね!」


数時間後
律「だーっ!一回も勝てねーっ!」

唯「憂に勝つのは無理だよりっちゃん~」

律「唯にも勝てないなんて……プライドが……」

唯「なにそれーひっどーい!」

律「ははは、冗談だって!」

憂「律さん、ご飯食べていきません?」

律「えっ?」

唯「憂はご飯も上手なんだよー」

律「そうなのか、本当に何でも出来る子だな」

唯「うんうん、だから食べて行きなよ~」

律「で、でも急に押しかけてご飯までなんて……」

憂「えへへ、律さんって意外と遠慮するタイプですか?」

唯「えぇ~いがーい!もっと図々しいのがりっちゃんなのにー!」

唯憂「ねー?」

律「なにをー!?だったら冷蔵庫の中身全部食ってやる!」

憂「じゃあ全部料理しちゃおっかな!」

律「あ、憂ちゃん、冗談だから……マジで作らないでね……?」

唯「じゃありっちゃん!憂の邪魔しないように私の部屋行こう!」

律「いや、手伝ったりしないのかよ!」

憂「あ、お姉ちゃんが料理すると危なっかしくて…その……」

律「あ~、ははは!了解、お守り役は任されたよ」

唯「早く早く~憂出来たら呼びに来てね!」グイグイ

憂「うん!」

律「唯、引っ張るなってば~」

憂「よーし、がんばって作るぞ~!」


憂「ふんふ~ん♪」ペロ

憂「んっ、上手に出来ましたぁ♪」

憂「お姉ちゃん達を呼びにいかなきゃ」タタタッ


「なんだよーかしこまってさぁ」

「うん、実はね……憂の事で」


憂「今、憂って言った?何の話をしてるんだろ?」ソーッ


唯「私の家さ、両親がよく家を空けてて憂と二人きりの事が多いんだ」

律「だから今日もこの前もいなかったのか」

唯「うん、それでね、憂と二人で家事を分担しようって事になってるんだけど……」

律「あぁ~それで部活参加できない日もあるってこと?」

唯「いやぁそれが分担したは良いけど私ってどうにも家事に向いてないみたいで」

唯「結局憂に頼りっぱなしなんだよね」

律「まぁ唯らしいというかなんと言うか……」

唯「でね、憂がそれなら家事は私がやるからお姉ちゃんは部活をがんばってって」

律「いい子過ぎて泣けてくるな~」

唯「うん、えへへ///でもね私が部活してる間、憂は一人で家事をしてるんだぁ」

律「そっか、それだと寂しいよな……」

唯「うん、でも憂は私に思いっきり楽しんで欲しいってお願いしてきたんだよ」

唯「私、今まで何かに一生懸命取り組むことってあんまり無かったから……」

律「ホント健気だなぁ。じゃあ毎日部活に来るのかー?」

唯「うん!お菓子食べてお喋りして演奏して!思いっきり憂に甘えようかと思います!」フンス

律「そりゃ助かるけどさぁ……でもそれだと憂ちゃんが……」

唯「皆言うんだけど憂ってさぁ、本当に本当によく出来た子なんだよね」

律「あぁ、今時珍しいくらいにな」

唯「うん、憂は私が部活に行く事で幸せを感じてる事を分かってるからそう言ってくれるんだと思う」

律「なるほどなぁ」

唯「そんな憂がもし弱音を吐いたなら、それは本当のSOSだと思うんだ」

唯「私も憂の望むことは全部してあげたい」

唯「だから…憂がもし一言でも寂しいって言ったら、寂しそうな素振りを見せたら、私は軽音部を辞めるね」


憂(えっ…?)


律「なっ!?唯、何もそこまで…」

律「例えば何曜日は部活休みにして家に帰るーとかそんな感じじゃ駄目なのか!?」

唯「憂は勘も良い子だからね、憂の為に部活を休んでるなんてバレたら余計気を使わせちゃうよ…」

律「そっか、元々唯の為に頑張ってるんだもんなぁ…」

唯「うん、でも憂が悲しんでるのに私だけってわけにはいかないよ…」

律「唯……」

律「しかたないなー分かったよ」

唯「えっ?」

律「唯の覚悟は伝わったって事!」ニカッ

律「普段ボヘーッとしてる唯がそこまで真剣になるんだもんな!唯がいなかったら軽音部自体出来てないし」

唯「りっちゃん…」グス

律「その唯が目一杯部活出来る様に頑張ってくれてる憂ちゃんを疎かにしたら罰が当たるって!」

唯「うん…ごめん…」

律「いいってば!それに憂ちゃんが寂しがってるかもしれないってのは唯の憶測だろ?」

唯「う、うん…でも憂は寂しがり屋さんだから…」

律「うん、もちろん私もそんな簡単に辞めてもらいたくないからひとつ条件がある!」

律「部活以外では全力で憂ちゃんと一緒にいる事!」

唯「うん!それはもちろんそのつもりだよ!というより私が憂と一緒にいたいよ!」

律「よーっし!その気持ちがあれば大丈夫だろ!」

唯「うん!えへへ、りっちゃんありがとね」

唯「あとね、軽音部の皆には言わないで欲しいんだぁ」

律「まぁあいつらがこんな話聞いたら遠慮して部活減らしかねないもんなぁ」

律「でも、もしもの時はあいつらに言うぞ?唯の名誉の為にもさ」

唯「ありがとうりっちゃん…りっちゃんだけに背負わせちゃってごめん…」グス

律「水臭いぞー唯、気にすんなって!なんてったって私は軽音部のぶちょ…」

唯「形だけの部長なのにありがとね…」グス

律「…おい」


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最終更新:2010年09月28日 00:00