「試してみるかな……」
私、
中野梓はひょんなことから恋の女神のノート「百合ノート」を手に入れてしまいました。
百合ノートに名前を書かれた者同士は好き合ってしまうようです。
でも、本当かな……?
~百合ノート、ルール~
- 表記は相合傘でもいいが、→ や →← などの記号もその通りになる。
- 名前を書いた40秒以内にその詳細を書くと、その通りになる。
その場合、詳細を書くために6分40秒の猶予が与えられる。
- ノートを焼失した場合、ノートを名前を書かれた本人が見た場合、効力は失われる。
そこで私は試してみることにしました。
ワイワイガヤガヤ
放課後の部室。
今日は憂も遊びに来てて、唯先輩と律先輩となんだか騒がしい感じになっているようだ。
梓(試しにあの仲良し姉妹を……)
私はさり気なく、そして素早くノートを取りだして、ペンを走らせます。
◆ ◆ ◆
◆ ◆ ◆
そして、二人を相合傘で覆ってあげます。
さて、どうなるかな……
唯「バレンタインデーに憂の作ってくれたケーキがすごく美味しくってさー!」
憂「もう、お姉ちゃんったら」
律「羨ましいぞ、唯ー!」
……あれ、40秒経ったのに、特にこれといった変化がない。
考えて見れば、もとから仲が良いから当然と言えば当然か……
でも、これじゃあ、ノートが本物かどうかわからない。
梓(そうだ……!)サラサラ
◆ ◆ ◆
16:30に澪先輩がみんなの目の前で律先輩に告白。
そのまま律先輩を襲おうとする。
律先輩もみんなの前ということで戸惑いながらも、特に抵抗できずに子猫のように急に小さくなってしまう。
◆ ◆ ◆
梓(よし、これなら……)
カチッ、カチッ、カチッ、カチッ……
梓(早く時間にならないかな……)
澪「梓、さっき何書いてたんだ?」
梓「ななな、なんでもないです!」
澪「どうしたんだ、そんなにあわt……あ、そうだ、私……」カ゛タッ
梓「澪先輩?」
澪「お、おい律!!」
梓(!!??)
律「あ? どうした、澪」
澪「どうしたじゃないだろ、さっきから唯と憂とばかり話して!」
律「なんだよ、澪も話したいなら入ってくればいいじゃんか」
澪「そうじゃないだろ! 律は……律は人の気持ちも知らないでっ!」
紬「ちょ、ちょっと澪ちゃん落ち着いて……」
唯憂梓(ポカーン)
律「な、なんだってんだよ、澪……」
澪「私は……私は律のことが好きなんだ!! ずっと、ずっと……!!」
梓紬(きたー!!)
唯憂(ポカーン)
律「お、おい澪……そんなこと、みんなの前で……」
澪「ああもう我慢できない! 覚悟しろよ律」ハ゛ッ
律「ちょ、ちょっと澪やめっ……落ちつけよ……」
澪「落ち着いてられるか……! ああ、律、はぁはぁ、律ぅ……」チュッチュチュッチュ
律「澪ぉ……や、やめぇ……ちょ、ぁ……澪……」
澪「ほう、律は意外と攻められるとか弱いなぁ……子猫ちゃんみたいで可愛いぞ……はぁ」チュッチュ
律「そんなこと……うぅ……//////」
紬(ぽわ~ん)
紬(ハッ! いけない……!)
紬「み、澪ちゃん落ち着いて!」バッ
唯「そ、そうだよ、澪ちゃん、どうしちゃったの?」
憂「澪さん……」
ガヤガヤガヤガヤ
梓「…………」
梓(百合ノート、本物だ!!)
梓(これで、私は、百合世界の神となる!!)
――帰り道
唯「それにしても、澪ちゃん凄かったね……」
紬「結局2人だけで帰っちゃったけど、大丈夫かしら」
梓(ふふっ、今頃澪先輩と律先輩は……)
憂「どうしたの、梓ちゃん?」
梓「ん? い、いや、何でもないよ」
紬「澪ちゃんがあそこまで律ちゃんのこと好きだったとはねぇ」
唯「澪ちゃん、律ちゃんにたくさんチューしてたよー」
憂「わ、私も!!」
唯紬梓「!?」
憂「私もお姉ちゃんのこと、チューしたいくらい好きだよ……?」
唯「えへへ、私もだよ憂ー、じゃあチューしよっか?」
憂「うん!」
唯憂「ん……」チュー
紬「あらあら///」
梓(これもノートの効果……?)
――梓の家
梓(それにしてもすごいノートだなぁ)
梓(唯先輩&憂や澪先輩&律先輩ならともかく、このノートなら変わった組み合わせもできるかも)カキカキ
――翌日休み時間
律「和ー、ここがわからなかったんだけどさぁ」
和「ああ、ここは、こう……」
澪「なぁ律、ちょっと和にくっつきすぎじゃないか……?」
律「何言ってるんだよ、私と和の仲だぜー? そうだろ、和?」
和「急にどうしたのよ律……澪、律と喧嘩でもした?」
澪「してない……ほら、律、和も困ってるし、勉強だったら私が教えるから」
律「私は和に教えて貰いたいんだ!」
澪「えっ……」
梓(ほう、こういうこともできるのか……)コソリ
◆ ◆ ◆
2限と3限の間の休み時間、律先輩が和先輩に勉強を教えてもらうことを口実に近づく。
澪先輩の制止も空しく、律先輩は和先輩にやたらとスキンシップをとる。
◆ ◆ ◆
梓(でも澪先輩が可愛そうだから、あとで元に戻しておこっと)
唯「あーずにゃんっ!!」タ゛キッ
梓「わぁっ!! 唯先輩……!?」
唯「こんなところで、何してるの?」
梓「先輩たちのクラスを通りかかったので、ちょっと覗いただけです」
唯「ふーん……あっ、あずにゃん、そのノート……」
梓「え……あ、いや、これは……」
唯「とっても可愛いね!!」ニコッ
梓「……」
――放課後、部室
梓(それにしても、唯先輩の笑顔はやっぱり反則だよなぁ……)ボー
梓(唯先輩は私のこといつも可愛いって言ってくれるけど……)ボー
梓(本当に可愛いっては、ああいうことだよ……)ボー
澪「なぁ、梓……」
梓「はいー?」ボー
澪「律が私に急に素っ気無くなったんだけど……」
梓「そうなんですかー?」(ケーキ食べてる唯先輩も可愛いなぁ……)ボー
澪「私何かしちゃったかな……?」グスン
梓「しちゃったんじゃないですかー?」(美味しそうにしてる唯先輩可愛い)ボー
澪「昨日の夜は最高だったのに……夢みたいだったのに……」
澪「また、昨日の夜みたいに戻りたいよぅ……」ポロポロ
梓「大丈夫ですって!」(ハイハイ)カキカキ
◆ ◆ ◆
秋山澪 →← 田井中律
スキスキダイスキラブちゅっちゅ
◆ ◆ ◆
――6分40秒後
バタン!
律「澪ー!!」タ゛キッ
澪「きゃっ……り、律……!?」
律「澪、好きだよ、澪ー」
澪「い、今更なんだ! ずっと和と仲良くやってればいいだろ!」
律「何言ってるんだよ! 私の一番は澪だぞ? 澪ー、大好きー!」
澪「……/////わ、私だって……私だってぇっ……!!」
澪律「ん、んー……ちゅぱ……ちゅるり……」
唯紬梓憂「oh…………」
梓(人前であそこまでできるなんて……)
梓(やっぱりノートの力ってすごい……!)
紬「……」チラッ
そういえば、両親が家にいるのか、今日も憂は部室に遊びに来てる。
憂「はい、お姉ちゃん、あーん!」
唯「あーん!」モグモグ
唯「憂が食べさせてくれると、一層美味しいよ!」ニコニコッ
憂「お姉ちゃん//////」
梓(……)
姉妹だからいいと思ってたけど、やっぱりイライラする……
この二人、これじゃまるで恋人じゃない……
明らかに憂から唯先輩へのスキンシップも増えてるし……
唯先輩を独り占めしちゃって……!
梓(憂、見てなよ……)
憂「お姉ちゃん、クリームついてるよ」フキフキ
唯「あ、ありがとう憂ー」
紬「うふふふふ」
梓(今だ!!)カキカキッ
◆ ◆ ◆
憂は今まで通り唯に接しようとするも、唯先輩は冷たい態度で返し、憂を避けるようになる。
◆ ◆ ◆
梓(ふふっ、これで!)ニヤリ
唯「あっ! あずにゃん、またその可愛いノート!!」
梓「えっ!? あ、いや、はい……」
唯「いいなー、私も欲しいなー! どこに売ってたのー?」
梓「そ、それは……え、えっと、唯先輩には内緒です!」
唯「そんなぁーあずにゃんのいけずー!」
梓「で、先輩方はいつまでちゅっちゅしてるんですか」
律澪「ちゅっちゅ、ちゅっちゅ……」
律澪「……ハッ……!!」
律「私としたこどが……」
澪「ずっとみんなに見られてたなんて恥ずかしい……!」
梓唯憂紬「」
律「よし、じゃあ今日はもう帰るか―!」
澪「早く続きもしたいしな……」ボソッ
唯「帰る準備ー」ガサゴソ
憂「お姉ちゃん、これ忘れてるよ」
唯「ありがと、憂ー」
紬「……」チラッ
紬「……」
ぞろぞろぞろぞろ
「じゃあねー!」
「じゃあね、また明日ー!」
最終更新:2010年10月03日 00:03