派出所
大原「ばかもの!!!」
両津「ひいいい!申し訳ありません部長!」
大原「こんな訳のわからんフィギュアを派出所に発送しおって!」
両津「すいません。今日の帰りに友人に渡す予定のフィギュアでして…」
大原「それがなんだ!とにかく派出所にこんな物を発送するんじゃない!」
両津「わ、わかりましたよ…」
大原「ったく…。…お、もうこんな時間か。ちょっと署まで行ってくる」
中川「はい」
麗子「わかりました」
大原「…両津、わしが今言いたい事はわかっているな?」
両津「わ、わかってますよ。もうフィギュアを派出所に発送はしませんから」
大原「絶対だぞ。…じゃあ、行ってくる」
スタスタ
両津「…ふう。まいったよ」
麗子「もう。両ちゃんったら」
中川「先輩。なんで派出所にフィギュアなんか発送したんですか?」
両津「届く時間がわしの勤務中って言うからな。ったく…一週間前に頼んだからもっと早く届くかと思ったよ」
中川「一週間もかかったんですか…」
両津「大人気だからな」
麗子「何のフィギュアなの?それ」
両津「ああこれか?『けいおん!』の
平沢唯のフィギュアだよ」
麗子「けいおん?」
中川「今話題となっているアニメですね」
両津「知ってるのか。中川」
中川「ええ。シングルチャートでCDが常に上位と
ニュースで見ました」
麗子「シングルって…主題歌でも売れてるの?」
両津「このアニメは名前の通り軽音部の女子高生がバンドをするって話なんだよ。放課後ティータイムっていう名前でいろんなシングルを出して売れてるんだよ」
麗子「へえ…」
中川「しかし、僕もよくわかりませんけど…そんなに魅力のあるアニメなんですかね」
両津「魅力ねえ。まあメインの5人の女の子は可愛いぞ。性格は置いといてな」
中川「はあ…」
両津「まあとにかく、わしはアキバの友人からこの平沢唯のフィギュアを通常価格の3倍で今日売る約束をしたんだ」
麗子「またお金儲けして…」
両津「このフィギュアを手に入れるのにわしは苦労したんだぞ。当然の利益だ」
丸井ヤング館(元、寺井)「おはようー」
麗子「あ、丸井さん」
中川「おはようございます。そろそろ丸井さんと交代の時間ですね」
丸井ヤング館「うん」
両津「おい丸井。例の物は持ってきただろうな」
丸井ヤング館「持ってきたよ。はい」
両津「おお。これこれ」
丸井ヤング館「もう両さん…。勝手に僕の家に発送するのやめてくれよ」
両津「悪い悪い。これはあまりに入手困難だからな。わしの所に発送したら周りの奴らに狙われる可能性があったからど田舎に住むお前の家に発送したのだ」
麗子「今度は何?」
両津「これか?これはあるイベントでしか売っていなかったという現在では入手が非常に困難な
秋山澪のフィギュアだ。裏のルートで何とか手に入れた」
中川「それも売るんですか…?」
両津「ああ。友人に10万でな。…ああそうだ。協力してくれたお礼に丸井に1000円やろう」
丸井ヤング館「あ、ありがとう…」
麗子「まったく…相変わらずお金儲けの事ばっかり…」
中川「でも『けいおん!』がここまで人気ある作品だとは思いませんでしたよ」
両津「今はブームだからな。わしもDVDを集めている」
麗子「あら。両ちゃんも観てるの?」
両津「ああ。1期のDVDはもう全部観たからこないだ2期のDVDを頼んだ。まあ放送で話は知ってるが特典が色々あるのでな」
中川「頼んだって…先輩、もしかして…」
両津「ああ。明日派出所に届く」
麗子「さっき部長さんに怒られたばかりでしょ!」
両津「大丈夫だって。明日はバレないように気をつけるから」
麗子「両ちゃんったら…」
中川「さすが先輩と言う所ですね…」
丸井ヤング館「ははは…」
次の日
派出所
宅配員「宅配便でーす。えーと…両津さん…」
両津「はい。わしだわし!ハンコだな!」
宅配員「はい…。ありがとうございましたー」
両津「よし。部長に見つからずにDVDが届いたぞ」
中川「大原部長、今日は一日中会議ですからね」
麗子「これを狙っていたのね…」
両津「ははは!計画的なわしの勝ちだ!さて…」
中川「先輩、向こうの部屋で何かするんですか?」
両津「決まってるだろ。けいおんのDVDを観るんだよ」
麗子「もう!自分の家で観てよ!」
両津「どうせ派出所の勤務なんか暇なんだよ。暇な時間をうまく活用するのがいいんだろ。じゃあな」
麗子「行っちゃったわ…」
中川「部長がいなかったらやりたい放題だ…。…あっ!」
部屋
両津「よし。今日は1期のDVDも全て持ってきたのだ」
ガサゴソ
両津「2期を観る前に1期を観ておさらいしよう」
大原「そうだな。おさらいは大事だしな」
両津「そうそうその通り。まずは1期1話から…。…ってええっ!?ぶ、部長ー!!!」
大原「やあ両津。元気そうだな」
両津「は、はは…。元気ですよ…」
大原「両津…お前は警察官をおさらいしないとなあ…」
両津「きょ、今日は会議の筈ですよね…」
大原「会議で急に必要になった書類を取りに来たのだ。で、両津…何をしていたのかな?そのDVDは何だ?」
両津「こ、これですか!?こ、これは近年の若者の趣味を探るべくアニメ鑑賞を…」
大原「ばっかもーん!!!」
両津「ひいい~!」
大原「何が近年の若者だ!お前が観たいだけだろ!いい大人がこんな物集めおって!」
両津「も、申し訳ありません~!」
大原「このDVDは全て没収だ!」
両津「部長!そ、それだけは~」
大原「黙れ!とにかくわしの家で預かる!」
スタスタ
両津「DVDが部長の手に~!ま、待って~。部長~」
大原「ではまた署の会議に戻る」
中川「はい」
麗子「わかりました」
大原「では行ってくる。…両津!お前が真面目に仕事をするようになるまでこれは没収だ!」
両津「そんな~!」
大原「じゃあな」
両津「部長~」
中川「行っちゃいましたね…」
麗子「自業自得よ」
両津「くそ…。なんとかして部長からけいおんのDVDを取り戻さないと…」
中川「部長が言った通り真面目に働くしか…」
麗子「そうよ。それが一番よ」
両津「いや。それはわしには合わん」
麗子「合うとか合わないじゃなくて仕事なのよ…」
中川「先輩には何を言っても無駄だね…」
両津「どうすれば部長からDVDを取り戻せるか…。うーん…」
夜
大原家
大原妻「あなた。ちょっといいですか?」
大原「なんだ?どうした?」
大原妻「こないだ近所のくじ引き大会で当たって貰ったDVDプレイヤーなんですけど、なんだか調子が悪いみたいで…」
大原「何?どういう事だ?」
大原妻「DVDプレイヤーから変な音がして…。修理屋にでも頼もうかと思ってるんですけど、その前にあなたに見てもらいたくて」
大原「わしにか。…わかった。ちょっと確認してみよう」
大原妻「お願いしますね」
大原「任せなさい。お前はもう寝ていいぞ」
大原妻「あら…そうですか?」
大原「ああ。わしが見ておいてやる」
大原妻「…じゃあ、お言葉に甘えて私は先に寝ますね」
大原「おやすみ」
大原妻「おやすみなさい」
大原「…と、張り切ってしまったが機械はイマイチわからん」
大原「DVDプレイヤーと言っていたからDVDがちゃんと観れるか確認しなければな」
大原「…だがこの家にはDVDが一枚も無い。このDVDプレイヤーは近所のくじ引きで貰った物だしな…」
大原「DVDは…。…!」
大原「両津から没収したのがあった…!」
大原「しかしあれは大人が観るような物ではない。アニメだ…」
大原「しかしDVDはあれしかないしな…」
大原「…だが、DVDプレイヤーの確認の為だ。わしはちゃんとDVDが再生されるかだけを調べればいいのだ」
大原「うん。数分再生されるか確認したらすぐに取り出そう。…よし」
けいおん1期の1巻を取り出し、DVDプレイヤーに入れる
大原「さて、ちゃんと再生されるか…」
大原「…やはりアニメはわしには合わんな。両津はこんなくだらない物に興味を持っているのか…」
憂『お姉ちゃん朝だよー』
唯『わー!遅刻遅刻ー』
大原「まったく。朝もちゃんと起きれないとは…。最近の若い子は…」
大原「…あ、いかん。ついつい観てしまった。…ちゃんと再生されるな。よし、
確認も終わった事だしDVDを取り…」
『ガチでカシマシ Never Ending Girls Talk♪』
大原「ん?歌が始まった。何を言っているかわからん!聴いててイライラする!さっさとDVDを…」
大原「…!!」
大原「…こ、このカチューシャの子は…」
大原「か、可愛い…」
大原「…い、いかん!これだと両津と変わらん!」
大原「…しかし。このカチューシャの子が出る所までくらいなら…」
大原「もう少しDVDプレイヤーの調子を調べんといかんしな…!」
ニコニコ寮
左近司「ほら。2期の1巻だ」
両津「おお。悪いな左近司」
左近司「本当に3日で返せよ」
両津「わかってるって。わしは約束を守る男だ」
ボルボ「守らなかったことが多いがな…」
本田「それにしても部長さんにけいおんのDVD没収されちゃうなんて災難でしたね…」
両津「本当だよ。どうにかして部長から取り返さないとな…」
ボルボ「これを機会にBDで買い直したらどうだ?」
左近司「BDの方が特典がいろいろあるらしいからな」
両津「わしもそうしたいのだがBDプレイヤーを持ってないんだよ。超神田寿司の連中なんかBDなんて興味のかけらもない」
本田「まあ、あのお寿司屋さんはそんな感じしますねえ…」
両津「お前らはBDプレイヤー持ってるのか?」
ボルボ「俺はまだだ」
左近司「俺も。今度買おうかなー。ライブイベントとかBDで観たいし」
本田「僕はついこの前アキバで買っちゃいましたー」
両津「何!?よし!これから本田の所に行って2期1巻を観よう!」
本田「ええ!?今からですか!?」
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両津「ふう。BDでけいおんを観れてわしは満足だ」
本田「もう。いきなり押しかけないで下さいよー」
左近司「それで両津。部長に没収されたDVDは…」
両津「はっ…つい忘れてた…。うーむ…どうやったら返してくれるか…」
ボルボ「真面目に働くしかないんじゃないか?」
両津「それは性に合わん」
本田「先輩…。僕達一応警察官なんですけど…」
両津「明日、部長になんとか説得するしかないな」
次の日
派出所
キキーーー!
両津「やばい!遅刻だ遅刻!」
中川「あ。先輩、おはようございます」
麗子「遅いわよ。両ちゃん」
両津「悪い悪い。部長はまだ来てないようだな」
中川「いえ、そこに座って仕事していますよ」
大原「…」
両津「うおっ!ぶ、部長ー!!!お、遅れて申し訳ありません!!」
部長「ん?なんだ両津か…」
両津「ん?」
大原「…」
カキカキ
両津「…中川。ちょっと向こうの部屋へ」
中川「は、はい…」
部屋
両津「どうしたんだ部長は?いつもならあそこで怒鳴っているはずだ」
中川「それが…今日の朝からあの調子なんですよ。仕事はちゃんとしているのですがなんだか元気がないようで…」
両津「元気がないというよりだらんとしてるように見えるぞ。ついにボケてきたのか」
中川「そんなことないと思いますけど…」
両津「とりあえずもう少し部長の様子を見てみよう」
中川「はい…」
部長「…」
カキカキ
両津「(何も喋らないな…)」
中川「(本当ですね…)」
麗子「部長さん。お茶が入ったわよ」
大原「お。ありがとうムギちゃん…あ!いや…麗子君!」
麗子「?」
両津「…!!」
両津「(まさか…部長…!)」
部長「…」ジーーーー
中川「(部長…外のどこかをじっと見つめていますよ…)」
両津「(…ほほう)」
大原「カチューシャ…」
両津「(…!!間違えない!部長はあそこの道を歩いてるカチューシャを付けた女性を見ている!)」
両津「(まさかとは思ったが…これは間違えない!)」
両津「(部長はわしから没収したけいおんを観て…ハマった!!!)」
大原「…」
カキカキ
両津「(よし。ここはちょっと探ってみるか)」
両津「あの、部長」
大原「ん?なんだ?」
両津「私、今度本田達と一緒にバンドを組もうと思いまして」
大原「バンド…」ドキッ
両津「(食いついたな…)」
大原「そ、そうか。バンドか」
両津「私、どのポジションがいいですかねえ。部長が一番いいと思うポジションとかありますかねえ」
大原「わ、わしはバンドのことはよくわからんぞ」
両津「部長の意見を聞きたいんですよ。部長が一番好きなバンドのポジションはどこですか?」
大原「……ドラム…かな」
両津「ほお。ドラムですか」
両津「(律が好きなのか。部長は…)」
両津「あの、部長」
大原「今度はなんだ?」
両津「昨日、私から没収したDVDなのですが…」
大原「…!あ、あれか!!」
最終更新:2010年10月01日 22:47