憂「んしょ…あれっ!?どうしよう、胸がきつくてボタンが留められない…」

憂「いいや、こう、安全ピンでむりやり繋げば…よーし、できた!」

憂「うーん、ちょっと変…?で、でも大丈夫だよね!うん!」

憂「えへへ…お姉ちゃんの制服…お姉ちゃんの匂いだぁ…」

憂「いってきまーす!」

憂「今日から3年生だなぁ…何だか緊張するなぁ」

憂「お姉ちゃんのいない学校…寂しいな…」

憂「で、でも大丈夫!お姉ちゃんも一人で頑張るんだもん!私も頑張らないと!」

憂「それに私も軽音部に入ったんだし、お姉ちゃんの育てた軽音部を引き継ぐんだ!」

憂「頑張れ、私!」

純「さっきから何一人でぶつぶつ言ってんの?」

憂「ひゃあっ!?じゅ、純ちゃん!?い、いつからいたの!?」

純「あんたが寂しいなぁ~、お姉ちゃ~ん、泣いちゃいそうだよぉ~、って言ってた辺り」

憂「そ、そんなこと言ってないよぉ!もう!」

純「あはは、まあいいじゃんいいじゃん。ほら、早くしないと新年度早々遅刻だよ?」

純「あー、しかしもう3年か…早いなぁー」

憂「本当だね…ついこの間までは小学生だったのにね」

純「いや、そこまで遡らなくても」

憂「私も純ちゃんも軽音部に入ったんだし、やることはたくさんだね」

純「受験もあるし。私はさらにジャズ研も加わるからなあ…やっぱ軽音部入るのよそうかな」

憂「えぇー!?」

純「冗談!冗談だって!ちょ、何で涙目なの!?」

憂「だってぇ…」

純「まったくもう…変わんないね、憂はさ」

憂「ふふっ、純ちゃんも変わってないよね、悪い意味で」

純「ははは……えぇー!?」

憂「まずは新歓ライブかぁ…練習しないと」

純「部員確保しとかないと、廃部にもなりかねないもんね…」

憂「梓ちゃんと純ちゃんはともかく、私は楽器どうしよう…」

純「キーボードでいいんじゃないの?」

憂「でもバンドでドラムがいないってのは変だよね?」

純「あぁ、まあそっか…ギター、ベースときたらドラムだわ」

憂「今からやって何とかなるかなぁ…?」

純「でも、最悪今回はキーボードでもいいんじゃない?」

憂「律さん借りてこようかな」

純「それはさすがにちょっと」

純「ねえ…ところでさ、憂」

憂「なぁに?純ちゃん」

純「あんた…また胸大きくなった?」

憂「へっ!?」

純「見るからに制服がキツそうなんだけど…ん?安全ピン?」

憂「あ、あのね、実はこれ…お姉ちゃんの制服なんだ」

純「唯先輩の!?なんでまた……あぁ、なるほどね」

憂「べ、別に、その、あの、あのね!」

純「わーかったわかった。皆まで言わなくていいよ」

憂「う、うん…」

純「明日からは自分の制服着てきなさい」

憂「えぇー!?」

純「えーじゃないの。そんな格好で学校来たら先生に怒られちゃうよ?」

憂「そんなことないよー!だってお姉ちゃんの制服だよ!?」

純「よくわからない理屈だね…でも駄目!不良だと思われちゃいます!」

憂「そうかな…」

純「そうそう!新入生がそれ見て『うわっ!軽音部の先輩は不良なんだ!怖い!』とか思ったらどうすんのさ?」

憂「それは…困るよ」

純「でしょう?だから駄目。ちゃんと自分の制服を着てくること!以上!」

憂「はーい………せめてスカートだけでも」

純「駄目!!」

憂「しょぼん」

憂「はあ…おっぱいが憎いよ」

純「まだ言うか」

憂「だって、もっとおっぱいが小さければ私はお姉ちゃんともっと似てたんだよ?」

純「姉と似たいという気持ちは私にはわからないよ…」

憂「はぁ…貧乳の子がうらやましいなぁ…」

純「それ、梓の前では絶対言わないこと。いい?」

憂「?そうなの?なんで?」

純「…あ、ほら、もう学校着くよ!クラス確認しないと!競争!」

タタタタ…

憂「あっ!ちょっと後ってよー!胸がきつくてあんまり走れないのに~!」

梓「うー…」

ぴょん、ぴょん

純「あーずさっ!おっはよ!」

梓「あ、お早う、純」

純「クラス替えどうだった?私たち、また一緒?」

梓「うーん、それが…」

ぴょんっ、ぴょんっ

純「どしたの?変なキノコでも食べた」

梓「見えないの!クラス分けの紙!」

ぴょーんっ、ぴょーんっ

純「あ、そっか。梓はちっちゃいもんねー」

梓「むぅーっ」

純「ちっちゃくて可愛いもんねー」

梓「唯先輩みたいなこと言わないでよ、もう!」

梓「あ、そういえば憂見てない?まだ来てないかな」

純「すぐ来ると思うよ。一緒に来たから」

梓「あ、そうなんだ」

純「よーっし、お姉さんに任せなさい、見てきてあげます!」

ぐぐぐいっ

梓「…よろしくー」

憂「あ、梓ちゃん、お、おはよう、はぁ」

梓「おはよ。…何でそんな疲れてんの?」

憂「お姉ちゃんと、一心、同体だ、から…はーっ、疲れたよー」

梓「大丈夫?唯先輩いなくなって精神バランスでも崩れた?」

憂「そ、そんなことないよ!私は…私は一人でも…頑張れるんだよ!」

梓「ご、ごめん…」

梓「今、純がクラス分けの紙、見に行ってるから」

憂「そうなんだ。…また、3人一緒だといいね」

梓「…うん、そうだね」

純「ふはっ、た、ただいま~」

憂「おかえり~」

梓「随分もみくちゃだね…自慢のくせっ毛がさらにくせの強いことになってるよ」

純「うるさいなあ!もう!」

憂「で、どうだった?またみんな一緒?」

純「それが、その…ね…。…私と憂は同じ3年2組だったんだけど…」

梓「えっ…まさか…」

純「うん……梓はね、その…3年…2組みたいなんだ」

梓「そんなぁ…私だけ…!?……ん?3年2組?」

憂「私と純ちゃんは3年2組…だから…」

純「はい!また今年度も3人一緒です!やったぁー!」

梓「…も、もーっ!純!」

純「へへへー!あれあれ~?梓先輩ちょっと涙目じゃないですか~?」

梓「うっ、うるさい!馬鹿っ!」

純「えへへ…あ、あれ?憂…?」

憂「よかった…また3人一緒だ…よかったよぉ…」ぐすっ

梓「憂…うん、また一年、よろしくね!」

憂「うん…うん…よろしくね、梓ちゃん!」ぐすっ

純「(どうしよう、最高に気まずい…)」

純「よぉーし!!善は急げ!!さっそく教室まで移動しよう!!」

梓「そうだね。ほら、憂行こう?もう、顔ぐしゃぐしゃだよ?」

ふきふき

憂「あ、うん。えへへ、ありがとう梓ちゃん」

梓「うん。あ、3年2組って…!」

憂「あ…そうだ、お姉ちゃんたちのクラスだ!」

梓「…なんかうれしいね」

憂「…うん!きっと、きっといい一年になるね!」

純「(急かしたいがさっきの一件もあるので強く言えない…)」

純「おぉー、ここが3年2組の教室かー」

梓「何度も来てるでしょうに」

憂「……」

梓「どうしたの?憂」

憂「ほんの1ヶ月前までは…ここにお姉ちゃんがいたんだよね…」

梓「…うん。唯先輩も、澪先輩も、律先輩も、むぎ先輩も…」

憂「この教室で、勉強したり、お弁当食べたり、おしゃべりしたり、笑ったりしてたんだよね…」

梓「そう…なんだろうね…」

憂「お姉ちゃん…」

梓「先輩…」

純「あーっ、もう!暗い暗い!新学期早々あんたら暗すぎ!いいじゃん、私たちも負けないくらいたくさんいい思い出作ればさ!」

憂「純ちゃん…、うん、そうだね。くよくよしてたらお姉ちゃんに怒られちゃうもんね」

梓「律先輩に指差して笑われちゃうもんね…うん!頑張ろう!」


純「担任の先生は誰なんだろうね」

憂「山中先生だったらいいよね~」

梓「多分それはないと思うよ。2年連続で3年生の担任はしないもんなんじゃないかな?」

憂「あ、そっか…。残念だなぁ」

純「あ、チャイムだ…ほら二人とも席に着いた着いた!」

憂「あ、うん。じゃ、また後でね」

梓「(ああは言ってみたものの…)」

ガラガラッ

さわ子「はい、みんな席に着いてねー」

梓「(やっぱりかぁ~!)」

さわ子「……というわけで、一年間よろしくね?それではこの後始業式だから、遅れずに講堂に集まること」


梓「さわ子先生!」

さわ子「あら、梓ちゃん。相変わらず元気ねぇ~」

憂「山中先生!一年間よろしくお願いします!」

さわ子「ええ。憂ちゃんもよろしくね。唯ちゃんはお元気?一人暮らしするって聞いたけど…」

憂「大丈夫です!お姉ちゃんはやれば何でもできますから」

さわ子「そう…ね…」

梓「そ、それより先生!何で私たちの担任なんですか!?」

さわ子「あら…梓ちゃんは高校最後の担任が私じゃ不満なのね…ひどい…」

梓「あぇっ!?ち、違います!そういう意味じゃなくて、その、あのぅ…」

純「2年連続で3年生の担任って、普通しないものじゃないですか?」

さわ子「まあ、普通はそうなんだけれど……色々あるのよ、大人には」

純「いろいろ……」

さわ子「ええ、色々。深くは聞かないほうがいいわ…」

純「わ、わかりました」

さわ子「うふふ、ねえ、梓ちゃん」

梓「はひっ!?す、すみませんでした」

さわ子「うぅん、梓ちゃんは冗談が通じにくい子ねえ…」

梓「へっ!?あ、あ、そうか、はい」

さわ子「軽音部のこと、よろしくね?これからはあなたが部長なんだから」

梓「先生…」

さわ子「唯ちゃんや律ちゃん、澪ちゃんにむぎちゃん…みんなが作り上げた素敵な軽音部、なくしちゃうわけにはいかないでしょ?」

梓「…はい!頑張ります!」

さわ子「うんうん!そしてちゃんと毎日私の分もお茶とお菓子を用意すること!」

梓「やっぱりそれが本音ですか!」

さわ子「だってぇ~」

梓「まったく!先生がそれでどうするんですか!」

さわ子「いいじゃない!社会人には心のオアシスが必要なのよ!」

梓「それを教え子に頼らないでください!」

純「唯先輩と律先輩がいなくなった分、お小言は全部山中先生に行きそうだね」

さわ子「はうっ!それはあんまりだわ…」

梓「純!先生も!まったくもう!」

さわ子「まあ冗談はこの辺にしておいて、あなたたちもう時間よ?早く講堂にお行きなさいな」

梓「急に担任モードにもどった…」

憂「はい!わかりました!純ちゃん梓ちゃん、行こう?」

さわ子「あ、それから平沢さん」

憂「はい。何ですか?」

さわ子「ちゃんと明日からは自分の制服で来ること。いいわね」

憂「は、はいっ!!」

梓「?」


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最終更新:2010年10月05日 00:10